オオタチですか 作:メガオオタチ
そんなわけで今回は『美味しんぼ』がアニメ化されると聞いてウキウキしながらガルパンの劇場版を見て執筆した第31話です。どうぞ
――その日の夕方、カラフシティは異常な空気に包まれていた…。
「タァチ……タチタチ…」
そう、長い銀髪のウィッグを付け、ダークグレーのロングコートを着て、左腕になんか変な機械を付けた一匹のオオタチが各レストランを回っては料理を残す事なく食べ……食べたのだが…残念そうな顔をしながら代金を支払い去っていく。
「な、なんだぁ…?あのポケモン…」
「さ、さぁ…?でもまぁちゃんと料金は払ってくれるし…」
が、事件はそんな中起こった。
「テメェ!うちのメシがマズイとでも言いてぇのか!?」
ある店の店主がオオタチに食って掛かったのだ。後にその店主が語るに、「あの時は試されているかのようで我慢がならなかった」と言った。
「おうお前ら!このポケモンをたたんじまえ!手加減すんじゃねぇぞ!!」
「へ、へい!」
「がってんです!」
そうして店主はキョジオーンを。従業員たちはジオヅム達を。合計3匹がオオタチの前に立ちはだかった。それを見たオオタチはフッと笑った後、ロングコートのポケットから1つのモンスターボールを取り出す。
「なにィ!?」
「ポ、ポケモンがポケモンを使う気か!?」
「タァチッ!!」
直後、オオタチが空中に投げたボールからは一匹の大きなニョロボンが現れ、店主とキョジオーン達を見下ろす。
その大きな図体に店主たちが恐れをなしたのを見たオオタチはそのまま親指を下にし、ニョロボンへと指示を下す。
「タチッ!タチタチッ!!」
「ボォンッ!!!」
そうして、ニョロボンが呼び寄せ放ったのは、なみのり。荒ぶる波でありながらもキョジオーンとジオヅム達だけを正確に飲み込み、即座に戦闘不能にしていく。
「あぁッ!?キョ、キョジオーン!!」
「なんて威力なんだ!」
「ひ、ひぃぃぃ!!?」
そんな狼狽する店主たちの様子をオオタチはフッと笑った後、ニョロボンをモンスターボールに戻し、背を向けて次の店に向かう…
…意味もなくハーモニカを吹きながら…さらに言えば急に砂を含んだ風が吹いて、タンブルウィードの代わりにアノクサがころころと転がったとかなんとか。
この時の様子を見ていた観光客の一人が後に、「ワンターンスリーキルゥ…」と驚愕していたのはまた別のお話。
◆◆◆
こんなんじゃ、満足出来ねぇぜ…
あ、どうもオオタチです。
いやぁこの街に来てから色々食べ歩いてるんだが…ギリギリ美味い店はあっても俺の人生のフルコースに入れられるような料理には出会えてねぇ…やはりグ〇メ界の特殊調理食材で料理したものじゃなきゃあダメか…?
ま、次の店に行くか…ってかそろそろちゃんとジムリーダー探しもしねぇとな。でもこんだけレストランがある街だ…案外ジムリーダーも料理人だったりするんじゃねぇのかな?知らんけど。
そんなことを考えながら次のレストランの前に辿り着く…ほうほう、【ハイダイ倶楽部】…ね…元の世界で言うところの中華料理をメインに取り扱っている感じの店か…さぁて店に入る前にまずは排気口から出る料理の香りを確かめるか…
………!ほぉ…!使っている油やこの香辛料の配分が醸し出す独特な香り…コイツァ驚いた…!このハイダイ倶楽部ってとこには腕の立つ料理人がいるらしい…!
ク、ククク…ヒャーハハハハ!!いいぜェ!その味でェッ!俺を満足させてくれよォ!?
ほな、入店すっか…あ、どもっす、あ、一名…ってか一匹なんすけど予約とかしてなくってぇ…行けますかね?行けるよね。行けるわ(ダイナミック入店)
ほどなくして俺はカウンター席に(勝手に)座った。
さーてと…諸君…こういう中華料理屋に来てその店の味を知りたいとき、何を注文すりゃあいいか分かるかい?
あいや、あくまで持論だけどさ?俺ァやっぱしチャーハンよチャーハン。米のパラパラ加減から腕前が分かるし、調味料がどれをどの配分使ってるかが分かりやすいのさ。
ってなわけで…すんませーん、チャーハンくださーい…ってウェイターのあんちゃんにゃ俺の言葉分かんねぇか…ホレ、メニューのこの写真のこれ!頼んだぜ!
