ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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第四十四話:狂狼vs女遊び人 結着!?

前回、頬をピクピクとさせていたベートに訓練場に連れていかれたバニー。そして、今それを追う形で訓練場に向かっているフィン達。

 

移動する道中、フィンはまず気になっていた事を幼いアイズに聞いてみた。

 

「アイズ。僕達は、昨日の酒場での一件を見て、バニーが只者じゃないという事は分かっているつもりだよ。でも、それでもベートは、うちのファミリアの中でも上位に入る実力者なんだ。勿論オラリオでも有数のね。だから、レベル5のベートとレベル2のバニーとじゃ、こと戦闘に限って考えれば、バニーはかなり不利だと思うんだけど……でも、君はそうは思ってないみたいだね」

 

軽く走りながら幼いアイズの方を見て、フィンは苦笑する。

そんなフィンを見て、ティオナが驚きの声を上げた。

 

「えっ!? アイズ(幼)そうなの?」

 

この世界のアイズも、ビックリして目を丸くしている。

 

「……そうなの?」

 

だってそれは仕方がない。例えバニーが只者ではないとして、仮にレベル3並の実力を持っていたとしても、ベートとのレベル差は2つもあるのだ。オラリオでは、レベルが一つ違えばまず勝てないと言われている。例外もあるにはあるが、基本的にはそれがこの世界での常識だ。

だからこそ、そんな絶望的な状況下で、自分が懐いている相手が今まさに大変な状況にあるというのに、全く心配していない幼いアイズの態度に、フィンはとても興味を抱いたのだった。

 

「大丈夫だよ。バニーが本気を出したら、あんな不良の人なんかに負けないんだから」

 

昨日の一件からベートの印象が最悪になっている幼いアイズからすれば、強くて優しいバニーが、あんな悪い人には負ける筈がないのだと、勝利を微塵も疑っていないようだった。

 

勿論、相手はまだ幼女なので根拠も何も語ってはくれない。そのためフィン達からすれば、それが何か確信があっての事なのか、それとも単にあのバニーという女性を信じているだけなのか、今はまだ判断が付けられない。

 

しかし、フィンはこの幼いアイズを知っている。アイズに関しては、小さい頃から見てきたというのもあるし、何より目の前の小さなアイズは、今まさにあの暗黒期を生きている、レベル3の冒険者なのである。幼いとはいえレベル3にもなれば、物事の分別もつくし、現実も見えてくる。だからこそ、フィンは不思議だったのだ。レベルが3にもなった冒険者が、レベル2とレベル5の冒険者が戦って、レベル2が勝つと全く疑っていないその事に。だが、幼いアイズがどれだけ信じていようと、想定外という事はままあるものだ。

 

「アイズ、ティオネ、ティオナ。もしもベートがやり過ぎてしまったり、バニーが大怪我をしそうになったら、止めに入ってくれないかい?」

 

「勿論です!団長!」

 

フィンにLOVEであるティオネは勿論了承し、アイズとティオナも頷いて答える。

 

そして、皆が訓練室に着いた時には、もう2人が向かい合っていたのだった。

 

 

 

 

「……チッ、揃いも揃って着いて来やがったか」

 

ベートとしては、途中で止められてしまうかもしれないというのは面白くないが、それでも結果は大して変わらないだろうと思っている。正直少し冷静になってきたのもあって、昨日の事は自分に非があるという事も分からなくはないのだが(それでも認めたくはない)、それでも目の前のふざけた女には、上下関係を叩き込む必要があると思っている。それが自分の矜持であるし、これまでも……そしてこれからも自分が抱いていく、信念であるのだから。

 

などと考えていると、バニーが聞いてくる。

 

「スキルは使っていいの?」

 

その言葉に、ベートは吐き捨てるように応じた。

 

「あぁ。テメェの本気がどんなもんか知らねぇが、それで俺をどうこう出来ると浅はかにも思うんなら、何でも使ったらいいさ。その代わり、それ込みで向かってきたテメェを、俺は本気でぶちのめすからな。骨の一本や二本折られても後悔すんなよ」

 

それを聞いたレフィーヤが、たまらず声を上げる。

 

「ベ、ベートさん! それは幾らなんでもやり過ぎです!」

 

そもそもバニーは何も悪くないのだ。酔っているベートに正論を言って、それで絡んできたのを魔法で眠らせただけである。レフィーヤからすれば、恥をかかせられてムカついたからシメようとしているとしか思えない。だが、そんな言葉もベートには届かない。

 

「黙りやがれ、雑魚がっ。文句があるなら、もう少し強くなってから言ってこいや。お前に何か言われて、俺が考えを変えると思うのかよ」

 

「っっ」

 

そう言われてしまったら、レフィーヤは何も言い返せない。こういう時のベートが、自分が何を言っても耳を貸さないという事は、これまで共に過ごしてきた中でも分かっているのだから。

 

だが、2人のそんなやり取りを聞いていたバニーが、少し腹が立ってきたので口を挟んだ。

 

「ちょっと〜! レフィーヤちゃんにそんな風にいう事ないんじゃないのぉ?」

 

