エデン条約編IFストーリー トリニティVSアリウスVS便利屋68withセイア 作:ホーンベアーmk-lll
そして遂に今回でアルが………後今回長いです。
それでは本編をどうぞ
アリウス分校の情報を探すためにトリニティノ地下にあるカタコンベ探索を行った便利屋68withセイア、だが、満足のいく結果が得られず、それどころかカタコンベ内部が変化し、出口が分からなくなるというトラブルに見舞われてしまうが、無事に脱出に成功した。
(バーン!) ← 勢い良く開けられる扉
「や、やったわ……!
外よっーーーー!! シャバの空気よーーーーっ!!」
カタコンベをようやく出られたアルは、嬉しさ全開の顔で言う。
そんな彼女を見ながらも、内心はアル同様のムツキ、カヨコ、ハルカの3名
「アルちゃん今日一番嬉しそうだね~」
「で、でも、本当にみんな無事にカタコンベを出られてよかったです……」
「うん。最悪何日もさまよっていたかもしれないしね」
そんな脱出を喜ぶ便利屋一同であったが、その気の緩みにセイアが待ったをかける。
『……アル社長、喜んでいるところ悪いが、君たちが今いるのは外ではないよ』
「……えっ?」
そういうれて周囲を確認すると、確かに外ではなく、何処かの廃れた施設であった。
「確かに……どこかの建物の中みたいだね」
「あ。ホントだ。ここどこなんだろう?」
「トリニティの自治区内のどこかだとは思いますけど……」
そうして出口が何処に繋がっていたかを考察する便利屋一同、だが、周囲を確認していたセイアは、この場所は見覚えがあった。
『……この場所には覚えがある』
「えっ!? 本当!?」
『ああ。ここは確か……ユスティナ聖徒会……シスターフッドの前身である組織の拠点、そのひとつだった教会だ。
老朽化などを理由に今はもう使われておらず、歴史的建築物の見学目当てに訪れる物好きだけがやってくる場所だよ』
ここに来て便利屋一同が知らない名前がでてくる。
「ユスティナ聖徒会?」
「き、聞いたことない名前ですね」
「というか、なんでそんな組織の教会とカタコンベが繋がっているのさ?」
『さすがに私もそこまではわからない。シスターフッドなら理由を知っているかもしれないが……』
「まあ、カタコンベもシスターフッドが所轄としているなら、その前身組織の建物とも繋がっているのは別におかしくはないんじゃない?」
「それもそっか」
『……確かに、考えてみればその通りだね』
「…………」
と、アル以外の4人はそう結論を出す……が、アルは何故かは分からないが、猛烈にユスティナ聖徒会の事が気になってしまった……なので、知っていそうなセイアに聞く事にした。
「せっかくだし、ユスティナ聖徒会についてわかる範囲でいいから教えてもらってもいいかしら?」
『ああ、いいとも。
といっても、私もまた聞きレベルの知識しか持っていないが……』
こうしてセイアによる、ユスティナ聖徒会の説明が行われる事となった。
『ユスティナ聖徒会は先も説明した通り、シスターフッドの前進である宗教組織だ。
同時に、かつてのトリニティの武力……いや、暴力の側面を担った戦闘集団でもあった』
セイアの説明で、カヨコには今のトリニティにある組織の事が思い浮かぶ。
「正義実現委員会の役割も担っていたということ?」
『おそらくね。
……しかし、正義実現委員会とは決定的に違うところもあった。
彼女たちの振るう力は、文字通り“暴力”そのものを具現化したかのような苛烈さだったということだ』
「それ、別に正義実現委員会と変わらなくないですか?」
ハルカから疑問の声がでる。
『確かに、そう説明するだけだと同一に思うかもしれないが、実際は似ているようで違う。
正義実現委員会はあくまでも警察的な存在である治安維持組織だが、ユスティナ聖徒会はいわゆる“異端審問”を担う組織だったんだ』
「い、異端審問……!?」
「うわ~……なんか急に物騒な感じになってきたね~」
物騒な言葉にちょっとビビるアルを他所に説明を続けるセイア
『トリニティのルール、そして自分たちの組織の教えに反する者を異端として徹底的に弾圧し、時には討滅する……
戒律の守護者”とも呼ばれ、時に同じトリニティからも恐れられていた最強にして最悪の武装集団、それがユスティナ聖徒会だ』
