この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

33 / 39
第5章 罪を憎んで、人を憎んだ裁判惨劇
第32話 この犯罪に手を染めた俺に救いの光を‼(1)


 世界中から恐れられていた、賞金首の機動要塞デストロイヤー(第26話~第30話参照)。

 

 俺の的確な指揮により、無事にヤツを滅ぼした功績で、賞金が貰えるということで、ギルドにやって来たのだが……。

 

「冒険者サトウカズマだな。国家転覆罪(こっかてんぷくざい)の容疑で、貴様を署に連行する!」

 

 腰まで長い黒髪に、凛としたスーツ姿の眼鏡をかけた美人女性が、一枚の書類を突きつけ、意味の分からんことを言っている。

 

 えっ?

 それラブレターで、ついに俺にも、モテ期が到来なのか?

 

「えっと、こんな胸の大きな美人さんが俺に何のようで? それに国家転覆罪って? タ○タニックの転覆ネタにしては古いぜ」

 

「自分は王国の検察官セナだ」

 

 国家転覆罪とはその名の通り、国を揺るがした事件を起こした人物が受ける大罪でもある。

 

 一度死んで転生した異世界だから、法律は適用されない(第1話参照)と思いきや、

こんな風な警察沙汰になるとは……。

 

「貴様はテロリストか、魔王軍の手下ではないのかと、疑惑がかけられている」

 

「へっ!?」

 

 俺って、そんなに有名人(色んな意味で)になった覚えはないのだが?

 

「カズマ、私が見てない所で、今度はどんな悪事をやったのよ? ほら、私と一緒に謝って、ごめんなさいって!」

 

「いや、アクア、俺、何もしてねーよ」

 

 アクアに襟首を握られ、ロデオの如く、頭を上下に激しく揺らされる俺。

 

 何もしてないようで、常に皮膚から光合成(嘘つけ)をしながら、呼吸はしてるけどな。

 

「ちょっと失礼じゃないですか!? カズマはセクハラという、小さい犯罪はお手の物ですが、国家転覆などという、大きなことをやらかすような、器の大きな男じゃないですよ!」

 

「めぐみん、俺に喧嘩を売ってんのかよ!」

 

 こういうことを想定して、手持ちのポケットには、小鼻をつまむための洗濯バサミがある。

 この幼女には一回、痛い目にあってもらわないとな。

 

「確かにカズマに、そんな大きな罪をすることなど、できないだろう」

 

 さらにダクネスが拳を握って、一人で熱弁する。

 

「この男は、私の寝間着姿を舐めるように見ながらも、夜中に襲ってくる度胸もない、心底ダメな野郎だぞ」

 

「違うだろ? お前、本当、自意識過剰だよな。少しばかりエロい体つきだからって、調子に乗んなよ!?」

 

「貴様、あの時の風呂場での仕打ち(第25話参照)を忘れたのか……!」

 

「あれはサキュバスに操られていたって言っただろ。何回言わせれば分かるんだよ! お前の耳は飾りで、タコさんウィンナー(耳にタコでは?)か!」

 

「コホン……」

 

 俺たちのいつもの暴動に、軽く咳払いをするセナ。

 

「……話はともかく」

 

「その男の指示で送られた、機動要塞デストロイヤーの中枢部にあったコロナタイト。それが、この地の領主殿の屋敷を吹き飛ばしたのだ!」

 

「何てこったい。俺に人殺しに手を染めたのか……」

 

「まあ、皆、留守だったので、怪我人はいなかったがな」

 

「良かったぜ、死人は出てないんだな」

 

 ほっと、安堵のため息をつく。

 異世界に来て、殺人犯とか最悪だからな。

 

 どんな理由であっても、人は(あや)めてはならない。

 俺の両親が、口を酸っぱくして言ってた台詞だった。

 

「何をヘラヘラ笑っている! 貴様、状況を理解しているのか!?」

 

