ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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第四十二話:一件落着…と思ったのも束の間!?

前回、バニーの手からカイザーフェニックスが放たれようとしていた直前。

 

流石にリヴェリアでも、あの炎の直撃を受けてしまっては本当に死んでしまうかもしれないと焦ったフィンは、ガレスに向けて叫んだ。

 

「ガレス! 万一の場合アレがリヴェリアに直撃してしまったら大変な事になる! 済まないけど、今すぐリヴェリアを守りに行ってくれ!」

 

「しゃ〜ないのう! ワシも、まさかこんな事になるとは思っておらなんだわ!」

 

地を蹴るフィンとガレスが高速で移動する。そしてフィンは、必死の声をあげてバニーに呼びかけた。

 

「バニー!!!」

 

そして、突然フィンとガレスが前に飛び出してきたので、バニーも思わず立ち止まる。

 

さっきリヴェリア本人が『気にせず撃ってもいいよ』と言い、エルフの女の子(レフィーヤの事)も『リヴェリア様はオラリオ最高の魔導士だから大丈夫です!』と言っていたのだ。

だからこそ、今から遠慮なく最近覚えた技を使ってみる事が出来ると思って、今にも撃つ気満々だったバニー。

それだけに、水を差されたバニーはそんなフィン達に少し怒るような感じで言う。

 

「ちょ、ちょっとフィン〜! いきなり前に出てきたら危ないって! どうしたのよ、急に!」

 

「危ないじゃないか、この野郎!」な感じで抗議の声を上げてくるバニーに、フィンは大きく息を吐き出した。

 

「ふぅ……撃つ直前に立ち止まってくれて本当に助かったよ」

 

そんな抗議の声を浴びつつ、冷や汗を掻きながら、フィンは力なく苦笑するのだった。

 

 

「バニー。せっかく出してもらって悪いんだけども、その炎を消してはもらえないかな」

 

そう言うフィンに、バニーは答える。

 

「えっ? でも、リヴェリアが……」

 

そういってリヴェリアの方を向いたバニー。意図を理解したリヴェリアが言葉を紡ぐ。

 

「あ、あぁ……バニー、その、済まない……。まさか、これ程の魔法だとは思わなかったのでな」

 

と答えるリヴェリア。

 

「う〜ん、ならいいんだけど。でもさぁ、これもう発動しちゃってるから消せないよ?」

 

バニーの声に困り果てるフィン達。

 

「……どうにもならないのかい?」

 

「…ならないかも。これをどこかに向けて撃ったら絶対被害が出るかもだから、後は空に向かって撃つぐらいかなぁ」

 

バニーの言葉を聞いて、フィンは「空に向かって撃つ……か」と顎に手を当てて考える。

状況からして、確かにそれしか方法はないだろう。幸いにもここらには、それほど高い建物はない。しかし……。

 

「ガネーシャ・ファミリアや、他のファミリアにも気付かれそうだね……」

 

それを聞いたリヴェリアは、苦渋の表情を浮かべて俯いた。

 

「フィン……すまん、軽率だった……。今回の件に関しては、レベル2の冒険者の魔法だからと侮ってしまった私に、完全に責任がある」

 

そして、それを聞いたフィンは苦笑して答える。

 

「いや、これに関しては仕方ないさ。勿論、リヴェリアに全く落ち度が無かった訳じゃないと思うけど、レベル2の速攻魔法で第一級冒険者が死ぬかもしれないなんて、まずありえない事だからね」

 

そして、今もなおバニーの手の上に顕現している炎の鳥を見て、フィンはそう呟いた。

それだけ逸脱した魔法なのだ、あのカイザーフェニックスという炎は。

 

そしてバニーが口を開く。

 

「ねぇ、もうこれは空に撃ってもいいのー?」

 

「あぁ、せっかく出してもらったのに悪いね」

 

フィンのその言葉にバニーも「いいよ〜」と答える。

魔法自体は恐ろしいが、とにかく今は、目の前の女性の性格が善性であって本当に良かったと心底思うフィンであった。

 

そうして、バニーは空に向けて、カイザーフェニックスと呼ばれる炎の鳥を撃ち放った。

途端に炎の鳥は空に舞い上がり、それは本物の生物であるかのように、周辺一帯にその鳴き声を響かせる。

そしてオラリオの上空に達したと思われた瞬間(その時、この場にいる全員が空を見上げていた)

 

「ゴゥッ!!!」

 

という耳を劈くような大爆音と共に、圧倒的な閃光と熱波。天を焦がすほどの凄まじい爆発は、巨大な火の粉のシャワーとなって夜空を覆い尽くしていく。

その光景に、空を見上げていた皆は誰一人として言葉を発する事が出来ず、ただただ開いた口が塞がらないまま、呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

「あぁ……確かに『鳥さんが、ゴォ〜』ってなってたわなぁ……そんな可愛いもんと違うけど」

 

ロキのそんな呟きが、オラリオの広場に響いた。

確かに、幼いアイズは嘘をついていなかった。ただ、さっき身振り手振りで教えてくれたアイズの表現が可愛過ぎて、自分達が勝手に勘違いしてしまっただけなのだから……。

そうして店に戻り、バニーもそろそろ帰り支度に入るかと思っていたその時。

 

「そういやぁバニー。あんさん、今日はどこに泊まるんや?」

 

そのロキの声にはっとなるバニー。

そうだ、今は自分達がいたオラリオから7年後で、しかもこの世界には自分が来ていなかったのである。だから、同じファミリアとはいえ、いきなりホームで泊まらせてもらおうというのは、もしかするとちょっと図々しく思われるかも……。

 

「…あのさ、小さいアイズちゃんだけ、そっちのホームに泊まらせてもらえないかな…?」

 

