この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第34話 この犯罪に手を染めた俺に救いの光を‼(3)

「もう昼前だぞ、さっさと起きんか!」

 

「何だよ、俺をスーツに着替えさせ、昼飯の場所まで、エスコートしてくれるのか?」

 

「そんなわけないだろ。毎日、貴様はどのような生活習慣を送ってるのだ!」

 

 牢を開けたセナの()()()声に、あくびを噛みしめる俺。

 昨日のアクアの騒動で、寝ようにも寝れなかったんだよな……。 

 

「さあ、入れ。先に貴様の言い分を聞いてやろう」 

 

 セナに連れてこられた場所は、密室の室内で、刑事ドラマの取り調べ室のようだった。

 一つのテーブル席で対面した俺の前に、セナがベルのついた手の平サイズの道具を見せつける。

 

「これは裁判所などで使われる、ウソ発見器の魔道具で魔法と連動しており、発言者が嘘をつけば、音が鳴るという仕組みだ」

 

 マジかよ。

 嫌な相手(もののけ?)と、出会ってしまったぜ。

 

「では、話を聞こうか」

 

「はい、何なりと」

 

「えっと、サトウカズマ16歳、冒険者か……。住んでいた場所と冒険者になる前は、何をしていたのだ?」

 

「出身地はジャパンで、勤勉な学生生活を送っていました」

 

『チリ~ン』

 

「出身地と経歴詐欺か」

 

「まっ、待ってくれ。俺は嘘なんかついていないぜ」

 

『チリ~ン』

 

 駄目だ、コイツ(やっぱりもののけ?)を前に、迂闊(うかつ)なことは喋れない。

 

「はい。日本に住んでいました。学校にも行かず、毎日家に籠って、ゲーマー人生を送っていました。ゲームだけが俺の人生の全てでした」

 

「ならなぜ、学生と見栄を張ったのだ?」

 

「いえ、見栄を張ったわけではなく、誘導尋問の罠に引っかかりたくなく……」

 

 畜生、この魔道具苦手だな……。

 俺の子供心(やんちゃ心)を見透かす、大人のような感覚だ。

 

「しかし、様々な場所の検察をしてきたが、ニホンという地名は初耳だな。では、貴様が冒険者になった目的は何だ?」

 

「世界平和のために魔王を……」

 

『チリーン』

 

「……倒そうじゃなくて、冒険者って、響きがカッコいいし、楽して、金と美少女たちに埋もれる生活がしたいと思いまして」

 

 あの強気なセナが、言葉を詰まらせる。

 あまり触れたくないのだろうな……って、俺は虫以下かよ。

 

「では、次……。領主殿に怨恨(えんこん)はなかったのか? 借金を背負い、周りの住人に愚痴っていたと、小耳に挟んだのだが……」

 

「デュラハン討伐の賞金を貰って、ありがたかったですし、街の修繕のためで借金になったので、むしろ、これは俺に対する試練であり……」

 

『チリ~ン』

 

 セナが深くは問い詰めずに、俺の答えを待つ。

 

「……と思いたかったのですが、本音はあの野郎、街を救ったヒーローに対し、この有り様は何だ、木のバットで涙が枯れるまで、おしりペンペンするぞと思いました」

 

「そうか……。では、次にいこうか」

 

「あの……。そんな回りくどい質問をせずに、もうちょっと直球(ストレートボール)で聞いてくれませんか?」

 

 俺は机から身を乗り出して、セナに突っかかる。

 

「俺は領主を狙って、攻撃したんじゃなく、ランダムテレポートで、偶然にも領主の屋敷に当たっただけで、街を救うためにやったことは事実なんです!」

 

 その俺の言葉に、魔道具は反応しなかった。

 当たり前だ、嘘はついてないのだから。

 

「鳴らない……」

 

 セナが驚きの表情になり、かけていた眼鏡を二本指で支える。

 

「どうやら自分の勘違いだったようですね。あなたの悪い話は、街中でも()()()()()いましたので……。あなたを疑ってしまい、大変申し訳ありません……」

 

 おや、急にセナの態度が急変したな?

 言われっぱなしは、(しゃく)にさわる。

 これはまたとない、反撃のチャンスだ。

 

「申し訳ございませんじゃないだろ、このツンツン女め。俺様の人権を何だと思っている? お前さん、検察官に向いてないんじゃないですか?」

 

「はっ、はい。大変申し訳ございません……」

 

「この俺様は、魔王幹部のベルディア討伐を率先と引き受け、デストロイヤー戦でも、優秀な指揮を執ったにも関わらず、感謝の言葉もなく、こうやってネチネチと責め続けられるなんて!」

 

 俺はテーブルに足を投げ出し、鼻の穴をほじる。

 

「すみません。これが自分の仕事ですので……」

 

「ですのでとは何です? 俺の容疑は晴れたのに、お茶やカツ丼の差し入れもないんですかね?」

 

「カツ丼というものは存じ上げませんが、お茶でしたら……」

 

 俺はセナの差し出した、湯飲みのお茶を飲む。

 

「ぬるい、この検察官は、お茶すらもまともに入れられないのか。こんな気の利かない性格サイテーな女に彼氏など、まずいないだろう。魔道具に誓ってもいい」

 

「はい、確かに、自分には男っ気はありませんし、この性格の都合上、恋愛経験も皆無と言っていいほどありません」

 

 セナの言葉に、無反応な魔道具。

 ヤバい、言い過ぎたか……。

 

「これで満足ですか? はめを外すのも、ほどほどにして下さいね」

 

「あい、ごめんなさい……」

 

 これはしてやられたな。

 セナの方が三枚(座布団一枚プラス)も、上手(うわて)だった。

 

「所で気になるんですが、俺の悪い噂って何ですか?」

 

「ええ、女の子の下着を街中で堂々と奪ったの、同居中のクルセイダーに風呂場で強制的に背中を流させたこと、さらにプリーストを足手まといだと、罵倒(ばとう)し、ダンジョンに見捨てて帰った(第21話参照)など、耳を疑うような鬼畜(きちく)すぎる人間のような、噂話ばかりでして……」

 

 要するに、俺、人間辞めてるのか?

 

「あくまでも噂ですよね?」

 

「ええ、風の噂(便り?)です」

 

『チリ~ン』

 

 二人の間に沈黙が支配する。

 

 魔道具は、

 小さな嘘も、

 見逃さず。

(辞世の句)

 

「あなたはご存じですか? あなたのことを巷では、カスマとかクズマとか言われているんですよ」

 

「それは酷い言われようだな」

 

「まあ、身内の話ですから、追求はしませんから……」

 

 身内ってきたものか。

 オツムだけじゃなく、口までも軽すぎるアイツらめ。

 

「念のためにお聞きします。本当に魔王軍とは関係なく、魔王軍の幹部とも交流はないのですね?」

 

「はははっ。天地がひっくり返っても、そのようなことはありま……」

 

『チリーン』

 

 あー、あのウィズの面影が頭に浮かぶ……。

 

****

 

「くそー、やってもうたー‼」

 

 後悔先に立たず。

 ダストが豪快ないびきをかいて眠る牢の中、あの言葉を(さかい)に、再び牢屋に入れられる俺であった……。

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