気温も徐々に上がり少しずつ夏が近づいてきた頃。
「……」
俺はコンビニの前で乞食教師の買い物の様子を遠目に見ながら待たされていた。
赤羽が飛び降りたあの日。あいつはタコのなけなしの財産を全て募金した。そのせいで無一文になったコイツは、毎日朝飯を食べに俺の家に来るようになったのだ。赤羽はまじで許さん。俺の家じゃなくてあいつの家行けやクソが……
そんな俺だが、今日はいつもより遠く離れたところでタコのことを待っていた。
なぜなら……
「やめてください!」
「いいから来いって」
「私これから赴任先の学校へ行かないと……」
「お前先生なんだ?俺ら頭悪いから補習してよ」
教師を名乗る若い女が頭の悪そうな輩に絡まれていたからだ。本来なら助けに入るべきなのだろう。だが、俺はある違和感を感じ離れた場所で傍観していたのだ。
「よお零二、何やってるんだ?」
そんな俺に見知った声がかけられる。
「鉄虎さん、おはようございます」
この辺一体をシマにしている“天極組”の若手構成員。灰色のスーツとワインレッドのYシャツ、そして後ろで結ばれた青く長い髪が特徴だ。この辺では武闘派として恐れられている。だが、この人とはかつて喧嘩の場や店で一緒になったことが多く、その縁からどうやら俺のことを気に入ってくれてるらしい。そのため、俺や赤羽は世話になることも多く、時々飯を奢ってもらったりしている。
ちなみに、赤羽からはめちゃくちゃ舐められている。極道が舐められていいのだろうか……
「何やってるってあれですよ」
俺はあのやりとりの現場を指差す。
「何やってんだ!さっさと止めに行くぞ!」
すると、鉄虎さんが慌てて止めに行こうとするので、俺は止めた。
「待ってください」
「なんだ!」
「よく見てください。おかしいと思いませんか?」
「何?」
俺はさっきまで感じていた違和感を鉄虎さんに伝える。
「襲われている女とチンピラにはかなりの体格差があります。本来なら抵抗できないくらいの……それにすぐ近くに車も止めてある。正直こんな馬鹿なやりとりをしてないでさっさと拉致ればいい話じゃないですか?」
そう、俺の感じていた違和感はこれだ。チンピラは全員180cm以上の大男、体格だけなら烏間さんをも上回る。一方襲われてる女は見たところ170cmほど……。女性にしては背が高いがあくまで“女の中で”だ。男なら人権を得られるかどうかのギリギリのライン……
無論、体格差が全てではないが、カタギの女相手なら普通はこれくらいの体格差があれば、女側はまず抵抗できない。つまり余計なことしてないで、さっさと拉致ればいい。長引かせると通報されるリスクが高まるからだ。
だが、
「奴らはかれこれ10分近くあのやりとりを続けています。まるで“誰かに助けてもらうために”」
「なるほど……ハニトラか……」
「ええ、俺はそう考えています」
わざとらしくデカい声を出しながら、同じようなやりとりをするあいつらはどう見ても、仕組まれているようにしか見えなかった。
俺の話の意図を理解したような鉄虎さんの目の色も変わる。
「だったら現場を押さえる。今行っても証拠がないからな。その上でクロだった場合はあの女はシメる」
そう話をしていると、乞食がコンビニから出てきた。そして、すかさず例の女を助け出す。
「素敵な方……この御恩は一生忘れません」
すると、とても“素敵”とは言えない人間離れしたフォルムの乞食に対し、あの女は“素敵”と言いやがった。
「……おい零二、ありゃどう見てもクロだろ」
「そうですね……」
まあ、あいつがハニトラの被害に遭うなら願ったり叶ったりだ。見捨てよう。俺はそう思っていた。だが、この女は無視できないような、とんでもないことを口にした。
「それと……“椚ヶ丘中学”への行き方をご存知ですか?」
「——っ!」
あの女、なぜ、うちの学校のことを知っているんだ?そういえば、さっきあの女は教師をしているとか言っていた。なら、うちの学校の新任教師か?このタイミングで?そもそも、新任教師なら、一度面接などで来校しているはず。うちの学校の場所がわからないというのも不自然だ。
