ドラクエ3の女賢者さんが、遊び人になってダンまち世界に転移してきたよ   作:ポップ

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第四十七話:火の鳥のお片付けと、異世界の大魔王はエルフに近い種族!?

「バニー。そろそろ、あれをどうにかしてもらえないかな」

 

フィンに苦笑混じりにそう促され、訓練場の上空で未だ悠々と羽ばたいている火の鳥を見上げたバニーは「あっ」と声を上げて空を見上げた。

 

「ごめんごめん、すっかり忘れてたわ」

 

そう言うと、バニーは上空で悠々と旋回しているカイザーフェニックスに向かって、軽く右手を差し出した。

 

「ほーい、おいでー」

 

まるで飼い犬でも呼ぶかのような軽いトーン。しかし次の瞬間、巨大な炎の鳥は主の意志に従うように急降下し、一直線にバニーへと向かってきた。

その圧倒的な熱量と迫力に、周囲の者達が思わず身構える。

だが、炎の鳥がバニーの右手に触れた瞬間――シュルシュルと音を立てるようにして、あっという間に彼女の手のひらへと吸い込まれ、完全に消滅してしまったのだ。

 

「えっ……」

レフィーヤが目を丸くする。

 

「なっ……あれほどの高密度の魔力を、相殺するのではなく自身の体内に吸収しただと!?」

 

オラリオ随一の魔導士であるリヴェリアが、信じられないものを見たという顔で驚愕する。

放たれた魔法は、対象に命中するか魔力が尽きるまで消えないのが常識だ。それを途中でキャンセルするどころか、魔力として回収するなど聞いたこともない。

 

「昨日酒場で出した時は勢いで出しちゃって処理に困ったんだけど、後からよく考えたら、自分で出した魔法なんだから戻せるんじゃないかと思って。だから昨日の夜、宿でちょっと練習してみたの」

 

「……一晩でそんな真似を……」

 

最早突っ込む気力も失せたのか、リヴェリアは深くため息をついた。

 

「それよりそれより!」

 

そんな重い空気を吹き飛ばすように、ティオナが目を輝かせてバニーに身を乗り出してきた。英雄譚(アルゴノゥト)が大好きな彼女にとって、先程のバニーの身の上話は、興味を惹かれるワードの連続だったのだ。

 

「さっきの話に出てきた『勇者』と『大魔王』! ねぇねぇ、異世界の勇者ってどんな人だったの!? すっごくカッコよかった!?」

 

「うーん……実は、勇者の顔は見てないんだよねー」

 

「ええーっ!? なんで!?」

 

「だって私、負けそうになってる場面に出くわしてから、ちょっと助けてすぐに帰っちゃったし。いや〜時間制限付きにしといて良かったなって今でも思うわ。でもね、大魔王の方はかなりヤバいおじいちゃんだったよ」

 

「大魔王が、おじいちゃんなの!?」

 

ティオナが意外そうに目を瞬かせる。大魔王といえば、禍々しい巨大なモンスターなどを想像していたのだろう。

 

「うん、そうだよ。見た目はちょっとエルフっぽいかも。角とか生えてるけど」

 

「「……なっ!?」」

 

その言葉に、今度はリヴェリアとレフィーヤが揃って絶句した。

 

「えっ、エルフに……角……ですか?」

 

レフィーヤなど、自分の長い耳をそっと押さえ、顔を青くしている。

 

「え、エルフっぽいって……まさか、私達と同族に近い存在が、異世界とはいえ大魔王と呼ばれていると……?」

 

リヴェリアとしても、やはり自分と似た種族が大魔王をやっている事に驚いているようだ。

 

「まぁ、あっちは魔族って言ってたし、見た目がたまたま似てただけだと思うけどねー」

 

高潔なるエルフに似た存在が、世界を脅かす邪悪の頂点である『大魔王』。

その事実に、エルフの王族であるリヴェリアと、同じくエルフであるレフィーヤは、なんとも言えない複雑な表情を浮かべて固まってしまった。

 

「うん。あのおじいちゃん、とっても強かったよ」

 

と、そこで突然、バニーの足元にいた幼女アイズが会話に混ざってきた。

 

「私の世界のフィンも、ガレスも、リヴェリアも、全然勝てなかったもん」

 

「「「…………え?」」」

 

幼女からの純真無垢で残酷な宣告に、名指しされたロキ・ファミリアの三首脳は思わず呆けた声を漏らした。

自分たちが、異世界の大魔王に歯が立たなかった? つまり、戦った?そもそも、何故この小さなアイズがそんな事を知っているのか。

 

「ちょ、待ちぃや」

 

ロキが怪訝そうな顔で口を挟む。

 

「小さいアイズたん、なんで自分、そんな事知っとるんや? まさか異世界に着いて行ったわけやないんやろ?」

 

「ううん。バニーがね、魔法で大魔王のおじいちゃんを出してくれて、みんなで戦ったの。私は戦わせてもらえなかったけど…

 

「「「魔法で大魔王を出したぁ!?」」」

 

再びハモる皆の驚きの声。

バニーは、頭を掻きながらあっけらかんと説明する。

 

「あー、レベルアップした時に、一度戦った事のある敵を魔法で疑似的に作り出して戦えるようになったのよ。それで皆が興味あるみたいだったから戦ってみたの。アストレア・ファミリアの人達や、フレイヤ・ファミリアのオッタルとアレンも加わってさ」

 

「えっ!? ちょっと待って、それって戦えるの!?」

 

ティオナが食い気味に問い詰める。

 

「うん。それも、私の記憶を元に再現してるんじゃなくて、一度戦った事のある敵を本物とほぼ同じレベルで再現しちゃう魔法だから、戦おうとしたら戦えるわよ。しかも、怪我しても、最悪死んじゃっても、結界内で起こった事は元に戻るっていう便利機能付き!」

 

「……」

 

その言葉を聞いた瞬間。

ティオナやティオネ、それに少し離れた場所で聞いていたベート、そしてこの世界のアイズの目の色が変わった。

彼らはオラリオの第一級冒険者。強き者と戦い、己を高める事に飢えている者達の集まりである。

 

『異世界の大魔王』。

しかも、7年前のフィン達や、あのオッタルまでもが束になっても全く歯が立たないほどの圧倒的な存在。

 

そんな規格外の相手と『死ぬリスク無しで本気の戦闘ができる』と聞いて、彼らの興味が湧かないわけがなかった。




ちょっと短いけども〜
では、仕事してきます!
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