この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
第45話 この令嬢の想いを無駄にしない考えを‼
「ダクネス、心配したぜ。お前、今まで何してたんだよ?」
「えっ……、それは、そのだな……」
ダクネスがもじもじしながら、歯切れの悪い声を出す。
「カズマ、このドレス、凄く高い素材よ。だからもうダクネスは……」
アクアがダクネスの服を摘まみながら、心の奥から、何かを諦めた顔をする。
「そうか、ダクネス、俺が知らない間に領主と色んな苦労を……」
「
「じゃあ、そのドレスの生地は、どこぞの店から掻っ払ったのか?」
「違うわ、人を泥棒扱いするな!」
だよな。
この辺には、そういう高級な店舗はないし、ピザの
「それよりもまずは、この見合い写真を見てくれ」
ダクネスが薄っぺらい紙製のフォトアルバムを開き、首元で綺麗に髪を切り揃えた、優しそうなイケメンの写真を俺に見せつける。
「コイツ、爽やかな笑顔がムカつくから、ビリビリに破いて燃えるゴミに出してもいいか?」
「やめろ、大事な見合いの写真だぞ!」
この写真の男を己なりな制裁とし、思わず真ん中の折り目からアルバムを破こうとすると、ダクネスから止めに入られる。
「しかしダクネス、見合いとはどういうことだ!?」
「お前のその遅い反応はわざとなのか?」
いや、読者さんすまん。
これじゃあ、話が進まないな。
さあ、この章の主役のダクネスよ、どうぞ前へ……。
「──アルダープは私を好き勝手できないのを知って、このような手段を持ちえてきたのだ!」
「うーん……。単細胞な頭がパンク(脳内渋滞)しそうなんで、一から説明してくれるか?」
「ああ、実は私の本名はダスティネス・フォード・ララティーナと言って……」
「えっ、ダスティネスって、この国の最高権力の一つとも噂される上流貴族ではないですか!」
めぐみんが目を輝かせながら、ダクネスに尊敬の念を抱いている。
「マジかよ!?」
かくいう俺も尊敬どころか、ダクネス女性閣下(大袈裟)に、敬礼したい気分でもあった。
「じゃあ、ダクネスの養女になれば、贅沢し放題よね‼」
「いや、すまないが、養女は募集してない」
一方でアクアは楽をして、金を手中に納めることしか頭にない。
「お前、真面目な言葉遣いのくせして、ララティーナという、ファンタジーのギャルゲーみたいな乙女の名前かよ」
「ああー、だから本名を言いたくなかったんだ!」
いや、魔法騎士の名前でもいけるな。
俺と契約して、魔法騎士になってよ。
「とにかく、この写真の男はアルダープの息子であり、自身の物にならないアルダープは、自分の息子と私をくっつけようとしているのだ」
「じゃあ、恋の方位磁石でも作ろうか? ララティーナ」
「ララティーナって呼ぶな。それにその砂が引っ付くという意味ではない、結婚という意味だ‼」
話によると、ダクネスの父親は、アルダープの息子が大変お気に入りらしい。
目にレモン汁を入れても、全然、痛くないも痒くもないみたいな。
「理由はいささか不明点があるが、それで私とアルダープの息子を結婚させようとしているのだ」
「嫌なら断ればいいじゃん」
「そう言うわけにはいかない。あの裁判所で、何でも言うことを聞く約束をしたからな(第37話参照)」
「……しかも今日の昼に、この見合いをすることになったのだ……」
「婚約までの展開が、四コマ漫画並みにはえーな」
おい、筆者、テンポが早くてグダグダにならないのはいいが、いくらなんでも、起承転結の転回の箇所が短すぎないか?
「カズマ……私は、今のここでの生活が一番好きなんだ」
その行く末に、俺たち冒険者の名が広まって、有名パーティーになり、やがては魔王軍から捕まり、両手足に重い枷を付けられて、冷えきった牢の中で、毎日不自由な生活をさせられる。
そう考えると体が火照って、しょうがないとか……。
「くっ、こんな扱い、屈辱的だ……」
「お前、そんな妄想する暇があったら、もう嫁に行った方が良くね?」
しかし、ダクネスが良いとこのお嬢ということにはビックリしたが……いや、待てよ。
そうなれば、コイツは俺のパーティーから、
多少、変質者的な面もあるが、悪いヤツでもない。
だからって、高貴な貴族の姫を、これからもただの冒険者として、過ごさせていいのだろうか。
いや、そうじゃないだろ。
ダクネスが結婚すれば、親御さんも
「カズマ、だから私の父を説得するために、一緒に親の家まで来てくれないか……」
「そうか、これだあー!」
『ビリリー!』
俺は勢いに動じて、見合い写真を縦半分に両断する。
「おっ、おい。見合い写真を破ってどうする‼」
「いや、すまんな。それよりも俺の話を聞いてくれ」
この際、見合いを受けてみて、そこで見合いを断ってみる。
当然のことだから断れば、新しい見合い話を持ちかけて来るだろう。
それが続くと、親父さんは強引な手段を仕掛けるかも知れない。
ならば見合いを、一度滅茶苦茶にすればどうだろうか。
ダクネスの家に不利益が出ないように、向こうから断らす。
そうなると親父さんは、次の見合いの話は、慎重に扱うようになるはずだ。
「あのおっさんは、色々と悪い噂が絶えない領主。他の真面目な貴族との見合いをぶち壊すよりはマシだろ」
「そうだな。それはいい案だ。上手くいけば、見合い話の際に、父を平手で張り倒さなくて済むな!」
ダクネスが肩の力を抜き、あれこれとはしゃいで浮かれ気分になる。
ダクネスの親父さん、今回は満身創痍にならないことを祈るぜ。
「なるほどね!」
アクアが突然ソファーから立って、一人でうんうんと納得している。
「私的には邪魔者が嫁に行けば『新メンバーを加えて、楽できる冒険ができるぜ。嬢ちゃん、よい娘だ、鬼ヶ島~♪』的なことを、考えていたのかと思っていたわ」
アクアの軽快な喋り口に動きが止まり、俺に首だけを向けるダクネス。
「いや、違うって、ダクネス」
「じー……」
「だから、そんな冷たい目で見るなって……」
あの目は、俺を信じきれない人間不信の目つきだな。
大いなる勇者の俺も(嘘つけ)、派手に堕ちたものだ……。