「ん?どうした?」
「あの女、今“椚ヶ丘中学”って言いました」
「何?そこってお前やカルマが行ってるトコだよな?」
「ええ、ただの美人局じゃなさそうですね……」
すると、俺のところに瞬間移動してきた乞食はメモ書きを残して一瞬で元の場所に戻った。
『私はあの素敵な女性を椚ヶ丘中学まで送り届けます。周防くんは先に行っててください』
気色の悪いことが書かれているメモ書きを俺は握り潰す。
だが、目の前で顔を綻ばせている超生物を見ていると、俺はある可能性にたどり着いた。正直、めんどうなことこのうえない可能性に……
「なあ零二、あれってお前のところにいるっていう噂の……」
「ええ、その噂の奴ですよ……。一応、国家機密なので内密でお願いします……」
あーあ、バレた。俺は悪くない。というかこの人もともと情報持っていたようだし時間の問題だったろ。というか、
「まあ、椚ヶ丘中学っていうならお前が適任だな。とりあえず、あいつらのこと尾行してきてくれ。怪しかったら連絡頼むわ!」
そう言って鉄虎さんはこの場を去った。めんどいから断りたいが、そうも言ってられない為、くっつきながら歩く2人の後ろを離れてついて行くことにした。
***
「あー……、今日から来た……外国語の臨時講師を紹介する……」
「イリーナ・イェラビッチと申します!皆さんよろしく!!」
「……」
やっぱり、あの美人局の狙いはここだった……。心なしか烏間さんも嫌そうにしている。ご苦労様です……
「あれー、周防くんなんか嫌そうだね〜。もしかして嫉妬?」
「な訳あるか、あいつのわざとらしい声を聞け。完全な美人局だ」
「あ、やっぱり〜」
この場所に、このタイミングでの臨時講師……。まあ十中八九
「本格的な外国語に触れさせたいとの学校の意向だ。英語の半分は彼女の受け持ちで文句ないな?」
「……仕方ありませんねぇ」
そう言いながら美人局の巨乳を見てピンク色に変色する乞食タコと、
「はあぁ……見れば見るほど素敵ですわぁ……!その正露丸みたいなつぶらな瞳、曖昧な関節!私虜になってしまいそう///」
「いやぁ、お恥ずかしい///」
変態乞食タコのよくわからないチャームポイントを必死に推してイチャイチャする美人局だ。この様子を俺は朝からずっと見せられている。鉄虎さんに頼まれているとはいえ、これ以上追いかけるのは面倒になってきたな……
「あれー、周防くん。大丈夫?」
「……帰りたい」
「それは良くないよ。ちゃんと授業受けようね〜」
「お前がいうな。というか、元はと言えばお前のせいだ赤羽……」
こうして、この後のことを考えると気が重くなる中、ホームルームは幕を閉じた。
「あれ?周防くんどこ行くの?」
ホームルームが終わり、美人局と変態乞食が教室を去ったことを確認した俺は席を立つ。すると、そんな俺に赤羽が声をかけた。
「鉄虎さんにあの美人局の調査を頼まれてるんだよ……。街中で堂々とハニトラやってたからな……。お前も来るか?」
元はといえばコイツのせいだ。コイツが余計なことをしなければ、朝、あの乞食が俺の家に来ることもなく、こんな面倒なことも任されなかった。正直お前は巻き込みたい。
「うわぁー鉄虎おじさん、面倒なこと押し付けてきたね♪俺はめんどいからパス〜。後で調査結果教えてね〜」
「……」
大変遺憾ではあるが、赤羽は来る気がなさそうなので教室を出る。そして、気配を消しながらあの美人局の尾行を開始した。
***
そして、尾行を開始してしばらくが経った。
「色々と接近の手段を用意してたけど、まさか色仕掛けが通じるとは思わなかったわ」
はい、
イリーナ・イェラビッチ。
職業、殺し屋。美貌に加え実に10か国語を操る対話能力を持ち、いかなる国のターゲットをも魅了し、ガードの硬い標的も至近距離から容易く殺す。潜入と接近を高度にこなす暗殺者、か……
尾行している合間に、大分こいつの情報は集まってきた。まあ想定していた通り殺し屋か。この冷酷な声がおそらくこいつの本性なのだろう
「だが、ただの殺し屋を学校で雇うのは流石に問題だ。表向きのため教師の仕事もやってもらうぞ」
