オオタチですか 作:メガオオタチ
パラリラパラリラ!ヴォンヴォンヴォンッ!!!!
ヒャッハァーッ!!!!!!
あ、どうも、バイク(オオタチ専用改造車)の上からごきげんよう。オオタチです。
お?何してるかって?そりゃあお前……
キタカミの里で深夜に爆音鳴らしながらバイクで暴走してるだけだが…?
ん?なんでこんなことしてるか?ハハッ!
スグリに置いて行かれたからだよ。
………。どうした?笑えよベジー〇。俺だって笑うわ。ハハッ!(某ネズミ)
ふぅ…ま、ご覧の通りよ…つーいに俺はリストラってワケよ。ただまぁ解雇の1か月前には告知してほしいもんだよな!こっちにも再就職先探したりとかあるんだからもう………
………。
えー、俺の最後の記憶はあの祭りのサイコソーダキメた後に暇つぶしに色々見て回ってた時に変身ベルトを共闘して取ってあげたチビッ子と再会し、保護者の方から一升瓶に入ったミックスオレを貰って飲んだのが最後の記憶だな…
んでもって俺はボールに入れられたらしく、掃除に来たばーちゃんによってボールから出してもらうまでミックスオレ酔いでぐっすりってなワケ、OK?OK!じまんのワザ(以下略)
しーかーもー???もう林間学校は終わっていて?スグリはブルーベリー学園に帰ったぁ!?さらにもう2週間は経ってるぅ!?
オイオイオイ…浦島太郎な気分だぜ全くよ…
さて現状、迎えに来られていない。じーちゃんやばーちゃんも何か気まずい顔していて「スグリの元へすぐに送ってやろう!」とも言われない!さらに俺がいたことを知ったゼイユがブルーベリー学園からすっ飛んできて、俺の姿を見るなり泣きながら抱きしめてきたあたり……おそらく…今最悪な方向に自体は進んでいるんだろう。
でーももうここに置いて行かれた時点で?俺に出来ることねぇし?ゼイユも「いまのスグに合わない方がいい」って言ってっし?
ほならね、やることは一つ。半グレっしょ
いままでイイ子ちゃんでいた分グレてやるぜぇ!ヒャッハァーッ!!!!!!
俺はそこら辺にあった盗んだバイクで(改造した後)走り出す、行く先は…まぁ、どっかしらに行けばいいな!!!
……………。
なーんて、気軽に言えたらどれほどよかったか
俺自身でも感じていた下がり肩の最近の勝率。アオイという名の絶対的な壁、鬼さまを仲間に出来ないだろうという現実…スグリは限界一杯だったんだろうなぁ…それが何があったか知らんがあの祭りの日に爆発したんだろうよ…
でも、だからって…
だからって俺を置いて行くのかよ…ッ!!
あぁ分かってるし覚悟してたつもりだよ!!!いつも俺は「自分のスぺックが~」とか言ってた!!だがなッ!!………こんなに、こんなに辛いなんて…思わねぇじゃんかよ…
クソが…あぁぁッ!!クソクソクソッ!!!クソったれがッ!!!!!!
◆◆◆
最近スイリョクタウンではある被害が多発していた。
パラリラパラリラ!ヴォンヴォン!ヴォヴォヴォヴォンッ!!!!
ピャーリーラーリーラーリーラー!キュインキュインキュイン!!!
真夜中の騒音である。これにより住民たちは眠れない夜を過ごしていた。
「クソ…またあのオオタチかよ…」
「勘弁してくれよ…明日の朝早いんだよ…」
「おい聞いたか…?駐在さんが対処に向かったら駐在さんのポケモンが全滅したってさ…」
「それだけじゃない…とこしえの森のヌシの大きなクマのポケモンがオオタチに負けてからこのキタカミの野生ポケモンたち全員がアイツの言いなりだって…」
「た、大変大変!あのオオタチが復活したともっこ達を倒して仲間にしちまったってさ!」
なんとオオタチはキタカミの里を完全に掌握していたのだ。 新たに傘下に加えたイイネイヌ、マシマシラ、キチキギスと共にオーガポンのいなくなった鬼が山を根城に、夜は暴走やどんちゃん騒ぎ、昼はスイリョクタウンやキタカミセンターに降りて食料などを奪う。そんな生活を送っていた。
当然スグリとゼイユの祖父母はすぐにゼイユに連絡。駆けつけたゼイユが鬼が山へ出向くと、石で出来た玉座のようなところにオオタチが木の実をガツリガツリと食べながら3匹のともっこ達とゲラゲラ笑っていた。
「ア、アンタ…本当に…スグのオオタチ…!?あのオオタチなの!?」
そのオオタチの出で立ちは、
・ツバ付きのベースボールキャップ
・黒いサングラス(いつものくろいメガネ)
・ジャラジャラとした金色の鎖のネックレス
・小さいお手手の指でもはめれる金色のゴテゴテした指輪
・どこからか盗んできたダボダボのグレーのパーカー
・腰パン風なダルダルのジーパン
……という田舎のちょっとイキッた感じのヤンキーになっていた。
「…ッスー……ごめん。やっぱアンタあのオオタチだわ…」
「タァチィィ?」
「っ…!ともかく…おとなしくしてもらうわよ…!みんなメーワクしてるのよ!!」
睨みつけてくるオオタチを前にゼイユがグラエナとヤバソチャを繰り出すと、イイネイヌたちがゲラゲラと笑う。
「な、なによ!」
「タァチタチ……タチッ!」
オオタチが手を頭の横で「やれやれ…」と言わんばかりに動かすと、3匹達に号令をかける。
号令を受けて、まずキチキギスが洞窟の壁に新たに増設したスイッチを押すと天井からミラーボールが出てきてキラキラと回り出す。続いてマシマシラがターンテーブルにレコードを置き、キュキュキュッ!と擦る。イイネイヌはと言うとキチキギスから投げ渡されたマイクを口に当て、「ボッボッ!」とビートボックスでリズムを刻む。
「なっ、なんなのよこれ!」
「タチィ………タチ!」
そしてオオタチが指を鳴らすと、音楽が流れだした…!!
