第四の壁を越えて   作:タカリ

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歩き始める者たち

 オモカゲ討伐(?)終了後、ツェズゲラと別れて帰路についた。原作だとゴンたちの半年前からG・Iをプレイしていたんだけど、どうやらバッテラ氏がツェズゲラさんを雇う前に婚約者を治療しちゃったみたいで未契約だったんだよね。

 それでもツェズゲラとの伝手は作ってあったので、オモカゲの捜索と監視を依頼したってわけだ。約一か月の捜索期間で報酬は5億。捜索範囲が広いのと元旅団相手の監視ということで報酬を高めに設定したけど、結果としては大満足だろう。

 

「レツの新しい能力、依り代に使う人形の製作速度はどんな感じなの?」

「一か月に一体は作れそうかな? 普通ならもっと時間かかるけど、ボクの場合は兄さんがいるからそのくらいでできると思う」

 

 レツの能力は『実際の人形を元に』『具現化能力でコピー人形に作り替える』という制約になっている。ヒンリギの『てのひらを太陽に(バイオハザード)』のように『元々存在する物体を作り替える』というのも具現化能力の範疇に入る。

 

「人形はボクが作った人形でも兄さんが作った人形でもどっちでも使用可能。ただ他の人が作った人形はダメ。それと適当に作ったものでもダメ」

「そのくらいの制約はあるだろうね」

 

 その制約がないと、街の玩具屋で買ってきた1000ジェニーくらいの人形を依り代にしたゴンさん人形100体とかできてしまう。メタルクウラ100体セットみたいなノリで増やせたらヤバすぎる。

 

「まあそれでも一か月に一体って早いよね。旅団メンバー12人セットを作るのに一年で足りるし」

「今の兄さんは人形だから。不眠不休で年中無休で働いてくれるお陰だよ」

「アッハイ」

 

 レツがブラック経営者になっていた……。いつの間に……。

 

「依り代人形を作るのに念も発も要らないし、今の兄さんにはピッタリだよね。それで、バンのプールの中に作業所を作ってもいいかな?」

「どうぞどうぞ」

 

 こうして俺のプールの一室がオモカゲ人形工場になったのだった。放置しておくと毎月一体の依り代人形を生産してくれる素敵な施設だ。

 最後まで勝手をした兄に対するレツの怒りが解けるまで、オモカゲはひたすら人形を作り続けるのだろう。

 

 ◇

 

「幻影旅団が流星街の出身、さらにクルタ族の里の虐殺にマフィアの関与の可能性だと……」

「団長のクロロの人形がなくなっちゃったから情報源として精度は低いんだけど、オモカゲがそんな感じの話を聞いたらしいよ」

 

 旅団人形を全部捕獲して情報源にできていたら良かったんだけど、オモカゲの能力の消失と一緒に旅団人形の具現化もできなくなってしまった。

 そこで代わりにオモカゲ(人形)に聞きだしたところ、少しだけ心当たりがあったというわけだ。

 

「クラピカの同胞を襲った事件、幻影旅団の気まぐれの襲撃ってわけじゃなくてもっと根が深い問題なのかもしれないよ」

「そうか……。情報感謝する」

「それで、どんな発にするか、構想は固まった?」

「ああ。だが、今の話を聞いたら少し考えを改める必要がありそうだ」

 

 クラピカが考えていた能力は原作と同じ4つ。

 『癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)

 『束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)

 『導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)

 『律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)

 

 それぞれの能力や制約も原作そのままに作ろうとしていた。

 だが、クルタ族の襲撃に幻影旅団以外の人間が関与している可能性があるとすると、中指の鎖を『幻影旅団のみ』にしてしまうのは少々都合が悪い。

 幻影旅団と手を組んでいた連中が見つかっても、そいつら相手に使えないという大きなデメリットが生まれてしまう。

 

「制約をちょっと変えるしかないんじゃないかな。『クルタ族の里の襲撃に関与していた人間のみ』とか」

「私もそれを考えたんだが、そうすると鎖の強度が不安でな。特に強化系の大男――ウボォーギンは抑えこもうとしても鎖を砕かれるのではないかと思う」

「『対象の増加』はそのまま『念の威力の分散』につながるか。難しいね」

 

 今まで幻影旅団だけに向けられていた念が、他の連中にも分散してしまった。精神力が大きく関係する念能力でこれは大きなマイナスだ。

 

「中指の鎖を使う前にもう一つ制約をつけてみるとかどう? 薬指で『襲撃の関係者だと確認する』。中指は『関係者だと確認できた相手にしか使えない』。手間を一つ挟むことで『標的が定まる』」

「なるほど、『標的の指定』という手順が制約であると同時に、『念の標的(ターゲット)』としてより強固に念を使えるようになるのか」

 

 呪いなどと同じだ。呪いをかける相手をしっかりと認識し、『この相手に呪いをかける』と標的を定めることで呪いは強まる。

 漠然とした『同胞の仇』ではなく『目の前にいる仇』を認識することで中指の鎖は更なる力を得るんだ。

 

「あとは対象が襲撃事件の関係者かどうかの確認方法だけど、ダウジングでなんとかならない? 写真を用意して『こいつは私の仇か?』とかさ」

「それで調べられるのか……?」

「いけるいける。とりあえずオモカゲの写真を用意して後で練習してみよう」

「ううむ……」

 

 『絶対時間(エンペラータイム)』とダウジングチェーンのコンボが原作でもかなり強かったからなぁ。ネオンの写真から居場所を特定できるんだし、写真から仇を見つけられる可能性もゼロじゃないと思う。

 まあ無理そうだったらその時は諦めよう。

 

「あ、あと緋の眼が便利なのはわかるけど、使いすぎるとあっという間に死ぬから気をつけなよ」

「……そうか。だが同胞の仇を討つためならこの身がどうなろうと構わん」

「使うなとは言わないよ。凄い強力な能力だから。でも使うなら短時間にした方がいい。緋の眼状態のまま長時間過ごす可能性がある能力は避けた方がいいってアドバイス」

 

 残っている人差し指の能力に何を作るかまだわからないけど。

 

「仇を討つ前にクラピカの寿命が尽きて死ぬのは本意ではないでしょう?」

「……忠告、確かに受け取った。ありがとう、バン」

 

 どういう形であれ、クラピカが満足した死を迎えられることをただ祈るだけだ。

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