オオタチですか   作:メガオオタチ

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第21話 オタチ、焦りの果てに

 

 どうもオタチです。

 えー皆さん。アニメ「ポケットモンスター」…一番最初のオープニング曲を御存じでしょうか?えぇ、アレです『めざせポケモンマスター』…あの神曲です。

 

 【たとえ 火の中 水の中 草の中 森の中】

 

 いやぁ、あの曲ねぇ、ホンット好きなんですよ…カラオケでもいい年して歌っちゃうんですよね。それくらいいい曲です。

 ただし取引先や上役の前で歌うのはやめましょう。ましてや、『俺はコイツと旅に出る!(ピカチュ~)』の『ピカチュ~』の部分でいくら酔っていても取引先や上役にマイクを渡して言わせてはいけません。次の日からポケモンじゃなくてハミダシモンになりますからね。えぇ。

 

 ま、ンなこと(実話)はええんですよ。

 

 えー今ですね、火の中でも水の中でも草の中でも森の中でも土の中でも雲の中でもましてやあの子のスカートの中でもなくてですね…

 

 

 ウッウの口の中なんですよ。はい。

 

 

 あンにゃろォ!あろうことか俺を食いやがった!!!剣盾でもなみのりかダイビングでサシカマスとかピカパイセン食ってたけどオタチはねぇだろうがよ!!!!

 うのミサイルとかいう特性作った奴!出てこい!!!!お前この食われてる恐怖知らねぇから笑って実装したんだろ!!!!!

 

 

 …………ん?『うのミサイル』…?ってェことは!!!

 

 

「ウッウ!グレンアルマにうのミサイル!オタチ!けっぱれ!勢いを活かしてすてみタックル!!!」

 

 ハッハァ!!!なぁるほどォ!!!!なみのりで防御しつつ俺を弾丸にして反撃ってェ寸法かい!!!いいねぇ!その案乗ったァ!!!!

 さぁ撃てウッウ!!一発かましてやろうぜ!!!!

 

 

 放てッ!!新・必殺技ッ!!!!

 名付けるならば…【タチミサイル】ッ!!!!!!

 

 

 

「グッグー!!ゥボォエェッ!!」

 

 

 ごめん。その発射音だけどうにかならん?完全に嘔吐やん。

 

 

 とにかく口からうのミサイルで射出された俺はすてみタックルの構えを纏いながらさっきのウッウのなみのりで弱っているグレンアルマとかいうほのおタイプに一発かまして――

 

「っ…!デカヌチャン!!たたきつける!!打ち落として!!」

 

「カンヌッ!!」

 

 ダニィ!?

 デケェハンマーにガチィン!!とブチ当たった俺は何とか押し返そうとする…がッ…くっそ…!かてぇ…!ンだコイツ…!!たたきつけるってこんなにいてぇもんだったか…!?

 

「ッチ…!!!」

 

「オ、オタチ!!」

 

 すてみタックルを纏った新しい連係プレーは不発に終わり、俺は地面に叩きつけられる。クソッタレ…すまねぇウッウ…うのミサイル無駄にしちまったぜ…!

 

「ウッウー!」

 

 …しかし収穫はあった。デカヌチャンとかいう奴のハンマーにカチ当たってみての感想だが、俺の予想としちゃあ…はがねタイプが混じってらぁな?ってぇ事は俺のいつものほのおのパンチが刺さるなァ!!!弱点見つけたぜ!!!

 

 立ち上がって返しの拳に炎を纏ってほのおのパンチをデカヌチャンにブチこんで――

 

 

 

「あ…オタチッ!ほのおのパンチはダメだ…!!」

 

 

 

 

 へ…?

 

 

そんなこと、いっても、もう、とまれな――

 

 

「ッ!?」

 

 

 その時ふと、アオイの顔を見た。

 

 

 笑って、やが…る…?なんで?

 

 

 

「ほのお技は効かないよ!グレンアルマ!ほのおのパンチを受け止めて!」

 

 

 は?

 

 

 俺のほのおのパンチはグレンアルマのどてっぱらに確かに命中する。

 だけど、その瞬間に俺の炎はグレンアルマの身体に吸われていく…!!これ、は…!!

 

「やっぱり…!もらいび…!!」

 

 もらいび…た、たしか…ほのおタイプの技のダメージを受けず、自身のほのおタイプの技が1.5倍に…上がる…特性…そん、な

 

 いや、そうだ。

 それ以前にほのおタイプがいる戦いでうかつにほのおのパンチなんて…俺は何を考えているんだ…!

 ましてやスグリはその可能性を分かっていた。だから俺にほのおのパンチの指令を出さなかった。

 

 

 俺が、勝手に、やったせいで

 

 

「グレンアルマ!威力の上がったアーマーキャノンッ!!!」

 

「ッ!ウッウ!なみのり!!!」

 

「ウッウー!ウボァ!?」

 

 ウッウが守るように展開したなみのりの波をいともたやすくアーマーキャノンの火球が貫き、ウッウに命中する。

 これも、火力が上がったせいだ。

 

「も、戻ってウッウ!…けっぱれメガヤンマ!!…オタチ!スカイモードだべ!………オタチ?」

 

 

 ダメだ。

 

 

 ダメだダメだダメだ!!!

