第四の壁を越えて   作:タカリ

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転生~原作開始前
全ての終わり、そして始まり


「――〇月×日、S市のRプールでナイフを持った男が遊びに来ていた利用客に無差別に襲い掛かり、男女2名が殺害されるという痛ましい事件が起きました。逮捕された犯人の供述によると『誰でも良かった』と――」

 

 ◇◇◇

 

「ハンターハンターの世界に転生か。まるでハーメルンの二次創作みたいな話だなー」

 

 バン=フリークス。5歳。男。お昼寝していたら突然前世の記憶と前世の意識を思い出した。

 ちなみに苗字でわかると思うがゴン=フリークスの双子の兄だ。二次創作でも定番の「主人公の双子の兄」ポジション。ネギま二次とかよく読み漁ったよ。

 

「うーん、赤ん坊の頃の記憶は覚えてないや。原作ファンとしてはゴンの本当の母親に興味があったけど、そういうズルはできないか」

 

 体の調子を確かめながら、すぐ隣で昼寝しているゴンや庭で洗濯物を干しているミトさんを眺める。

 

「念もまだ使えない。オーラを認識できない。ウィングさんみたいに念を教えてくれる人もいないから、自分で瞑想して精孔を開くしかないな」

 

 確か10万人に一人の才能があるズシで半年かかったんだっけ。

 ゴンやキルアは1000万人に一人の才能だからもっと早くなるはずだけど。

 

「俺の才能ってどのくらいあるのかなー。フリークス(怪物)だから才能はあると思うんだけど、中身が俺だからなー」

 

 念能力って頭がぶっ飛んでいる連中の方が強い気がするよね。

 ゴンとか、ネテロとか、カキンの王子たちとかさ。

 俺みたいな一般人じゃ、この世界の怪物たちに敵う気がしない。

 

「でもまあ、折角ハンター世界に転生したんだ。凡人がどこまでやれるか試してみようかな」

 

 昼寝をするゴンの隣に横になって目を閉じた。

 全身を流れるオーラのエネルギーを感じ取るためにまずは瞑想だ。

 瞑想の正しいやり方なんて知らないけど、できればズシみたいに半年以内に覚醒したいな。

 

 

 ――そう考えていた一か月後。

 

 お昼寝(瞑想)タイム中にあっさりと覚醒して精孔からオーラが吹き出し、そのまま「纏」を習得した。

 

 中身「俺(一般人)」なのに、こんなに早くていいのか?

 さすがフリークスボディ、恐るべし……。

 

 次の目標は「絶」と「練」。

 絶の練習はゴンとのかくれんぼ。5歳なのに非常に勘が鋭いゴンから隠れるために、必死に息を潜めていたら三日くらいで習得することができた。

 

 纏でわざと気配を出し、ゴンが近づいてきたところで絶になって気配を消す。

 そして一生懸命俺を探しているゴンの死角を通り抜けて、別の場所に隠れる――ということを繰り返していたらバッチリ練度も上がったと思う。

 

「バンどこー? ぜんぜんみつからないよー!」

 

 ずーっとかくれんぼの鬼をしているゴンがギブアップした。

 ゴンも気配を探るのが上達しているけど、さすがに絶を使った俺を見つけることはできないみたい。

 

 絶の次は練の練習だけど、とにかく繰り返し修練あるのみ。

 体の中でオーラを練り上げ、それを一気に放出! そしてそのままオーラを留める!

 重要なのはタイミングとイメージだ。何度も繰り返してコツを掴むと練もできるようになった。

 こっちは四日くらいかかった。

 

 フリークスボディ、優秀過ぎない???

 まだ前世の記憶を思い出してから一か月と一週間なんだけど。

 今5歳だから原作が始まるまで(1999年の1月まで)6年あるよ。

 

「とりあえず水見式したら発を考えるかなー」

 

 コップと水と葉っぱを用意する。

 いざ水見式、というところでゴンがやってきた。

 

「ねーバン。なにしてるのー?」

 

 これ? 念の練習。水見式っていうんだ。

 

「みずみしき? なにそれ?」

 

 まあ見てたらわかるよ。いくぞ!

 

「練!!!」

 

 今出せる全力でオーラを絞りだす。

 

 コップの中の水の量――変化なし!

 

 水の色――変化なし!

 

 水の味――見ただけじゃわからない!

 

 水に浮かべた葉っぱ――変化なし!

 

「お? これは……具現化系か!」

 

 水の中に小さな白い粒が浮かんでいる。

 どうやら俺は具現化系だったらしい。具現化系の性格診断ってなんだっけ……。

 

「なにこれー! へんなのういてるー!」

 

 ゴンくん(5歳)、コップの中に浮かんだ不純物に興味津々の様子。

 

 興味があるなら一緒に念の練習する?

 

 

 ◆◆◆

 

 バンが前世の記憶に目覚め、念の練習をしていた一方その頃、某所にて。

 

「私は……。死んだはずなのに、生まれ変わったの? ここはもしかして、ハンターハンターの世界……?」

 

 もう一人の少女が、前世の記憶を取り戻していた――。

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