ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ 作:ポップ
前回、バニーの言葉に驚いていたこの世界のロキ・ファミリア一同。
そしてそんな中、アマゾネスの少女ティオナが、とても興味深そうに聞いてきた。
「はいは~いっ! えっと、バニーさん……だよね? バニーさんの職業は何なの? さっきベートを眠らせてた魔法を使ってたから、やっぱり魔導師さん?」
明るく聞いてくるティオナに、バニーも一旦お酒を休憩しながら答えてくれる。
「私ぃ? 私は遊び人だよ~」
「あっ、遊び人!? ……えっと、それって職業なの?」
あまりにも予想外の答えに、困惑しているティオナ。
勿論、それを聞いていた他の面々も訳が分からない。
確かに見た目は、怪しいカジノとかで飲み物でも配っていそうなバニーガールだが、ロキ・ファミリアに所属していてそういう働き方をするのも、まぁ、無しではないのかな……と思い始めるティオナ。
そんなバニーの事を、この世界のアイズも気になっていたので、事情を知っていそうな幼女アイズに聞いてみる。
「バニーさんは、どんな人なの?」
大きくなった自分からの質問に、幼女アイズは素直に答える。
「バニーは昔、凄い賢者だったみたいだよ」
その答えに、皆は驚く。
「賢者?」
賢者といえば、普通は頭のいい学者や研究職の人を指す言葉である。
そんな凄そうな人と、目の前の酔っ払ったバニーガールが全く結びつかず、皆の頭上には「???」が浮かんでいる。
「バニーがいたところじゃ、凄い魔法使いの人を賢者って呼んでたみたい。今はそれをやめて、遊び人になったんだって」
皆は、それなら分かるかもしれないと思った。
確かに優れた魔導士は、得てして賢者と呼ばれる傾向にある。しかし、ベートをあしらったのは見事だったが、この若そうなヒューマンの女性が『賢者』と呼ばれていたという事には、やはり些か疑問に感じてしまう。
「あっ! じゃあさ、じゃあさ。やっぱり凄い魔法とか使えるの?」
ティオナが目を輝かせて尋ねる。
「凄い魔法ぅ?」
頭の回っていないバニーが答えるが、いまいちぱっと思い付かない。
すると、幼女アイズが口を開いた。
「バニー。私、あの鳥さんの魔法が見たい。ゴォ〜ってやつ」
幼女が両手を上げて、身振り手振りで一生懸命伝えようとしている姿は、とても尊いものがある。
ロキやリヴェリアも懐かしいものを見られてほっこりする気持ちになり、レフィーヤはレフィーヤでその可愛らしさにあわあわしている。
「鳥さんの魔法? ……あぁっ! あれかぁ、確かにあの魔法はインパクトあるかもね〜」
幼女アイズの提案に、確かにそれはインパクトがあるかもしれないと思うバニー。
だが。
「でもな〜」
酔ってはいても、流石にアレは、酒場の外で放つにしてもマズい気がする。
そこへリヴェリアが尋ねた。
「どうしたのだ? もしや長文詠唱を必要とする魔法なのか?」
確かにレベル2とはいえ長文詠唱を必要とする魔法であれば、リヴェリアとて警戒が必要かもしれない。だが……。
「いや〜詠唱とかはいらなくて……どっちかというと速攻魔法になるんだけど……」
その言葉に、リヴェリアは自信ありげに頷く。
「ならば問題あるまい。私が障壁を張るから、こちらに向けて撃ってみてくれ」
「う〜ん、でもな〜」
そんな煮え切らないバニーに、ベートを一蹴して内心ちょっとビビっていたレフィーヤも声を上げる。
「バニーさん! 大丈夫です! リヴェリア様は、オラリオが誇るレベル6で最高の魔導士ですから!」
ぶっちゃけレフィーヤとしては、レベル2の速攻魔法なんか、リヴェリアに掛かれば全く問題ないと思っているし、リヴェリアも似たような感じで、自分ならば特に問題はないだろうと思っている。
ちなみに、残りの面々の半分くらいは、さっき幼女アイズが可愛いジェスチャーで伝えてくれていた事から、きっと可愛い系の魔法なのだろうな〜と思っている。
そしてバニーだが、こちらもこちらで少し考えを改め始めていた。確かに自分が知っているリヴェリアはレベル5で、目の前にいるリヴェリアはレベル6だ。
この世界でレベルが1つ違う差は、それこそかなりのものがある。なので2人がそう言う様に、自分が心配し過ぎているだけで、実際本当に問題ないのかもしれないと思い始めていた。
「え〜?じゃあ、本気でやってもいいの?」
バニーの言葉に、リヴェリアも頷いて答える。