 何とかしねぇと…!!俺のせいで負けるなんて、あっちゃならねぇ…!!

 

 

 その時の俺は、周りの音など聞こえちゃいなかった。

 

 

 そうして、ただ、まっすぐに。得体も知れない主人公戦という名の【負け戦】に足を取られていくのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「オ、オタチ!いう事を…聞いて…!」

 

 スグリは焦っていた。相棒ともいえるオタチが自分の言うことを聞かず、一番連携が出来るはずのメガヤンマとも連携せず、勝手に技を放っている。

 

「メ、メガヤァン!?」

 

 旧知の仲のメガヤンマですらそのオタチの行動が理解できず、戸惑っている。

 

「っ…!メガヤンマ!オタチの援護…!グレンアルマにげんしのちから!!」

 

 放たれたげんしのちからはグレンアルマに命中――

 

「ッタチィッ!!!!!」

 

 しなかった。

 暴れまわるように攻撃を仕掛けるオタチが放った攻撃の余波でげんしのちからがその余波と相殺されてしまう。

 

「そ、そんな…!オタチ!と、止まって…!」

 

 しかし、オタチは何かに憑りつかれているかのように攻撃の手を緩めない。

 味方を、トレーナーを見ずにただただ1匹で殴りこんでいた。

 

「え、えっと…スグリ!オタチ…大丈夫なの?」

 

 見かねたアオイがスグリに問いかける。が、スグリは今までにないオタチの様子に戸惑うばかりであった。

 

「スグリ!とりあえず…その、オタチ倒しちゃってもいい!?この状況じゃボールにも戻せないと思うから!!」

 

「…っ…う、うん…分かった…!」

 

「よし…!グレンアルマ!戻って!!…いけっ…!コノヨザル!!」

 

 グレンアルマがアオイの手持ちに戻され、現れたのは異様な雰囲気を醸し出す、ふんどざるポケモン…コノヨザルであった。

 

「コノヨザル!オタチにドレインパンチ!!」

 

「ギッキー!!」

 

「タチッ!?」

 

 オタチとは比較にならない素早さで迫り、懐に潜り込むと、コノヨザルはオタチの顔面に向けてドレインパンチを放つ。

 

 その瞬間、止めなければならないと思っていたスグリの心の中にはオタチへの心配と、【なぜ、こうも簡単に勝てるだろうコノヨザルを最初から出さなかったのか?】というブルーベリー学園の生徒として、四天王の一人としての疑問が頭をよぎった。

 

(も、もしかして…手加減?そういうのちょっと……イヤだなぁ)

 

 と、一瞬オタチの事が頭から離れた瞬間だった。

 

 ドパァンッ!!!!とドレインパンチの炸裂する大きな音が鳴り、勝負が決まった……かに思われた。

 

「え…!」

「なっ…!?」

 

「キ……!ギキィ!?」

 

 

 さて、今の状況に一番驚いたのはコノヨザルだった。

 

 マンキーの頃からアオイと共に歩み、研鑽を重ねてきた。アオイの手持ちポケモンの中じゃあ一番攻撃力が高い自信もあった。

 タイプ一致効果抜群。これをまさか、こんな小さなオタチが。よもや顔面で拳を受けていながら。

 

 

 地面に足をめり込ませてまで立っているとは思わなかったからだ。

 

 

「………チィ…」

 

「ヒッ…!?」

 

 顔面に拳を付けたままのオタチの目が睨みつけるようにコノヨザルの目を射止め、コノヨザルは思わず恐怖の声を漏らした。いや、恐怖だけでない。畏怖、恐れ、戦慄、恐慌あらゆるモノが丸くつぶらな……【どす黒い】瞳からオーラとしてコノヨザルに浴びせられた。

 

「タァァァ…チィ…!」

 

「キ、キキィ…っ!?」

 

 コノヨザルは離れようと後に飛ぼうとした…だが、放った拳を左手だけで掴むオタチにより、阻害され、ビタリと動けなくなっていたのだ。

 

「ッ!デ、デカヌチャン!デカハンマー!!」

 

「カ、カヌッ!!」

 

 事態を察したアオイがデカヌチャンに指示を飛ばし、デカヌチャンが先ほどオタチを撃ち落したハンマーを振り下ろす。

 

「カヌッ!?」

「!?」

「あれは…!」

 

 結果としてデカヌチャンのデカハンマーは当たった。それもコノヨザルではなく、オタチに。

 

 ………。

 

 いや、

 

 

 

 

 光を纏う、【オタチだったもの】に。

 

 

 

 

 

「あの光は……進化…!?」

 

 

 望んでもいないタイミングで、進化が始まったのだった。

 

 

 

 








シリアスが苦手と言ったな?あれは嘘だ。
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