この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第21話 この一組のアンデッドに第二の幸せを‼

『ターンアンデッド‼』

 

 アクアの神聖魔法で消えていく相手。

 

「しつこいわね。アンデッドの分際で! 

こうなったら、片端から相手をしてあげるわ!」

 

『ターンアンデッド‼』

 

 瞬時に消え失せる威力は計り知れない。

 

「おいっ、いくら魔力があるからって、相手にしてたらキリがないぞ」

 

 俺とアクアはダンジョンをモンスターに気付かれないように、探索するつもりだったが、

早くも見つかってしまい、こうやってアンデッドの群れと交戦している。

 

 ゾンビに骸骨剣士、鎌を持った死神、ゴーストなど、その種類は実に多彩だ。

 

「ねっ、私という有能なプリーストがいて、正解だったでしょ」

 

「まっ、まさかダンジョンで、こんなにも敵から逃げるはめになるとは……」

 

「だから、徹底的に駆除しようって」

 

「あのなあ、出てくる敵全部に対抗していたら、体力が持たねえぜ。

俺たちはスズメバチの駆除に来てるんじゃないんだぞ」

 

「えっ、報酬のオマケとして、蜂蜜ドラム缶一杯くれるんじゃないの?」

 

「そんなサービス精神見せたら、蜂蜜農家潰れるわい‼」

 

 このプリーストがいなければ、今ごろ俺は売れない蜂蜜のビン片手に、路頭をさ迷っていたかも知れない……。

 

「まあ、大体、探索できることも判明したし、そろそろ引き返すとするか」

 

「えー? 人生長いんだから、もっと楽しまないと勿体(もったい)ないわよ」

 

「あのなあ、俺はもう死んでるし、ここは遊園地のテーマパークじゃないんだぞ」

 

 アクアの冗談に付き合いきれず、ダンジョンから帰ろうとした俺らの前に長い影がさす。

 

『そこに誰かいるのかい……?』

 

 その(ぬし)は、人の形をしたシルエットだった。

 近くのわき道のほら穴から、一人の魔法使いの格好をした骸骨に呼び止められたのだ。

 

「あっ、リッチーじゃない‼ こんな場所にも隠れていたなんて。リッチーのクセに生意気よ。私が成敗してくれるわ!!」

 

「えっ、ウィズ(第8話参照)の仲間なのか?」

 

『まあ、落ち着いて。君たちに危害を加えるつもりはないからさ。久々に人間に会ったんだ。積もる話が山ほどある……』

 

 骸骨に連れられ、俺とアクアはその先の居住スペースへと案内される。

 

『おっと、自己紹介がまだだったね。私の名はキールさ』

 

「キールって、あのおとぎ話の?」

 

『おや、私のことをご存じかね。このダンジョンを創造し、貴族の令嬢を拐った魔法使いだから、色んな意味で有名なのだろうね』

 

 殺風景な部屋でキールは木の椅子に腰を下ろすと、すぐそばのベッドで寝ている骸骨の女性を見つめる。

 端から見ても、何年かけても、()でている感触が拭えない。

 

『私はこの人と一緒に永遠に眠るつもりだったのに、凄まじい神聖の力で目覚めてね』

 

 隣の無言の相手に、優しく語りかけるキール。

 

『骸骨になっても綺麗な相手だろ? この人を愛する気持ちは、何年立っても変わらないよ』

 

「やっぱり、あんたの願いはこの子を?」

 

『ああ。可愛がられずに、みんなから虐められていたから、気に入らないなら、この方をくれと言ったのさ』

 

『それで、このお嬢様にプロポーズし、結婚するようになって、お嬢様を巡って、王国軍と戦争の嵐さ。あの頃は楽しかったよ』

 

 あれ、こんな軽いヤツだったか?

 何か、おとぎ話と設定が違う……。

 

『最後に頼みがある。そこのプリーストのお嬢さん。私を浄化してくれないか?』

 

「えっ、私?」

 

『君の力は十分承知さ。膨大な力を持ったリッチーさえも浄化できるんだろう?』

 

 キールは頬骨を緩ませ、アクアに笑いかけたような気がした。

 

****

 

『本当にありがたい。お嬢様が死んだ今、リッチーになった意味を無くしていて、現世にいる理由もないからね』

 

『色々とあったけど、私は彼女を幸せにできただろうか』

 

 アクアの魔法により、キールと彼女の周囲に、幾度もの円の魔法陣が浮かび上がる。

 

「神の(ことわり)を捨てて、愛しの彼女を守るためにリッチーとなったアークウィザード、キール。水の女神アクアの名において……」

 

 アクアが両手を合わせ、聖なる天使のような微笑みでキールに優しく語る。

 

「あなたのやって来た善悪の行為を、全てひっくるめて許しましょう」

 

 はっ、何、その似合わないほど真面目で、清楚な受け答え?

 俺の知っているアクアは、もっとガサツで己の本能で宴会芸をするようなヤツだぞ?

 

「次に目が覚めた時、エリスという女神に救いを求めなさい。彼女との再会を望むなら、その女神にその想いを告げなさい。きっと素敵な第二の世界が待っているわ」

 

『セイクリッド・ターンアンデッド‼』

 

****

 

「あのアンデッド、今頃、お嬢様と会えたかな?」

 

「さあね、分からないけど、エリスなら何とかしてくれるわよ」

 

「しかし、それにしてもさあ……」

 

 俺とアクアはまたもや、アンデッドの集団に囲まれていた。

 

「次々と湯水のように現れるコイツら、どうにかならないのか?」

 

「甘いわね、カズマ。出てきた分だけ叩くのはRPGの法則よ」

 

 いや、俺をそっちのけで、お前自身が楽しんでいるだけだろ?

 

「おい、ちょっと聞きたいんだけど、このアンデッド、お前の魔力に引き寄せられていないか? 俺一人の時よりも明らかに数が違うんだけど?」

 

「それにキールが神聖魔法で目覚めたわけや、デュラハンのモンスターも、お前を集中的に狙っていた理由にも当てはまるし?」

 

「さっ、さあね。ただの気のせいじゃない?」

 

 俺の正論な意図をついた発言に、アクアが焦っている。

 

「どうだか。いずれにせよ、お前一人で遊んでな」

 

 アクアの言葉に腹が立った俺は潜伏スキルを使い、土壁と同化して、壁の中に溶け込んだ。

 

「あっ、何、私に向かって、潜伏スキルを使ってるのよ?」 

 

「私が悪かったから、ご、ごめんなさい。怖いから一人にしないでよー!?」

 

 壁へとのすり抜けた元の場所から、アクアの悲鳴が木霊(こだま)していた……。

 

 

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