第四の壁を越えて   作:タカリ

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映画のオモカゲの能力が強すぎたので、殺したレツの念を奪って強制ジョイントみたいなことやってるんじゃないかなぁと考えている。そのくらい能力が強すぎる……。

ちなみに実際の剥製を作る場合、毛皮などに本物を使うけど眼は人工義眼を入れるのが一般的。
眼球の保存はとても難しい。


神の人形師

『眼が人形で一番大事というのは共感する。眼のクオリティが人形全体の出来栄えを左右すると言ってもいい。だからこそ眼を自分で作るのではなく人間の眼を人形に入れるなんて真似が許せなかった。後悔も反省もしていない』

 

 などと犯人(バン)は供述しており――。

 

 ◇

 

 念能力は精神の力。

 

「わたしは、わたしは神の人形師……にんぎょうしなんだぁぁぁ……」

 

 バンの言葉によって精神の根幹を破壊されたオモカゲは、レツの眼(念)を再度奪うどころではなく、念能力の全てが最弱レベルまで落ちてしまった。基本の纏ですら安定性を保てず綻びを生じてオーラが漏れ出てしまうほどだ。

 

「あ、あれが同胞の仇、幻影旅団のメンバーだというのか……」

 

 一戦も交えずに敵が無力化されたことにクラピカも打ちひしがれていた。同胞の、両親の仇である幻影旅団。世界中に名を轟かせるA級賞金首であり世界トップクラスの念能力者集団。

 『敵はこうあるべき』というイメージが破壊され、空回った復讐心がただ虚しさだけを吐き出していた。

 

「ねえバン◆ クロロの人形とヤらせてくれるって聞いたから楽しみにしていたんだけどな?♣」

「まあこういうこともある」

 

 隠れてスタンバっていたヒソカも呆れ果ててバンに文句を言い出す始末。

 念の体を得てプールから出てきたというのに準備運動にもなりゃしない。

 

「やれやれ♠ とりあえず天空闘技場にでも顔を出そうかな♥」

「旅団から連絡があったらよろしくー」

 

 旅団はまだヒソカの死を知らない。何食わぬ顔をして天空闘技場で遊んでいれば旅団から伝言が入るだろう。

 

「拠点の中を探索してきたけど何にもなかったぜ」

「旅団の人形もないけど、どこかに隠しているのかな?」

 

 キルアやゴンたちは拠点内部を探索していたが、成果はなかった。

 オモカゲは人形たちを具現化能力で作っていたので、普段は能力を解除し必要な時だけ具現化するようにしていた。

 そしてレツと『レツ』が出会った時はどの人形も具現化しておらず、『神の人形師』の能力を失った影響で人形を出すこともできなくなった。

 オモカゲが集めた団員たちの人形はオモカゲの能力と共に失われたのだ。

 

「レツちゃんの人形だけあるけど、眼がないのは怖いから義眼を入れようかな。それとも瞼を閉じた眠り姫の方がいいかな?」

 

 ただ一体だけ、具現化してあった『レツ』の人形だけは動かない人形として残っていた。

 目がないこと以外はレツそっくりの人形。これがオモカゲの最後の人形となる。

 メイは着せ替え人形にしてプールの中に飾ろうと考えていた。

 

「まあ、みんな無事に終わったならいっか」

 

 レツも拍子抜けしたのは否めないが、オモカゲを止めることはできたし、自分の生来の念系統も戻ってきた。これ以上何を望むというのか。いいや、望むものなどありはしない。

 また修行の日々だなーと考えたレツの側に、オモカゲが立った。

 

「レツ」

「兄さん」

 

 真っ赤に血走った眼がレツを見つめる。

 レツは狂気を孕んでいたオモカゲの両目を、全然綺麗じゃないな、と思った。

 

「神の人形師だ……」

「もうボクの眼はあげないよ。兄さんには負けないし、眼を奪うことは許さない」

「いいや……神の人形師だ……! 神の人形師なんだ……!」

 

(兄さん……。こんなになっても、まだあなたの執念は消えていないんだね……)

 妄執に取りつかれて変わり果ててしまった兄は、力を失っても元に戻ることはなかった。

 

「レツ! お前が、新たな『神の人形師』になるんだ……!!」

 

「兄さん!? これは――!」

 

 先ほどの『レツ』の人形の時と同じ感覚。

 オモカゲとレツの間に繋がりが生まれ、ナニカがレツに向かって注がれていく。

 

 それはオモカゲの()

 人形師として、念能力者として、これまでオモカゲが培ってきた全て。

 

「やめて! 兄さん――兄さん!!」

 

 振りほどくことはできるが、その場合に兄の魂はどこに行くのか。

 元の体に戻るのならばいい。だが、もしも途切れてしまった繋がりから全ての魂が出て行ってしまえば――オモカゲの魂はただ霧散して消えるだけ。

 そう直感してしまったレツは、だからこそオモカゲの最期の念を拒めなかった。

 

「……」

「兄さん……」

 

 レツの目の前にあるのはただの抜け殻。肉の体はまだ心臓が動いているし、肺も呼吸をしているが、それ以外は何の反応もない。

 あれほど狂気に満ちていた瞳は空虚に、悲しげなレツの顔を無感動に映していた。

 

「兄さんはいつもそうだよね。勝手に思い詰めて、勝手に暴走して。あの時も……そして今も……」

 

 戻ってきたレツの念と、オモカゲから受け継いでしまった念。

 二つの念がレツの中に宿り、『神の人形師』が再びここに誕生した。――誕生してしまった。

 

「だから、ボクも兄さんみたいに勝手にするから。ずっとボクの側に……永遠の人形として側にいてもらうから……」

 

 レツの意志を受けて、『レツ』が立ち上がる。

 人形はしっかりとした歩みでオモカゲの肉体に近寄ると、そのまま影の中に沈んでいく。

 そして、影から無数の腕が生えて、オモカゲの肉体を飲み込んだ。

 

神の影依人形(エルシャドール)

 

 オモカゲの肉体が影に沈み切ったあと、再び『オモカゲ』が姿を現した。

 眼に光が戻った意思が宿った眼差しでレツを見つめた。

 

「私はレツの側にいよう。レツが望む限り、永遠に――」

「……うん。よろしくね、兄さん」

 

 オモカゲの記憶を、人格を、能力を、全てを写し取った人形(オモカゲ)がレツに寄り添った。

 

 人形と融合したオモカゲは、もはや老いることも病気になることもない。

 死者(レツ)人形(オモカゲ)。人形師の兄妹はこうして永遠の道を歩き始めたのだった。




神の影依人形(エルシャドール)

俤人(ソウルドール)がレツの能力となったことで変化した能力。
・対象の影に人形を入れることで外見、記憶、人格、能力などの全てをコピーした人形に変化する。レツの命令に全て従う。ちゃんと眼もあるので外見はそっくり。戦闘力は本人より少し低い程度。
・本人、本人の死体、死者の念(死霊)と融合することで本人と同等の戦闘力を発揮する。
・生きたまま融合した人間は、人形として永遠に生き続ける。
・レツが能力を解除すれば融合解除もできる。


俤人(ソウルドール)との変更点

 ・ソウルドールは記憶から人形を作れる。キルアの記憶からイルミの人形を作ることも可能。
 ・エルシャドールは対象そっくりの人形を作る。対象がキルアならキルアの人形しか作れない。その代わりソウルドールよりも強い。

 ・ソウルドールは眼を奪えばいいだけだが、エルシャドールは本人と融合する必要がある。

 シャドールフュージョン!!
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