第四の壁を越えて   作:タカリ

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ゴルゴム(妖怪爺)の仕業か!

「それで、バンの情報源は?」

「詳しくは言わんかったが、まず間違いなくネテロ(妖怪爺)じゃな」

 

 シルバとゼノが二人で情報を整理していた。

 

「暗黒大陸進出を狙う3組。バンの父親のジン=フリークス、カキン帝国、そしてネテロの息子のビヨンド=ネテロ。特にビヨンドの存在は儂も初めて聞いたわ。あのジジイ、天涯孤独じゃなかったんかい」

「親父も知らないハンター協会トップの秘密を知っていたか……確かにその線が怪しいな」

「ああ。しかもそのビヨンドの協力者が十二支んの中に潜んでいる可能性があるので十二支んは動かせん。暗黒大陸を狙う大馬鹿者たちを止めるには『外』の協力者がいるときた」

「そこでネテロがバンに情報を与え、暗黒大陸の危険(ナニカ)を知る俺たちとを接触させた。……もしかして、バンはネテロの後継者に選ばれたのではないか?」

「かもしれんの。あのジジイもいつくたばってもおかしくない年じゃし」

 

 人類の暗黒大陸進出を長年止めていたネテロだが、自分の死と同時にビヨンドが動き出すことはわかっていた。

 ならば自分の死後にビヨンドを止める存在――ネテロの遺志を継ぐ者を用意してもおかしくない。ゼノとシルバはそう考えた。

 

 ――もちろん、バンは後継者でもなんでもないのでこの推測は大外れだが、二人は気がつかない。

 

 『バンがどこから情報を得たのか』を考えた時に、11歳の少年が自力で全て調べたと考えるよりも、地獄耳かつ事情通の、どこぞの妖怪爺が教えたと考える方が自然だった。

 

 人間は自分の常識と与えられた情報から推測を立てる生き物だ。『他の世界で死んでこの世界に転生した転生者』なんて存在(イレギュラー)を、二人が思いつくわけがなかったのだ。

 

 ◇

 

「くしゅん」

「会長。風邪ですか?」

「まさか。どこかで誰かが儂の噂でもしているんじゃろ。人気者は辛いのう」

 

 ◇

 

「バン、この子はアルカ。俺の妹」

「アルカです。お兄ちゃんの妹です」

「か、可愛い……!」

 

 キルアをお兄ちゃんって呼んでるからアルカの方だね。いやー、こういう可愛い妹が欲しかった。

 

「俺はバン。キルアの友達だよ。俺のこともお兄ちゃんと呼んでくれていいよ!」

「いや、お前いきなり何言ってんの?」

「なぜなら俺がお兄ちゃんだからだ!」

「ん……じゃあ、バンお兄ちゃん?」

 

 か、可愛い……!(2回目)。

 

「キルア、この子ちょうだい! 絶対に幸せにするからお願い!」

「やるわけねーだろ!! 女と見たら次から次に声をかけるような奴にはぜ~~~~~ったいにアルカはやらねー!!!」

 

 くっ、これがキルアのお兄ちゃん力か……。

 俺にも可愛い妹がいればきっと素敵なお兄様になれたのに……ガクッ。

 

「つーかゴンさんが弟なんだし、そっちでいいだろ! ゴンさんで我慢しとけよ!」

「ゴンさんはロマンだけど可愛くないだろ」

「お、おう……。まあそうかもな……」

「くすくす」

 

 俺とキルアのやり取りを見てアルカが笑っている。うーん、今まで周りにいなかったタイプだ。庇護欲をそそる感じ。

 キルアもハマるわけだ。純粋無垢な魔性の女ってやつだね。

 

「まあそれはともかく。親父とじいちゃんと話したけど、アルカは知る人ぞ知る『ゾルディック家の秘蔵の治癒師』ってことになったぜ」

「なるほどね」

「まあ、それでも狙う奴はいるだろうから護衛は外せないけど、……サンキューな。アルカが外に出られるようになったのも、全部バンのお陰だよ」

「俺は何もしてないけどね。まあ二人が幸せならいいことだと思うよ」

 

 アルカはゾルディック家に生まれた『天然物の治癒能力者』って扱いにするみたいだ。

 もちろん偽装工作だが、本当の能力にも「キルアのお願い以外は聞かない」という制限をつけられたんだろう。これからはナニカの力を治療行為のみに限定することで、二度と物騒なおねだりがされることはなくなる。

 これらの理由からシルバさんたちは『制御可能』だと判断したんだろう。『命令』には気がついていない。

 

「それで、この後ゴンさんたちに合流する予定だっただろ? アルカも一緒に連れていきたいんだけど、いいか?」

「もちろん大歓迎だよ! 美少女ハンターとして可愛い女の子が仲間になるのを断るわけがないじゃない! アルカちゃんもなにか困ったことがあったら何でも俺に言ってね!」

「ありがとう、バンお兄ちゃん!」

「……こんなんでもハンターになれるんだから世も末だぜ」

 

 ちなみに同行者はアルカだけでなく、ツボネとアマネ、更にカナリアとカルトまで同行することになった。

 

「ほら、どうだバン。こんなガミガミババアが一緒じゃさすがに嬉しくないだろ。ん?」

「キルアちゃん! だーれがガミガミババアですって?」

「そんなのツボネに決まってんだろ! 孫(アマネ)もいるんだからババアだろ!!」

 

 うーん、一理ある!

 ところでゾルディック家の執事は恋愛禁止だった気がするけど、どうして孫がいるのか気になる。今度聞いてみよう。

 まあ、それはともかく。

 

「ツボネさん、はじめまして! 突然だけど若返りって興味あります?」

「バン!?!?!?!? 若返りって……正気かよ!?」

 

 グリードアイランドの指定ポケットに若返りの薬があるし、俺は年上でも一向に構わん……!!

 

 カナリアはキルアラブっぽいから見守るつもりだけど、ツボネとアマネをゾルディック家から出向扱いで引き込みたいな~。でもさすがに当主(シルバ)直属だと厳しいか。

 

 カルトちゃんは原作だと旅団(クモ)に入団していたけど、今回は俺たちに同行するらしい。そういえばカルトからアルカに向かって『嫉妬』って矢印があった気がする。

 カルトちゃん、お兄さん(キルア)と一緒にお出かけしたかったのかな……。

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