咎煮の鍋底   作:咎煮

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何度消しててもやっぱりルルゥは忘れられない……この話は殿堂入り(私の中では)


ルルゥのご主人様(モン娘TD:ルルゥ)

 カーバンクル。それは額に宝石を有した人ならざるモノ。そしてカーバンクルの宝石は膨大な魔力を秘めており高値で取引されたり魔術の触媒にもってこいなので乱獲される被害が後を絶たない。世は弱肉強食、そう言ってしまえばそれまでなのだが……

 

 

 

「居たぞ!」

 

「体毛は緑……風属性のカーバンクルだ!」

 

「囲め、囲め! 逃がすなよ!」

 

 某日。日常茶飯事となりつつある乱獲が行われようとしていた。

 

「……やれやれ、懲りない連中だ」

 

そんな乱獲者達を高台から見下ろすのは一人の青年。外套をはためかせ肩を竦める。言葉から察する事が出来る感情は落胆といったところか。

 

「まあ、懲りないなら懲りるまで徹底的に分からせてやるまでだ。ルルゥ、援護は任せたぞ」

 

外套を脱ぎ捨てて腰に差した剣を鞘から抜き放つと隣に居た青年よりも小柄なルルゥと呼ばれた同行者に告げる。

 

「ご主人様、気をつけて」

 

脱ぎ捨てられた外套を受けとめて心配そうな声音で返すルルゥ。声からして少女といったところか。

 

「ああ」

 

青年は短く答え、高台から勢いよく飛び降りる。高さは……骨折で済めばいいくらい……自殺志願者、または頭のおかしい奴だと目にした者は思う事だろう。

 

「ご主人様のために……頑張るの」

 

ーーだが、そうはならない。青年には彼女が居るのだから。

 

ルルゥが手を翳すと手のひらに丸みを帯びた菱形のオブジェが現れる。淡い桃色の輝きを放つと絶賛降下中の青年に同色の粒子が纏わりつく。やがて密度を増していき包み込むかのように球体を成す。

 

「ーーくらえ!」

 

「親方! 空から男がぶべらッ!」

 

「そこは女だろうひでぶ!」

 

「上から来たぞ! 気をつけぜぶらっ!」

 

勢いそのままに青年は乱獲者達に剣を降り下ろーーさないでダイレクトアタックをかます。剣を抜いた意味のない見事な体当たりに乱獲者数人がやられた。

 

 

「……乱獲はゲシュペンテス島においては禁じられているが……知らない、なんて事はないよな?」

 

球体が溶けるように消え、青年は剣を地面に突き立てて倒した乱獲者とは離れた位置に居る者達に睨みを効かせながら訊ねる。

 

「ああ、知ってるよ。けどな……目の前に宝があるのなら手を出すのがーー俺達盗賊って奴よ!」

 

「乱獲者には違いないが盗賊だったか……なら、遠慮は要らないな」

 

乱獲者……改め盗賊が距離を詰めるのに対し、青年は突き立てた剣を持ち上げると正眼に構える。

 

「やる気か! だが数は此方の方が上だ!」

 

盗賊は見せつけるように仲間達を横並びにする。青年は眉を歪め、舌打ちをした。どうやら盗賊が言う通り質より量だと分が悪いようだ。

 

「……これなら、少し傷は負うかもしれないが負けはしないか」

 

溜め息一つ。青年は両足に力を入れると地を蹴って駆け出す。と同時に盗賊達も駆け出し……瞬く間に両者の距離が一気に縮まり、剣戟が響き渡る。

 

ーーうおおぉ!

 

ーー幾ら雑魚が群れようと、雑魚は雑魚に過ぎん!

 

ーーぎゃああぁ!

 

しかし、青年との間には力量の差がありすぎたのか瞬く間に数を減らしていく盗賊達。その減り様は某無双を彷彿とさせる程だった。

 

ーー◆ーー

 

「……今日も終わったな」

 

 場所は変わり、よくあるギルド。青年は無力化させた盗賊を職員に引渡した後、宿を借りて桶に入れた湯で体を拭きながら溜め息を吐いた。

 

「思っていた以上に多かったが……何とかなるものだな……」

 

そう言って青年は姿見に映る自身の姿に目を向ける。力量の差はあったが多より個を得意とする青年では無傷とはいかず剥き出しの素肌に複数の傷が出来ていた。

 

「 ご 主 人 様 ! 」

 

「扉がはぁっ!?」

 

そろそろ服を着ようとした時、扉が吹っ飛んで壁に突き刺さった。青年は驚愕すると同時に腹部に強烈な一撃を味わった。

 

「ご主人様! ご主人様!」

 

「る、ルルゥ……腹部へのロケット頭突きはやめろ……それは俺によく効く……」

 

犯人はルルゥだった。青年は悶絶しながら頭に手を乗せる。

 

「ち、血を吐いて……ご主人様、ルルゥを置いていかないで……!」

 