ふぅ…しっかし驚いた顔してるなぁ…なんやせっかく変装して鬼柳〇介スタイルで来てるってのに…いかんよ?ポケモン差別は。だめぜったい。OK?OK!じまんのワザ(以下略)
◆◆◆
―厨房に緊張走る。とはこのことで、ハイダイ倶楽部の厨房はどよめいていた。
「ハ、、ハイダイさん、どうしましょうあのポケモン…ホントにチャーハン食べるつもりみたいですよ…!」
「う、うーむ…でも来てくれたお客さん(?)には違いないんだい…ウム、ここはやってみるか…!」
かくしてハイダイによるチャーハンの調理が始まった。調理開始前にあった困惑とは打って変わり、一人の料理人としてチャーハンに挑み、調理する。
愛用の中華鍋に具材を投入しながら、火加減を細かに調節し、寸分の狂いもない調理工程であった。
…が、この時、ハイダイはあるミスを犯してしまう。いや、正確にはミスと呼べるようなものではなかったのだが。それが何なのかというと…
(今回のお客さんはポケモン…という事はいつもの味付けだと濃すぎてよくないかもしれないんだい)
という気遣いであった。
「よォし!チャーハン、出来上がったんだい!さ、持って行ってくれ!」
出来上がったチャーハンを持って行ったウェイターはぎょっとした。先ほどまで銀髪にダークグレーのロングコート姿だったポケモンが、白髪交じりの黒髪オールバックのウィッグに、和服姿という…どことなく美食家を思わせるような出で立ちに変わっていたのだ。
困惑しながらもウェイターがチャーハンを提供すると、そのポケモンは何かに気づいたようにピクリと眉を動かし、渋い顔をする。そのまま数秒チャーハンを睨んだかと思えば、備え付けのスプーンを手に取り、チャーハンを一口、口に運ぶ……が…
◆◆◆
このチャーハンを作ったのは誰だあっ!!
おっと思わず心の中の海〇雄山が出て厨房に殴り込みに来てしまったタチねぇ…いんやだが今回はままならねェ!!
なんだこのチャーハンは!米のパラパラ具合は見事と褒めてやる!だが味の薄さ、香りの薄さ!俺はこのようなモノを頼んだ覚えはないわぁっ!!
「なっ!?なんだいなんだい!?」
むっ…そこなエプロン姿に丸顔のおっさん…ほう、その手の無数のマメの痕、料理人としての爪の短さ…そしてそこにある手入れの行き届いた包丁や中華鍋…ふん、どうやらお前がこの店の料理人だな!!腕の立つことは見ただけでわかる…この街一番の料理人はお前だろうよ。
しかしそのような腕の立つ者でありながらなんだ!このチャーハンの味は!!ゼイユのグラエナでさえ喰わんわ!!
あ、そーいえばゼイユ元気にしてっかなぁ?何にも言わずパルデアまで来ちまったよハハッ!
「ええっと…すまんなぁ…タチタチじゃあわからないんだい…何か苦手な物でも入ってたのかい?」
…確かに何も俺の事知らんおっさんなら俺の言葉はタチタチにしか聞こえねぇか…
こうなりゃ仕方ねぇ…厨房を借りるぜ?
「タチッ」
「な、なんだい!?なんだってんだい!?」
決まってんだろ。俺のちっちゃなお手手で作るんだよお前本来のチャーハンをな。
さっき食った薄味のチャーハンとこの厨房に漂う香りから作り方は大体わかる…さぁて…
ヒャーハハハハ!!インフェルニティ・クッキングの始まりだァッ!!満足させてもらうぜェッ!!?
俺の先攻ォッ!油が引かれたフィールド(中華鍋)にライスを召喚ッ!さらにフィールド効果(コンロ)で火炎地獄ッ!!ここで先に隠し味のコンソメを含む調味料を新たに特殊召喚しライスにチューニング(炒め作業)!!さァ来い…!!
シンク○召喚ッ!!『パラパラライス』ッ!!!
「ぬおっ…!?こ、この手慣れた作業…!まさか君も料理人だったんだい!?」
料理人?ハッ、俺はタチリストだ!
驚くのは早いぜェ?さらに俺はデッキ(食材置き場)から刻んだ玉ねぎ、肉、卵を追加召喚し炒めた後…ククク!俺からのファンサービスだ!!受けとれぇッ!!
俺は『パラパラライス』と全ての材料でオーバーレイネットワークを構築ッ!
エク〇ーズ召喚ッ!!『チャーハン』ッ!!!
「こ、この短時間で…!しかも、この香りは…!」
出来上がったチャーハンを皿に盛り、おっさんの前に置いてやる。さぁ食えよ…!これが『本来の味』だろ…!
突き付けたスプーンを受け取ったおっさんはその手を震わせながら一口食べる…するとどうだい?目を見開いて驚いていやがるじゃあないか…
「これ、は…!この味は間違いない…うちの…【ハイダイ倶楽部】のレシピ通りの…味…!?」
く、ククク…!そうだ!その顔が見たかった…!満足したぜ…!
さぁてと、俺も食うか…うンまぁ~イッ!ヒューッ、ある程度予想はしてたが…これがここのチャーハンの味かぁ…勉強になるなぁ…
あれ?俺何しに来たんだっけ?
「…そうか…これが食べたかったんだなぁ…申し訳ないんだい…俺としちゃあ気遣いだったが、それが本来の味を崩しちまったんだなぁ…料理人としてもジムリーダーとしても、もう一度気を引き締めていかにゃあいけないんだい…!」
アッ!!?そうやんジムリーダー!!このおっさんがジムリーダーなんか!!!?
…まぁ言われて見りゃあ特徴的なビジュアルよな?
………となりゃあやるこたぁひとつだ…
「タチィ…!」
「ん?どうしたんだい?…へ?」
俺はスッとモンスターボールを突きつけてやった。
…おい、デュエルしろよ。
あ違った。ポケモンバトルしろよ。