「フッ……私は“プロ”よ、授業なんてやる間も無く仕事は終わるわ」
烏間さんの忠告にこの女はこう返した。
なんか、めんどい奴が来ちまった。あまり関わらないようにしておこう。
ちなみにこのことを鉄虎さんに報告したら、
……烏間さんドンマイです。
***
「あはは!それで鉄虎おじさん、国家機密の情報チラつかせて国からお金取ろうとしてるんだ。ヤクザって怖いね〜」
「ああ、あれが“大人のやり方”ってやつだろうな。いろんな意味で勉強になるな。烏間さんには同情するけど……」
あの後、授業をサボった俺は同じくサボった赤羽と
すると、赤羽は俺の方に視線を向けながら、少し表情が真剣なものになる。
「んで、周防くんはどうするの?」
「どうもしない。別に
俺が現時点ではタコの暗殺に関わるつもりはない。その間に誰が何をしようと、こっちに被害が出ないのであれば傍観するつもりだ。
それに、さっきは鉄虎さんに言われていたから調べていたが、それが終わったからにはこれ以上関わりたくない。ましてや“殺し屋”なんて連中には……
「あんたが赤羽業ね?聞きたいことがあるわ」
「「——!」」
赤羽と話をしていると、背後から俺たちとは別の声がかけられた。今日学校にやってきたビッチ女だ。
……コイツ、いつからここにいた?
“いつの間にか近くに来ていた”ビッチが俺らの会話に入ってくる。
「へぇ、いつからここにいたの?」
同じく、警戒モードになった赤羽がこう返す。ビッチは気にせず続ける。
「——被害がなければ、ってところからかしら、あんたたちこんなところで作戦会議でもしてるの?」
ビッチの様子を見る限り、嘘は言ってなさそうだ。その前の天極組の話は聞かれていないらしい。
「別に、ただの雑談だよ。それより俺に何の用?」
赤羽がこう言うとコイツはさらに詰め寄ってきた。
「あんた、あのタコの触手を破壊したそうね。その時のことを私に教えなさい。それとあのタコについて知っていることがあればそれも教えなさい」
そして、俺たちを見下すような目でこう言ってきた。なるほど、情報収集が目的か。
「へぇ……、プロ名乗ってるくせに中坊にやり方聞くなんて自信ないんだ?」
「フッ……素人ねガキ。仕事の成功のためには準備を怠らないのがプロよ。特に情報は念入りに集めることに越したことはないわ」
ビッチは俺のことなど眼中に無いというような感じで赤羽と話をしている。だが、ビッチの言っていることは間違ってない。ターゲットの情報は念入りに集めて精査して準備することはコロシの仕事においては最も重要なことだからだ。それに、念入りに準備をすることは、勉強やスポーツ、ギャンブルなど、暗殺以外の分野でも重要だ。
俺はその様子を黙って見ていた。
「なるほどねー。でもあまり役に立ちそうな情報持ってないなー」
赤羽がわざとらしく言う。すると、ビッチの機嫌が悪くなった。
「あーもう!なんでもいいから教えなさいよ!」
(なんでもいいのかよ……)
「別にあの時は殺せんせーのことをちょっとおちょくってあげただけだよ♪」
ビッチの怒鳴り声に赤羽はこれだけ返した。まあ、嘘は言ってないな。すると、ビッチの目線が今度は俺の方に向いた。何だ?関わりたく無いのだが……
「はあ……まあいいわ。一応、白髪のあんたにも聞いといてあげる。あのタコについて知ってることを吐きなさい」
「いや知らん。そもそも俺は暗殺に参加してないからな」
今度は俺に情報を聞いてきた。正直、話せることがないことはないが、話したら面倒なことになりそうなので、スルーさせてもらう。
「嘘をつくのは良くないよ、周防くん。最近、毎朝殺せんせーが君の家で朝ごはん食べてるじゃーん」
……コイツ、俺が絡まれてるタイミングで言ってきやがった。
「あんたそれさっき言いなさいよ!!」
それに、ビッチが怒鳴り声でツッコミを入れる。そして、さっきとは違い、ものすごい剣幕で顔を近づけてきた。
「知ってることを吐きなさい!さもないとどうなるかわかってるわよね!」
詰め寄ってきたビッチが俺に向かって大声でこう聞く。めんどくせえなコイツ。
