第四の壁を越えて   作:タカリ

52 / 54
よく遊び、よく食べて、よく休む。

 ◇よく遊び◇

 

「しっかり体を休めたら次は鬼ごっこの時間! さあ、あたしたちから逃げてみるだわさ!!」

 

「逃げるぞゴンさん、バン! (ババア)たちが追いかけてくるぞ!!」

「誰がババアだわさ!」

「私は21歳だっつーの! ぶっ殺す!!」

「うわあああああ!?」

 

 憎まれ口を叩いたキルアがビスケ、メンチの二人に追いかけられて必死に逃亡する。

 ゴンさんとバンは尊い犠牲に感謝しながら逆方向に逃げ、幻海は見た目は若返ったが今更ババア呼ばわりで怒るような年でもなかったので他の受講生を追いかけていった。

 

「げえっ! 幻海のねーちゃんがこっち来やがった! みんな逃げるぞ!」

「いやああ! レオリオさん、お願い助けて! 捕まっちゃう!!」

「ふっ、レルートさんの頼みとあっちゃ仕方ねえ。先に行きな! ここは俺が食い止め――げぼっ!」

「レオリオー!? くっ、レオリオの仇――うっ……」

「ああもう! あのヒゲグラサンもブチ切れ金髪坊やも、足止めにもならないじゃない!!」

 

 鬼に捕まった場合、逃亡者が全員捕まるまでずっと筋トレをし続ける罰ゲームが待っている。

 逃亡者が上手に逃げれば逃げるほど逮捕された者たちの苦しみが増すという恐ろしい特訓であり、最後の一人になるまで逃げ続けた者だけは罰ゲームを回避できるのだった。

 

 なお、だいたい毎回最後まで残るのはバンとゴンさんである。

 小さい頃から二人でかくれんぼをして遊んでいたこともあって鬼ごっこも非常に得意なのだ。

 二人を捕まえるために鬼も三人がかりで挑む必要があり、白熱した勝負になっている。

 

 

 ◇よく食べて◇

 

「いい? 運動したらご飯を食べる! 頭を使ったらご飯を食べる! オーラが枯渇したらご飯を食べる! 体を酷使するだけじゃ力はつかない! たっぷり食べてしっかりと血肉に変えなさい!!」

 

 美食ハンターであり超一流の料理人であるメンチ。

 彼女の念は放出系。その名も『食の再生屋(グルメリバイバー)』。

 

 調理する時にオーラを込めることで食材の鮮度が最も美味しい瞬間まで蘇り、出来上がった料理の味や消化効率が上がるだけではなく、『食事バフ』を与えることができるという能力だ。

 『一流の料理人の技術』と『最高に美味しいものを食べたい』という思いが組み合わさったメンチらしい念能力だろう。

 

 メンチが作れる料理は『力が出る食事』や『頑丈になる食事』など食材と調理方法の組み合わせで様々な効果が現れるが、この合宿中に出されるのはスペシャル特訓メニュー。『修行の成長率が上がる食事』となっている。

 強化系の能力に『対象の成長を促す』という能力があるが、メンチの料理もそれに近い。放出系の隣が強化系なので相性もいい。

 

「メンチさん、おかわり! ローストビーフ丼大盛りで!」

「はいよ! 他におかわりが欲しい人は?」

「「「おかわり!!!」」」

 

 バッテラ氏の伝手とお金で世界中から集めた食材たち、今回は巨大翼竜アシュラサウルスのローストビーフに黄金に輝くET米という鉄板の組み合わせだ。

 

「こんな美味い料理、オレのうちでも食ったことねーよ!」

「ふおおおお、体中にエネルギーが行き渡るみたいだぜ!」

 

 一口食べるごとに味と共にオーラが体中に広がるのを感じる。

 食材に秘められた力が疲れてエネルギー切れになった細胞の一つ一つに直接届けられるかのようだ。

 

「明らかに私の胃袋の容量以上の食事を食べているのにまだ食べられるだと……! これが、念の力……!」

「消化効率が上がっているから食べたはしから消化吸収が始まるけど、食べ過ぎると余ったエネルギーが脂肪になるから食べ過ぎ注意。気をつけないとデブ(ブハラ)になるわよ」

「つまり俺がデブなのはメンチの料理が美味しすぎるせいってこと」

「人のせいにすんな! あんたが食い意地はってるだけでしょうが!!」

 

 これだけの美食に舌を飼い慣らされた者たちが合宿終了後にどうなってしまうのか。

 やがて訪れる未来を誰も気がつかないまま、彼らは目の前に出された美食に舌鼓を打つのだった。

 

 

 ◇よく休む◇

 

「よし、食事が終わった者から休憩に入るだわさ! 人数が多いからちゃちゃっといくわよ!」

 

 修行の仕上げはビスケの『桃色吐息(ピアノマッサージ)』。

 30分の休息で8時間睡眠と同じ効果が得られる魔法のマッサージだ。

 

 ビスケのオーラがローションに変化して細胞に染みこむように揉み塗られる。

 激しい訓練による疲弊と、美味しい食事による栄養補給と、マッサージによる急激な回復。

 

 全てが噛み合うことで全身の細胞がレベルアップしたかのように性能を上げていく。

 更に強靭になり、今までよりも多くのオーラを生み出し、疲れにくくなりながら、けれど回復速度は上昇する。

 

 幻海も、ビスケも、メンチも、誰も想像すらしていなかった念能力のシナジーによって、一か月の短い時間で彼らは見違えるほどに成長するのだった。

 

 ◇

 

「よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。これが亀仙流の修行じゃ」

「ん? バン、なにか言った?」

「いや、何でもないよ。ゴンさん」

 

 悟空が子供体型から八頭身の大人体型になったのはビックリしたなぁ。

 この一か月でゴンさんの身長も更に伸びているし、やっぱり武天老師様の教えは偉大だね。




ゴンさん(成長期)。更に成長する。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。