エドラズワースの探求師 ~かくしてロリ勇者率いる貧弱パーティは、秘宝を求め進軍を開始した~   作:霞弥佳

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エドラズワース大深墓

 エドラズワースの深墓には、至高の秘宝が眠っている。

 

 各地の迷宮(ダンジョン)で発見されたあらゆる財宝、あらゆる資源、あらゆる矛盾遺物(オーパーツ)をかき集めたとしても、その秘宝の持つ神秘には及ばない。

 

 かつて栄華を誇った亡国の、地の底深くに広がる巨大地下墓で目覚めを待つのは、神代の時世に眠りについた、旧き国のまこと気高き貴人の遺産。

 

『久遠の花嫁』と称される財宝が、今なお伴侶を待ち続けているという。

 

 しかしそれが果たして、その名の通りに古代人の木乃伊(ミイラ)を示すのか、それとも単なる修辞にすぎないかは、全てが謎に包まれていた。

 

 かずかずの民話や伝承にのみ存在が示唆される『久遠の花嫁』とは、いったいいかなる秘宝なのか。

 

 未だ神秘のヴェールをまとったままの花嫁は多くの夢追い人たちに憧憬を抱かせ、無謀な冒険へと駆り立てた。

 

 長年誰もが乞い焦がれ、想い惹かれるのであれば、それはどんな財宝よりも価値あるものに違いない、と。

 

 発展めざましい科学が地上の蒙を啓いていく激動の現代において、エドラズワースの深墓は大陸に残された数少ない未踏の大迷宮である。

 

 次なる時代の覇権をめぐって、諸国家群は我先にと先史文明の遺構に秘宝に求めた。

 

 国家の威信と民族愛の昂揚による隣人同士の団結を願い、人々は各地の迷宮に足を踏み入れ、そしてさまざまな新資源と遺失技術(ロストテクノロジー)とを地上へ持ち帰った。成功者たちは、いずれも人類社会に技術革新をもたらした新時代の英雄という称号をほしいままにし、新たなる『勇者』として巨万の富と名声を築きあげた。

 

 温故知新と一攫千金の浪漫主義に塗り固められた冒涜が世界的に流行し、ていの良い墓荒らしが、全国各地で頻繁に行われることとなったのである。

 

 そうして野心を抱いた人々がエドラズワースの遺跡に集うのは、至極当然なことだといえた。

 

 考古学者によって発掘された城跡の地下階に、例の地下墓へと続く扉はあった。

 

 扉の発見をきっかけに、とある小国のいち地方にひっそりと位置するひなびた歴史遺産でしかなかったエドラズワース本城址には、多くの探求師や調査団が常駐するようになった。

 

 やがては迷宮の浅層をはじめ、いつしか城跡を含むその周囲には、深墓を中心とした小規模な経済圏が成立するまでに至っていた。

 

 人が集まれば、そこには自然とカネの流れが産まれるもの。迷宮で産出される希少資源は高値で取引されるというのもあり、ひとたび大規模な深部調査が開催されれば、膨大な額が動くわけである。

 

 そうして少なからぬ国家や企業に送り出された第三次エドラズワース国際合同遠征隊は、このたびの『聖剣獣(ベイグラント)』との遭遇によって、致命的な大出血を強いられていた。

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