ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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番外編 - 第一話:遊び人、帰還する?

「ついに、元の世界に戻るための魔法陣が完成したわ! みんな、本当にありがとう!」

 

ロキ・ファミリアのホーム、その談話室にて。

私はファミリアの主要メンバーたちを前に、満面の笑みで別れを告げていた。

オラリオでは色々な事があったけれど、どうにかこうにか、ようやく私の帰るべき場所へ帰還できる目処が立ったのだ。

 

「それでロキ、私はファミリアから抜ける事になるから、私の背中にあるファルナも……お願いしてもいいかな?」

 

私が寂しさを隠すように、なるべく笑顔を作って背中を向けようとすると、ロキは笑いながら大きく手を振った。

 

「ええってええって。そんなん気にせんでもええわ。バニー、アンタには色々と助けられたしな。住む世界は変わる事になるけども、ウチらは同じファミリアの家族や!」

 

「ロキ……」

 

その言葉に、私は思わず胸が熱くなり、ちょっとだけ泣きそうになるくらい嬉しかった。

 

「ホンマに短い間やったけど、お前さんはうちのファミリアにええ刺激をくれたわ。達者でな、バニー」

 

「あぁ。僕達も君の事は忘れないよ。そして君の世界の平和を願っている」

 

フィンが優しく微笑みかけてくれ、ガレスも豪快に笑って頷いた。

リヴェリアたちも、それぞれ笑顔で私を送り出してくれた。

 

そして、作動した魔法陣の光が私の足元から全身を包み込み始めた、その時だった。

 

「バニー! 元気でねー!」

 

アイズが弾かれたように一歩前に出て、ぶんぶんと大きく手を振って叫んだ。

 

「うん、アイズちゃんも! みんな、元気でね!」

 

私は笑顔で片手を高く上げて応えた。

異世界での出会いに胸を温かくしながら、私は再び魔法陣の眩い光に完全に包まれ、自分自身の世界へと帰還したのだった。

 

◇ ◇ ◇

 

――そして。

無事に懐かしきアリアハンの地へと降り立った私は、真っ先に自分の実家へと向かっていた。

 

「ただいまー! ……って、あれ?」

 

こっそりと実家の窓から中を覗き込むと、そこには信じられない光景が広がっていた。

部屋の中で、真面目な顔つきで僧侶としての経典を読んでいる少女――どこからどう見ても、昔の「私」がいたのである。

 

「えっ? なんで私が家にいるの……?」

 

自身の目を疑い、もう一度こっそりと窓の中を覗き込むが、やはりそこにいるのは紛れもなく私自身だ。

 

「ええっと……つまりどういう事? 私が勇者と一緒に冒険の旅に出たのは十六歳の時だから、何故かもう一人いる若い頃の私がまだ実家にいるって事は、あの私は十六歳以下って事よね……?」

 

混乱した私が慌てて街の人に声をかけ、最近の噂話や今の年号を聞いて回ると、とんでもない事実が判明した。

 

「勇者様が冒険の旅に出るまで、あと一年……? って事は、さっき家にいた私は十五歳ってこと!?」

 

私は現在二十五歳。

十六歳で勇者一行として冒険の旅に出たので、計算すると私が戻ってきたのは、元の世界は元の世界でも「10年前の過去の世界」だったのだ!

 

(嘘でしょ……。魔法陣の調整、結構頑張ったのに……やっぱり完全に同じ時代にピンポイントで戻るのは難しかったのかなぁ……)

 

私は頭を抱えた。

しかし、過去とはいえ、自分が生きていた時代である事には違いない。それに強くなった今の私なら、実家に戻らず一人で生きていくのも難しくないだろう。

 

(まあ、いっか! 同じ私の世界には違いないしね!)

 

ただ、このままアリアハンにいたら、過去の自分と鉢合わせになってしまうかもしれない。若くてあんなに真面目だった頃の自分に、今のこの遊び人な姿を見られるのは流石に気まずい。

ということで、私はアリアハンを出て、お隣の国であるロマリアで暮らすことにしたのだった。

 

◇ ◇ ◇

 

「ぷはぁーっ! やっぱり元の世界の酒は最高ね!」

 

ロマリアの酒場にて。

私は由緒正しい遊び人の正装であるバニースーツに身を包み、盛大にジョッキを空けていた。

 

毎日酒場でどんちゃん騒ぎをするためのお金は、ロマリア付近のモンスターを適当に蹴散らしたり、たまに酒場で依頼を受けたりして稼いでいる。

 

(それにしても、私……ちょっと強くなりすぎちゃったかもしれないわね)

 

