第四の壁を越えて   作:タカリ

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チチがでかいねーちゃん

「ちょ、お前らなにしてんだよ!?」

 

 なにしてんだよと聞かれたら、答えあげるが世の情け。

 

「豚の焼肉だけど、キルアも食べる?」

「はあああ!?!? なんだよそれ、ずりーぞ!」

 

 いやぁ、試しに食べてみたんだけど美味しいね、グレイトスタンプ。世界最大の豚だっけ。一頭からでもお肉もたっぷり取れて大満足だ。

 

 今の時間は正午過ぎ。朝の6時から6時間ほど走り続けて、ちょうどお腹も空いているからお昼ご飯にピッタリだ。

 そういえば、スタート地点の定食屋で朝ご飯を用意してくれたのって協会の善意だったのかな?

 でも朝も昼も焼肉が続くと重いって人もいるかもしれないね。

 

「試験官に提出するための豚はちゃんと用意して焼いてるけどさ。そもそも人に料理を食べさせるならどんな味なのか、事前に確かめておくべきじゃない?」

「うっ……。た、確かに。バンのくせに真面目な意見を言ってやがる……」

「さっきから失礼じゃない???」

 

 まるで俺がいつも非常識なことをしているみたいじゃないか。こんなにまともなバンくんになんてことを言うんだ。

 

「まあそういうわけで、ゴンさんが倒した豚のうちの一頭をこうしてみんなで分けて味わってるんだよ。キルアたちも食べる?」

 

 ゴンさんがあっという間に全員分+1頭の豚を仕留めてくれたので、俺や女性陣と一緒に豚肉パーティだ。お肉の半分くらいはゴンさんの胃袋に収まるが、それでもまた大量に残っている。キルア、レオリオ、クラピカがお肉の処理を手伝ってくれるなら大歓迎だ。

 

「確かにオレも腹減ってきたかも」

「わりーな。俺もご相伴にあずかるぜ!」

「私も一緒でいいのか? ありがとう」

 

 さすがはハンター希望者だけあって食が太い。残ったお肉がみるみる減っていくのを眺めているうちに、いつの間にか俺たちが提出した豚の丸焼きをブハラ(二次試験の前半の試験官)が完食していた。

 

「あ~、食った食った。もーおなかいっぱい!」

 

 ゴオーン!!

 

「終ーーーーー了ーーーーー!!!」

 

 ブハラの後ろで山となった豚の骨、その数なんと74頭分。よくあれだけ食べられるもんだ。食没とか使えそう。

 

「豚の丸焼き料理審査! 74名が通過!!」

 

 パンパンに膨らんだお腹をさすっているブハラに代わり、後半の審査員のメンチが出てくる。

 黒いブラジャーみたいな服に網Tシャツの女性試験官だ。チチがデカい。

 パンツもハイレグみたいなデニムを履いているけど、お腹も太もも惜しげもなく晒していてとてもエッチである。こんなエッチなお姉さんが試験官でいいんですか。

 

「二次試験後半、あたしのメニューはスシよ!!」

 

 はい。というわけで原作の超難題試験、メンチのメニューが始まりました。

 ハンゾーが「スシなんて誰でも作れるお手軽料理だろ」と言った時に、カチンときたメンチが「鮨をマトモに握れるようになるには十年の授業が必要だって言われてんだ!」と言い放ったあの試験ですね。

 

 そんなモン、テスト科目にするな(byハンゾー)。

 

 いやぁ、ハンゾーのせいとはいえ、味の審査を始めちゃったのは完全にアウトだよね。

 その後、合格者0で再試験になったし、メンチも受験生も本当にご苦労様だよ。

 

「ねえバン、スシって知ってる?」

「小さな島国の民族料理なんて知るワケねーっての」

 

 ゴンさんもキルアもお手上げ。クラピカは魚を使うと知っていて、レオリオがそれを聞いて大声でばらすんだよね。

 

「俺は知ってるよ。作ったことはないけど、作り方も材料も知ってる」

「ほんと? 凄いや、バン!」

「嘘だろ! 本当に知ってんのか!?」

「ちょくちょく失礼だなキルアは……。まあいいや、試しに一個作ってみせるよ」

 

 リュックの中をあさる振りをして『念空間』からハマチを取り出した。

 

「うぇ!? なんでリュックの中から魚が!?」

 

 死体を保存するのは得意なんだ。新鮮で美味しいよ。

 

「じゃあゴンさん、三枚おろしね」

「わかった!」

 

 スパスパスパ!!

 

 ゴンさんの手刀であっという間にハマチが切り身になった。おそろしく速い手刀。俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

「切り身になったところでささっと食べやすいサイズに切って」

 

 くじら島でゴンさんに食べさせる魚料理を大量に作った経験があるから、切り身を切るのも慣れたものだ。

 

「あとはこの酢飯と……あ、わさびも出しておこう」

 

 メンチはカラ党らしいからね。これも念空間からささっと取り出してしまう。

 

「で、切り身とわさび、酢飯でパパっと――へいお待ち!!」

 

 ネタに手の温度が移らないようにできるだけ短時間で、シャリはふんわりと空気を握るように握れって言っていた! 寿司漫画で!

 

「わー、これがスシなんだ!」

「は、速すぎる……。なんなんだこいつら……」

 

「醤油があるから寿司もみんなで試食してみよう。一貫くらいなら入るでしょ?」

 

 握りの練習も兼ねて人数分を握って差し出すと、初めて食べたみんなも、メイもぼたんちゃんも幻海師匠も俺の握り寿司を褒めてくれた。

 自分でも試食してみたけど、確かに初めてにしては上出来かもしれない。

 まあ、さすがに素人の俺の寿司でメンチが満足するとは思ってないけどね。

 

「お、美味しい……!!! なんなのあんた、スシ職人なの!? まさか本職のスシ職人がこの試験に応募していたなんて……!」

 

 ……あれ?

 

「うーん、こんなスシを出されたんじゃ仕方ない! 406番、合格!! 大満足よ!!!」

 

 あれー????????




 バンくん、適当な漫画知識から寿司を再現した結果、自分の才能に気がついてしまう。
 なお握り方は小手返ししか覚えていない。
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