第四の壁を越えて   作:タカリ

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婚約者復活!

「どうしたのバッテラ? そんな顔をして……それになんだか今日は若々しいわね」

「おおおおおおぉぉぉぉ……」

 

 20歳どころか30歳くらい若返ったバッテラ氏が顔中から液体を溢れさせながら婚約者さんを抱きしめた。

 彼女の治療に関しては霊光波動拳でも治療できそうだったが、10年以上の闘病生活で落ちた身体能力のことを考え、アルカの能力で健康にしてもらうのが一番負担が少ないだろうという結論になった。

 当然、ゾルディック家にも事前に連絡が入っていて、ナニカの能力を使うことや治療費についても相談済みだ。

 

 そうした様々な奇跡のお陰で、バッテラ氏と婚約者さんは無事に再会できた。あと一年遅かったら死んでいたけど、ちゃんと間に合ったんだ。

 

「うう……いい話だわさ……」

「私もちょっとウルっと来ちゃったわ……。二人のためにお祝いの料理を作ってあげたい気分ね」

 

 誰かの幸せを自分のことのように一緒に喜べる。

 ビスケもメンチも良い人たちだよね。

 

 まあ、ただの良い人じゃなくてアレなところもあるけど。

 ゴンとキルアの友情をぶっ壊そうとしたり、二次試験でブチ切れて滅茶苦茶にしたり、癖の強さもご愛敬だろう。……ご愛敬ですむかなぁ? まあいいや。

 

「それじゃあマッサージをするからこちらへどうぞ~」

 

 感動の再会の後、婚約者さんが老けた自分の姿に気がつく前に、ビスケがマッサージに誘導する。

 婚約者さんはナニカの力で健康になったけど、老化はそのままだ。10歳以上も昏睡状態だったと知ったらショックだろうからね。

 ビスケのマッサージで身も心もリフレッシュして、若々しい姿を取り戻した状態なら少しはショックも和らぐだろう。

 

「君たちには本当になんとお礼を言ったらいいか……。ありがとう……本当にありがとう……」

 

 婚約者さんを治療したアルカやキルア、俺やメンチに対して何度も何度も、涙を流しながら頭を下げるバッテラ氏。長い苦労がようやく報われたんだ。いろいろと箍が緩んでいるんだろう。

 良かったね、バッテラさん。

 

 ◇

 

「さて、それじゃあ報酬を分けるわよ!」

 

 目がお金マークになっているビスケがさっそくバッテラ氏からの『お礼』を分けようと言い出した。

 現金や有価証券、不動産、美術品の類にバッテラ氏が集めていたグリードアイランドまで。

 自分たちにはもう必要ないからと、俺たちに全部渡すとバッテラ氏は言ったんだよね。

 

 元々恋人と一緒になるために財産を全部処分しようとしていた人だから、愛しい恋人と若い体さえあれば他には何も要らないんだろう。

 

「バッテラさんの個人資産は現金のみで4000億以上。それ以外にも不動産なども多数持っているし、あのグリードアイランドもなんと25本も持っている! これをどう分けるかって話ね!」

 

 9月のオークションに出品される分を除いても25本のG・Iがある。一本100億くらいするので、これだけで2000億以上の価値があるって換算だ。

 ただ、ほとんどのソフトは起動状態で今も内部でプレイしている人がいるから、そこはちょっと困りもの。マルチタップだと8人までゲームに参加できるから結構生き残ってるんだよ……。

 

「あ、私とブハラはゲームプレイだけさせてもらえればいいわ。今回の話を持ってきたのはバンくんだし、治療にもノータッチなのに報酬まで受け取れないわよ」

「あら、いいの? 最初にバッテラさんと交渉をしていたのはメンチでしょ?」

「ええ。だから仕事分としてゲーム内で珍しい食材を味わえれば文句なしよ」

 

 メンチは報酬を辞退したけど、クリア後にゲームソフト1本くらいはプレゼントしたいよね。ブハラもいるから2本かな?

