ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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第十八話:正義の眷属でアルバイト!?

「たのもーう! ロキ・ファミリアから助っ人に来たわよー!」

 

指定された待ち合わせ場所である大通りに、私はいつものバニースーツ姿で意気揚々と姿を現した。

そこに待っていたのは、白を基調としたお揃いの団員服に身を包む、数人の美しい少女たち。オラリオの治安維持を担う正義の星、『アストレア・ファミリア』の面々だ。

 

「わぁっ! 本当に来てくれたんだ! ロキ・ファミリアからの助っ人さん!」

 

真っ先に駆け寄ってきたのは、燃えるような赤い髪をポニーテールにした少女だった。快活な笑顔と、太陽のような明るいエネルギーに満ちている。

 

「私が団長のアリーゼ・ローヴェル! よろしくね、バニーちゃん! フィンから『凄腕の魔法使い』って聞いてるわ!」

 

「ええ、よろしく。お給料分はきっちり働かせてもらうわ」

 

「ふふっ、頼もしいわね! でも、その格好は……ロキ・ファミリアの新しい制服?」

 

アリーゼが私のバニースーツに興味津々で目を輝かせる中、その後ろから、底冷えするような声が響いた。

 

「……アリーゼ。離れなさい」

 

現れたのは、淡い緑色の髪を持ったエルフの少女だった。

整った美貌には一切の感情が浮かんでおらず、その鋭い視線は、まるで汚物でも見るかのように私を射抜いている。

 

「その女から、ひどい酒の匂いがします。それに、街の治安を守る任務にそのような破廉恥な格好で現れるなど……正義に対する侮辱です」

 

「あはは、リューは相変わらず真面目だなぁ。でもフィンの推薦だし、きっと実力は本物だよ」

 

「しかし……!」

 

エルフの少女――リューと呼ばれた彼女は、納得いかない様子で私を睨みつけている。リヴェリアと同郷のエルフのようだが、あっちのオカンエルフよりさらに頭が固そうだ。

 

「まあまあ、リュー。アタシは別にいいと思うけどね。強くて稼げるなら、格好なんてどうでもいいっしょ」

 

そう言って肩をすくめたのは、小柄な小人族(パルゥム)の少女、ライラだった。

彼女は私の腰についている大きな道具袋をチラチラと見ながら、ニヤッと笑う。

 

「アタシら、ポーション代にも困るくらい金欠だからさ。ロキ・ファミリアの助っ人なら、そのへんのゴロツキくらいサクッと片付けてくれるんでしょ?」

 

「ええ、任せて。悪党のお掃除はお手の物よ」

 

私はふふんと胸を張り、アリーゼたちと共にオラリオの巡回(パトロール)へと出発した。

 

◇ ◇ ◇

 

暗黒期のオラリオは、昼間であっても薄暗い路地裏には危険が潜んでいる。

私たちが歓楽街の裏手を歩いていると、さっそく数人のいかつい男たちが、怯える市民を取り囲んで金品を要求している現場に出くわした。

イヴィルスの末端か、それに便乗するゴロツキたちだ。

 

「そこまでよ! アストレア・ファミリアのな……」

 

アリーゼが剣を抜いて名乗りを上げようとした、その瞬間。

 

「よっしゃ、私の獲物!!」

 

私はアリーゼを追い抜き、猛ダッシュで男たちの懐へと飛び込んだ。

 

「あぁ!? なんだこのウサギ女……ぶべぇッ!?」

 

魔法すら使う必要はない。私の容赦のない飛び蹴りが、ゴロツキの顔面にクリーンヒットした。

 

「てめぇ! ぶっ殺して……」

 

「はい、おやすみなさい。【ラリホー】」

 

私は残りの男たちに向けて、無詠唱で睡眠の魔法を放つ。

不可視の魔力波を浴びた男たちは、白目を剥いて次々と石畳の上に倒れ込み、幸せそうな寝息を立て始めた。

戦闘時間、わずか五秒。

 

「えっ……」

 

「はやっ……!」

 

剣を抜いたまま硬直するアリーゼとライラをよそに、私は倒れた男たちの傍にしゃがみ込み、息をするように自然な動作で彼らの装備を引っ剥がし始めた。

 

「よしよし、この長剣は結構いい鉄を使ってるわね。こっちの男が着てる革鎧も高く売れそう。おっ、こいつ金貨入りの小袋なんて持ってるじゃない。没収没収〜」

 

私は鼻歌を歌いながら、ゴロツキたちの武器、防具、装飾品、ついには靴に至るまで次々と道具袋に放り込んでいく。

 

「なっ……!?」

 

その光景を見て、ずっと黙っていたリューが顔を真っ赤にして激昂した。

 

「あ、あなたという人は!! 何をしているのですか!!」

 

「え? 何って……ドロップアイテムの回収だけど?」

 

「どろっぷあいてむ……? 違います! それはただの追い剥ぎです!! 悪党とはいえ、抵抗できない者の身ぐるみを持っていって換金するなど、正義の徒として絶対に許される行為ではありません!!」

 

リューが木刀を構え、本気で私を止めに入ろうとする。

しかし、それを制止したのは、意外にも小人族のライラだった。

 

「ちょ、ちょっと待ちなよリュー。……このウサギの姉さんの言うことも一理あるよ」

 

「ライラ!? 正気ですか!」

 

「だってさ、こいつらどうせギルドの牢屋にぶち込むんだろ? だったら武器や防具なんて持たせておく必要ないじゃん。没収して売り払えば、アタシらの活動資金になる。これぞまさに一石二鳥、エコで合理的な正義の鉄槌ってやつさ!」

 

ライラは私の回収した戦利品の山を見て、親指を立ててウィンクしてきた。さすが小人族、金勘定には目ざとい。

 

「そ、そんな……アリーゼ! あなたからも言ってやってください!」

 

リューが涙目で団長に助けを求める。

アリーゼは頬を引きつらせながら、苦笑いするしかなかった。

 

「あー……まあ、やり方はちょっと過激だけど、悪党の資金源を絶つという意味では間違ってない、かな? あはは……」

 

「アリーゼまで! ああ、なんという事だ……アストレア様の正義が、泥で汚されていく……!」

 

膝から崩れ落ちて絶望するエルフの少女を尻目に、私はホクホク顔で最後の男のベルトを引っぺがした。

 

「フィンが『下着一丁にして放置するのはやめろ』って言ってたから、一応パンツとシャツは残しておいてあげるわ。優しいでしょ?」

 

「どの口が言うのですかこの破廉恥女ァ!!」

 

こうして、オラリオの治安を守るアストレア・ファミリアに、一時的とはいえ『合法的に悪党の身ぐるみを剥がすバニーガール』という最悪の劇薬が投下された。

 

イヴィルスやゴロツキたちの間で、「アストレア・ファミリアのウサギに遭遇すると、命は助かるが文字通り全てを毟り取られる」という恐ろしい噂が広まるまで、そう時間はかからなかったのである。

 

噂に震え上がった悪党たちが自ら武器や財布を差し出して降伏するようになり、あろうことか街の市民たちから『正義のバニーさん』と感謝の言葉まで向けられるようになる中――

 

「あの破廉恥な女は、断じて正義の眷属の一員ではありませんっ!!」

 

今日もまたオラリオでは、とあるエルフの少女の切実な嘆きがこだましている。




書いてて楽しいのですが、そろそろネタが切れそうですわ(・_・;)

採用出来るかは別にして、今後の展開として「こういうのもいけるんじゃない?」的な案も頂けましたら、良ければ雑談程度にお待ちしております~
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