オオタチですか   作:メガオオタチ

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第16話 オタチくんのがくえんせいかつ⑥

 ブルーベリー学園テラリウムドーム、ポーラエリアにて

 

「し、師匠…!こ、ここ、こんな寒いところで料理するんですか…!?」

 

 おう、あたぼうよぉアカマツ。俺がわけぇころはもっと寒くてなぁ(ここに来て4か月)

 あ、どうもオタチです。

 えー現在ですね、俺達…と言っても俺とアカマツの1匹と1人はポーラエリアに来ております。クッソさみぃぜ!!!

 

 ん?あぁ、スグリはニョロゾとヤンヤンマでコンビネーションの確認をしてるから俺は今日非番ってワケよ。

 ………俺がいなくても、戦えるようになってもらわないとだしな。

 いや、鬼さまは俺がぶん殴るよ?でもさ、ここブルーベリー学園でトップを獲ろうと思うんならやっぱり俺が足枷なワケよ。もっと種族値がいい奴を仲間にしてもらうまでの繋ぎよ、俺は。

 

 さて、んな湿っぽい話はさておいて今日はここクソ寒いエリアでアカマツと料理訓練を――

 

「おう、こんなとこにいたのか…相変わらずここは寒いったらありゃしねぇぜぃ」

 

 む…?後ろから聞こえるその声は…!

 

「あ、カキツバタ先輩!お疲れさまです!」

 

 …現チャンピオン、歯磨き粉…!じゃなくてカキツバタ…!

 

「よっ、大先輩ツバっさんがあそびにきてやったぜ…んまぁ用があるのはアカマツじゃなくてそっちのオタチだがな」

 

「え…?師匠に?」

 

 え?俺!?ちょ、待てよ!!何がバレた…!?電気石の岩窟の電気を使って電気代タダでスロットマシン使って生徒相手に荒稼ぎしたことか!?それともともしびの迷路の地熱を使って営業許可ナシに温泉造って稼いだ事か!?

 クソッ…!チャンピオン直々に御用改めに来るたぁなぁ…!!油断したぜ…!!

 

「…?なーんかピリピリしてっけど…多分アンタの考えてる事じゃないと思うぜ?」

 

 え?あ、そうなの?よかったぁ…!俺ぁまーたお縄になって2時間お説教&BP没収コースかと思っちまったよ…しかし、アレだな…今の事業は早めに撤退させるか…チャンピオンが告げ口したら終わりだからな…!

 

 そんなタチタチ悪だくみをする俺に苦笑いするアカマツとカキツバタだったが、「あー…えっと、いいかい?」とカキツバタが話を再開させる。

 

「スグリのポケモンバトルを何回か見て思ったことを言いに来たんだ…いやぁ、オタチの身でよくここまで戦えたなぁーってさ。あぁ誤解しないでくれよぅ?褒めてるんだからな?」

 

 その瞬間、カキツバタの表情は柔らかなまま、目だけが強い力を宿し始めた…あー、なぁるほど…そゆことか…

 

「オイラとしちゃあその強さに興味があってね…しかも、スグリがいない状態のアンタの戦い方が…な」

 

 ほーう?現チャンピオンとして俺が脅威となりうるってぇ言いたいのかい…?そいつぁ…かいかぶりすぎだな…俺は…俺は、鬼さまに勝てねぇようなオタチだからな。

 ヘッ、若者よォ、俺なんかに時間を無駄にするなってぇの…さぁてチャンピオンといえども構っちゃいられねぇぜ…

 

 「タチッ」

 

「え、えぇ?師匠???い、いいんですか?」

 

 いいのいいの。さ、それより極寒の地と言えばセン〇ュリースープだぜアカマツ!!この世界で再現してやろうぜ!!!

 くるりとカキツバタに背を向け歩き始めた俺にカキツバタは「そーかいそーかい」と笑う。

 

 

「アンタもそんな感じじゃ、アンタのご主人もその程度なんだろうなぁ?ま、バトルは楽しそうにやる奴だが…オドオドしてていけねぇや…だから、その程度…ってな」

 

 

 その言葉に足をピタリと止める。

 ………てめぇ…歯磨き粉頭…!今なんつった…?

 俺のことはボロクソに言えばいいさ…まぁキレるけど。でもよぉ、スグリの事を悪くいうのだけは許さねぇ…!

 

「し、師匠!?お、怒ってます!?なんて言うかどす黒いオーラが…!?」

 

 振り返ってカキツバタを睨みつけてやれば、その顔はニヤリとニヒルに笑っていやがった…。コイツ………!泣かす…!!!

 

 おそらくこの歯磨き粉頭は単に実力を見たいだけなのだろう。んで、興味を示さないようなら煽ってやる気にさせる…はぁー…こっすいやり口だねぇ…!でもいいさ…今回は乗ってやるよ。言っていい煽りとダメな煽りがあるってことを教えてやるよ…クソガキァ…!!

 

「勝負は一対一だ。さすがにアンタ1匹じゃオイラのポケモンを全抜き出来ねぇだろうからな…」

 

「タチ…?タチャァッ!!」

 

 ナメやがって…いいさ。まずは1匹ぶちのめしてから次々引きずり出してやる…!

