この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第19話 この迷惑なパーティーから離れて、心から新しい生き方を‼

 

****

 

「何だと、もう一回言ってみろ! このうすら豚カツ(とんかち?)!」

 

「ああ。言ってやるよ。お前ら、上級職のパーティーを引き連れても、犬の散歩程度の仕事しかできないのかよ」

 

 雪精(ゆきせい)のクエストから、数日が過ぎ、俺はギルドの飲食ブースで絡み酒の若い酔っ払い野郎に言われるがままだった。

 

「カズマ、酔っ払いの言うことなんて、まともに相手しないで。美人で強いキャリアウーマンみたいな私たちのメンバー構成に憧れてるのよ」

 

 アクアの言うことも、一理あるのか?

 だとしても、こんな暴言の嵐。

 相手が酔いどれでも、めっちゃ頭にくるな。

 

 二度目の蘇生で体調が万全じゃない中で、やっとありつけた仕事なのに……。

 

「全く、いい女の上級職を三人もパーティーに入れやがって。ハーレム気分でおんぶに抱っこかよ。俺とメンバーを代わってくれよ」

 

「おおー、喜んで代わってやるよ。このクソったれがー‼」

 

 酔ってるとはいえ、あまりもの暴言で頭にきた俺は、その野郎の胸ぐらを掴む。

 

「いい女に囲まれてハーレム気分? お前の目は節穴か‼ その腐った目をくり貫いて、(耳の穴かっぽじって聞け……では?)コイツらをよく見てみろ!」

 

 俺の熱い想いに、酔いが覚める酔っ払い野郎。

 自称美人のアクアたちは、ブーブー文句をかましていた。

 

「ああ、すまねえ。俺も口が過ぎた」

 

「じゃあ、一日でいいから、コイツらと代わってくれないか?」

 

「えっ、それマジなん?」

 

****

 

「冒険者君、俺はこのパーティーのリーダーのクルセイダーのテイラー、隣にいる娘がウィザードのリン、後ろにいるのがアーチャーのキースだ」

 

「俺は冒険者のカズマだ。前パーティーのリーダーを任されてた」

 

「えっ、どうして最弱の職業の冒険者が、上級職のメンバーのリーダーをやってたんだ? 

もしかして、虐めにでもあっているのか?」

 

「何なら私が、警察呼ぼうか?」

 

 街外れの人気のない森をのんびりと歩く中、何かと誤解されがちな、このご事情。

 あいつらはうまくやってるかな?

 

****

 

「今回、討伐するゴブリンは、ここから先に潜伏しているらしい。俺が先頭に出るから、皆はフォローを頼む。カズマは様子見で後ろにいてくれ」

 

 そうだよ、これこそが本当の冒険というヤツだよ。

 一時的でも、メンバー代わって良かったー。

 

「ん? 頭ん中のレーダーに、一体の生命反応があり。何かが近付いてくるぞ」

 

 早速(さっそく)、敵感知スキルが役に立ったぜ。

 

「ゴブリンじゃなさそうだが、一体だけだし、迎え撃つか?」

 

「いや、カズマ、どんな相手か不明だから、君の持っている潜伏スキルで見極めよう」

 

 ──草影に身を潜め、俺たちのすぐ隣を過ぎ去っていく、大人の人間のようなドデカイ図体をした黒い虎の猛獣。

 思わず息をするのも忘れ、その相手が去るのを黙って見送った。

 

「何で初心者殺しが、この辺をうろついているんだ?」

 

「何だ、その鬼畜(きちく)そうなモンスターの名前は?」

 

「レベルの低い冒険者目当てで、弱いモンスターとつるんで、出逢ったら最後、骨になるまで食らいつくすという名高い猛獣さ」

 

「俺たちはチキンさながら、フライドチキンの骨付き肉ってか。それよりも早くここから離れよう」

 

「助かったよ、カズマ」

 

****

 

 大量のゴブリンがいる草原の広場に到着し、驚きを隠せないテイラーたち。

 