 セナが先ほどと同じ内容の熱論をするが、俺のハエのような脳みそでは、何も伝わってこない。

 

「ふっ、何を愚かな発言を……」 

 

 めぐみんが、俺らの話の流れに腰を折る。

 

「カズマの明確な指示がなければ街だけでなく、死人が出ていたでしょう。テロリストという言いがかりは、もってのほかです!」

 

『そうだぞ、カズマは国を救った英雄だ!!』

 

「お前ら……」

 

 俺は溢れ出る想いの目頭を押さえ、仲間らに感謝の念をこめる。

 

「ちなみに国家転覆罪は、主犯以外でも言動に気を付けないと、牢獄行きになる。仲間を庇う気持ちも分かるが、行いには気をつけることだな」

 

 セナの意表をついた言葉に感情を抑え、ピタリと無言イコール、突然、態度を変える仲間たち。

 

「えっ、どうした、お前ら?」

 

「まあ、確かに私がデストロイヤーの中に行っていたら、間違いなくカズマを止めました。これは仕方がなかったのですね」

 

「めぐみん、お前!!」

 

 ぷいっと、俺から顔を背けるめぐみん。

 

『もう、コイツ手遅れ的』な冷たい瞳が、全てを物語っていた。

 

「カズマは、こんなことも喋っていたわよ……」

 

 アクアがめぐみんの肩に手を軽く置き、後ろから発言に絡む。

 

「全責任は、運の良さの能力だけはやたらに高い俺が取る。時間がないんだ。ウィズ、手っ取り早くやってくれ!(第30話参照)……ってね」

 

 コイツ、いつもはバカなくせに、こういう時の記憶力はいいんだな‼

 ファイナル○ンサーでも、最終問題まで残りそうな感覚だぜ。

 

「お前ら、もしかして、俺に全責任を負わす気か?」

 

 俺の周囲に、どす黒い瘴気(しょうき)が、ヒシヒシとこの身に伝心する。

 

「待つんだ、主犯は私だ。だから私を連行して、牢獄プレイを味わせろ!」

 

「あなた、今回、何もしてないじゃないですか」

 

「うぐぐ……」

 

 セナの強い言い分に一歩引き、涙を浮かべて、残念そうにするダクネス。

 それでも平和を守る聖騎士か、ダクネスの役立たずめ。

 

「でもカズマなら、そのうち大きな犯罪を犯すことは目に見えていた」

 

「わっ、私はカズマさんが、盗賊の女の子が着けている下着を無理矢理取って、はしゃいでいた所(第5話参照)を見て……」

 

「プリーストの女の子を檻に監禁して、ワニの餌の代わりにしたとかもな……」

 

「俺は男通しで勝負を挑んだ後で、気絶した相手の魔剣を強引に奪って、質屋の金にした(第13話参照)という話も聞いたぜ」

 

 冒険者どもが揃いも揃って、俺の悪態を小声でボソボソと口ずさみ出し、その空気を読み取った二人の兵士に、自身の腕を掴まれる。

 

「いや、ちょっと待てよ……」

 

「あの、すみません。テレポートを使用した私の方が連行されるのが、普通の判断じゃないでしょうか?」

 

「駄目よ、今は出てきたらいけないわ、ウィズ。ここは我慢よ。無事に更生して、牢から出れるようになるまで、末長く待ちましょう」

 

「このくそアマ、気安く、お勤め確定みたいなことを言うなよな!!」

 

 兵士に引きずられながらも、俺の味方であり続けるウィズを退けた、アクアに説教を食らわす。

 

「おい、お前ら、もうちょっと、まともな抗議はできないのか! みんな揃って、俺を裏切りやがって。いいか、俺を敵にした代償は重いぜ。お前ら、覚えとけよー!!」

 

 最期の雄叫びをあげながらも、連行されていく俺。

 

 何で世界を救った英雄の俺(自称)が、捕まるんだよ。

 毎度も言わせてもらうが、この世界は狂ってやがるぜ……。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。