と、ここでセイアの説明が終わった。
「な、なんか想像していた以上にヤバい話だったわ……」
『ユスティナ聖徒会が現在のシスターフッドに形を変えたのはいつ頃なのかははっきりしていない。
ただ、こうした血生臭い過去がある戒めからか、シスターフッドはトリニティの政治に対して不干渉・不介入を貫いている。
……組織が変わったとはいえ、いまだにトリニティ内でのその影響力は絶大だけどね。保有する戦力も含んで』
セイアの補足を聞いて、ムツキ、カヨコ、ハルカの3人は、シフターフッドへの警戒や恐れが現れる
「忌々しい過去があるっていうところは、ゲヘナもトリニティも大して変わらないってことか……」
「……わ、私、今の話を聞いたせいか、シスターフッドがちょっと怖くなってきました」
「そうだね~。もしかしたらいまだにそのユスティナ聖徒会っていう組織のやり方を密かに継承しているなんてこともあるかも……」
「…………」(……確かに異端審問とか最恐の戦闘集団とか呼ばれてたユスティナ聖徒会はヤバかったってのは分かったわ…けど…)
……しかし、彼女は……アルだけは、シフターフッドへの恐れや警戒等は全くもってしていなかった…何故ならば彼女は……
「……だけど、今の話は所詮また聞きレベル、つまりは噂みたいなものってことでしょ?」
『えっ?』 「社長?」 「あ、アル様?」 「およ?」
急に真剣な顔つきとなったアルに困惑する4人、だがそんな彼女達に演説するかの様にアルは語り始めた。
「過去の出来事なんて、所詮は後出しのジャンケンと同じよ。
後からだから好き放題に言うことができる……要はあることないこと脚色したり、逆に美化することだってできる。
個人的な考えだけど、私から言わせれば、そんなものは決して“真実”とは呼べないわ。
“真実”ってのは、自分の目で見て、自分の頭の中で考えて、そして“自分で選んで決めた先にあるもの”のことを言うのよ。
誰かがそう言ったから、それが当たり前だからとかいった理由で納得したり妥協して手に入れたものが、本物なわけないじゃないの」
『アル……君は……』
「くふふ~」
「私が目指して、そして憧れている“アウトロー”というのは、まさにそういうことなのよ!
自分の生き方も、自分のルールも、全てを自分が選んで決めて、最初から最後まで突き進む“本当の私”!
それが陸八魔アルと便利屋68の“真実”で、噓偽りのない本物のアウトローよ!!」
「あ、アル様……素敵です……!」
「……ふっ」
そしてここでアルの真剣な顔つきは無くなり、演説は終了した。
「……っと、話が脱線しちゃったわね。
つまりはね、シスターフッドが本当に警戒すべき連中なのかどうかは、実際に会ってみてから考えるってことよ。
まだ会ったこともない子たちに対して、前々から警戒したり、ビビってたりするのって相手に失礼かもしれないじゃない?
い、いや、怖くないってわけじゃないのよ? 実際のところはさっきの話は聞いててものすごく怖かったし……」
と、ここで他の4人の様子を確認するアル。
『……』 「……」 「……」 「……」
「……な、なに?
どうしちゃったのみんな? 黙りこくっちゃって……?」
と、未だに何も言わない4人に話しかけようとした瞬間、ムツキはニヤニヤしており、カヨコは流石と言わんばかりの顔、ハルカに至っては涙を流しながら尊敬する目をアルに向けた。
「さっすがアルちゃん! 我らが大悪党!!」
「えっ?」
「うん。見事な演説だったよ社長」
「え、演説?」
「アル様ぁ~……やっぱり、アル様は私の最高の上司です……!
私なんかがアル様の部下で本当によろしいのでしょうか……!」
「は、ハルカ!?
いいに決まってるでしょ!? 急に泣き出してなに言い出すのよ!?」
『……ふっ』
「ん……?」
と、ここで最後まで黙っていたセイアの方を見る、そしてアルが見たのは、見たこともない様な満面の笑みを浮かべたセイアの顔であった。
『ふふ……ははははは!』
「うえっ!?せ、セイアまでどうしたの!?」
数日間とはいえ、今まで見たこともない様な状態のセイアに困惑するアル。
そんなアルに対して、笑顔で話しかけるセイア。
『はははははははははは……!