 

「ゾルディック家はもうバッテラのおっさんから治療費を貰ってるからいらねーよ。報酬の二重取りになっちまう」

「欲がないわね~。それじゃ残りはあたしとバンが貰っちゃうわさ」

「ビスケは何がほしい? 当然宝石は全部ビスケがほしいでしょ?」

「もちろんだわさ~! あんた、よーくわかってるじゃない! 本当にいい子ねぇ!」

 

 バッテラ氏の所有の美術品リストから目ぼしい宝石を選びながら涎と笑いが止まらない様子のビスケ。これで好感度が上がるなら安いものだ。現金などでこっちが多く貰うから損しているわけでもないからね。

 

「メンチさんとキルアも一緒に不動産リスト見ようよ。美味しい食材が採れる場所とか、観光地の滞在先に使える物件とかあると便利でしょ。アルカちゃんもいろんな場所を旅行してみたいよね?」

「うん! いろんな国で、いーっぱいいろんなものを見てみたい!」

「それじゃあどんな建物があるのか一緒に見ようか?」

「見るー!」

 

 選挙編後にキルアとアルカは二人で世界中を旅していたみたいだけど、あの部屋になかったものをたくさん見て回ったんだろう。

 俺が物件を一緒に見ようと誘うとアルカが乗り気になってくれて、それにつられてキルアとメンチも一緒に物件リストを物色した。

 

「シャークネード島の特産品は夏に現れるシャーククラブの料理ね。どんな方法で保管してもすぐに肉が臭くなるから、この時期にこの場所に行かないと食べられないの。でも一口食べただけで口の中に旨味が――」

「あ、俺の収納(プール)なら肉をずっと新鮮な状態で保存できるから、そのシャーククラブの肉もずっと美味しい状態で保存できるよ」

「バンくん、やっぱり今から私の弟子になりましょう!」

 

 という感じで、楽しく物件リストを見ることができた。

 

 ◇

 

「まあ、報酬の仕分けはこの辺で一旦置いておいて。バッテラさんと婚約者さんのことだけど、ビスケに指導を任せるね」

「わかってるだわさ! 他のひよっこたちと一緒にこのビスケ様がビシバシ鍛えてやるだわさ!」

 

 楽しい時間は終わり、今度は真面目な話。バッテラ氏と婚約者の今後についてだ。

 念による『攻撃』によって念に目覚める『外法』があるが、正確には『治療』もこの『攻撃』の範疇に含まれる。

 ナニカの能力で回復した婚約者さんはもちろん、ビスケのマッサージを受けたバッテラ氏も念に目覚めやすい状態になっている。そんな二人をこのまま放り出して問題が起きたら大変だ。だから専門家の指導が必要なのだ。

 

「まあ、バッテラさんと婚約者さんは一年以上かけてゆっくりと身につけることにして、他の子たちはさっさと鍛えてグリードアイランドに行くだわさ!」

「私もアニタを鍛え直すつもりだったし、いい機会だから念を覚えさせようかしら」

 

 受講者:俺、ゴンさん、クラピカ、レオリオ、キルア、メイ、レツ、ポンズ、スパー、レルート、カルト、カナリア、アマネ、アニタ、バッテラ、婚約者。

 

 指導者:ビスケ、メンチ、幻海。

 

 応援:ぼたん、アルカ、ツボネ、ブハラ。

 

 総勢23名の大強化合宿が始まる……!

 

 ◇

 

 ちなみにポックルとボドロは数日前にオーラの枯渇から回復したので、ホームコードだけ交換して別れている。

 二人とも纏を使えるようになっているけど、そのうちネテロ会長が心源流の師範代を送ってちゃんと四大行を教えるだろう。

 裏試験の存在もあるし、ハンター試験の合格者の前に念の師匠(ウイングさんやイズナビたち)が都合よく現れるの、どうもネテロ会長の仕込みっぽいんだよなぁ……。

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