「うん? そりゃ~勿論そうさせてもらうけども、アンタはどないするんや?」

 

ロキは不思議そうな顔をし、バニーは『あはは……』と笑いながら答える。

 

「いや~流石に私がいくのは、ちょっとマズイと思うからね。どこか宿でも探してからそこに泊まるとするわ。今日の夜はご馳走してもらえたんだし、それぐらいの蓄えもあるしね」

 

その言葉に、ロキは驚いたように声を上げた。

 

「えっ? いや、アンタも一緒にホームに来たらええやん。同じファミリアやねんから」

 

そう言われたバニーはちょっと驚く。

 

「いいの? アイズちゃんは昔の姿もロキ達なら知ってるし、それにまだ小さいから何とか任せたいなとは思ってたんだけど…今日の今日で私がいきなり行かせてもらうのは、ちょっと難しいんじゃないのかなぁ……って思ってて」

 

そう答えるバニーに、ロキはニヤリと笑ってから口を開いた。

 

「なんや、同じファミリアやのにえらい他人行儀やないか。さっきうちが泊まるとこ聞いたんは、宿をもう決めたんかおもただけやで。フィン、かめへんよなぁ?」

 

話をふられたフィンも、優しく微笑んで頷いた。

 

「あぁ、それは勿論だよ。僕としても、さっきから見させてもらってる君の人となりや、幼いアイズがこんなに懐いている事からも、君が悪い人物でない事は分かったつもりだからね。それに、世界は違うとはいえ、同じファミリアなんだから遠慮なく来てもらえたらと思うよ」

 

「ロキ……フィン……」

 

と、ちょっぴり感動した感じになっているバニーガールのお姉さんであった。

 

 

翌日。

ロキ・ファミリアの団長室に、ロキ、フィン、リヴェリア、ガレスが集まっていた。

 

「皆おはよう。ダンジョンから帰還した翌日なのに悪いね」

「大丈夫だ、フィン。今回私達を呼んだ理由なら、皆分かっている」

 

フィンが切り出すとリヴェリアが頷き、ガレスも「まぁの……」と同意する。

そして、ロキが鋭い目でフィンを見返した。

 

「バニーの事やな?」

 

「あぁ。平行世界から訪れたとはいえ、アイズに関しては問題ないと思う。昨日の様子を見ていても、7年前のアイズと同じだからね。だから皆も、出来る限りアイズにかまってあげてもらえたらと思うよ」

 

フィンのその言葉を聞いて、ロキは我が意を得たりとばかりに目を輝かせた。

 

「小さい頃のアイズたん……今のアイズたんも勿論ウチは好きやねんで? でもな、昨日も思うてんけども、幼女の頃のアイズたんは、また違った尊さがある!フィンに言われんでも、今日はめいっぱい構ったるでー!」

 

呆れる顔のリヴェリアが「ロキ……」と溜息をつく。しかし、今日は珍しくもロキと同意見のようであった。

 

「とはいえ、ロキの言う事は私も分からなくはない。当時の私は、その大切さをあまり理解出来ていなかったが、今になってまたあの頃のアイズと会えるとはな……人生とは、本当に何があるのか分からないものだ」

 

それにはガレスも同意らしく、深く頷きながら口を開いた。

 

「まったくじゃ……だがフィンよ、アイズの件は問題無いとして、本題のバニーの事じゃが」

 

ガレスの言葉にうなずくフィン。

 

「あぁ。バニーについては、昨夜酒場で語らせてもらった僕の言葉に嘘はないよ。人としての在り方も好人物のようだし、それらについては全く問題にしていない。だが、僕達は彼女について、何も分からないでいる」

 

その言葉に、リヴェリアは頷く。

 

「あぁ……まさか、レベル2の段階であれほどの速攻魔法を見せられるとは、思ってもみなかったよ。確かに私達は、奴の素性を何も知らない」

 

リヴェリアの言葉に、腕を組んでいたロキも真剣な表情で頷き、会話を続ける。

 

「まぁな~、でもそこんとこは大丈夫なん違うか?昨日の感じやったら、普通に聞いたら答えてくれそうなもんやけども」

 

「あぁ、それは僕も同意するよ。だから僕達は、一度彼女から話を聞いてみるべきだと思う。元の世界への帰還を応援するにしても、協力するにしても、まずはそこからだからね」

 

「元の世界への帰還……か。確か、昨日幼いアイズが『自分で魔法陣を作った』と言っていたな。転移……しかも、別世界への転移が行える魔法陣を自分で作ったというだけでも尊敬に値する。アイズが言っていた『元賢者』というのも頷けるというものだ。私個人としても、彼女とは一度魔法について議論してみたいものだ」

 

「ママは昨日の事があるもんなぁ。興味が湧いてくるのも当然やろ」

 

「ママと呼ぶな!」

 

ガレスも頷きながら尋ねた。

 

「……して、どうするんじゃ? 今から誰かに呼びに行かせるのか?」

 

「あぁ。実は、ついさっき小さいアイズに呼びにいってもらったんだ。だからもうそろそろ来ると思うよ」

 

といって少し待っていたその時――。

 

「たっ、大変っす!!!」

 

ロキ・ファミリアのLv4、超凡夫ことラウルがダッシュでやってきた。

 

「どうしたんだい? ラウル」

 

「ばっ、バニーさんと、ベートさんが、中庭で一触即発の空気に!!!」

 

息を荒らしたラウルの報告に、ロキ達が目を剥く。

 

「なんやてぇ!?」

 

「あのバカ者め……すぐに向かう!」

 

ラウルの叫びを聞き、皆は急いで中庭へと向かったのであった。

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