第四の壁を越えて   作:タカリ

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戦いはまず情報戦から

 はい、G・Iログイン早々、初心者狩り狩り中のバンです。

 

 このゲームには『衝突(コリジョン)』というスペルカードがあって、『会ったことのないプレイヤーがいる場所に飛ぶ』という効果がある。つまりゲーム内のログインしたばかりの初心者と遭遇するのにうってつけのスペルだ。

 もちろん、このカードの対策アイテムもあって、指定ポケットナンバー087『信念の楯』を持っていれば『衝突』は避けられる。

 ハメ組の拠点もこの楯を使って他のプレイヤーたちから守っているんだろう。

 

 で、G・Iに全員がログインして、監視の視線を感じる方向(=プレイヤーがいる方向)に進もうとしたところで、『衝突』で飛んでくるプレイヤーの姿を確認した。

 こちらに接近してくる気配を感じた瞬間に絶を使い、他のみんなに紛れながら相手の視界からこっそり外れる。

 

「キシキシ。今回は随分と多いなァ~」

「なんだよアンタ、プレイヤーか?」

「ん~、どうかな~?」

 

 特徴的な笑い声をしたラッパーみたいな恰好のプレイヤーが(ブック)を取り出し、スペルカードを本にセットした。

 使っているのは盗視(スティール)のカード。俺は一連の様子を背後から覗き込んで見ていた。ほうほう。フリーポケットにいろいろ貯めこんでるじゃん。スペルカードもいっぱい持っているね。

 

「ん~、初心者だしこれで十分だな。『追跡(トレース)』オン! キルアを攻げ――「貰っちゃうね」――き!? 誰だ!?」

 

 背後から手を伸ばして呪文発動の直前でカードを奪い取った。

 慌てて後ろを振り返ろうとしたけど遅い遅い。

 

「誰もいない……!?」

「後ろだよ」

「!?」

 トンッ。

 

 相手が振り返る動きに合わせて背後に回り込むという、一度やってみたかったオサレムーブを披露した後、ハンター名物首トンで気絶させた。残念ながら手刀を見逃さないおじさんはいないけど、今のはなかなか格好良かったんじゃないだろうか。

 

「みんなー! この人カードいっぱい持ってるし、いろいろ情報持っていそうだから話を聞いてみようよ!」

 

 早速ブックの中を漁ってみたらなんと指定ポケットカードを7枚も持っていた。Bランクばっかりだけどそこそこ頑張っている。

 原作のキルアが「このゲームでまともにプレイできているのは30組に満たない」って推測をしていたけど、この人は初心者プレイヤーを食い物にしながら一生懸命コツコツ集めていたんだろう……。まあ遠慮なく全部貰うね。

 

 ◇

 

 その後、近くの懸賞都市アントキバに彼を運び、ホテルの一室を借りてじっくりと尋問した。

 このゲームの基本的なシステム、知っているとお得な裏技情報、そして『ハメ組』と『爆弾魔(ボマー)』の存在まで。こっちが水を向けると立て板に水とばかりにペラペラお話ししてくれて助かった。どうやらゲームのルールは原作と変わらないようだね。

 

「それじゃ、ある程度情報は揃ったけど、みんなはどう動く?」

 

 初心者狩りに『再来(リターン)』を一枚渡して解放すると、改めてそれぞれの目標について確認した。

 

「俺はジンが作ったこのゲームを遊びたい! そしてちゃんとクリアしたい!」

「オレやアルカも同じ気持ち。折角のゲームだし、思い切り楽しみたいな」

 

 ゴンさんとゾルディック組は原作通りにゲームをしたい。

 

「あたしはもちろんブループラネットを探す! けど、正直ゲームのことはよくわかんないのだわさ」

 

 ビスケちゃん57歳は目的の宝石をゲットするのが目標だけど、一人じゃよく分からないので誰かと一緒に行動したい。

 

「私はもちろん珍しい食材集めよ! この島の全てを味わい尽くしてやるわ!」

 

 メンチ組は食材目当て。この島の三大珍味『ガルガイダー』みたいなのを狙うんだろう。見た目は気持ち悪い魚だけど味はとても美味しいらしい。

 

「それで、バンはどうするの?」

「俺はハメ組に参加しようかな」

「ええー! ハメ組に!? なんで!」

 

 ハメ組はスペルカードを独占して最後はスペルの力で全部奪って集めるという考え方だ。

 純粋にゲームを楽しんでカードを集めようと考えているゴンさんは気に入らないらしい。

 

「俺はジンが作ったゲームで長い時間かけて仲間を集めて、真剣に戦略を立てて攻略しようとする人たちを見てみたいんだよ」

 

 ハメ組の最初の10人がチームを結成したのは5年前以上だ。

 戦闘が苦手なプレイヤーが集まっていたということもあってか、暴力を使わずにスペルカードの力でカードを集める方法を考え、もうすぐ目標を実現しそうになっている。

 

「ゴンさんは彼らのことを気に入らないって言うけどさ。さっきの初心者狩りのプレイヤーも含めてみんなが真剣に争っている。途中で挫折して諦めてる連中なんかよりも、よっぽど『このゲームを楽しんでいる』。そうだろう?」

「……そっか。それも一つの楽しみ方なんだ」

「もちろん、ボマーみたいな無差別に殺しをするような連中は話は別だけどね」

「うん! 俺もボマーは許せないよ!」

 

 ゴンさんも納得したので、俺はハメ組と接触してみることにした。

 

 ◇

 

 結果としてグループ分けは3つ。

 

 ①自力探索:ゴンさんグループ ゴンさん+ゾルディック家+クラピカ・レオリオ:9人

 (ゴンさん・キルア・アルカ・カルト・カナリア・ツボネ・アマネ・クラピカ・レオリオ)

 

 ②ハメ組合流:バングループ バン組+弟子+ビスケ:9人

 (バン・メイ・レツ・幻海・ぼたん・ポンズ・スパー・レルート・ビスケ)

 

 ③食材探し:メンチグループ メンチ+ブハラ+アニタ:3人

 

 メンチグループは俺やゴンさんと連絡を取り合って、合流できそうな方と合流する。カード集めのために島中を探索する必要があるのからね。

 プレイヤーを狙った無差別殺人犯がいるんだし、メンチとブハラはともかく、アニタの安全を考えると大勢で動いた方がいい。

 

 本当は俺もメンチと一緒に行動したいんだけど、ハメ組の方の予定がどうなるか読めないからなぁ。原作の半年前だけど、仲間の人数は少なくとも30~40人はいるはず。

 もしも面倒くさい雑用なんかを頼まれるなら、ちょっとニッケス(リーダー)とお話しようかな。

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