だが、ベートはやはり聞く耳を持たない。

 

「うるせぇ。どうして俺が雑魚の言う事なんざ聞かなきゃならねぇんだ。そいつは、これまでもファミリアで見てきたから分かるんだよ。あと、お前も雑魚なら俺に指図すんな」

 

ベートのあまりの言い分に、普段穏やかなバニーも流石についにキレ始める。

 

「カッチーン! 私も昨日から見てきたのもあって、ちょっとは手加減してあげようかな〜と思ってたんだけども、どうやらそれはいらないみたいねぇ」

 

その言葉を聞いたベートは、鼻でフンと笑った。

 

「はぁ? レベル2のお前が俺に手加減だぁ? 何様のつもりだ、クソ女」

 

一触即発の雰囲気の中、フィン達と共にやってきていたリヴェリアが前に出てくる。

 

「2人とも、少し抑えろ。それでは、私が審判をやろう。文句はないな、ベート」

 

「チッ、好きにしやがれ」

 

そしてリヴェリアはバニーの方も見た。

 

「うん、私も大丈夫だよ!」

 

そう答えるバニー。

 

「よしっ。では、2人とも準備はいいか?」

 

リヴェリアを中心に、ある程度離れた位置でベートとバニーが向かい合う。どちらも準備万端のようだ。

 

「それでは……はじめ!!!」

 

リヴェリアの声を合図に、ベートはまず、バニーの本気というのを見る為、様子見をしている。

そしてバニーはそっと目を閉じ、スキル【賢者の回帰(ルビス・メモリア)】を起動した。

 

パァァァァッ……!

 

眩い光がバニーの体を包み込み、身に纏っていたバニースーツが『神鳥の法衣』へと瞬時に切り替わる。そして、そのまま流れるように複数の呪文を唱えた。

 

「スカラ」

「ピオリム」

「バイキルト」

 

それぞれ、守備力・速度・力を引き上げる補助呪文だ。

そこに、道具袋から『ほしふるうでわ』を取り出して装着。ここまでに掛かった時間は10秒足らずだったが、これでバニーの準備も整った。

 

その光景を目の当たりにしていたフィン達は勿論、対峙しているベートも完全に呆気にとられている。

しかし、そんな周囲の動揺など今のバニーには関係ない。

賢者だった頃の力を取り戻して全ステータスが跳ね上がり、しかもつい最近オラリオでのレベルも上がったことで、ベースの能力値は更にアップしている。各種補助呪文に『ほしふるうでわ』の効果も加わった今の力は、かつてない領域にまで高まっていた。

 

「いくわよっ!」

 

次の瞬間、バニーは高速で駆け出した。

自分より速いかもしれない速度で肉薄してくるバニーを見て驚愕し、ベートは反射的に蹴りで応戦する。しかし、バニーはそれを左手に構えた『女神の盾』で軽く防御した。

全てのステータスが上昇しているため、レベル5であるベートの蹴りを盾で受けても、全くびくともしない。

 

そのままバニーは「ルカニ!」を唱え、守備力の下がったベートの腹部に向けて、全力のグーぱんをお見舞いした。

 

ドゴォッ!!!

 

「がはっ……!?」

 

正面から衝撃をまともに食らい、ベートの身体が勢いよく吹き飛んだ。

それを見ていたフィン達は目を丸くしながら、まだ目の前の現実に脳の処理が追いついていない。

 

しかし、バニーの追撃は止まらない。

 

「イオラ! イオラ! イオラ!」

 

間髪入れずに連発された中規模の爆裂呪文が、容赦なくベートを襲う。

 

「チィッ!」

 

たまらずベートは必死に身を翻して回避するが、爆煙が晴れた瞬間、ふと見ると目の前からバニーの姿が消えていた。

 

「どこに行きやがった!」

 

すると、死角からバニーが鋭い回し蹴りを放ってきた。ベートは咄嗟に腕を交差してそれを受けるが、その重い衝撃に再び体勢を崩される。

 

「チッ!」

 

鋭い視線で辺りを見回すベート。しかし、直後に後方から漂ってくる凄まじい熱気に気がついた。

振り返れば、そこにはバニーが両手を大きく広げて立っており、彼女の手から激しく噴きあがった炎が、頭上で巨大なアーチを描いていた。

 

それを見たベートは、その圧倒的な炎の熱量を前に、もはや逃げられないと本能で悟る。

 

「……てめぇ、レベル2じゃなかったのかよ」

 

乾いた声を漏らしながら、迫り来る舞い上がる炎を見つめているベート。

 

「間違いないわよ。先週くらいにレベル2になったわ」

 

そんな規格外すぎる返答を聞いたベートは、自嘲気味に口元を歪めた。

 

「……クソが」

 

そう言い放った直後、バニーの広げていた両手が中心でピタリと合わさる。

 

「ベギラゴン!!!」

 

刹那、極大の閃熱呪文が圧倒的な炎の濁流となって放たれ、ベートの身体を完全に飲み込んだのだった。




本当は、もっと攻防の描写を入れたかったんですが、とりあえず会社に着いてしまったので、一旦これで投稿!働いて来ます!
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