前回、見事に
アニタも復讐なんて自殺行為は諦めて新しい人生を歩めるようになるといいね。(←メンチに強制的に弟子にされて美食ハンターになる未来を知らない)
さて、飛行船は予定通りに順調に飛行し、翌日の朝8時に無事に三次試験の会場、トリックタワーに到着した。
残りの合格者は46人。原作だと飛行船の中でキルアが殺していた2人も生きているね。
試験開始早々、1人のロッククライマーが怪鳥のご飯になった後、俺たちは密集した5つの隠し扉を発見した。足元を円で確認してみると一つの部屋になっていて、間違いなく原作の『多数決の道』だと確信した。
今この場にいるのは、オレ、ゴン、キルア、レオリオ、クラピカ、メイ、レツ、幻海師匠、ぼたんちゃんの9人。
隠し扉を通れるのは5人だけ。残りの4人とは離ればなれになってしまう。
――本来なら。
「ゴンさん、ゴー!」
「はあっ!!」
ドゴォン!!
「よし、床に穴が開いた。みんな降りよう」
「さすがゴンさん! すげーじゃん!」
「ありがとうキルア」
「……なあクラピカ、いいのかこれ?」
「……我々は72時間以内に生きて下まで降りろ、としか言われていない。塔に穴を空けてはいけないなんてルールはどこにもないんだ」
「でもなあ、やっぱゴンさんはルール違反じゃねーか!?」
ゴンさんは脱法――合法なのでセーフ!
そんなわけで、ゴンさんが開けた穴から降りると小さな部屋になっていた。
『多数決の道』
『君たち5人はここからゴールまでの道のりを多数決で乗り越えなければならない』
「オレたち5人じゃないんだよなぁ……」
「全部で9人だね」
「え? 何言ってんだよ、ゴンさん。8人だろ?」
キルアたちにはぼたんちゃんが見えていない。念を覚えたら紹介するつもりだ。
それはともかく、8人の中から5人が代表になる必要がある。
「それじゃ、ここにある
「じゃあ俺も」「オレも」「俺も俺も」「では私もつけよう」
ガチャガチャガチャっと一瞬でタイマーの在庫がなくなった。もちろん男5人だ。こういう時に臆するメンバーがいないのは心強い。
「みんながんばれ~」
「これで僕たちも含めて一蓮托生だね……」
まあ、最強戦力の幻海師匠が応援組になってしまったけど。積極的に戦いたがる人じゃないからいいか。
そして最初の扉を開けるか開けないかの二択を迫られた後、左右選択の道を右に進み、闘技場のような空間に出た。
「ようやく来たか、待ちくたびれ――」
闘技場の向こう側にいる囚人たちの一人が俺たちを二度見する。
「おい! 人数が多くないか!? 五人と聞いていたのにどういうことだ!?」
うちのゴンさんが強すぎてすまない。
◇
「ま、まあいい! 我々は試練官! お前たちは1対1で我々5人と戦わなければならない! そしてお前たちは多数決、すなわち3勝しなければこの先に進むことはできない!」
リーダーっぽいハゲの人が試験の内容を教えてくれた。
戦い方は自由。引き分けはなし。片方が負けを認めれば残された片方が勝利となる。
「こちらの一番手はオレだ! さぁそちらも選ばれよ!」
「……戦い方が自由ということは裏を返せば何でもあり。何を仕掛けてくるかわからないということだ」
相手の出方が分からない。ならば一番手は毒見役。相手の出方を伺うための、言わば捨て駒……。
仲間のために自らを犠牲にする“覚悟”が必要になる……!
「ならば、こちらの一番手は――」
「ま、まいった! 頼む、殺さないでくれ……!」
「良かった。もう少しで殺しちゃうところだった」
勝者 ゴンさん!!!
さすがゴンさんだ! 楽勝だぜ!!