ああ……そうだね。その通りだよアル社長。いや、陸八魔アル。
噂という曖昧な情報に惑わされず、自らの考えや解釈……意思を貫くことこそ私たちにとって必要なことであり、重要なことだ。
だが、それは口で言うだけなら簡単なことだが、実際に行動で示してみるのは非常に難しい……
自分自身に対しても困難なことなのに、それを他者に対しても実行するとなるとなおさらだ』
「は、はあ……?」
未だに困惑するアル、だが、セイアは止まらない。
『……だけど、それでも君はこれから先、自らの生き方や考えを変えることは絶対にないだろうね。
君の未来はいまだに見えないが、はっきりとそう言える。確信しているとも言っていい』
「よ、よくわからないけど……褒めてくれているのよね?」
アルの返答に頷くセイア
『ああ。……もしかしたら、生まれてはじめてかもしれないな。ここまで他者を信じてみたいと思ったのは。それも、心からね』
「そ、そう? それは光栄だわ」
『アル、君のその在り方に私は敬意を表するよ。
そして……私も君のような生き方をしてみたいとすら思った。
アウトロー……自らの全てを己が定め、己こそが唯一絶対の理であろうとする強き意志……
自分が信じたいと思うものを信じ、自分が認めないと思うものを否定することを貫く生き様か』
アウトローという言葉に反応するアル
「え、ええ、そうよ! 私のルールは私が決めるのよ! 他の誰でもなく!」
『……それこそ運命ですら?』
「当然よ!!」
『…………』
「……あ、あれ?」
何故かまた黙ったセイアに、何か変な事を言った?…と思った瞬間、セイアの表情が変わる…その目は…まるで意中の相手と出会った乙女のようであった。
『アル、君は最高だ……!』
そうしてセイアは、興奮した様子でアルに話しかける
『ありがとうアル。君のおかげで私は今、本当に目が覚めた。
長い長い白昼夢をようやく抜けることができたよ。改めてお礼を言わせてほしい。
ああ……アル、君にこうして画面越しで言わなければいけないことが本当に残念で仕方がないよ。
もしよかったら、後で事務所に帰ってきた時に再度お礼をさせてもらってもいいだろうか?』
「え、ええ……構わないけど……」
『わかった。待っているよ。
できるだけ早く戻ってきてほしいな』
そんな会話をしていた二人の間に、黙っていた3人が割り込んだ。
「二人とも~、お話しの途中で悪いんだけどさ~」
『む……?』
「あら? どうしたのムツキ?」
明らかにちょっと不機嫌になったセイア、だがそんな彼女は気にせずに3人は話す。
「さすがにこれ以上ここにいるのはマズいと思う。
セイアの件で正義実現委員会が自治区内の巡回を強化しているから」
「も、もし見つかってしまったらどうなるかわかりません! 急いで帰りましょう!」
「そのためにもセイアちゃんのナビが必要なんだよね~」
3人の言葉にハッとなるアル。
「た、確かに! カタコンベの探索は終わったわけだし、さっさと撤収よ!!
正義実現委員会どころかトリニティの生徒に見つかったら絶対に怪しまれるわ、私たち!!」
『君たちはゲヘナの生徒だからね。ふふっ』
「セイア、笑い事じゃないわよ!?
私たちの運命は今あなたのナビにかかってるのよ!?」
『それは責任重大だね。
ならば、最後までしっかりナビゲートさせてもらうとしよう』
「ええ! そうしてちょうだい!」
そうして撤収し始める便利屋一同、そして、アルが少し離れた時、セイアはムツキ、カヨコ、ハルカに近づく。
『……ところで浅黄ムツキ、鬼方カヨコ、そして伊草ハルカ』
「ん~? なに~?」 「どうかした?」 「な、なんですか?」
『私とアルの話に割り込んだ理由は真っ当なものだが……嫉妬は見苦しいと思うよ?』
セイアの言葉に、3人は一瞬で真顔となってセイアを見つめた。
「は……?」「…………」「……なに言ってるんですか?」
そんな3人に構わず自信満々に話すセイア
『いやなに……新参者がいきなり彼女の信頼と信用を得てしまって申し訳ないな、と思ってね。
まあ、これも私の魅力の成せる業というやつだろう。セクシーフォックスですまない』
セイアの言葉に3人は我慢の限界となった。
「――――(ジャキッ!)」
「あはは~。ハルカちゃん、気持ちはわかるけど銃は下ろそうね~。
オフィスに帰ってからたっぷりわからせよう」
「今はセイアのナビが必要不可欠だからね。ドローンを破壊するのは駄目だ。
……後で覚えておいて」
怒り心頭と思われる3人に対して、セイアは未だ余裕そうな顔をしている。
『君たちにできるかい? アルの前で?』
「やり方はいくらでもある」
「くふふ。首を洗って待っててね♪」
「アル様の威を借る狐……!」
『ふふふ……なんとでも言ってくれたまえ。
私は言ったはずだよ、アルと同じアウトローを目指す生き様に憧れた、とね?』
そんな会話をしていると、少し距離が空いたのを気づいたアルが4人に声をかける。
「みんな、なにしてるの!? 早くいきましょう!
特にセイア! あなたがいなきゃ私たち一歩先にも進めないんだから!!」
そんなアルを見ながら、セイアはフッと笑みをしながら彼女の元へドローンを向かわせる。
『あぁ済まないアル、今行こう』(――アル、君がその生き方を、その歩みを止めない限り、私もそれに倣おう。
そして、君のように私も他者を、友人を、未来を信じてみるよ。
そのためにはまず……君たちと共に現在の難局を乗り切ることにしよう。
……まあ、今はこの後に待ち構えている手強そうな姑三人を相手にどう立ち回るかだけど。待っているのは私だが)
こうして便利屋68とセイアによる、第一回カタコンベ探索は幕を下ろした。
はい、ここで第二章終了、次話はその後編です。
……アルちゃんがセイアの脳を焼いちゃいました。
あ〜あ、アウトローフォックスの誕生です。これからはノリノリで彼女達に同行するでしょう。
感想と評価お待ちしています
それではまた次回