この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第24話 この何でも屋の商売人に心からの相談を!!(3)

「いっ、痛い……何するのよ。バカカズマ‼」

 

「その声はアクアか。お前、何やってるの?」

 

 影の正体はフランス人形ではなかった。

 

 俺の開けたドアに頭を思いっきりぶつけたらしく、手前でうずくまっている女神の額から、大きなたんこぶができていた……。

 

****

 

「なーるー。霊を全部浄化するために、屋敷中をうろちょろしていたと」

 

「ふん。あんな低級霊なんて、私にかかればあっと言う間よ」

 

「そのわりには扉の前で苦戦していたみたいだが? こぶとりオバチャン」

 

「誰のせいよー!」

 

 額に貼られた痛々しい絆創膏(ばんそうこう)に手をやり、こちらにガンをつけるヤンママ。

 

「ヤンババとは何よー!!」

 

「お前、俺の心を読んで、さらにねつ造するなよ……」

 

「それよりも聞いてよ、カズマ」

 

 アクアが見覚えのあるワインボトルを俺に見せつける。

 

「入居祝いに飲む予定だった私のお酒、あの幽霊に(から)になるまで飲まれたのよ。

昨日の夜に話した、隠し子の幽霊よ」

 

「マジか?」

 

 あの話はアクアのキテレツ怪談話かと思って、頭の片隅に追いやっていたんだが……。

 

「だからそれで腹が立ったから、この屋敷中の霊を多少、強制的に成仏させたのよ」

 

「そりゃ、霊も散々だっただろうな」

 

「でもカズマたちを追っていた人形は、悪どいことはしなかったわよ。一緒にお酒を飲んで(なご)みたい、構ってちゃんだったわね」

 

「そうか……。そんな心境も知らず、何か逃げてばかりで悪いことしたな……」

 

 めぐみんも『そうですね……』と呟き、少しばかり気を落としている。

 

「まあ、代わりに私が、心ゆくまで彼女の相談にのってあげたから、もう問題はないわよ」

 

 アクアの(はか)らいにより、屋敷の幽霊騒ぎはこれにて無くなり、

 ダクネスだけが夢の中で、フランス人形とのファンタジー世界を楽しんでいたのだった……。

 

****

 

「──カズマさん、この前の悪霊退治の件に対して、臨時の報酬が出ます」

 

「やったわー、カズマ。今日は朝までパーティーよー!!」

 

 ギルドと不動産屋さんに任務完了を知らせた帰宅後、俺たちの冒険者カードの記録を拝借(はいしゃく)していた、例の美人お姉さんから、お褒めの言葉がかかる。

 

 最近、暖房費などで生計のやりくりが大変だったし、これは願ったり叶ったりだ。

 

「それと、この街に悪霊が増えてきた原因も判明しましたよ」

 

「えっ、何ですか?」

 

「街の外れにある墓地に何者かが神聖魔法の結界を張って、霊を寄せ付けなくしたみたいで、それで墓地に帰れない霊が、今回のように街の空き家に住むようになったみたいです」

 

 俺の隣で下手っぴな口笛を吹いて逃げ去ろうとした、アクアの衣をしっかりと捕まえる。

 

「……おい、駄女神。どういうことだ?」

 

「えっ、えっと、ウィズからの依頼の墓地の霊の成仏を、毎回やるのが億劫(おっくう)になったので、バリアを張って、霊を蹴散らしたのですが……てへぺろ♪」

 

 俺の頭の中の何かが切れ、アクアにひきつった笑みをおくる。

 

「お金は受けとらんでいいな?」

 

「はひっ……」

 

****

 

「……ってなわけですみません。俺たちが発端で…」

 

 屋敷の庭に戻ってきた俺はアクアと一緒に頭を下げて、不動産屋さんの前で謝罪する。

 

「いえ、いいんですよ。何だかんだで屋敷の霊を徐霊させてもらいましたし……。それにどうせならこれからも、この屋敷に住んでみませんか? そうすれば屋敷の悪霊の疑いも晴れると思うのですが……」

 

『あっ、ありがとうございます』

 

 俺とアクアは、丁寧にお辞儀を返す。

 

「では、ここで二つだけお願いごとがありまして、クエストからの帰宅後の夕食の際に、その冒険話をして、その場を和ませてくれませんか?」

 

「ええっ、お安いご用です」

 

「それともう一つ、毎日欠かさず、敷地内にあるお墓の手入れをお願いします……」

 

****

 

 俺は不動産屋さんの言いつけを守り、ポツンと一つだけある墓場の掃除をしながら、墓標に目をやる。

 

「うーん、古びた文字で読みづらいけど、アン……ナ? どこかで聞いたような……?」

 

「ふふっ。甘いお酒の差し入れとかしたら、さらに喜ぶかも知れませんよ?」

 

 真横でウィズが微笑みかけ、俺は数歩後ずさる。

 

「おわっ!? いきなり現れて何の用だ? もう体は平気なのか?」

 

「はい、お陰さまで体調は万全です」

 

 ウィズが両拳を握りしめ、今までにない根性を入れる。

 

 良かった。

 体の透明度はなく、元に戻ってるな。

 

「そうだ、どうせ来たなら、屋敷(ウチ)に寄って行かないか? これから新居お祝いパーティーを開くんだけど?」

 

「あっ、すみません。これから仕事ですので」

 

 ウィズが笑いながら、庭から去っていく。

 なら、何しに来たんだろうか……。

 

『──ゴンゴンゴン!!』

 

 ──屋敷のリビングがある窓からアクアが、お玉で中華鍋を鳴らす。

 

「カズマ、何やってるの? もう夕ご飯できたわよ!」

 

「あっ、悪いな。今すぐ行く」

 

「早くしないと、一分ごとにジャイアントトードの唐揚げを一個ずつ増やすわよ」

 

「なっ、そんな爆弾発言するなよな‼」

 

 あのカエルの肉は唐揚げで味を誤魔化しても、生臭くて食えたもんじゃない(第1話参照)からな。

 

 素人の手作りなら、なおさらだ。

 

 今回も色々と騒動があったけど……、

 何はともあれ、この屋敷のお陰で、これからの寒い冬も快適に過ごせるな。

 

 

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