ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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第三十三話:大魔王ゾーマvs神の眷属達

戦闘開始直後、アリーゼは後方に控えるリューに向かって声を張り上げた。

 

「リュー、最初から全力で詠唱して!」

 

「アリーゼ…でも、また反射されたら……」

 

先ほどのバーン戦での苦い記憶から躊躇するリューに、アリーゼは力強く言い放つ。

 

「さっきのバーンが使えたからって、ゾーマも使えるとは限らないでしょ?それに、これは模擬戦みたいなもんなんだから挑戦あるのみよ!」

 

その言葉に背中を押され、リューは決意を込めて頷いた。

 

「わかりました…やってみます!【今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々……】」

 

リューが長文詠唱を始めると同時に、アリーゼも炎のエンチャントを使用して剣に灼熱の炎を纏わせる。「【花開け!(アルガ)】アガリス・アルヴェシンス!」

 

そのやり取りを聞いていたフィンも、即座に指示を飛ばした。

 

「リヴェリア!僕達も!」

 

「あぁっ!オラリオの魔導師の力を見せてやろう!【終末の前触れよ、白き雪よ……】」

 

フィンの声に応え、リヴェリアも即座に詠唱を開始する。

 

そして、フィンの号令を皮切りに、先陣を切ったのは都市最速の異名を持つアレンだった。

 

「くたばりやがれっ!」

 

残像を引き連れ、必殺の槍がゾーマの胸ぐらを正確に突いた。

しかし――。

 

衝撃を殺された、表現のしようのない手応えと共に、アレンの槍はゾーマの身体の表面を覆う『何か』に完全に阻まれた。

大魔王ゾーマの体を包み込む闇のオーラ。それは物理的な攻撃はおろか、魔法の攻撃すらも防いでしまう防壁『闇の衣』だった。

 

「なんだこの黒い靄は……! 全く手応えがねぇぞ!」

 

舌打ちをして後退するアレンの隙を埋めるように、今度はオッタルが大剣を振り下ろす。

大地を割るほどの一撃がゾーマの頭上に直撃するが、それすらもゾーマが纏っている闇を僅かに揺らしただけで、体勢を崩すことすら叶わない。

 

(あ~闇の衣かぁ。私達も最初は苦労したんだよね~)

 

呑気に観戦している私の目の前で、ゾーマは静かに腕を掲げた。全くダメージを受けていないその姿に、前衛組の顔に焦りが浮かぶ。

 

「無駄なことだ。なにゆえ、もがき生きるのか?」

 

「来るぞ、防御を固めろ!」

 

フィンの鋭い声が響いた直後、大魔王の腕から極寒の魔力が放たれた。

 

「マヒャド」

 

無慈悲な言葉と共に、空間そのものを凍りつかせる最高位の氷の呪文が炸裂する。

猛烈な冷気が、前衛にいたアレンやオッタル、フィンとガレスを飲み込んだ。

 

「ぐぅっ……!?」

 

結界内の気温が急激に低下し、強烈な吹雪の猛威が彼らの身体を容赦なく痛めつける。

だが、ゾーマの攻撃はそれでは終わらない。

『完全2回行動』――第一撃の直後、間髪入れずにゾーマは次なる絶望を紡いだ。

 

「サイコストーム」

 

荒れ狂う無属性魔力弾の嵐に、凍えきっていた前衛陣は為す術もなく吹き飛ばされた。結界の外から見ている私でさえ、その攻撃に冷や汗をかいた。

 

(…あんな攻撃、ゾーマ使ってたっけ?)

