ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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第二十五話:オラリオの勇者vs大魔王!?

翌日。

 

「バニー、昨日君が覚えた新しい魔法について、もう一度確認したいんだけどいいかい?」

 

ロキ・ファミリアのホームの一室。

そこにはフィンだけでなく、アイズ、ロキ、リヴェリア、そしてガレスも集まっていた。そんな中で、フィンが私に問いかけてきた。

 

「つまり、特殊な結界の中で、君が過去に戦ってきた敵を本物と同じレベルの幻影として出せて、戦闘後は受けたダメージや壊れた建物なんかも元に戻せる……ということで合っているかな?」

 

「まだ使っていないから分からないけど、ステイタスに書いてある記述を見る限り、多分それで合ってると思うわよ」

 

私が頷いて答えると、フィンも納得したように小さく息を吐いた。

 

「まぁ、まだ昨日レベルアップして覚えたばかりだからね。当然、検証も必要だと思う」

 

「それで、どうしたの?」

 

「そこでなんだけど……できれば、昨日君が戦ってきたという『大魔王』と戦うことはできないだろうか?」

 

「えっと、勿論それは出来ると思うけども……メチャクチャ強かったわよ?」

 

昨日の絶望的な強さを思い出して私が顔を引き攣らせると、フィンは真剣な眼差しで真っ直ぐにこちらを見つめてきた。

 

「あぁ、僕達も昨日の疲れ切った君を見ていたからね。相手がとても強い存在であることは重々承知さ。でも、僕達は立ち止まってはいられない。イヴィルスの勢力が活発になってきている今、出来る事をして少しでも実力を上げていくことは、オラリオを牽引する最大派閥の長として、これは決して怠ってはいけない責務だからね」

 

フィンらしい、力強くて頼もしい言葉だ。

常に前を向き、いざという時のために少しでも牙を鋭くしておこうとするその覚悟に触れて、私も気合を入れ直した。

 

「……わかったわ! 私も昨日覚えたばかりの魔法を使ってみたかったし、こっちは当然OKよ!」

 

「ありがとう、快諾してもらえて助かるよ」

 

「オラリオの勇者パーティと、バニーの世界の未来にいた大魔王かぁ……なんやおもろい事になってきたな〜」

 

フィンがホッと微笑んだのに続き、面白そうにロキがニヤリと笑った、その時だった。

 

「私もやる!」

 

横で大人しく話を聞いていたアイズが、突然身を乗り出して力強く挙手をした。

 

「えっと……アイズちゃんは、まだ大魔王と戦うのはやめておこうね」

 

「……」

 

私が丁重に断ると、アイズは分かりやすくむっとした表情になる。

普段は感情の起伏が少ない彼女が、年相応の子供のように拗ねる姿を見て、私はたまらず苦笑してしまった。

 

「それじゃ、どうしようかしら。今からやる?」

 

「ありがとう。それじゃあガレス、リヴェリア、準備の方はどうだい?」

 

フィンの問いかけに、部屋に同席していた二人が静かに立ち上がり、力強く頷いた。

 

◇ ◇ ◇

 

場所をファミリアで訓練を行う広場へと移した私たちは、それぞれの立ち位置についた。

フィン、ガレス、リヴェリアの三人は既に武器を構え、臨戦態勢に入っている。

 

「始めてくれていいよ」

 

「わかったわ。じゃあいくわよ」

 

私は小さく深呼吸をしてから、ステイタスに刻まれた長い詠唱を口にした。

 

「紡がれるは過去の残滓、我が魂に刻まれし激闘の記憶。星の導きのもと、次元を超え、時を超え、今此処に強敵(とも)の幻影を現出させん。蘇れ、我が記憶の宿敵よ!」

 

「――【追憶の幻闘場(メモリア・コロシアム)】!!」

 

詠唱を紡ぎ終えた瞬間、私の足元から眩い光が迸った。

光の帯が広場全体を覆い尽くすようにドーム状に広がり、外界から切り離された特殊な結界が構築されていく。

 

そして、光が収束した結界の中央。

そこに、圧倒的な威圧感を纏った、長身で白髪の老人の姿をした大魔王が、静かに現れた。

 

「ここは……」

 

ゆったりとした動作で自身の掌を見つめ、周囲を見渡しながら、大魔王バーンの幻影が静かにそう呟いた。

その姿を見たリヴェリアが、驚いたように目を見開く。

 

「その耳……エルフ、なのか?」

 

確かに、彼の尖った耳はエルフのそれに酷似している。だが、彼から放たれる気配は、オラリオのどのエルフとも異なる異質なものだった。

 

「もしかして意識があるの?」

 

私が思わずそう叫ぶと、バーンはゆっくりと私の方へ視線を向けた。

 

「ふむ……。地上をくまなく探しても見つからなかったが、まさか別の世界にいるとは思ってもみなかったわ」

 

バーンは余裕の笑みを浮かべ、軽く喉を鳴らして笑った。

 

「うそっ……ただの戦うだけの幻影じゃないのね……」

 

あまりにもはっきりとした受け答えに私が息を呑むと、バーンは自身の身体を軽く見下ろした。

 

「案ずるな。この身が魔法によって形作られた仮初の器であることくらい、承知している」

 

幻影であるという事実をあっさりと受け入れた大魔王は、次にフィンたち三人へと鋭い視線を向けた。

 

「それで、今度はそなたではなく、そちらの者達が余と戦うというのか?」

 

「あぁ、その通りだ」

 

バーンの問いに、フィンが一歩前に出て、堂々とした態度で名乗りを上げた。

 

「僕の名前はフィン・ディムナ。二つ名は『勇者(ブレイバー)』だ。彼らはガレスにリヴェリア。僕たちの稽古の相手をしてもらえないだろうか」

 

「別世界の勇者か……。ふふっ、これは面白い」

 

フィンの二つ名を聞いた瞬間、バーンの口角が楽しげに吊り上がった。

 

「いいだろう。そなた達に、魔界の神と言われた余の力を見せてやろう。さぁ、遠慮なくかかってくるがよい」

 

バーンが両手を広げ、底知れない魔力を解放する。

 

「下界のもんが、なんちゅう魔力や……」

 

離れた場所で見学していたロキが、目を見開いて驚愕の声を漏らした。

その圧倒的な重圧を前にしても、オラリオの頂点に立つ三人は決して怯むことなく、己の武器を強く握り直した。

 

「よし! ガレス、リヴェリア、いくぞ!」

 

フィンの力強い号令と共に、前代未聞の戦いが幕を開けた。

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