「何て数だ。三十匹はいるだろうか」

 

「でも戻ったら、初心者殺しがいる可能性もあるかもよ」

 

「こうなれば戦うしかないか!」

 

 前方から『キャハハウフフ』気分(イカれてる?)で接近して、こちらに攻撃を仕掛けてくる小型のモンスター。

 オノやヤリ、弓矢などを武器にした、頭の中まで、お花畑のゴブリン集団と来たもんだ。

 

『クリエイトウォーター!』

 

 俺はゴブリンの進行方向に水魔法を放つ。

 

「カズマ、呑気に水遊びしている場合じゃ?」

 

「いや、これはほんの余興(よきょう)さ。いくぜ……」

 

『フリーズ!!』

 

 濡れた土の大地に冷気を浴びせ、固い氷へと変化させる。

 

『フガガ!?』

 

『ツル、スッテーン!!』

 

 その場にいたゴブリンの軍団は、氷の地面に足を滑らせ、次々と豪快にぶっこける。

 

 お前ら、スピードスケートも、ろくにできないのか?

 まあ、俺もできないけどな。

(ガチで滑れん勢)

 

「よし、今だ。みんな続けー‼」

 

 俺の即興の作戦により、テイラーたちは見事にゴブリンの討伐に成功したのだった。

 

****

 

「お前、凄いな。あんな風に初期魔法を使いこなすなんて天才かよ」

 

「私の先生なんか、初期魔法なんて覚えても、無駄な行為って教わったのに」

 

「とにかく楽にゴブリンに勝てたし、無事にクエストが終わって良かったよ。あとは報酬を山分けだな」

 

「ああ、今日は俺の『ようこそ偉大なるカズマ様』の歓迎会だ。パーと飲んで今後の作戦でも練ろうぜ」

 

『お疲れさーん!!』

 

 帰り道の草原を歩きながら、俺たちは先ほどまでの武勇伝を満足げに語っていた。

 

****

 

「ううっ……ガズマー……」

 

 最強の盗賊の俺(ホラを吹くな)を加えたテイラー新パーティーが、ギルドに帰ってくると、別パーティーのアクアと愉快な仲間たち(勝手に命名)が、ボロ雑巾のような姿で存在していた。

 

「おっ、おいっ。このふざけた子は何なんだ!?」

 

 あれだけ大口を叩いていた、新パーティーのリーダーでもあろう元酔っ払い野郎の威勢は消えていて、背中に担いでいる顔色が優れない、めぐみんを名指しする。

 

「この子がいきなり誰もいない場所で、自慢げに『こうなんちゃらの最強の爆裂魔法を見せてやる(あははっ~♪)』と、撃ったかと思いきや、その爆音で初心者殺しが来て、大変だったんだぞ」

 

「しかもこの子は地面に伏せて力尽きるし、クルセイダーは喜んで死に逝くようなヤバい(つら)で突っ走るし、このアークプリーストの姉ちゃんは宴会芸で、初心者殺しを挑発するし……」

 

「もう、俺の心は何回死んだか分からないぞー!(心からの叫び)」

 

 大の男が半泣きになりながらも、俺にすがるように助けを懇願(こんがん)していた。

 

 泣きじゃくるアクアがおぶっているダクネスに至っては、気絶しているのか、カチカチの冷凍マグロみたいに微動もしない。

 

「そうか。でも安心しろ。イタイのは最初だけだからな。新しく心機一転というのもいい心がけじゃないか」

 

 俺は元酔っ払い野郎の肩に優しく手を置き、人生の伴侶と生きていく難しさとは何か? というのを心で伝えようとした。

 

「もう、本当に勘弁してくれ。酔って絡んだ俺が悪かった。一生のお願いだ。元のテイラーのパーティーに戻してくれよー!!」

 

 次の日から、この元酔っ払い野郎()()()は、酒には溺れて、絡み酒になっても、俺に絡むことだけは()めたのだった。

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