「別に何も知らねえよ。金ないからって勝手に人ん家上がって、飯集ってくる乞食のことなんて」
俺は特に表情も変えずにこう返す。こいつに話すことは何一つない。
「フン!使えないわね!まあいいわ。アンタたち、くれぐれも私の邪魔をしないようにね」
そう言い捨ててビッチはいなくなった。まじで何だったんだあいつ。
そして、近くにあいつの気配が消えたことを確認してから赤羽と話す。
「……おい、あいつが近くにいること気づいたか?」
「いや、どうやらあの人“口だけ”ではなさそうだね」
はっきり言ってめんどくさいことは間違いないが、どうやら少し侮っていたようだ。あの女の評価は多少改める必要がある。俺はそう思った。
***
「ヘイパス!!」
「ヘイ暗殺!!」
昼休み。
暗殺サッカーとかいう訳のわからない遊びを眺めながら
「殺せんせーぇ!殺せんせーぇ!」
すると、ビッチが気色の悪い声色でタコに近づいてきた。
「烏間先生に聞きましたわ。すっごく足がお速いんですって?」
そして、そのままタコに絡みつく。
「お願いがあるの?本場のベトナムのコーヒーを飲んでみたくって私が英語を教えている間に買ってきてくださらない?」
「お安い御用です///ベトナムに良い店を知ってますからぁん《ビュン!》」
「あいつまじで気持ち悪いな……」
またしてもビッチに乗せられた変態は全身をピンク色に染めて、そのまま飛んでいってしまった。
《キーンコーンカーンコーン》
そのタイミングで昼休み終了のチャイムが鳴る。クラスの連中は気まずそうにしながらも、ビッチに気さくに声をかけた。
「えっと……イリーナ先生?授業始まるし、教室戻ります?」
「授業?ああ、各自テキトーに自習でもしてなさい」
すると、ビッチはタバコを吸いながらさっきまでとは全く違う冷たい声色でこう言った。
「「「え?」」」
あの女の本性を知ってる赤羽以外は、その豹変ぶりに驚いている様子だ。空気が固まる。
「それとファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる?あのタコの前以外では先生を演じるつもりもないし、イェラビッチお姉さまとでも呼びなさい」
あの女、ついに本性を隠さなくなったか。クラスの連中は絶句している。そのはずだ、あいつらにとってあの女の本性を見るのははじめてだから。ただ、あいつの本性を知っている赤羽は違う。
「で、どーするの?ビッチ姉さん」
「略すな!!アンタさっきからなまいきなガキね!!」
あーあ、ついに本人の前でそれ言ったぞ。面倒なことになりそうだから俺は言わないようにしてたんだがな。
周りは絶句しているが、赤羽は止まらない。
「俺らが束になって殺せないモンスタービッチ姉さん1人で殺れるの?」
「ガキが……。大人にはね、“大人のやり方”って言うのがあるのよ」
赤羽の態度に不満が隠しきれない様子のビッチだったが、すぐに調子を取り戻した。
そして、そう言うとあいつは潮田の方を向いて、
「潮田渚ってアンタよね?」
そのまま潮田と口づけをした。
——自然に、ごく当たり前のように
(まさかここまでとはな……)
俺はそれを目を見開いたまま見ていた。正直驚いている。潮田は気配には敏感な方だ。そんな潮田のスペースにこうも簡単に入り込むとは、流石プロを名乗るだけのことはある。
……あとこの女レズビアンだったのか。まあ、他人の趣味嗜好に口出しするのは良くないからやめておこう。
「すげえな。めちゃくちゃ舌入れてるぞ……」
ビッチのディープキスでレズ墜ちしそうになっている潮田を見て、周りの連中はドン引きしている。すると、そこへ大男が3人入ってきた。明らかにカタギの風貌ではない。というか、あいつら朝のナンパ野郎どもだ。やっぱり、グルだったのか。
「有力な情報持ってる子は話しにきなさい。良いことしてあげるわよ、女子には男だって貸してあげる。技術も人脈も“全て”あるのがプロの仕事よ。ガキは外野でおとなしくしてなさい」
“全て”ねぇ……。
「あと私の暗殺の邪魔をしたら“殺す”わよ」
「おー、こっわ」