「あぁ、勿論だ。私もさっきベートを軽くあしらったお前の力が気になるからな。遠慮なくやってみてくれ」
◇ ◇ ◇
話を聞いていたロキ・ファミリアの面々と、近くの席で話を聞いていた他のファミリアの冒険者達が、酒場の外に出ていく。
「ロキっ! あんたら、今度は表で騒ぎを起こすつもりかい!」
豊穣の女主人の店主であるミアが声を張り上げるが、それを言われたロキは軽く手を振った。
「だ~いじょうぶやって! 安心して~な、ミア母ちゃん。ちょっと外で、この姉ちゃんの魔法を見させてもらうだけやから」
そういって、ロキやバニー、アイズ、幼女アイズも皆外にいく。
皆が出て、広場の中心から片方にはバニーが、反対側にはリヴェリアが立っている。
「おぉ~♪ おもろうなってきたな~!」
楽しそうなロキとは対照的に、フィンは真剣な表情を浮かべていた。
「どうしたんじゃ、フィンよ」
「あぁ……さっきのベートの件もそうなんだけどもね、それとは別に気になる事があるんだ……」
ガレスが尋ねると、フィンはこくりと頷いた。
「気になる事?」
「さっき幼いアイズが言ってたのを覚えているかい? ファミリアのホームで『大魔王に一発ぶちかましてくるわ!』と言っていたのを……」
その言葉に、ガレスは訝しげに髭を撫でる。
「あぁ……確かに言っておったが、しかしあれはものの例えかなんかじゃろ? 儂らは勿論、神であるロキですら聞いた事がないと言うておったのじゃから、大方幼いアイズを驚かせてやろうとか、そういう流れから出てきた言葉なのではないのか?」
だが、フィンは真剣な表情を崩さず、ピクピクと震える親指を抑えていた。
「そうだといいんだけどもね……」
一方、広場の中央で対峙するバニーとリヴェリア。
「リヴェリア~やってもいい?」
オラリオ最高峰とも言われているレベル6の魔導師で、エルフの王族でもある自分に対し、一貫してこのような接し方を続けているバニー。
リヴェリアは苦笑しながら、(過去の平行世界とはいえ、本当に私ともこんな風に話しているのだろうな)と思い、バニーに答えた。
「あぁ。いつでも大丈夫だ」
「よ~し! それじゃあ、未来で強くなったリヴェリアに、私の力を見せてあげるわ!」
そういってバニーは目を閉じて軽く集中する。
心の中で『魔力覚醒』を意識した後、バニーの魔力が高まってきた。
「むっ!?」
リヴェリアが驚くが、まだまだこれからだ。
バニーが片手を上に掲げると、声高らかにその名を口にする。
「カイザーフェニックスっ!!!」
瞬間、ゴゥッ!!! という轟音と共に、バニーの手から信じられない熱量を持った、まるで本当に生きているかのような神々しい火の鳥が現れた。
「……」
当然、ロキも、フィンも、ガレスも、レフィーヤも、アイズも、そして今この光景を目にしている全ての者が驚き、恐れ、少なくない者が逃げ出したくなっていた。
当然だ。目の前のふざけた格好をしている酔っ払いが出した炎は、確実に、この場にいるほぼ全ての者を、一瞬で塵と化す事が出来るのは間違いないのだから……。
その身に受けていなくても、本能で分かるのだ。『これはヤバい……』と。
そして、勿論リヴェリアも驚愕している。なにせ目の前で出されたのだから当然である。
「リヴェリア~! 行くよ~!」
そんな軽い言い方で、今まさに己を燃やし尽くさんとしている火の鳥を放とうとしているバニーに対して、リヴェリアは血相を変えた。
「まっ、ちょっ! 待っっっ」
しかし、リヴェリアが言い切る前に、バニーは魔法を放とうとしている。
だってバニーは酔っているのだ。それもかなり。
だから、離れた所からそんなに大きくない声で叫ばれても、バニーにはよく聞こえないのである。
そして、幼いアイズだけは「鳥さん、ゴォ〜ってなってて格好いい」と、一人喜んでいた。
う~む…最後の締め方で延々悩んでました…
あと、感想で過去の話との矛盾やらでのご指摘、有難う御座います。いつの間にか、文字数も10万文字を越えていて、当初の予定よりもずっと長く、そして多くの方に見て頂けていて嬉しく思っています。
自分も、ちょくちょく過去話を見返していれば違ったのかもしれませんが、自分は自分で他のハーメルンの作品を読ませて頂いてたり、他の事をしたりしてしまってて、ちょくちょく記憶から抜けている部分も出てきているのも事実でして…
なので、このままもっと長編にしていこうか、キリのいいところで一旦区切ってしまうかで、ちょっと悩み中です(;´∀`)
とりあえず夜勤の仕事いってきます!でわ!