この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
「それでは遠慮なく、ドレインタッチ!」
「のおおおおー!?」
ウィズが俺の頬に両手をそっと添え、容赦なく精気を吸い取られる。
美人店主さんによる、口づけからかけ離れたタッチの魔法で、俺は死を過信した。
「ちょっと! カズマさんがアジの干物になっちゃうでしょ!」
「すみません。魔力を補い、テレポートの魔法を使うにはこれしか方法が……」
ウィズとアクアが干物に成り果てた俺の後ろで、何やら白髪と骨皮だけになった、俺のことで揉めている。
ふっ、老けた男はモテ方も違うぜ。
「つまり、テレポートで、この石を移動させるということか」
「大丈夫、白髪ネギのおじいちゃん?」
「いや、アクア。俺まだ16だし、頭にネギなんか生えたら怖いだろ」
俺は老け顔から、よろめいて立ち上がり、
アクアに白髪ネギの特性を伝える。
白髪ネギとは、人の名前でもないと助言も……。
「ただ、私のテレポートの能力だと、人の多い場所に限られるので、ランダムテレポートで飛ばすしかないのです」
「じゃあ、もし転送先に人がいたら……」
「間違いなく、コロナタイトと共に消え去ります」
そうこうしている間にも、コロナタイトは赤みを強くし始める。
「いや、この世界も広いんだ。人がいない場所に行く方が、確率的にも高いはず……」
「ですが、そんな賭け事みたいな感覚で……」
「全責任は、運の良さの能力だけはやたらに高い俺が取る。時間がないんだ。ウィズ、手っ取り早くやってくれ!」
「あっ、はいっ!」
ウィズが両手を慎重に、コロナタイトの前に合わせる。
『テレポート!!』
コロナタイトの石は爆発寸前のまま、ウィズのテレポートで瞬間移動した。
****
「ダクネス、めぐみん、待たせたな。何とかデストロイヤーの動きを止めてきたぜ」
体も白髪も元通りになり、黄泉の国(違う)から舞い戻った俺は、仲間と一緒に地上に帰ってきた。
あの要塞にいた責任者の遺体も、生まれ故郷で埋葬するらしく、これでこの緊急クエストもようやく終わったな。
「いや、カズマ、何か様子が変だぞ」
ダクネスの視線の先にあるデストロイヤーの体に、あちこちから亀裂が走り、中から黒い煙がブスブスと上がる。
「おいおい、動力源を失っても、まだ動けるのかよ!?」
「どうやら中に溜まっていた熱が、外に漏れているようですね。このままだと爆発は避けれません」
「もう、この街も終わりね。逃げましょう」
あのな、お前、一応女神だろ。
何かあったら、すぐ逃げるのやめろよな。
「いえ、まだ望みはあります。誰か、私に爆裂魔法を使えるくらいの魔力を下さい」
「待てよ、ウィズ。お前が人前でドレインを使ったら、人間じゃないことがバレて
だけど近くに、大量に魔力を持っているヤツなんて早々……。
「カズマ、ここはもう駄目よ。とっとと酒瓶と一緒に、この街からずらかるわよ」
『ドレインタッチ』
「きゃあああ!? いきなり何するのよ、ヒキニート‼」
そういえば、このとびっきりの魔力を蓄えたアクアがいたな。
「いいか、お前の魔力を頂戴して、ウィズにあげて、爆裂魔法を使用させる」
「何言ってるの。私の神聖魔法とか流し込んだら、ウィズ消滅しちゃうわよ」
えっ、そうなん?
でも他に、魔法を発動できる魔法使いなんて、もう、モー……。
「わっ、私がいるじゃないですか」
ダクネスの介抱を受けていためぐみんが杖を突き、ふらつく足取りで俺の前に来る。
これぞ、まさに蕎麦打ち(真打ちでは?)の登場だな。
****
「ねえ、カズマ。お願いだから、魔力を吸いすぎないでよ」
「ああ、俺の腕に任せとけ」
「執刀医みたいなこと言わないでよね」
俺はアクアの後ろ首に、利き手で軽く握る。
「カズマ、背中にひんやりとした手を突っ込む理由でも?」
「心臓に近い、皮膚の薄い部分からのドレインの方が、効果的でいいんだよ」
もう片方の手を、めぐみんの背中に入れ、準備は整った。
「いくぜ、ドレインタッーチ‼」
「はあうっ これはキツイわね!?」
「おおう、アクアのヤバすぎる魔力が伝わってきます。これは最強の爆裂魔法になりそうです!」
勢いのある反動で仰け反りかけた、アクアの大量の魔力が俺の体を伝わって、めぐみんに流れ、めぐみんの髪が黄金色(嘘つけ)に染まる。
少年誌も驚きな、スーパー
「ねえ、まだなの? ちょっと吸いすぎじゃない?」
「はい。アクア、サンキューです。魔力充電、完了しました」
顔色に程よく血色が満ち溢れ、大きく息を吸い込むめぐみん。
「それではいきますよ。我が最大の究極の爆裂魔法を食らえ!」
『エクスプロージョン!』
『ピカッ! ドカカーン‼』
デストロイヤーはめぐみんの爆裂魔法により、粉々になり、草原の外れで轟音を立てて、消滅した。
****
──デストロイヤー討伐を無事に終え、俺らを含めた冒険者の集団で、みんなでギルドの酒場で宴会を開いていた。
「いや、色々あったけど、街も人も助かって良かったぜ」
「カズマ、私からも礼を言わせてもらう」
「ダクネスか」
「この街を救ってくれて、ありがとう」
いつもより雰囲気が違い、やたらとカッコ良さげなダクネス。
「そういえば、今回のお前、何もしなかったよな」
「確かにダクネスは、街の前で警備員のように立っていただけよね。私なんて、結界を破って、カズマの傷も治療し、さらにめぐみんに魔力を与えたのよ。私ながら凄い活躍だったわ」
「私は一日に二回も爆裂魔法を放ち、
二回目はデストロイヤーをやっつけました」
「カズマさんも頑張ったじゃないですか。
指揮をとって、モンスターを倒し、コロナタイトを取り出し、さらに魔力も私に与えてくれて」
「いや、ウィズは爆裂魔法で足止めして、
俺の火傷の手を冷やしてくれたり、爆発寸前のコロナタイトをテレポートしたんだ。
真のMVPはウィズで決まりさ!」
「それでワガママの一点張りで頑固として動かず、街を守ると言っていた、お前の活躍はどこに?」
俺らはダクネスに、軽蔑の白い視線をおくる。
「こっ、こんな攻め方(責め方?)をされるとは。はああああー!!」
いつもの調子(変態?)になったダクネスが、体を細かく揺らしながら、歓喜の照れた瞳でこちらを見ていた……。