ご注文はキツネですか?
ここは、幾千もの学園が集まる学園都市キヴォトス。
しかし、幾つも集まっているのは学園だけではない。
ここには、カフェや喫茶店が乱立しているのだ。
さて、これはキヴォトスの喫茶店で繰り広げられる日常の物語。
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#1 ご注文はキツネですか?
(喫茶 カゲロウ・フォックス編)
────────ユキノが私たちにこんな提案をしてきたのは、突然のことでした。
「ユキノ…なに?なんだか浮かない顔してるよ?」
ふふふ…とにこやかな笑顔でニコが尋ねた。
「あっ…その…いや、みんなに聞いておきたいことがあって…」
「ふ〜ん?なになに?次の作戦のアイデアでも浮かんだ?」
「いや、そうじゃないんだけど…」
「その…喫茶店を私たちで開くのはどうかなって」
「喫茶店!?」
クルミが飛び跳ねると同時に声を出した
「喫茶店かぁ…私たちでできるのかなぁ」
オトギは少し憧れだったのか、含みを持った言い方をしている。
「良いんじゃない?私たちはユキノのしたいことについていくだけだし」
「そうでしょ?みんな」
「ニコの言う通りよ!ユキノの行く場所に私の導きが必要でしょ!」
「クルミも言うようになったねぇ~」
「ま、その背中を護るのは私の役目なんだけどね」
「オトギ…アンタなに格好付けてるのよ…」
「みんな…ありがとう…//」
「これは、私の夢…みたいなものだったから…」
照れくさそうにユキノは言った
「じゃあ、まずは何からする?」
「…まずは、店名から決めよう」
「店名から?どうして?」
「目標は具体的な方が良いのではないかと思って」
やっぱり、まだどこか恥ずかしいのか頬を紅潮させながらユキノは話した。
「なるほど…じゃあ、こんなのはどうかな?」
ニコが閃いたようで
自慢の長い耳をピンと立てて言った。
「ニコ、なんか思いついたの?」
クルミがすかさず訊ねる
「カゲロウ・フォックス…ていうのはどうかな?」
「なんかちょっとダサいわね…」
「別にそんなことないと思うよ~」
オトギが体を右へ左へ大きく揺すりながら応える。
「私も…異論はない」
「むしろ、ニコのセンスは信頼すべきだ」
(うちらって案外センスが中学生なのね…)
「今、センスが中学生みたいだなぁ~って思ったでしょ!」
「う…うるさいわね!思ってないわよ!」
「うっそだぁ!絶対思ったでしょ!」
「思ってないったら、思ってないってば!」
「まあまあ二人ともケンカしないで」
(怒ったときのニコが一番怖いのよね…)
「店名も決まったし…次の話をしてもいいか?」
「いいよ~」
三人が口を揃えて応える
「まずは、どこでお店を構えるのか…そこから話そう」
「ユキノはどこが良いと思う?」
「私か…私なら───シャーレの近くかな」
「いいじゃん!さんせ~」
「シャーレの近くなら先生も来てくれるかもだし…なりより、大勢のお客さんが来てくれそうね!」
「よし、じゃあお店はシャーレの近くで良いか?」
「「はーい!」」
クルミとオトギが応える
「ニコもそういうことで良いだろうか?」
「良いよ~」
「ユキノが働いてる所…想像つかないなぁ」
「あっ…いや、別に他意はないよ!」
「ただ、新鮮だな…って思っちゃって、ついね」
「…確かに私たちが働く所ってなかなか想像つかないな」
「今までは、任務や矯正局でのタスクばかりこなしてきたからか…」
「これで私たちもようやく普通の女子高校生らしくなれるのだろうか」
「きっとなれるよ~私たちだって立派な女子高校生じゃん?」
「そうだな…ありがとう。オトギ」
「えへへ~」
「メニューとかはどうするのよ?」
クルミが切り出した
「メニューか…誰かコーヒーを淹れられる人はいないか?」
「インスタントなら…?」
「そっか…ありがとう。オトギ」
「インスタントじゃダメでしょ…」
「じゃあ、誰がコーヒー淹れるのさ!」
「コーヒーは喫茶店の定番メニューでしょ!コーヒーが無かったら喫茶店じゃないから!」
「確かにそうよね…誰かコーヒー淹れられたらいいんだけど…」
「私、淹れられるよ?」
「うそっ!?ニコってコーヒーも淹れられるの!?」
「うん、先生に会うときはいつも豆から挽いてるの」
「普段はインスタントが多いけどね」
「ニコが…なんか、その意外だな」
「ユキノ…意外ってことはないんじゃないの?」
「す…すみませんでした…」
「まあ、決まりね」
「ニコがコーヒーを淹れるってことで」
「取り敢えず今日はこんな所にしておくか」
「明日は、店舗探しをするぞ」
「おー!!」
こうして、キツネたちの喫茶店経営の物語が幕を開けるのであった──────────
【Vol.1 喫茶 カゲロウ・フォックス編】
#1 ご注文はキツネですか?(1)