エデン条約編IFストーリー トリニティVSアリウスVS便利屋68withセイア 作:ホーンベアーmk-lll
一方そのころ、便利屋68とセイアは、ゲヘナの高級タワーマンションの一室にいた。
「結局ほぼ言われるがままに依頼主への報告を保留しちゃったわ……
おまけに誰にも言わずに前の事務所も畳んじゃったし……」
「まあ、あの賃貸の一室をあのままオフィスにしていたらミカやアリウスの者が襲撃してくる可能性もあるからね」
アルとセイアは会話している隣では、ムツキとカヨコが新しい便利屋の事務所になった部屋に興奮していた。
「それにしても、この部屋すごく広いし豪華だね~。前の部屋とは大違い!」
「ほ、本当にこんな立派なお部屋に私たちが暮らしちゃっていいんでしょうか……!?
これ、賃貸じゃなくて普通に購入したんですよね!?」
「無期限で私の身を守ってもらうんだ。これくらいの見返りは与えないとね」
セイアの発言にアルとカヨコは顔を引きつらせた。
「さすがはトリニティ……財力が私たちなんかとはぜんぜん違う」
「ゲヘナの生徒たちをはじめ、不良たちが身代金目的で誘拐しようとするわけだわ……」
そんな会話をきり上げ、セイアはトリニティについて話す。
「それにしても……今頃ティーパーティーは大騒ぎになっているだろうね。
ミカも驚いているかもしれない」
「そりゃそうでしょ」
「そういえば、私たちがサンクトゥス分派宛に書いた偽の脅迫状になにか書き足していたけど、いったいなんて書いたの?」
「……ふっ。秘密だ」
セイアは悪い顔で言う
(この顔は、ろくな事書かなかったね)
カヨコは察した。
「……さてアル社長、事務所の引っ越しも終わったし、現状を改めて確認しようか?」
「そ、そうね。
えっと……まず第一に、セイアはアリウス分校にその身を狙われている」
「そして、そのアリウスはパテル分派の首長である聖園ミカと繋がっているかもしれない」
「両者の目的はおそらくエデン条約締結の妨害で……」
「これから先セイアちゃんの予知した未来通りになってしまったらトリニティもゲヘナも大変なことになる」
「…ってことで合ってるわよね?」
アルの確認にセイアは肯定する。
「ああ、それで合っているよ。
君たちは本当にわずかとはいえ、私の見た未来を変えた。
……だから、君たちに賭けてみようと思った。最悪の未来を回避できるのなら、私もよろこんで悪の道に堕ちよう」
セイアは覚悟を決めたと同時に、何かたのしそうな顔をした。
「あはは、セイアちゃんって見た感じの雰囲気やトリニティの生徒会長って割には結構ノリがいいんだね♪」
「私も今の状況を無意識に楽しんでいるのかもしれないね。
先が見えない未来というものは本来あたりまえのことだが、私にとってはとても新鮮なものだからかな?」
「だからって偽の脅迫状と一緒に送る写真用にわざわざあんな恥ずかしい恰好しなくても……」
「そういえば、写真撮る時も妙にノリノリでしたね」
そんな会話を切り上げ、便利屋とセイア達は、今後の事について話し始める。
「……それで、今後はひとまずどうするの?
このままここで身を隠す? それとも、ある程度したらまた別の場所に移動する?」
「そうだね……私としてはどちらでもいいが……」
(拠点を次々と変えるって……昨日までの私たちじゃまず浮かばない選択肢ね……
だけど、それってアウトローっぽくて実にカッコイイ!)
アルがそんな事を考えている間にも、話し合いは続く。
「……少なくとも、私たちはアリウス分校について知らなすぎる。
だからアリウス分校に関する情報を集めることを優先して動くべきじゃないかな?」
セイアの発言にカヨコが肯定する。
「まあ、その通りだね。
本当にミカと通じているのかもわからないし、なにより今になって表舞台に姿を現したのも気になる」
「だけど、セイアたちが知る限りではアリウスって数百年前にトリニティに追われて姿を消した学校なんでしょ?
そんな学校に関する記録とかって今でも残っていたりするものかしら?」
「トリニティの古書館ならばもしかすれば当時のトリニティの記録などに関するものがあるかもしれないが……
さすがに今トリニティに行くのは君たちにも私にもリスクがありすぎるね」
「じゃあ、逆にゲヘナのほうは?
