この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第42話 この族長の娘に露店での楽しみ方を‼

****

 

「あーあー、昨日は散々な目に(第41話参照)あったな。気晴らしに何か食べていくか」

 

 アクセルの街で、優雅に、お一人様散歩を楽しんでいると、見覚えのある黒いマントが露店に立っていた。

 

 あの赤いリボンで髪を纏めた、後ろ美人の女の子は俺の記憶に新しい。

 

「よう、お姉ちゃん。焼き鳥の串焼き、いかがかな?」  

 

 一瞬、店主と目が合ったが、何事もなかったように、明後日の方向を向いて去ろうとする黒髪の美少女。

 その女の子と目と目が通じ合う。

 

「よう、やっぱり、ゆんゆんじゃないか。こんな所で何してんだ?」

 

「あ……カズマさん。こっ、こんにちは……!」

 

 ご丁寧に頭を下げて、挨拶をしてきた、礼儀正しいゆんゆん。

 

「お前一人か?」

 

「……」

 

 ゆんゆんは、それ以上は言葉を発することはなく、俺の顔色を伺っている。

 

「所で、その露店の串焼き買わないのか?」

 

「あっ、いえ……。私は……その……」

 

「まあいいけどな。おじさん三本くれ」

 

「はいよ、毎度ありー」

 

 俺はおじさんから『動く物を見つけると、引っ付いてきて自爆する、なんちゃらモンスターに火をつけろ(放火魔か?)』の噂を聞き流しながら、焼き立ての香ばしい焼き鳥串を貰う。

 

 俺はそれを一本頬張りながら、近場の広場に行くことを決めた。

 

「それじゃあな、ゆんゆん」

 

「は……はい」

 

 ──私はカズマさんが、美味しそうに串焼きを食べている所を見て、急にお腹が空いてきた。

 

「あっ……あの。さっきの人と同じものを下さい」

 

「毎度ありー」

 

****

 

「しかし、ダクネスは昨日も帰って来なかったな……」

 

 腹が減っては悩み事もできぬ。

 アクセルの街、噴水広場のベンチに座った俺は、串焼きを食いながら、ダクネスの件で頭を抱えていた。

 

「あの領主、ダクネスを溺愛するほど好きみたいだし、囚われの妻の身(違う)になってないといいんだが……」

 

 もし、今日も帰ってこなかったら、次は探りを入れる必要があるな……。

 

「ねえ、ダーリン。あの可愛いネズミのぬいぐるみ取ってよ」

 

「しょうがねえな。このオレ様のウィリアムテールの冴え渡る腕を見せてやる」

 

 俺の近くにある射的場で、カップルどもが何やらほざいている。

 男の方は見事に目的の景品を打ち当て、二人の愛は、さらに深まったようだ。

 

「ありがと、ダーリン。愛してる」

 

「おいおい、公衆の面前で抱きつくなよ」

 

 けっ、いい気なもんで見せつけかよ。

 これだからリア充は……。

 

 俺の周りにはロクな女が寄りついて来ないから、その相乗効果でやたらと腹が立つよな。

(カズマっちの純真、映画化決定?)

 

 ……って、ゆんゆん、

 その射的場で弓を構えて、何をしているんだ?

 何か欲しい景品でもあるのかね?

 

「しゃーないな。美少女の頼み(頼んでない)だし、俺が一肌脱いでやるか」

 

 俺はその言葉通り、腕捲りをしながら、ゆんゆんの元へと歩み出した。

 

****

 

「いらっしゃい。お嬢ちゃんも射的やるかい?」

 

「あっ……」

 

 私が串焼きを美味しくいただいて歩いていた時に、今度は別の店主さんに声をかけられる。 

 

 私は串焼きを平らげて、無言で頷き、お金を払い、一本の弓を手にする。

 狙う相手は鎧を着た、冬将軍の愛らしいぬいぐるみのみ。 

 でも与えられた三本の弓矢は、景品をかすりともしなかった。

 

「残念だったね。弓の扱いは苦手かな?」

 

 店主さんが困ったような顔で、ポリポリとアゴを掻いていた。

 

「もう一回やってみるかい?」

 

「いえ、私はもう……」

 

 私は弓を置き、申し訳なさそうな店主さんに一礼した、その時だった。

 

「おじさん、今度は俺が一回ね」

 

 隣からカズマさんが急に割り込んできて、私の置いた弓を手に構える。 

 

「狙撃!」

 

 カズマさんが放った弓矢は、見事に冬将軍のぬいぐるみに当たり、難なくそれを一発で手に入れてみせた。

 それからカズマさんは、白い歯を輝かせながら、私に景品を渡す。

 

「ほら、やるよ。これが欲しかったんだろ」

 

「あっ……」

 

 カズマさん、私の目には天使のように見えて……とても優しい人だな。

 

「ちょっとお客さん! アーチャーと狙撃スキルを使える人は、お断りだって貼り紙に書いているでしょ! その景品はあげるけど、お金は倍払ってもらうからね‼」

 

「す……すいません……」

 

 カズマさんが店主さんにこっぴどく叱られ、財布から渋々と、千エリス金貨を店主さんに手渡す。

 

「あっ、ありがとうございます」

 

 私はぬいぐるみを抱き抱えながら、心からの笑顔で、カズマさんに感謝のお辞儀をした。

 

****

 

「あの、すみません」

 

「どうかしたのか?」

 

「いえ、紅魔の里では、このようなお店などなかったもので」

 

 なるほど、金があまりないんじゃなく、露店での接し方がよく分からなかったのか。

 

 これが言わずと知れた、箱入り娘というものか。

 族長の娘からして、世間知らずなのかも知れない。

 

「冬将軍のぬいぐるみ、ありがとうございます」

 

「やっぱり冬将軍なのか。精々、首を切られに化けて出ないようにしろよ(第18話参照)」

 

「カズマさん、言っていることが怖いです」

 

「まあ、それが俺の本職(怪談ほら話?)だからな」

 

 しかし、ゆんゆんのライバルが、ウチのパーティーにいるけど、特に嫌われたような感じはしないよな。

 むしろ、ウエルカムようこそみたいな対応だし。

 

「カズマさん、向こうで何かやってますよ!」

 

 俺の思考を遮る、ゆんゆんの声。

 彼女が指を突きつけた先には、大人たちが大きな輪を作って、何かのイベントを楽しんでいるようだった……。

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