この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
──うっすらと灰色の雲と眩しい太陽が交わるお昼時、赤レンガが映える三階建ての警察署にて……。
「さあ、ここに入れ」
扉を閉められ、檻の中へとゴミのように捨てられて……じゃなくて、違うか、葬られる(生きてる)俺。
「裁判があるまでは、この牢が貴様の住みかだ」
「おい、こんな所に閉じ込めて、どうする気だ。俺を遠方へと身売りする気か!!」
「詳しい話は明日だ。今日はここでゆっくりするがいい」
セナは俺の言葉に聞く耳も持たず、他に逃げ道がない、一本道の通路を引き返していった。
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「俺は街のピンチを助けた、正義のヒーローなのに、酷い扱いだな。この世界はこんなにも理不尽で、悪魔のような世界だったなんて。ああ、愛しのジャパンに帰りてえな……」
牢の隅で一人寂しく体育座りになると、
急にホームシックになり、日本での懐かしい感情がこみ上げる。
俺はいつまで、この隠居生活(色んな意味で)を送ればいいのだろうか。
「待てよ、ここは一風変わった異世界。みんなが見ている処刑場で、ギロチンの刑もあるかも知れないぞ……」
さっきのセナのような死刑執行人連中に囲まれ、問答無用で首チョッキンされて、はい、さようならーか。
そして、美術館でイカした俺の頭だけが展示され、あまりもの罪深いイケメンぶり(自称)に、女性客が殺到するという結末に……。
嫌だ、俺は生きているうちに、美人な女性たちにモテて、ちやほやされた世界を満喫したい。
「くっ、納得いかん
一国の政治家のような考えで頭を抱えながらも、自身のよく分からん問いかけで、心の中がざわついていた。
「──ホラッ、能書きはいいから、とっとと入らんか!!」
「まあまあ、そんなに怒ると、その鋼鉄の仮面にシワ(眉間では?)が入るぜ」
俺が一人で思い悩む間に、牢の外から、二人の男の会話が耳に入る。
話の内容からして、何やらもめているようだ。
「本当、貴様は懲りないな。これで何回目だと思ってる。今日は他に客がいるが、喧嘩は禁止だぞ」
「はいはい。りょーかい(懲戒?)免職で~すw」
俺の他に鉄仮面から檻に監禁される、新たなメンバーが来たのか……って、見覚えのある顔つきじゃないか!?
「お前、ダストじゃないか?」
「おおっ、こんな所で奇遇だな。カズマ」
俺は牢の中で、サキュバスをこよなく愛する一名様(第25話参照)と、偶然にも運命? の再会をした。
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「うひゃひゃひゃ!! そりゃ、最高の
「笑っている場合か? 領主を狙ったわけでもないのに、死刑になるかも知れないんだぜ……って、言うか、お前は、どうして牢屋なんかに?」
ダストは小汚い石の床に慣れた動作で、堂々と座り込み、その軽々しい口を開く。
「ああ。いや、デストロイヤーの賞金が目当てで、ツケで色々としたら、賞金がすっからかん(無一文)になってな。金もない、さらに寝るところもないから、無銭飲食をして、ここに泊まりに来たのさ」
「すっかり常連気分だな」
「ここは平和だぜ。借金取りは来ないし、三食きちんとメシは出るし、住み心地も悪くないからさ。まあ、これからは、このショールーム(牢屋だけど……)で気軽にいこうぜ」
コイツ、ダスト(塵)という名前通り、
つくづく駄目な人間だな。
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──満月の光が神秘的な深夜の警察署。
『ドオオオオーン!』
物凄い爆発の後の震動で、眠気が一気に吹き飛ぶ。
だが、横隣のヤンキー野郎は反応を示さず、よだれを出して、爆睡モードだった。
「誰だ、こんな時間に、黒ひげ危機一髪で遊んでいるヤツは?」
最近のボードゲームも、リアルな爆発を追求しているからな。
(それ、声じゃなくね?)
「カズマ……ねえ、カズマ」
天井近くに設置された、小さな鉄格子の窓から、俺の名が呼ばれる。
「カズマ、まだ死んでないわよね。起きて」
いや、普通、死んでたら、話せないだろ。
この失礼な応答を求めてくる女の声は、俺の知る限りでは一人しかいない。
「アクアか。お前、今度は何をしに来たんだよ」
「何よ、その言いぐさは。私はカズマを助けに来たのよ。別にカズマが釈放された、その後が怖いとかじゃないからね」
窓から顔を覗かせ、キョロキョロと、周りに細心の注意を払うアクア。
このアマ、心の声が駄々漏れだぞ。
「めぐみんが街の外で爆裂魔法を使って、前線へ乗り込んで行ったわ。今のうちに逃げるのよ」
「えっ、でも逃げたら、逆に罪が重くなるんじゃ?」
「あのね、今回、被害に遭った領主って、実は物凄く性格がひん曲がっているらしいわよ。
事実なんてなかったようにして、ぼろ雑巾のように絞られて、殺されてしまうわ」
「だから、これを受け取って」
窓から月光によって鈍く光る、一本の棒が落ちてきた。
手に取るとシャー芯のような、ただの細長い棒だが……まさか?
「そう、察しの通りよ。その針金で漫画みたいに、鍵をカチャカチャッと開けるの!」
はあ?
コイツは、何の冗談を言ってやがる?
「その後は、カズマの潜伏スキルで、ここから抜け出して、屋敷に戻ったら、夜逃げの準備をするのよ!」
逃げる金もないくせに、よく言うよな。
また俺に、多額の借金を抱えろと?
「じゃあ私は、警察署の前であんパン(刑事の張り込みか?)でも食べながら、待っているわね!」
「おいっ、ちょっと待て!!」
「待たないわ。時は脱獄(一刻では?)を争うのよー!」
脱兎のように遠ざかるアクアを後に、俺の脳裏に、二つの疑問点が浮かんだ。
基本、鍵開けのピッキングは、二本の針金を使用する。
さらに開けようとした、この牢屋の南京鍵がダイヤル式だから、素人には開けようがない。
その二つの矛盾点を悟った俺は、針金を窓の外へと投げ捨てた。
「さて、寝るとするか……」
俺を取り巻く、騒がしい事件など無かったかのように、夜は刻々と過ぎていった……。