ゲヘナもトリニティに負けないくらい歴史ある学校だから、なんか残ってるかもよ?」
「残念だけど、ゲヘナには昔の記録とかは残されていないと思うよ。
2年くらい前にいろいろとあったからね……」
カヨコの発言に、セイアは思い出したかのように話す。
「……“雷帝”か。
当時のゲヘナのことは私もよく知らないが、いろいろとあったと聞いているよ」
「…………」
「トリニティもゲヘナも駄目となると……どこにもアリウスに関する記録なんて残っていないのでは?」
「う~ん……」
アルは何かいい案が無いか考える………そして、一つだけ、ふわふわした感じの案を思いついた。ちょっと言うのがためらったが、社長がこうゆう会議で案を出さないのは違うと思い、言うだけ言ってみることにした。
「なんかそれっぽい雰囲気のところとか……
歴史のありそうな場所に行けば手がかりみたいなものが見つかったりしないかしら?」
アルの案に、セイアは関心した。
「確かに……一理ある。
意外なところに重要な情報が隠されていることもあり得なくはないだろう」
「……でも、具体的にはどこ?」
「私たちそんな場所に覚えないよ~?」
「す、すいません、アル様……」
「……だそうだが、君にはどこか候補となる地はあるのかい、アル社長?」
「え、ええっと……」(…ど、どうしよう、本当にそれっぽい案を出しただけなのに何が期待されてる…けど、案を出した本人として何か一つ出さないと……あら?、そういえば確か噂で…)
と、ここでアルは、昔に聞いたことがある噂を思い出した。
「……そういえば、トリニティの地下にはなんか大きな地下洞窟みたいなものがあるって噂を聞いたことがあるわ」
「もしかして、カタコンベのことかな?」
「ああ、それよそれ!
そこならなにか手がかりみたいなものがあるんじゃない!?」
アルは興奮してそう言うが、セイアは少し難しい表情をしていた。
「しかし、あそこは一応はシスターフッドの管轄だ。
シスターフッドは歴史と学園内での影響力はティーパーティーに匹敵するほどの組織……
生徒会長である私やミカ、ナギサでも知り得ない秘密や謎を内に多く抱え込んでいるとも言われている。
……正直、彼女たちがそこでなにかしているという可能性もゼロじゃないぞ?」
セイアの言葉にアルは少し悩むが、ここでムツキ、カヨコ、ハルカがアルの提案を肯定する。
「だけど、それならなおのこと手がかりが見つかる可能性もある」
「そうだね。それに、地下洞窟ってなんか面白そうじゃん!」
「わ、私はアル様が行く場所なら、たとえ地獄の底であってもついていきます!」
「みんなはこう言ってるわよ?
私も行ってみる価値はあると思うけど……あなたはどうする、セイア?」
「…………」
便利屋達の言葉に悩むセイア、そして少し間をあけ、彼女は覚悟を決めた。
「ふっ。
わかったよアル社長、私も覚悟を決めよう」
「か、覚悟って……別にそこまで気合い入れなくてもいいんだけど?」
「こちらは狙われている身なんだよ?
どこに襲撃者の手や目が潜んでいるかもわからない以上、警戒するに越したことはないだろう?」
「そ、それもそうね……(すっかり忘れてた……)」
「カタコンベはとてつもない広く、そして大きい。誰もその全貌は知らないとまで言われている。
準備は入念に行ってから探索を行おう。なに、物資の調達なら私に任せてくれたまえ」
「さっすがお金持ち、頼りになる~♪」
「昨日の今日だし、トリニティ全域の監視網や警戒網が厳重になっているかもしれない。
その点も考慮して行動計画を立てるべきだね」
「そうね。現在のトリニティの情報も集められるだけ集めておきましょう」
「わ、私、頑張ります……!」
そうして会議は終了し、便利屋68はアリウス分校の調査の為の準備を始める。その姿を見ながら、セイアは彼女達にある思いを持ち始めていた。
(彼女たちならば、もしかすれば……なんて思ってしまうのは早計かな?
だけど、どこか彼女たちを見ていると安心するというか、心配する必要がないという気分になる……なぜだろうね?
……ああ、そうか
今まで私は予知で知り得た未来のことばかりに目を向けていたから、人を見ることをしていなかったんだ。
それこそ、信頼している者や親しい友人のことすら目に入れていなかった……信じることをいつの間にか放棄してしまっていたんだろうね。
それに気づかせてくれただけでも、君たちにさらわれた価値はあったかもしれないな、便利屋68)
そうして改変された歴史は、次のフェーズへと移行しようとしていた。
これにて第一章百合園セイア襲撃依頼編を終了
続けて第二章アリウス分校捜索編とさせて頂きます。そしてこの2章でついに………と、ネタバレは辞めておきますか
感想と評価お待ちしています
ではまた次回