オラリオで『レベル2』になった恩恵(ファルナ)は凄まじかった。

レベルアップ前でも、呪文を駆使する事でオラリオの上位冒険者とも渡りあえていたのだ。レベル1とレベル2の差が凄まじいとはよく言ったもので、私はかつて元の世界で遊び人になって飲み歩いていた頃よりも、格段に強くなったのである。

 

今の私は、スキル【賢者の回帰(ルビス・メモリア)】を使うと、かつて大魔王ゾーマを打ち倒した頃の「賢者」の姿になれるのだが、ベースとなる私自身のレベルが上がった事で、なんと当時の賢者の頃よりも遥かに強くなってしまっているのだ。

 

ぶっちゃけ、今の私なら一人でバラモスくらいならボコボコにできるかもしれない。

そんな規格外の力を持ちながら、私は今日も今日とて、闘技場でモンスターの賭け試合に熱狂し、酒場の美味しいエールを呷るという、最高に堕落した遊び人ライフを満喫していた。

 

◇ ◇ ◇

 

その頃。

ロマリア城の謁見の間では、王様と大臣が何やら言葉を交わしていた。

 

「王よ、少しお耳に入れたい事があります」

 

最近耳にした噂話の一つとして報告する大臣に、ロマリア王が玉座の上で退屈そうに頬杖をついた。

 

「なんじゃ大臣よ。何か面白い事でもあったのか?」

 

「実は最近、妙な人物が我が国に滞在し始めたようです」

 

「妙な人物?」

 

王様が少し怪訝な表情を浮かべる。

 

「はい。歳の頃は二十代半ば、見た目はよくある遊び人の格好をしている女性でして……」

 

「おぉ〜! つまり、バニーガールじゃな? して、その者がどうしたのだ?」

 

王様が頬杖をつくのをやめ、急に身を乗り出して興味津々な様子を見せた。

 

「はっ。見た目は完全に遊び人で、常日頃より闘技場で賭け事に邁進していたり、酒場で飲み歩いたりしている、パッと見た感じではダメそうな女性なのですが……」

 

「ふむ……」

 

「不思議な事に、そのバニーガール風の者……恐ろしく強いらしいのです」

 

「ほぅ?」

 

王様が顎髭を撫でながら、面白そうに考える風な仕草を見せる。

 

「通常、遊び人は戦闘はからっきしなのが普通ですが、その者は近接戦もこなす事はさることながら、その戦う様を見ていた衛兵がいうには、なんと魔法も使うとの事なのです……」

 

「なんと!? ……という事は、その者は元々魔法使いであったという事か?」

 

この世界の常識では、最高位の職業である『賢者』が、わざわざ『遊び人』に転職するなどという発想自体があり得ない。そのため、王様は「魔法使いがドロップアウトして遊び人になった」というパターンだと推測したのだ。

 

「おそらく……」

 

「面白いのう……。一度その者と会うてみたいわ。大臣よ、直近で陳情の上がっている案件を調べて、試しにその者にやらせても問題のなさそうな仕事を任せてみたい。折を見てその者に使いを出すのじゃ」

 

王様の思いつきの命令に、大臣は深々と頭を下げた。

 

「はは〜っ」

 

かくして、王様の気まぐれな好奇心により、最強の力を持った遊び人の元へ、お城からの使いが向かう事になるのだった。

 

◇ ◇ ◇

 

【バニーのステイタス】

 

Lv.2

 

力:E420

耐久:E480

器用:D550

敏捷:D510

魔力:C670

 

発展アビリティ:

【幸運】I

 

スキル:

【賢者の回帰(ルビス・メモリア)】

勇者一行と共に、大魔王ゾーマを打ち倒した頃の「賢者」の姿になる。

 

【魔力覚醒】

攻撃呪文の威力が大きく上がる。重ねがけで効果が重複し、効果時間も延びる。

 

魔法:

【追憶の幻闘場(メモリア・コロシアム)】

周囲を特殊な結界(闘技場)で覆い、術者(バニー)が過去に戦ったことのある魔物の幻影を召喚する。幻影の強さはオリジナルのまま。結界内ではどれだけダメージを受けても、結界を解除すれば(あるいは幻影を倒せば)戦闘で負ったダメージや周囲への影響は元に戻る。

 

詠唱:

「紡がれるは過去の残滓、我が魂に刻まれし激闘の記憶。星の導きのもと、次元を超え、時を超え、今此処に強敵(とも)の幻影を現出させん。蘇れ、我が記憶の宿敵よ!」




お昼仕事しながら、こういう展開も面白いな~と妄想してました。

ステイタスの数値に関しては、全く伸びていないというのも不自然なので、そんなに真剣に考えた数値とかではありませんが、ちょっと変えておいた感じです(;´∀`)

更新出来てよかったー
それでは、夜勤(ラーメン屋さん)行ってきます!
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