 

「まだまだぁっ!」

 

吹き飛ばされた土煙の中から、屈強なドワーフであるガレスが強引に体勢を立て直し、愛用の大斧を振りかざしてゾーマへと肉薄する。

 

「ウォォォォッ!」

 

渾身の力を込めた重い一撃。しかし、その必殺の刃もまた『闇の衣』に完全に無効化されてしまう。

 

「ぬうっ!?」

 

驚愕に動きを止めたガレスに対し、ゾーマは静かに腕を引き絞り、その巨躯から恐ろしい程の膂力で、ガレスの巨体を真正面から殴り飛ばした。

 

「ごふぅっ!?」

 

「っ!このぉっ!」

 

吹き飛ぶガレスと入れ替わるように、極東の出身である輝夜が鋭い踏み込みで死角から斬りかかる。流麗かつ致命的な一太刀。

だが、ゾーマは迫り来るその白刃を、なんと素手で無造作に掴み止めてしまった。

 

「嘘っ!?」

 

目を見開く輝夜。その隙を見逃すはずもなく、ゾーマの反対の手が輝夜の腹部に重く冷たい一撃を叩き込む。

 

「がはっ……」

 

悶絶する輝夜を、ゾーマは彼女の剣を握ったまま、まるで小石でも捨てるかのように剣ごと後方へと投げ飛ばした。

 

「きゃああっ!?」

 

追撃に対抗すべく、フィンも、己の全能力を引き上げる魔法『ヘル・フィネガス』を発動しようと瞳を赤く染め上げる。後方ではリヴェリアが吹雪の広範囲魔法『ウィン・フィンブルヴェトル』の詠唱を完了させようとしていた。

 

冒険者たちがゾーマの規格外の力に対抗すべく、それぞれの切り札を一斉に切ろうとしたその時だった。

 

ゾーマが、冷たい視線を冒険者たちへ向けた。

そして、その長い指先を静かに振るう。

 

瞬間、ゾーマの指先から青白い光の波動が放たれた。

 

『いてつくはどう』

 

波紋のように広がったその冷たい光が冒険者たちを通り抜けた瞬間、アリーゼの剣に纏われていた炎が何故か自然と消滅した。

 

「えっ……? 嘘、エンチャントが……!」

 

驚愕に目を見開くアリーゼ。

 

「ばかな…魔法が…」

 

『ヘル・フィネガス』の力を完全に無効化され、フィンが愕然と呟く。詠唱を完了させかけていたリヴェリアの魔力も、集束していた力が霧散するように掻き消されてしまった。

冒険者達の魔法が無効化される。

 

だが、最後方に陣取っていたリューだけは、その波動の範囲から間一髪で逃れていた。

 

「……何物よりも疾(と)く走れ——星屑の光を宿し敵を討て!】ルミノス・ウィンド!」

 

詠唱を終えたリューから、無数の緑光の星くずがゾーマへと向かって撃ち出される。

しかし、直撃の寸前、大魔王の前に見えない光の壁が現れた。大魔王バーンも使っていた、あらゆる呪文を跳ね返す魔法『マホカンタ』だ。

 

バキンッ!

 

放たれたルミノス・ウィンドは光の壁に直撃し、そのままの威力でリューへと反射される。

 

「くっ……!」

 

バーン戦での苦い経験が活きたのか、リューは間一髪で跳ね返ってきた自身の魔法をかわすことに成功する。

 

支援魔法を剥がされ、詠唱も中断され、凍える寒さの中で棒立ちとなってしまった彼らを見下ろし、ゾーマは静かに、そして威厳に満ちた声で言葉を紡ぐ。

 

「滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい…」

 

その手に、先程の魔法とは比べ物にならない、底知れない冷気の魔力が集束していく。

 

「さぁ!我が腕の中で生き絶えるがよい!」

 

「マヒャデドス!!」

 

大魔王の放った究極の氷結魔法が結界内を白く染め上げた。

回避することも防御することも許されない絶対零度の暴風が吹き荒れた後――そこには、オラリオの精鋭たちが、苦悶の表情を浮かべたまま誰一人動くことなく、美しくも無惨な氷の彫像と化した姿だけが残されていた。

 

「……こらぁアカンわ」

 

その圧倒的すぎる光景を前に、ロキの乾いた呟きだけが虚しく響き渡った。




サイコストームは、DQSLやってた時に僕もゾーマで使っていたので(;´∀`)

夜勤(ラーメン屋さん)行ってきます!
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