この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
「開いたぞ、責任者を探すんだ‼」
扉がこじ開けられ、大量の冒険者たちが内部になだれ込む。
中は結構広い。
部屋はブロックで仕切られ、一端の三ツ星ホテルに泊まった気分だ。
「でも、この崩れかけたレンガの様子からして、長らくは使われていない感じがしますね」
ウィズが埃をかぶった壁に触りながら、現状を述べる。
おっと、ここで『ポツンと一つの要塞』のお宅訪問になる流れだった。
あちこちを見学したい気分もあるが、今はデストロイヤーの爆発を防ぐのが最優先だ。
とにかく責任者を探さないと。
「いたぞ、こっちだー‼」
一人の冒険者の知らせにより、俺たちが駆けつけると、王座に法衣を着た一人の老人が腰かけていた。
「おい、あんた、ここの責任者なのか? どうにかしてコイツの爆発を止めてくれないか?」
「……」
「おい、人様が質問をしているのにシカトすることはないだろ……ひっ!?」
近付いて初めて、相手の顔が皮のないミイラだったことを知り、ニ、三歩後ろに退く。
「心配いらないわ。未練のかけらもなく、すでに成仏してるわよ」
アクアがそれの体を触り、率直な感想を口に出す。
「いや、こんな場所で孤独死して、未練もないなんて冗談だろ?」
「あら、このノートは?」
「どうやら責任者が書いた日記みたいだな」
「えっと、○月△日……」
◇◆◇◆
──○月△日。
国のお偉い方が低予算で、機動兵器エ○ンゲリオンみたいのを作れと、無茶なことを言い出した。
抗議しても耳を傾けず、泣いて赤子のように叫んだり、坊さんのように拝み倒しても、女研究員の前で、パンツ一枚で走り回っても意味はなかった。
この国は、もう終わりかも知れない。
○月△日。
どうしよう、設計図を今日までに完成しないといけないのに、白紙の状態だ。
報酬の前金を、酒代やツマミに全部使った俺が悪いのか?
そうやって、白紙の設計図作りに頭を悩ませると、その紙に俺の大嫌いな蜘蛛がひょっこりと現れた。
俺は狂った叫び声を上げながら、紙の上もろとも近くにあったゴブリンの遺産でもあった、こん棒でヤツを叩き潰した。
上質で高価な紙なので、弁償する金もない。
そんなん知るか、適当にお偉い方に出しちゃおう。
○月△日。
あの設計図が、好評を呼んでいる。
蜘蛛を叩いた汁なんだけど、バッチイなんて、口が裂けても言えない。
あの蜘蛛を一匹退治しただけで、計画はスムーズに進んでいる。
でもそんなミラクルヒャッフー♪ な俺が、所長なんです。
○月△日
俺が何もしない中、計画が着々と進んでいく。
最初から俺の考えなんか、いらなかったじゃんか。
もう勝手にしやがれ、ベイビースターラーメン。
そんなことを物ともせず、今度は動力源が要ると言われ、じゃあ、伝説のレアな石のコロナタイトでも持ってこいよと、適当に言ってみた。
○月△日。
まさか、持って帰れるハズがない、あのレアな石を本当に探し出してくるとは思わなかった。
この石ころで動かなかったら、俺死刑ですかね。
お願いします、動いてください!
○月△日
明日が動作テストなどと、ほざく輩がいたが、俺がやったことは蜘蛛を殺っただけ。
この椅子で好き勝手できるのも、今日まで。
そう思うと怒りにより、ヘソで麦茶を沸かしそうになる。
もう今日は俺一人だし、とことん飲むぞと、愛用のワインに口をつけた。
○月△日
目覚めは最悪だった。
この体のふらつきは、二日酔いなのか?
いや、それ以前に昨日の記憶があるのが、動力源になったコロナタイトに説教を垂らしていたくらいか。
そうだな、生姜焼き定食を食いたかったから、お前さんは根性焼きにしてやると、煙草の火をコロナタイトに当てたくらいしか……。
○月△日
それから、俺の中の全てが終わった。
突然、蜘蛛の機動兵器が暴走したからだ。
これは俺の仕業と、みんなから思われている。
半べそかいて、許しを得ようとしても無駄だろうな。
機動兵器から、強制的に降ろされて、三枚下ろしの死刑だろうか。
魚の干物なんて最悪だ。
こんちくしょうめ。
○月△日
某有名漫画のように『こんな国消滅すればいいのに!』と、叫んでみたら、本当に国が消え去った。
国民やお偉い方は、命からがら逃げたらしいけど、俺が一つの国を滅ぼしたのは事実だ……。
そのせいか、俺は永年のストレスから開放されたようにスッキリした。
もう、この機動兵器と俺は切っても切れない関係だ。
どのみち、これから降りれないし、暴走も止められないから、ここで余生を過ごすことにしよう。
この機動兵器作ったヤツ、大バカなんじゃないのか?
いや、ごめん。
作った責任者は俺でした、サンバでごめンゴー!(苦笑)
「……ということで、めでたしめでたし」
「おい、ふざけてんのかー!!」
****
「これがそのコロナタイトルか」
「ルが一個多いわよ」
「この際、カレーのルーでもいいじゃないか。それよりもコイツを取り出せば、
暴走は食い止められるんだな」
中枢部の水槽で輝くコロナタイトの石ころに片手を向け、俺はその利き腕に全神経を集中させる。
「ちょ、ちょっと待って、カズマ‼」
『スティール!』
ふっ、お姉さん、この俺の手さばきに惚れるなよ。
ふと、手肌に感じる温かい塊の炎。
温かい……いや、ちょい熱いような……。
「あちあちあちー!?」
「きゃー、カズマさん‼
フリーズ! フリーズ!」
よい子のみんな、みんなの天使(女神では?)のアクアだよ。
コロナタイトは炎の玉だから、素手で不用意に掴んだら駄目だぞ。
「ねえ、カズマ。ゴーレムの時(第28話参照)といい、あなた筋金入りのバカよね」
俺の手の火傷(まさに手羽先)をヒールで治すアクアが呆れ返っていた。
ぐぬぬ、アクアから言い様にされても反論できぬ。
武士の情けでゴザンス……。
「でもコロナタイトは取り出せましたよ」
「いや、ちょっと待って。
段々輝かしくなっているわよ、ヤバイんじゃないの!?」
「確かに。このままではドカーンと爆発してしまいますね」
ウィズ、何でそんなに冷静なんだよ。
その肌に血は通っているのか?
いや、もうゾンビだったな。
「アクア、お前の力で封印とかできないの?」
「そんな都合のいい力が使えたら、苦労はしないわよ‼」
「だよな。ウィズの魔法でどうにかならないのか?」
「それには私の魔力が足りません……いえ、方法はありました」
ウィズが俺に振り向き、火照った笑顔を見せつける。
「カズマさん、お願いがあります。その、吸わせてもらえますか?」
ウィズが俺の顔に、自らの顔を近付ける。
ああ、近くで見ても君は、死ンデレラのように美しい。
「ああ、喜んで」
お父さん、お母さん、現世で俺の活躍を見ていますか。
ゲーマーで引きこもりだった俺ことカズマは、この異世界で一つ、大人の階段を昇ります……。