この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第14話 このデュラハンとうんぬんな決着をつけるための作戦を‼(1)

『緊急事態発生です。冒険者の皆さんは、至急装備を整え、街の正門に集合して下さい!』

 

『……繰り返します!』

 

 平穏な日常をギルドで送る俺たちの前に、美声なアナウンスにより、物静かな空間が切り裂かれる。

 ただ(ごと)じゃない緊迫した、お姉さんの声が周囲に響き渡った。

 

「ふっ、そんなに繰り返さなくても、お姉さんのスリーサイズのことは、当の昔に熟知しているぜ」

 

「何、腑抜けたことを言ってるのよ? それよりもあいつが来たわよ‼」 

 

 武装したモンスターを背後に、正門で堂々と突っ立っていた、首のない(いか)つい黒い鎧の騎士、自称魔王の幹部の男、デュラハン。

 

 片腕に抱えた兜の隙間から、赤くぎらつく瞳が俺たちをめがけ、恐るべき殺意で睨んでいた。

 

「貴様ら、こんな所でのんびりと‼」

 

「あの、レンタル鎧のセールスなら、他でやってくれませんかね?」

 

「違うわ! この鎧は俺のものだ!」

 

 ええー、あなたの匂いがふんだんに染み付いた、それを着ちゃうんですかー?

 せめてレンタル用に、いくらかは備蓄してないといけないぜ。

 

「貴様ら、俺が一方的に城で待っているのになぜ来ない? 折角(せっかく)、用意した料理も、ホットコーヒーも、脳みそさえも冷めてしまったではないか!」

 

「えっ?」

 

 ああ、そうだった。

『我が家で待ってるぞ、わんにゃん動物ランドで~♪』のことか。

 馬小屋でホットヨガ(インドアらしい趣味)をしているうちに、すっかり忘れていたな。

 

「あっ、ごめん。特に城に行く理由がなくなったしさ。もう城には悪さしてないし、平和的解決を望もうぜ」

 

「何だと、何が平和的条約だ。そこの紅魔(こうま)の娘が我が城に向かって、毎日毎日、狂ったように、容赦なく爆裂魔法を仕掛けておるわ!」

 

 へっ、めぐみんが、そんな頭のおかしい無差別級テロ、真○湾的攻撃を続けていたのか?

 

「お前、男同士の友情に亀裂を入れやがって‼ どうしてくれるんだよ!」

 

「いや、だってあの城、見かけ以上に固くて大きくて、どうしても欲望を放たないと我慢ができなくなって……」

 

「許してカズマ。デュラハンのせいでクエストがなくて、ストレスが溜まっていたのよ。それにあれは、めぐみんの初めての相手(建物)だったの。私だって、毎日倒れためぐみんをおんぶして帰るのが大変だったんだから」

 

「アクアも共犯かい!」

 

 俺はめぐみんの頬を思いっきりつねり、逃げるアクアの(ころも)を掴まえる。 

 どうやら二人揃って、温泉地獄巡りを味わいたいらしい。

 

「貴様ら、あのクルセイダーを見殺しにするのか? そうやって、お茶らけたコントをしている間にも、お前らを守って、呪いを受けたクルセイダーが……」

 

「みんなすまない。新調した鎧だったので、着るのに時間がかかってしまった。しかし、これはどういう展開だ?」

 

 ダクネスが不安そうに走りながら、こちら側に駆けつける。

 そのあまりの出来事に、デュラハンとダクネスとの空気が数秒ほど固まった。

 

「なっ、我が呪いを食らって、何でそんなに元気なんだ? 一週間後には命を亡くす呪いだったのに?」

 

 デュラハンがあたふたしながら、震える手つきで、元気モリモリ筋肉ガールダクネスを指さす。

 

「カズマ、この失礼極まりない男は、何が言いたいんだ?」

 

「まあ、カルシウムとミネラルが足りない、大人の事情というヤツだろう」

 

 ダクネスが『なるほどな……』と頷き、俺のすぐ隣の配置につく。

 

「フフーン。私が呪いを解いたのに、何も知らずに城に引き込もって、悩ましいアイドルのゲームでもやっていたのかしら? めっちゃ笑えるんですけどー(笑)」

 

「魔王の幹部とか、自慢していたけど、本当は昆布なんじゃないのー(苦笑)」

 

「おい、アクア。そんくらいにしておけ……」

 

 ゲラゲラと品なく笑うアクアを止めようとするが、残念ながら手元には、ジャイアントトードの生臭い唐揚げ(第1話参照)はない。

 もう完全にアクアには、笑いのツボが入っていた。

 

「貴様ら、俺の実力をなめているのか。俺が本気になれば、こんな街の人間全員の息の根を瞬時に止めれるのだぞ」

 

「わけの分からない妄言に私を巻き込まないでくれるかしら。私の前に再度やって来たことに、懺悔(ざんげ)しなさい!」

 

『ターンアンデッド!』

 

 アクアの神聖魔法が、棒立ちのデュラハンの体を覆いつくす。

 

「はははっ、とんだマヌケだな。そんな下級の浄化魔法が俺様に効くはずもない……」

 

 自信に満ち足りた発言はさておき、聖なる光がデュラハンの鎧全身に降り注ぐ。

 

「ぎゃあああー、あちあちっー!?」

 

 聖なる炎を燻らせ、デュラハンが本体の兜をボーリングのように放り投げ、床下をゴロゴロと転がる。

 

「カズマ、おかしいわ。デュラハンに私の魔法が効いてないわよ?」

 

「えっ、結構ダメージ受けてないか? 何やら叫んでるし?」

 

「いえ、叫ぶことなら赤ん坊でもできるわよ」

 

「確かに。オギャーオギャー言ってるもんな」

 

 騎士や、悪い子、燃えつきな。

 

****

 

 ──ぐぬぬ……何者なんだ……あの女は。

 俺の肉体は魔王様の力で強靭となり、こんなド田舎の素人プリーストの神聖魔法など効かないはず……。

 

 俺はこの街の近くに落下した、謎の光を突き止めるための調査をしに来たのだが……あのようなネズミが潜り込んでいたとは……。

 

「まあよい。こんな道楽な街に貴様のような女がいるのには驚きだが、魔王軍の驚異になりそうな相手は、俺自身の手で葬りさってくれる!」

 

「望むところよ。今度こそ決着をつけてあげるわ!」

 

 ──俺たちがボケーとしながら、戦いを鑑賞する中、アクアとデュラハンによる二人の戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

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