この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第43話 この固い鉱石を破壊するためにできるだけの攻撃を‼

「だああああー!!」

 

 白い半袖シャツに短パンの一人の大男が、大きな金づちを地面に置かれた、ある物に対して、力任せに降り下ろした。

 

『ガアーン』と、大きな音が周りの空気を震わせる。

 

「ぬわあああ……コイツは思ったより固いぜ。腕が痺れたぜ」

 

「はい。残念でした。このお兄さんも失敗ですね」

 

 マイクを持った小柄の店主の男が、サングラスをかけ直し、クールに実況する。

 

 何だ、ギャルゲーマーでもある、このクールな俺に対して⋯⋯。

 男くさい『実況パ○フルプロ野球』ごっこなら、こちらから願い下げだぞ。

 

「さあ、我こそはという、次の挑戦者はいませんか?」

 

 企画者でもある店主がノリノリになりながら、次の対戦者を誘う。

 

「伝説の鉱石のアダマンタイト! 見事にこれを破壊できましたら、高額賞金はあなたのものですよ!」

 

 黒い漬け物石のような物を前にして、腕に自身があるであろう男たちが、次々と我こそはと名乗り出る。

 

「凄いですね。アダマンタイト砕きのゲームですよ!」

 

「ふーん。色々と考えているんだな」

 

 企画者の話では、参加費は一万エリス(日本円で一万円)と多少割高だが、

魔法の使用も可能で、挑戦者一人が失敗するごとに、五千エリスが賞金に上乗せされるとか。

 

「よし、次の挑戦者はオレだ‼」

 

 半裸の相撲取りのような男が、前にしゃしゃり出る。

 

「ゆんゆんも挑戦してみるか? 魔法もオッケーだってさ」

 

「えっ、あの鉱石はダイヤよりも固いんですよ。アダマンタイト砕きなんて無理ですよ」

 

 ゆんゆんの話では、爆裂魔法より威力は劣るが、爆発魔法か、炸裂魔法系の魔法を使わないと、この鉱石はビクともしない固さらしい。

 

「くそ、ヒビすらも入らねえ。毎日、すり足の特訓をしているオレでも駄目だったか」

 

 いや、アンタ、石を壊すのに、すり足関係なくね?

 同じ足さばきでも、ストレスが和らぐ、貧乏ゆすりの方がお似合いだぜ。

 

「やっぱり、この街の冒険者では、無茶なイベントだったのでしょうか!? あの機動要塞デストロイヤーを破壊したと聞き、遠路はるばるやって来たのですが‼」

 

「次、お前がやってこいよ」

 

「いや、俺には無理だって」

 

 マイクを手にして、一人勝手に熱狂する企画者の中で、会場の空気がザワザワとざわめきだす。

 どこかで、あの堅物を壊せそうなヤツは……。  

 

「さて、ここで真打ち登場です」

 

 赤い瞳を輝かせた、めぐみんが自慢げにやって来たのを尻目に、俺を含めた三人の冒険者が、彼女の背中ごと地面に押さえにかかる。

 

「おい、何もしていない女の子に、こんな酷い仕打ちをするとは何事(なにごと)だ……」

 

「おっさん、今すぐ店を畳んで逃げるんだ。コイツはこの街では有名な、狂った爆裂魔法使いだ!」

 

 めぐみんを押さえつけている冒険者の一人が、店主にありのままの危険信号を告げた。

 

「コイツがやったら、その石を含めて、周辺の草木も根こそぎ破壊して、灰しか残らねえ! いいからさっさと逃げるんだ!」

 

「うわー、確かに命あっての物種ですもんね。そっ、それでは皆さんさようならー!」

 

「どうしてですか。我が爆裂魔法なら、粉々なのに!!」

 

 粉々の石どころか、パン粉のような、サラサラな砂になりそうだけどな……。

 

****

 

「全く、お前は狂犬病の犬か? 俺がちょっと目を離すと、とんでもないことをやるよな」

 

「別に私は、まだ何もしてないじゃないですか」

 

「じゃあ、こんな真っ昼間から何をやってるんだよ? この飲んだくれが!(あくまでもジュースです)」

 

「いえ、単なる暇潰しです。カズマ、あっちにも似たようなイベントをやっている露店がありますので、ビビらせにいきましょうか」

 

「お前、本当に根っこの先から、腐ってやがるな……」

 

 まあ、めぐみんのことだから、根っこを引き抜いたら後先考えず、強烈な爆裂魔法を食らいそうだが……。

 

「じゃあ、ゆんゆん。どうせだから、一緒に街の散歩に行こうじゃないか」

 

「わっ……」

 

 ゆんゆんもつられて、俺の散歩道に参加しようとしたが、途中ではっと息を飲む。

 

「わっ、私はめぐみんとの勝負に挑んで、勝つためにこの街に来たの。この射的の件には礼を言いますが、決して二人と馴れ合うために来たんじゃないの!」

 

「……だそうです。行きましょう。カズマ」

 

「おう、分かった。じゃあな、ゆんゆん」

 

 俺らはゆんゆんから離れて、街の中を進んでいく。

 気のせいか、ゆんゆんの小さな背中が寂しく見えた……。

 

****

 

「はあ……」

 

 ──街中を一人でポツンと歩いていると、仲の良い子供たちが、はしゃぎながら目の前を通りすぎる。

 

 どうして、私はあんなことを言ったんだろう。

 カズマさんたちと、賑やかに過ごした方が楽しいはずなのに……。

 

『モグモグ……』

 

 私の気のせいかな。

 すぐ近くから、甘いイチゴと生クリームの匂いと共に、咀嚼音(そしゃくおん)が聞こえてくる。

 

 子供がクレープでも食べているのかな。

 私も小腹が空いたから、買ってみようかな……ううん、恥ずかしくて到底無理だな。

 

『モグモグ……』

 

 あれ、気のせいかな。

 私、尾行されてる?

 

 どうしよう、カズマさんの言う通り、冬将軍の亡霊で私の首が狙いだったら……。

 

 弱気になったら駄目よ。

 そんなんだから、めぐみんに負けっぱなしなんだわ。

 

 族長になるための掟の一つ、例え、体が小さくても大きな勇気を持て。

 そっちがその気なら、私だって負けていられないんだから。

 

「ええい、まあよ‼」

 

『モグモグ……』

 

 私が意を決して、後ろを振り向くと、カズマさんとめぐみんの二人が、クレープを食べながら、私の後ろを追っていた。

 

 私が立ち止まると、二人も立ち止まる。

 私が足を進めると、二人もついてくる……。

 

「どうしてつけてくるの?」

 

「いえ、昔からいつもぼっちな、ゆんゆんの後ろ姿でも拝もうと」

 

「なっ、めぐみん、私は、ぼっちの神様じゃありませーん!」

 

 私は半べそになりながら、逃げ去るめぐみんの背中を追いかけた……。

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