◇
二戦目。
ゴンさんの闘気に腰を抜かし、必死に命乞いをしたハゲが下がって、小柄な男が前に出てきた。
「へっ、あのハゲ、ゴンさんにビビり散らかしていやがったぜ。次に出てきた奴も全然強く見えないし、この試練も簡単にクリアできそうだな!」
「それなら次はレオリオがいく?」
「おう、任せろ! サクッと勝ってくらぁ!」
調子に乗ったレオリオが意気揚々と出ていったけど……。まあ、このままじゃ無理だろう。
「さあ、次の勝負なんだ! テメェと殴り合いか!?」
「いや、ぼくは体力に自信がなくってね。かわりに簡単なゲームを考えてきたよ」
「簡単なゲームぅ?」
なんだか反応が一々チンピラっぽいレオリオに、敵の試練官が二本のロウソクを突きつけた。
「二つのロウソクに同時に火をつけて、先に火が消えた方が負け。どうだい?」
「んー。まあいいぜ。そのゲームに付き合ってやるよ」
そして、レオリオはむざむざ敵の誘いに乗ってしまい、あっさりと罠にかかって敗れてしまったのだった。
◇
「すまねえ、みんな。俺が長い方のロウソクを選んでいれば……」
自分が選んだロウソクに仕掛けが施されていたから負けた、と落ち込むレオリオだけどそんな簡単な話ではない。相手は事前に4本のロウソクを準備していたので、長い方を選んでも短い方を選んでも、必ず手元に仕掛けの施されたロウソクが来るというイカサマゲームなのだ。
1勝1敗。先に進むのに、あと2勝が必要となる。
「よし、次は私は行こう」
そして問題の三戦目。クラピカvs試練官のデスマッチ。
「くくく、俺は旅団四天王の1人、マジタニ。負けを認めるなら今だぜ。今ならまだ俺様も……!?」
緋色の目。
世界七大美色の一つに数えられる美しい瞳が憤怒の緋色に染まる。
偽旅団のマジタニに切れたクラピカが、降参しかけたマジタニをぶちのめし、気絶させた。
◇
――そして、そのまま30分が経過した。
ヒマだなぁ……。
クラピカが倒したマジタニは死んでいなくて、気絶しただけ。だからデスマッチはまだ続行中。
レオリオに引導を渡してやれと言われて、クラピカは敗者にムチを打つような真似をしたくないと意地になるし。
そのまま気絶したマジタニを放置してしまったからやることがない。不毛な時間だ。
他の人間の目もあるから念も使えないしなぁ。
「バンちゃん、いけるよ!」
「え、思ったより早かったね。わかった、ありがとう」
「どういたしまして。さあ、敵はあと二人、がんばるんだよ!」
櫂から降りたぼたんちゃんに礼を言うと、俺は試練官に向かって声を上げた。
「おーい、ちょっといい? そこの人、もう死んでるんじゃない?」
「さっきも言ったでしょう。彼は気絶しているだけよ」
答えたのは若い女性の声。先ほども倒れたマジタニを診察して脈を確認していたから医術の心得がある。
「それって30分前の話でしょう? 打ちどころが悪くていつの間にか死んでいる可能性もあるし、そもそもそっちの言葉だけじゃ生きているって証拠にならないよ」
「それじゃ賭けましょうか」
釣れた!
「賭け……?」
「彼が『生きている』か『死んでいる』かで賭けをしましょう」
「一体何を賭けるのさ? お金なんかないよ?」
「『時間』よ」
来た!
「賭けで勝負。『時間』がチップ代わり。使える時間は50時間。そっちのチップが無くなればタワー脱出のリミットが50時間短くなる。私のチップがなくなれば刑期が50年長くなる。どう?」
「う~ん……」
「この勝負を受けてくれるなら、そこの彼の生死を確認させてあげるわ」
「慎重に考えろよ、バン。ここで負けたらいきなりタワー脱出の時間が50時間も消えるんだぞ」
「おい、えらそーにすんな、クラピカ! もとはと言えばお前がとどめを刺さないから悪いんじゃねーか」
レオリオとクラピカがいがみ合っている中で、俺は俺のために勝負を決めることにした。
「ルールに異論はないけど、一つだけ訂正してほしいな。そっちのチップ50時間がなくなったら君が欲しい」
「あら、そんなものでいいの? 具体的には?」
「俺がハンター試験に合格したら君を迎えに来るよ。試験官さーん! プロハンターってたしか囚人を雇用できるんだよねー?」
『プロのハンターならば可能だ。ハンター試験に合格すれば許可しよう』
監視カメラでこちらの様子を見ていた試験官が答えてくれた。これで問題なし!
「わかったわ、それではこの条件で勝負を始めましょう。最初の問題は私から。そこの彼は生きているか、死んでいるか。さあどっち?」
持ち時間はお互いに50時間。俺が最初に賭けるのは……。
「生きてる方に50時間!!」
オーラが見えてるから生きてるのは最初から分かってるんだ。ごめんね。