この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
深夜の牢獄で頭を抱え、眠らずに思い悩む俺。
セナと必死に弁論を交わしたのに、結局は裁判にかけられるようになったからだ。
あのセナのニヒルな笑い方(そんな風に見えた)からして、どうみても死刑は免れないだろう。
くそ……。
このままでは、俺の千年にも渡る将来設計(仙人なのか?)が、グーチョキパーだ。
何とか、この場所から、脱獄をしなくては……。
でも逃げ場は、どこにもないぞ。
どうする?
名探偵ワト○ンよ。
『ズズーン!!』
昨日に続き、今日も夜中に鳴り響く、一つの爆音。
俺の
「カズマ、ねえ、カズマ! まだ灰になってないわよね?」
いや、普通は灰になったら、会話ができないだろ。
こんな失礼なことを言うヤツは、あの女しかいない。
「その声はアクアか? また懲りずに来たのか? 昨日はあれからどうなった?」
「ええ、めぐみんの犯行って、あっさり見破られて、ダクネスのとっさの指示(おんぶ)で、何とか逃げられたのよ。でも今日は一味違うわよ。嫌がっていた二人に、ひょっとこの仮面を被せたから大丈夫よ。今度は誰の仕業か分からないわ」
「いや、この辺じゃ、爆裂魔法が使えるのは、めぐみんしかいないから、バレて当たり前だろ……」
そんなことにも気づかないなんて、
この女神の頭の中身は、豆腐でできているのか?
「そんなことより、昨日はあんパンの他に、コーヒー牛乳もチビチビ飲みながら、ずっと待っていたのにどうしたのよ? 『お前、それカルーアミルク(コーヒー牛乳のカクテル)を飲んでるだろ? こんな夜に署をうろついて、何の仕事をしてる?』とか聞かれて、何度も職務質問を受けて、大変だったんですけど!」
「いや、素人の俺が、針金で鍵を開けれるわけないだろ。あと鍵はダイヤル式だから、開ける時点の問題だろ!」
「フムフム。警察署も、中々の対策をしているわね」
その対策に気づかぬ、お前もおかしい。
「とにかくだ。今夜中に、どうにかしないと、明日は裁判なんだよ」
「ムフフw。このアクア様に任せなさい。昨日とは違って、今日は革命的な新兵器を持ってきたわ。さあ、受け取りなさい」
アクアが格子窓から、光輝く物を落とす。
しかし、俺はそれを取った瞬間、頭の中が真っ白になった。
「さあ、その糸ノコを使って、窓の格子を切断して脱出するのよ。私も持っているから、一緒にやるわよ」
コイツ正気か?
まるで、ギャグ漫画のような物言いだな。
「これなら変態しか取り柄のない、カズマでもできるでしょ?」
「変態とは何だ、失礼だぞ」
その声は俺の頭から数メートル離れた、高さから聞こえるのだが……。
「あのさ、ここからだと、窓に手が届かないぞ」
「安心して。この天才アクア様に任せて。そのことも十分に想定済みよ」
「これよ!」
アクアが窓から、自分の身長くらいの秘密道具を見せつける。
「じゃーん! この脚立があれば大丈夫よ。カズマはこの脚立に乗って、作業して!」
心底、嬉しそうに語ってくるアクア。
何がそんなに楽しいんだ?
「さあ、時間は待ってくれないわ。警備員が来る前に急ぎましょう!」
「なるほど、それは承知した。それで、その脚立はどうやって、鉄格子付きの狭い窓から入れるんだ?」
「あっ……」
アクアの動きがピタリと止まり、手に持っていた長い脚立をマジマジと見つめる。
「ちょっと、待っていてもらえるかしら」
そのままアクアは脚立を持ったまま、引き返していく。
「ちょっとあなた、手に持っている、それは何ですか?」
アクアの去った先から、門番らしき男の声が聞こえてくる。
「あっ、いえ、これは、この署にとまっているカブトガニを採って、差し入れするためでして」
「こんな海のない場所に、カブトガニとか生息していませんよ?」
「ああ、言い間違えました。実はカブトムシを捕まえるためでして」
「えっ、こんな時期にカブトムシはいませんし、周りには樹木もありませんが?」
「知らないんですか? 最近のは建物に住み着いて、アスベストを吸うんですよ」
「そんな話、聞いたことないですよ?」
確かに似てはいるが、アスベストは綿アメの種類じゃないぞ。
「ちょっと、話を聞かせてもらえますか?」
そこで『スタタ!』と、地面の砂利を蹴る音が響いた。
「あっ、逃げたぞ!」
「逃がすな、皆の者、とっ捕まえろ!」
「不法侵入者だぞ。あの怪しい女を追えー!!」
今回も逃亡失敗か。
俺は窓に向かって、糸ノコを放り投げ、
いそいそと布団に潜り込んだ。
隣ではダストが爆睡し、
ヨダレを光らせて『もうキャベ○ンなんて食べれない』と、寝言を呟いている。
あれは食べ物ではなく、胃腸薬じゃないのか?
まあいいか。
明日は素敵な日になるといいな。