“プロの殺し屋”として修羅場を何度もくぐってきたであろう人間の“殺す”と言う言葉。それに今まで感じたことのないような重みを感じたE組の連中はしばらくその場から動けずにいた。
イリーナ・イェラビッチ。
その自信満々の顔は自分の技術への信頼の表れだろう。ただ『気配の消し方』や『ターゲットに自然に近寄れる技術』は確かに“一流”のものだった。
だが、あの女がそう簡単にあのタコを殺れるのだろうか……
そう思いながら、俺はビッチの様子をただ見下ろしていた。
ちなみに大男3人組が勝手に入ってきたことは烏間さんにチクっておいた。
***
(準備は満タン、ガキどもに情報も喋らせたしね。私はあらゆる状況で暗殺してきたプロ中のプロよ、今回だってサクッと終わらせてみせるわ)
5時間目 英語。
大きく“自習”と書かれた黒板の下で、ビッチ女は自信満々の表情で授業をせずに座っていた。
「ねえ周防くん。ビッチ姉さん、今何考えてると思う?」
すると、暇だったのか赤羽が声をかけてきた。あいつの考えていることか……
——あの女の“仕草”や“表情”をよく見る
「『準備は満タン、ガキどもに情報も喋らせたしね。私はあらゆる状況で暗殺してきたプロ中のプロよ、今回だってサクッと終わらせてみせるわ』とか思っているんだろうよ」
俺は、多少雰囲気を寄せてこう答える。
「そこ!ナチュラルに心読むんじゃないわよ!!」
それにビッチがキレながら反応した。正解のようだ。
「すごーい、周防くん。よくわかったね♪」
(((ブッ……真似上手すぎ……)))
どうやらみんなにも好評のようでなによりなにより。
だが、赤羽が楽しそうに笑っているのに対し、他の連中はビッチに対しては不満そうな顔を示してしていた。
「なあ、ビッチ姉さん授業してくれよ」
「そうだよビッチ姉さん。一応、ここでは先生なんだろ?」
こいつらの不満も当然だ。普段からサボっている俺や赤羽からしたらどうでもいいが、真面目に受けてる奴にとってはこいつの存在は邪魔だろうな。まあ、それは俺にも当てはまるのだろうが……
「ぬあー!ビッチビッチうるさいわよ!ほんとムカつくクソガキたちね!」
すると、ビッチ呼ばわりに堪忍袋の尾が切れたのか、ビッチ女がキレた。
「まず正確な発音が違う!アンタら日本人はBとVの違いもわからないのね!?正しいVの発音を教えてあげるわ、まず下唇を軽く噛む!ほら!!」
そして、ようやく授業らしいことが始まった。まあ、このまま素直に授業するとは思えないが。
「そうそう。そのまま1時間過ごしていれば静かでいいわ」
(((なんなんだ、この授業……!!)))
「あはは!みんな面白い顔してるよ周防くん」
ほら、やっぱりな。こうしてビッチ女の最初の授業はめちゃくちゃのまま幕を閉じた。
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ビッチ先生初登場回でした。ビッチ先生結構好きなんですが、初登場の時は性格悪いですね。E組のみんなからは零二くんと同じくらい第一印象は良くないと思います。まあ、ビッチ先生は今後変わっていきますし、その姿が魅力的なんですけどね。
そして、オリキャラ1人出しました。武闘派極道の鉄虎岳さんです。元ネタは名前をよく見ればわかる方はいらっしゃると思います。プロローグから、零二くんは極道との関わりがあると噂されてきましたが、その極道がこの人です。めちゃくちゃ極道との関わりを持ってしまっています。
今後、零二くんに関わるこんな感じのオリキャラが複数登場する予定です。どこかのタイミングでまとめて紹介できればと思っています。
そして、次回はビッチ先生と零二くんがやらかします。まあ、お互いこの性格では、何事もなく平和にとはいきませんからね……
では、次回もよろしくお願いします。
【次回予告】
「ぶっ殺すわよ!!」
俺の言葉にブチギレたような感じのビッチは、そう言って、落ちていたハサミ拾って構える。これで脅したつもりなのだろう。
俺はそれを無視して、静かにこう返す。
「やめとけよ。あんたじゃ無理だ」
次回 『一撃必殺の時間』