【……プツッ……チャンカチャンカチャチャチャン♪チャンチャンチャン♪あ、オタチ、オオタチ、ちっからもちぃ~♪ア、ヨイショ!!】
「はぁ…?」
「がう…?」
「チャ…?」
その場違いな音楽にゼイユとグラエナとヤバソチャは茫然とした。
てっきり今のオオタチの出で立ちや、場の雰囲気的にヒップホップや、ビートの効いたメタルな音楽が流れるのかと思えば、マシマシラが操るレコードからは噴飯物の盆踊りの音楽が流れだしたのだ。そしてオオタチ自身はというと、その音楽に合わせてひょいひょいと全身を使って踊っている。
【オタチ、オオタチ、ぜっんかもちぃ~♪ソレガドシタ!!】
「~~~~ッ!!バカにしてんのッ!?グラエナッ!オオタチにかみくだく!コテンパンにしちゃいなさいッ!!」
「バ、バウッ!!」
あまりの場の雰囲気にワザの指示から一拍遅れて行動に移ったグラエナが噛みつこうとオオタチに飛び掛かる、が…!
【オタチ、オオタチ、おっかねもちぃ~♪オタッチ!!】
「オタッチ!♪」
「バウッ…!?」
オオタチは音楽に合わせてその噛みつきをひらりと余裕で回避し、返す手でれいとうパンチをグラエナの腹に直撃させていた。
「なっ…グラエナ!?くっ…!きぃ~~~ッ!!ヤバソチャ!!シャカシャカほう!!」
「チャ、チャチャチャチャッ!ソッチャ!!」
カシャカシャと熱いお茶をかき混ぜて大砲の弾のように撃ちだされたシャカシャカほうがオオタチに迫れば、オオタチはどこからか茶道用の茶碗を取り出し、受け止めた後、その茶にキチキギスが砂糖とモーモーミルクを注いで抹茶ラテを作り、飲み干した。
「チャァ!!?」
これにはヤバソチャも驚いた。本来シャカシャカほうは相手にダメージを与えて自分は回復するための物なのに、逆に相手に回復され、更には抹茶ラテという改変を目の前で見せつけられた。
千利休の目の前でやったらバチクソ怒られる事待ったなしであろう。
「タチ……タッチャァッ!!」
飲み干した後、ヤバソチャの方へ一礼したオオタチはまたも音楽に合わせて踊りながら、『あの時』と同じように拳に炎を纏わせてヤバソチャに迫る
「あれはほのおのパンチ…!?ヤバソチャ!よけて!!」
「ヒッ…!?チャ、チャチャ…!」
【ハァ~♪オオタチ音頭でみんなもお~どろ~♪】
「タァァチィ…!!」
【オタチ、オオタチ♪ドンカラカッカッ!せっかいいちぃ~~~~~♪チャンカチャンカチャン!ドドン!!】
バコォォオンッ!!!!と、曲の終わりと同時にヤバソチャの顔面に叩き込まれたほのおのパンチによって勝負は決した。いや、オオタチからすると、もはやこの程度は勝負などではなく、単なる遊びにすぎなかったわけだが。
「な、なによ…こんなデタラメな戦い方なのに、なんで、なんで前より強いのよ…!!」
顔を真っ赤にしたゼイユが苛立ちを隠せないでいると、オオタチ達がニヤニヤと笑いながら近寄ってくる。
「…ッ!なによ!!」
怯えるゼイユの前に、オオタチとともっこ達はますます笑いを高めた後、クイッと右手で輪っかを作った……『金』のハンドサインであった。
「はぁ!?アンタたちポケモンのくせにお金取るの!?」
ゼイユのその反応にまたもゲラゲラヒィヒィ、と笑うキチキギスに、「ぶーぶー!」と親指と下に下げてブーイングするイイネイヌ、そして、アッカンベーをしながらおちょくるマシマシラ。そんな彼らと共に笑いながらもオオタチはそれを手で制した…が、
「タァチィ…!」
やはりビシッと『金』のハンドサインを決め、もう片方の手で「早くしろ」と言わんばかりにクイクイと催促する。
「~~~~ッ!!あぁもう!これでいいんでしょう!?」
財布からお金を取り出し、オオタチの前に突き出すと、オオタチはきょとんとした顔をする。
「……は、早く受け取りなさいよ…!」
すると
「タァチタチタチタチwww」
なんとオオタチはパーカーのポケットから金色に輝く小判…おまもりこばんを取り出し、逆にゼイユの眼前に見せつけた。
「は…!?~~~~~~~~~ッ!!!!あぁ分かったわよッ!!これでッ!満足ッ!?」
ゼイユは財布に残していたお金全てを地面に叩きつけ、「キィ~~ッ!!」と言いながらオオタチ達から逃げるように走り去っていった。
その姿に我慢できなくなったイイネイヌが「ブフォwww」と吹き出したのをきっかけにオオタチ達は腹を抱えてゲラゲラと笑ったのだった。
その後、敗北の屈辱を何とか隠すように落ち着こうと山を下りていくゼイユは、いら立ちの中、この状況の打開策を探っていた。
「~~~~ッ!!今のあのオオタチじゃどうやっても…!!そ、そうだ!『あの子達』なら…今のオオタチでもなんとかできるかもしれない…!!」
閃いたゼイユは一目散に山を下りていき、ブルーベリー学園へと連絡を取るのだった………。