「……(かすり傷だから気にするな……とは言えない程浅くはないか……というか血を吐いてるのは君のせいなんだが……)置いていかないさ。俺が死んだら誰がルルゥを幸せにするんだ?」

 

腹部へのダメージで死にかけているのにも関わらず、青年はゆっくりと安心させるように頭を撫でる。

 

「……ご主人様」

 

上目遣いで青年を見つめるルルゥ。その矢先、彼女の体から淡い桃色の光が発し……その姿を変えた。

 

「擬態が解けたみたいだな……リラックスしたようで何より」

 

ルルゥの姿は人から乱獲者達が追っていたカーバンクルに近いものとなっていた。違いといえば乱獲側のは原典に近い姿なのに対し、ルルゥは人に近い姿といったところか。ただ手足は猫みたいな肉球だし頭頂部にはフェレットみたいな耳があり、額にはカーバンクルを体現する宝石があった。

 

「ご主人様、ルルゥは……役に立ってる?」

 

「ああ、これ以上にない程に。というかルルゥなくしてあんな無茶は出来ないからな?」

 

あんな無茶……というのは高台から飛び降りた件だ。ルルゥが自身の能力であるバリアを張ってくれたから出来た事であり、バリアが無かったら確実にヘルダイブである。

 

「でも……無茶はしないでほしいの……ご主人様ーーまた傷だらけなのを隠そうとしてたの……」

 

「…………」

 

ルルゥの心配げな声に良心が痛むのか何かを言いかけて止める青年。

 

「……本当に、無茶はやめてほしいの……ルルゥを見てもおかしくならないのは……ご主人様だけなの……何かあったらまたひとりぼっちなの……」

 

「……悪い」

 

ーーカーバンクルの宝石には膨大な魔力が秘められている。欲に目が眩み乱獲する者が後を絶たない。幾ら分からせても、だ。それは何故なのか……青年は魔術を通じて一つの仮説を立てた。膨大な魔力に充てられて正気を失っているからではないか、と。まあ受け答えは出来るから正気を失っているとは言いがたいが……

 

 

 

「ルルゥは……これが嫌いだったの……ルルゥのこれは……魅了してしまうから……でも、ご主人様は……」

 

ーーその仮説は的を射ていた。カーバンクルに属性があるように充てられた者にも変化があった。赤は攻撃的に、青は冷酷に、黄は……そして桃は魅了。実際、青年がルルゥを保護するのが後少し遅かったら性的展開待ったなしだった。ルルゥいわく、普通のカーバンクルなら愛らしいと可愛がられる程度で済むが、ヴィヴィ神の祝福ーールルゥいわく祝福と書き、呪いと読むーーを受けた事で人に近い姿……所謂モン娘と化したせいで性的に可愛がられるという洒落にならない状態になったという。その事を聞いた青年はヴィヴィ神とやらに会ったらぶん殴ると決意したという。

 

「(……俺に魅了が効かないなんて事は無いんだが)ああ、効かない」

 

普通なら魅了が効かない=魅力が無いのかと落ち込むが……ルルゥにとってそれは嬉しい事らしく物凄くなつかれた。所謂好感度カンスト。彼女すっ飛ばして妻レベル。

 

「うん……だからルルゥはこれからもご主人様と一緒なの」

 

そう言って笑うルルゥ。青年は可愛らしいパートナーが傍に居る事にヴィヴィ神とやらに少しだけ感謝しつつルルゥを優しく抱きしめた。

 

 

 

おまけ

 

「それはそれとしてご主人様……ルルゥ、頑張るの」

 

「え、何を頑張る気だ? 傷を癒すなら服脱ぐ必要は無いんじゃーー」

 




青年:名前は出ていないが、長編作品の主人公がゲシュペンテス島入りしたらこうなる。尚、ルルゥは原作設定。後、ロケット頭突きをぶちかましてくる前からずっと裸であり、そんな状態で密着してたせいでルルゥに奉仕された。

ルルゥ:青年と一緒に居た時間が多いのと原作ご主人君みたいに複数連れていないせいかおどおどしつつそういう事するのは慣れてる。とはいえ青年のは立派なので奉仕するのも一苦労。また原作より早く獣神化する模様。余談だが原作ルルゥよりある部位が大きめ。


原作ご主人君:ルルゥには会っていないが他は原作通り進む。とあるイベントで初顔合わせになるが言動や容姿に憧れを抱く模様。ご主人君はショタだしね……おねショタ警察なるものが動くのが何よりの証拠。

ヴィヴィ神:有言実行とばかりに初顔合わせ時に青年からばくれつパンチ(1000ダメ×8回)を受けた。ルルゥが止めなかったら正拳突き)10000ダメ×1回)をくらうところだった。余談だが同じ獣神なのにこの扱いの差は何なんだと頭を抱えていた。

※原作ルルゥは唯一プレイアブルキャラに加えて獣神版まである。他は良くてバージョン違い。優遇されすぎであるしキャラ投票で一位キープ中……流石ゲシュペンテス島でのまとも枠。大体のキャラはぶっ飛んでるからなぁ……
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