この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第33話 この犯罪に手を染めた俺に救いの光を‼(2)

 ──うっすらと灰色の雲と眩しい太陽が交わるお昼時、赤レンガが映える三階建ての警察署にて……。

 

「さあ、ここに入れ」

 

 扉を閉められ、檻の中へとゴミのように捨てられて……じゃなくて、違うか、葬られる(生きてる)俺。

 

「裁判があるまでは、この牢が貴様の住みかだ」

 

「おい、こんな所に閉じ込めて、どうする気だ。俺を遠方へと身売りする気か!!」

 

「詳しい話は明日だ。今日はここでゆっくりするがいい」

 

 セナは俺の言葉に聞く耳も持たず、他に逃げ道がない、一本道の通路を引き返していった。

 

****

 

「俺は街のピンチを助けた、正義のヒーローなのに、酷い扱いだな。この世界はこんなにも理不尽で、悪魔のような世界だったなんて。ああ、愛しのジャパンに帰りてえな……」

 

 牢の隅で一人寂しく体育座りになると、

 急にホームシックになり、日本での懐かしい感情がこみ上げる。

 俺はいつまで、この隠居生活(色んな意味で)を送ればいいのだろうか。

 

「待てよ、ここは一風変わった異世界。みんなが見ている処刑場で、ギロチンの刑もあるかも知れないぞ……」

 

 さっきのセナのような死刑執行人連中に囲まれ、問答無用で首チョッキンされて、はい、さようならーか。

 

 そして、美術館でイカした俺の頭だけが展示され、あまりもの罪深いイケメンぶり(自称)に、女性客が殺到するという結末に……。

 

 嫌だ、俺は生きているうちに、美人な女性たちにモテて、ちやほやされた世界を満喫したい。

 

「くっ、納得いかん冤罪(えんざい)などで、将来の夢に満ち溢れた、若人(わこうど)の命を容易く奪うとは……」

 

 一国の政治家のような考えで頭を抱えながらも、自身のよく分からん問いかけで、心の中がざわついていた。

 

「──ホラッ、能書きはいいから、とっとと入らんか!!」

 

「まあまあ、そんなに怒ると、その鋼鉄の仮面にシワ(眉間では?)が入るぜ」

 

 俺が一人で思い悩む間に、牢の外から、二人の男の会話が耳に入る。

 話の内容からして、何やらもめているようだ。

 

「本当、貴様は懲りないな。これで何回目だと思ってる。今日は他に客がいるが、喧嘩は禁止だぞ」

 

「はいはい。りょーかい(懲戒?)免職で~すw」

 

 俺の他に鉄仮面から檻に監禁される、新たなメンバーが来たのか……って、見覚えのある顔つきじゃないか!?

 

「お前、ダストじゃないか?」

 

「おおっ、こんな所で奇遇だな。カズマ」

 

 俺は牢の中で、サキュバスをこよなく愛する一名様(第25話参照)と、偶然にも運命? の再会をした。

 

****

 

「うひゃひゃひゃ!! そりゃ、最高の土産(みやげ)話だぜ。あの領主は嫌なヤツだったし、お手柄だな(爆笑)」

 

「笑っている場合か? 領主を狙ったわけでもないのに、死刑になるかも知れないんだぜ……って、言うか、お前は、どうして牢屋なんかに?」

 

 ダストは小汚い石の床に慣れた動作で、堂々と座り込み、その軽々しい口を開く。

 

「ああ。いや、デストロイヤーの賞金が目当てで、ツケで色々としたら、賞金がすっからかん(無一文)になってな。金もない、さらに寝るところもないから、無銭飲食をして、ここに泊まりに来たのさ」

 

「すっかり常連気分だな」

 

「ここは平和だぜ。借金取りは来ないし、三食きちんとメシは出るし、住み心地も悪くないからさ。まあ、これからは、このショールーム(牢屋だけど……)で気軽にいこうぜ」

 

 コイツ、ダスト(塵)という名前通り、

 つくづく駄目な人間だな。

 

****

 

 ──満月の光が神秘的な深夜の警察署。

 

『ドオオオオーン!』

 

 物凄い爆発の後の震動で、眠気が一気に吹き飛ぶ。

 だが、横隣のヤンキー野郎は反応を示さず、よだれを出して、爆睡モードだった。

 

「誰だ、こんな時間に、黒ひげ危機一髪で遊んでいるヤツは?」

 

 最近のボードゲームも、リアルな爆発を追求しているからな。

(それ、声じゃなくね?)

 

「カズマ……ねえ、カズマ」

 

 天井近くに設置された、小さな鉄格子の窓から、俺の名が呼ばれる。

 

「カズマ、まだ死んでないわよね。起きて」

 

 いや、普通、死んでたら、話せないだろ。

 この失礼な応答を求めてくる女の声は、俺の知る限りでは一人しかいない。

 

「アクアか。お前、今度は何をしに来たんだよ」

 

「何よ、その言いぐさは。私はカズマを助けに来たのよ。別にカズマが釈放された、その後が怖いとかじゃないからね」

 

 窓から顔を覗かせ、キョロキョロと、周りに細心の注意を払うアクア。

 このアマ、心の声が駄々漏れだぞ。

 

「めぐみんが街の外で爆裂魔法を使って、前線へ乗り込んで行ったわ。今のうちに逃げるのよ」

 

「えっ、でも逃げたら、逆に罪が重くなるんじゃ?」

 

「あのね、今回、被害に遭った領主って、実は物凄く性格がひん曲がっているらしいわよ。

事実なんてなかったようにして、ぼろ雑巾のように絞られて、殺されてしまうわ」

 

「だから、これを受け取って」

 

 窓から月光によって鈍く光る、一本の棒が落ちてきた。

 手に取るとシャー芯のような、ただの細長い棒だが……まさか?

 

「そう、察しの通りよ。その針金で漫画みたいに、鍵をカチャカチャッと開けるの!」

 

 はあ?

 コイツは、何の冗談を言ってやがる?

 

「その後は、カズマの潜伏スキルで、ここから抜け出して、屋敷に戻ったら、夜逃げの準備をするのよ!」

 

 逃げる金もないくせに、よく言うよな。

 また俺に、多額の借金を抱えろと?

 

「じゃあ私は、警察署の前であんパン(刑事の張り込みか?)でも食べながら、待っているわね!」

 

「おいっ、ちょっと待て!!」

 

「待たないわ。時は脱獄(一刻では?)を争うのよー!」

 

 脱兎のように遠ざかるアクアを後に、俺の脳裏に、二つの疑問点が浮かんだ。

 

 基本、鍵開けのピッキングは、二本の針金を使用する。

 さらに開けようとした、この牢屋の南京鍵がダイヤル式だから、素人には開けようがない。

 

 その二つの矛盾点を悟った俺は、針金を窓の外へと投げ捨てた。  

 

「さて、寝るとするか……」

 

 俺を取り巻く、騒がしい事件など無かったかのように、夜は刻々と過ぎていった……。

 

 

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