この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
****
──動力源を失い、私のすぐ目の前で倒れるデストロイヤー。
聖騎士さながらの私も、今回ばかりは、ほっと胸をなでおろすさまだ。
──聖騎士の勇気ある一日より──
****
──デストロイヤーに私の爆裂魔法をぶつけたのはいいものを、私が吹き飛ばした方の破壊力の方が弱い。
私は同じ爆裂魔法でも、その破壊力で負けたのだ。
なるほど、リッチーと威張って、名乗ることだけはある。
今の私の力では、レベルが足りな過ぎる。
「くっ、今回は燃え尽きたけど、次回こそは私が勝つ……」
──爆裂少女の焼きもちな日常より──
****
──圧倒的な爆裂魔法の力の差。
衝撃の事実に灰色の人生を受けて、ふらつきながら泣き言をいう、めぐみんを支える、保護者みたいな俺。
こんなちっこい体のくせに、毎度、毎度ありって、よくやってくれるぜ。
「いや、めぐみん、お前は、あの伝説のリッチー相手に精一杯やったさ」
「いえ、これは負けられない戦いなのです。もう一発放てば、必ず……」
「ああ、ウダウダ言うな。確かに、お前が最強の魔法使いだって!!」
足元にまとわりつくめぐみんがウザくて、本当の所は追っ払いたい気分だったが、俺も紳士だ。
そんな野蛮なことはせず、優しい言葉をそっと投げかけた。
「おい、やったんじゃないのか?」
「おおっと、ダスト君、口を慎みたまえ。油断をせずに、こちらから徐々に囲んで……」
ふっ。
今の俺、カッコ良く決まったぜ。
きっとギルドのお姉さんも、こんな俺を見て、惚れ直して、胸の中に飛び込んでくるのさ。
ほら、見ろよ。
俺の発言に、うっとりしてやがる。
(大いなる勘違い)
「あははっ、ざまあみなさい! 機動要塞デストロイヤーって、漫画のような派手な名前のくせして、大したことなかったわね。まあ、帰って、お酒でも飲みながら、今日のツマミのネタくらいにはなりそうだけど‼」
「バカヤロー! アクア、お前なあ、俺の真剣な演説をぶち壊す気か!」
俺はアクアの服の衣を掴み、これ見よがしに怒鳴り散らす。
「あっ、喧嘩してる場合じゃないです。カズマさん……」
ウィズが、デストロイヤーの方を指さす。
何だ、ヤツから強烈な威圧感がする。
『この機体は機動を停止しました。排熱及び、機動エネルギーの消費ができません。現在、危険レベル上昇中です。搭乗員は、すみやかに避難をして下さい。
繰り返します……』
本体から喧しいほどの警告を発するからに、デストロイヤーの反応がただごとじゃない。
「ほれ、お前のせいだぞ。この駄女神!!」
「ちょっと待って、これ、私のせいじゃないからー!!」
「どうすんだよ。ゲームの展開で普通なら、この後、本体がタイム○カーンってなるぞ……」
俺のその昭和染みた、おっさん言葉に周囲がざわめく。
「えっ、こんな所で爆発したら、街が、私のお店が無くなっちゃいます……」
不安に怯えるウィズと、街の人々を救う手段はないのか。
俺は必死に、知恵を振り絞った。
(くっ、どうしたらいい……)
ヤツの動力源も不明のままだし、あのイカれたモードを止められるのか?
いっそ、みんなで避難した方が安全なのでは?
でもそれには、ここに不思議と立ち塞がる頑固なダクネスも説得しないと……。
「街がなくなったら、俺の心の支えがなくなってしまう。俺はやってやるぞ」
ダストの力強い言葉に、胸をうたれる俺。
「いや、俺はやってやるぞ。あの機械に乗り込んで、責任者を取っつかまえて、完全に動きを止めてみせるぜ!!」
「そうだ、街もあの店も、俺たちが守るんだ!!」
「そうだぜ、守るんだ‼ あの微笑みと、あの大いなる夢を‼」
男どもの心に、あの桃源郷と謳われた、サキュバスの女の子たちの笑顔(第25話参照)が蘇る。
俺たち一部の男性陣は、熱狂したかのように、高らかに声を張り上げていた。
「何か、一部の男性陣、やけにやる気だねえ……」
「まあ、リン。男にも色々あるのさ……」
相変わらず品行方正なテイラーと、何も理解できずに、ぽやんとしているリン。
そんな熱い騒ぎの中で、男としての俺の血が騒ぐ。
「よっしゃー!! お前らの想い、十分に伝わったぜ‼ 勇気のある男は名乗り出ろー! これからデストロイヤーに乗り込むぞー!!」
『オオォー‼』
男気溢れる気質たちが、デストロイヤーに放った、弓矢のシッポに付いた縄を登り、
次々と乗り込んでいく。
「ねえ、カズマ。私、あのヤンキー連中に交ざるのが怖いんですけど……あの人らに任せて、もう大人しく帰らない?」
「何だと、お前には、あの偉大なる勇者たちの逞しい背中が見えないのかよ!」
「勇者というか、無謀っていうか……」
「そもそもお前が、こんな事態にしたんだからな。一緒に来い!」
「だから私は関係ないってばー‼」
俺はアクアの腕を取っ捕まえ、戦場へと旅立つ。
「カズマ、私も!」
「いや、ダクネスは、めぐみんについてやってくれ!」
「……ああ、分かった」
気持ちは分からんでもないが、あの重装備の鎧じゃあ、綱は登れないだろう。
「ウィズ、お前は来れるか?」
「はい。私で良ければ、お力になりましょう」
****
俺たち三人がデストロイヤーの背中を綱でよじ登り、要塞の拠点に登りつくと、そこは戦乱だった。
歴戦の勇者集団と無数の中型ゴーレムとの対決が、熱い火花を散らしていたからだ。
「囲んで、ゴーレムの足を封じろー!」
四人でゴーレム一体を囲み、ゴーレムが足を上げた隙間に縄を引っかけ、二人がかりで足を引っ張る。
『ズズーン!!』
そのまま縄に足を取られて、床に転ぶゴーレム。
『天誅ー!』
倒れて動けないゴーレムに、容赦ない攻撃を続け、鬼気迫る勇者連中。
守るべきものがあると、人はこうまで強くなれるのか。
「さあ、ここで、爽やかなイケメン(自称)の俺の出番と来たか。さて、相手は機械系のゴーレム。ネジの一本でも奪えば動けなくなるだろー‼」
「ちょっとカズマ!?」
『スティール!!』
ふっ、俺のナイスな得意技を前に、手も足も出るまい。
鮮やかにして、華麗に決まったな。
「どうだ、ぜんまい仕掛けのマリオネットめ。これが俺の実力というものさ」
ゴーレムの一回り大きな腕を、片腕で受け止める俺。
えっ、腕が思ったより、重くね?
『ズズーン‼』
重力の流れるままに、ゴーレムの腕とともに、地面に押し潰される俺の腕。
「ぎゃあああー!! 腕が折れたー!?」
「男のくせに貧弱よね。
でも、骨にヒビすらも入っていないわよ。念のため、
追伸、重いものを持っている相手には、スティールを使うべからず……。
「よし、大体、この辺は片付いたな。後は、この扉の中だけか」
「おい、責任者、とっとと出てこい!」
「構わねえ、強行突破だ。扉ごとハンマーでぶち壊してやる‼」
鍵のかかった扉を、巨大ハンマーで叩きながら、いきり立つ冒険者の集団。
もう、どっちが侵略者か、分からないよな……。