 

「ど、どうしよう…!とりあえず…スグリを呼びに行かなきゃ!し、師匠!失礼します!スグリ呼んできます!!!」

 

 睨みあう俺たちを見て、アカマツがバタバタと走っていく…あ、やべ、止めた方が良かったかな…スグリに迷惑かかっちまうかもな…んまぁいいか…それまでに俺が勝てばいいんだからな…!!

 

「あらま、ギャラリーがいなくなっちまったよい…でもまぁ、誰もいない場所での戦いってのもオツなもんだろ?」

 

 笑いながら懐からボールを取り出し、構えるカキツバタと拳を構える俺……いいぜ、いつでもかかってきなと見せるために、手をクイクイッとしてやる。

 

「やる気十分ってかい?そんなら…!いけ!フライゴン!!」

 

「フリャー!!」

 

 おいこのクソ寒い場所でそれはかわいそうじゃね???4倍だろ?こおりタイプは…ま、手加減はしないんですけどね、初見さん。

 

「さあて…まずは挨拶だ!フライゴン!ワイドブ―――!?」

「スゥー……ゥオタッチャァッ!!!」

 

 

 

 ――ちょろくせぇ。速攻で決めてやるよ。

 

 

 

「っ!?」

「フ、リャ……!!?」

 

 カキツバタがフライゴンに指示を出し切るその前に、俺の氷を纏った拳はフライゴンの腹のきゅうしょ部分にぶちのめされていた。ヒュゥ!やっぱでんこうせっか+他の技ってぇのは気持ちがいいなァ!!ゼハハハハハ!!!

 

「フ、リャ…」

 

「コ、コイツァ…思った以上だな…!正直ナメてたぜ…!」

 

 ドサリ、と倒れるフライゴンを見ながら戦慄するカキツバタ。

 ゼハハ!どうだ!クソガキャァ!!この戦い方はなァ!!スグリと目一杯練習して培った努力の結果なんだよ…!!これを見てもまだテメェは俺のご主人の煽りを吐けるかァ!?えぇッ!?

 

「タァチッ!!」

 

 またも俺は「来いよ」と言わんばかりに挑発するように手招きし、2匹目のポケモンを促す。まさか自分から仕掛けておいて逃げねぇよなァ?チャンピオンさんよォ…?

 

「ちっとばかしからかうだけのつもりだったんだがなぁ…どーやら踏んじゃいけねぇ尻尾を踏んじまったみてぇだな…!いいぜぇ…!こっからはオイラも本気だ…!!そらいけっ…カイリュー!!!」

 

 ほぉう、カイリューか…!相手にとって不足はねぇぜ…!!

 さぁて、第二ラウンドのスタートだ…!!!

 

 

◆◆◆

 

 

 

 30分後。

 

 時間はかかったがこれでも急いでやってきたスグリとアカマツは衝撃の光景を目にすることとなった。

 

 ポーラエリアには雪ではなく雨が降り、冷たさを際立たせ、足元の積雪は雨水で固められていた。

 

 

「え………?」

 

「し、師匠…?」

 

 

 その硬くなった白い氷の上に倒れている茶色のポケモンがいた。

 

 

「オ、オタ…チ……?」

 

「そんな…!カキツバタ先輩!!どういう事なんですか!?」

 

 対峙するカキツバタは、その前にいる彼のポケモン…ブリジュラスをモンスターボールに戻しながらにへらと笑う。

 

「…いやぁ悪い悪い。ちょっとばかしバトルに熱が入っちまってよ……」

 

 その笑いはどこか作り笑いじみていて、違和感を感じさせる。が、この時カキツバタは内心で、焦っていた。

 

(…おいおい…ホントにコイツはオタチか…?どうしてオイラの手持ちポケモン6匹の内3匹がやられてるんだよ…!)

 

 フライゴン、カイリュー、オノノクス。どれもカキツバタがいつも連れ歩いているポケモンたちの内の3匹。それがこの進化すらしていないオタチ1匹に倒されたのだ。

 トレーナーの指示がなくとも的確にタイプ相性のいい技を選択し、更には変化技も絡めた戦術と言っていい動きを行う。これが出来るというオタチにカキツバタは戦慄していたのだ。

 さらに言えばブリジュラスまでは出すつもりは無かった。せいぜいキングドラであまごいをし、特性のすいすいでスピードを強化して立ち回ろうとしたが、重い連撃にキングドラが倒されそうになり、慌ててモンスターボールに戻し、ブリジュラスを繰り出したのだ。

 

(しかも、ブリジュラスのエレクトロビーム…あれが決まったのはおそらく『初見だから』な気がするなぁ…次も同じ手が通用するかどうか…ったく、スグリは恐ろしいポケモンをパートナーにしたもんだ…)

 

 カキツバタは、オタチに駆け寄り手当てするスグリと、雨がかからないようにフライパンで傘の代わりになんとかオタチに雨がかからないようにしようとしているアカマツに近寄り、げんきのかたまりを差し出す。

 

「…わりぃ。ここまでするつもりは無かった」

 

「…っ、えっと…は、はい…」

 

 受け取ったげんきのかたまりを使ったオタチは傷は瞬時に癒えた。

 

 だが。

 

「な、なんで…!げんきのかたまりさ、使ったのに…!?」

 

 

 どこにも問題がないはずのオタチは、目を覚まさなかった。

 

 

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