この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
──雲が優雅に流れる、午後のひととき。
屋根に国旗が
その屋敷のガラス越しの応接間に、俺たちはいた。
「ララティーナ、本当か? 見合いを考えてくれるとは」
「はい、お父様。ララティーナは今度の見合いを受けて見ようと思いますわ」
鼻の下にちょび髭を伸ばし、オールバックで髪を持ち上げた、ダスティネス・フォード・イグニスこと、ララティーナの父。
父はこれまで反論していた、ララティーナの言葉とは正反対だったせいか、予想外に驚いている様子だった。
『ねえ、カズマさん。あの堅物なダクネスが、お父様って呼んだわよw』
『いや、ララティーナと、自分のことを言ったのもおかしいだろww』
面と向かって、父と娘の対談はキツいだろうが、頑張れよ、ダクネス。
もうお前もいい大人なんだから、逃げる必要はない。
親御さんも、ダクネスのちゃんとした気持ちを知りたいんだ。
俺たちは赤い高級ソファー(アウトレットでお持ち帰りOK?)の後ろから、応援してるからな。
「ララティーナ、後ろの二人は?」
「はい、この二人はわたくしの冒険仲間です。今回の見合いに付き添いをと思いまして、同伴させようかと」
「むう……だが、我が家では臨時でも、執事とメイドは募集してないのだが……」
ララティーナの父イグニスがアゴに手を当てて、困ったような感情を表に出す。
なるへそ、そうきたか。
なら今しか、俺に与えられたチャンスはないだろう。
俺はソファーの影から立ち上がり、イグニスの前に腰を下ろす。
「初めまして。日頃からララティーナお嬢様のお世話になっております、冒険者の『サトウカズマ』という者です。この度のお見合いが上手くいけば、身分の違いにより、お嬢様に逢えなくなるかもと思い、ならば最期まで大切なお嬢様を守れる相手なのかを、私としても見定める必要性があると感じまして……」
俺を取り囲む三人が、ポカンと口を開けている。
三人とも覚悟しろよ、こうなった俺様の演説は、学校の校長の朝礼くらい長いぜ。
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「うーん、スーツのサイズはピッタリだな。アクアもメイド服、似合ってるじゃないか」
「カズマこそ、そこそこの執事って感じね。いつも仕事が上手くいかず、屋根裏部屋でカレーまんをかじりながら、あまりの辛さに泣いているような(苦笑)」
「食うか、泣くか、カレー味なのにカラシはつけるべきなのか、どれか一つにして欲しいけどな」
でもまさか、この世界でカレーまんというワードを聞くとはな。
世界は広いようで狭く、カレーまんは世界を救う。
「でも、まさかカズマが、ダクネスのお父さんに尊敬語の挨拶で返すなんて」
「当たり前だろ。俺だってやる時はやるんだよ」
そりゃ、ララティーナを嫁に送らせるための計画だからな。
先行きが危うい、ダクネスの今後のためだ。
何があっても、この見合いは成功させてみせるさ。
勘の良さそうなめぐみんも、今日は用事で留守だし、ダクネスのお父さんとも男の約束をしたからな。
そう、ダクネスのお父さんの話によると、
俺には他の男にはない、特別な素質(超能力か?)があるらしい。
だから娘が見合いの席で、とんでもないことをしでかさないように、常に見張っていてくれと……。
忍ニン、拙者、任されましただぜ。
(あくまでも盗賊だよね?)
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「二人とも頼むぞ。この見合いのぶち壊し計画を……」
長い廊下を歩く音だけが静かに響く中、ダクネスが俺とアクアに小声で目配せする。
「分かってる。おもちゃの機関車◯ーマスなら、たっぷりと持参(意味が違う)してきたぜ」
勇ましい正装にモデルチェンジした俺とアクアは、広い廊下に敷かれたレッドカーペットを歩き、杖をついて歩くダクネスのお父さん組と一緒に、無数のメイドが立ち並ぶロビーの方へ案内された。
「もうすぐすれば殿方がやって来る。皆のもの、
ダクネスのお父さんが、大勢のメイドたちに礼をし、隣にいるダクネスの肩を軽く叩く。
「しかし、お前がようやく、お見合いを受けてくれるなんて、嬉しいことこの上ないよ。最初は何かトラブルかと焦ったけど、アルダープには感謝しかないな」
ダクネスのお父さんが、熱くなった目頭を押さえる。
「何を言ってるんですか、お父様。私は前向きに検討すると言っただけですよ」
「……それはどういう意味だ?」
ダクネスが怪しく目を光らせ、メス猫のようにお父さんの意見に食らいついた。
「フフフ。私は嫁入りには、まだ早いと言う決断ですよ」
「……見合いは受けても、結婚するとは私は言っていない! こんな下らぬ見合いなんて、ぶち壊してやるわー‼」
「ララティーナ?」
熱き拳を握りしめて反論する娘に、ダクネスのお父さんは青ざめた顔で、あたふたとしている。
「……と言うわけでお父様、今回の見合いの席も諦めて下さい」
「まっ、まさか、三人とも最初から、このワシを騙して……」
ダクネスめ、俺たちもいる間に、何、ぶっ飛び発言しているんだよ。
ここで金、いや、お父さんの信頼を裏切るわけにはいかん。
「お嬢様、ダスティネス家のご令嬢として、ふさわしくないお言葉使い。次からはその様な
「なっ、カズマ、貴様、寝返るのか!?」
「ねっ、寝違えるじゃない……いや、寝返るという問題ではありませんよ、お嬢様。
自分はダスティネス家の執事であり、お嬢様の幸せを望んでおりますゆえ」
俺はキャンキャンわめく狂犬相手を、丁重に手懐ける。
後でビーフジャーキーやるから、お願いだから、みんなに噛みつくのは
「カ、カズマ君。君はワシの味方なんだね」
「はい。このカズマが全力で、お嬢様の幸せをサポートします」
お父さんが一安心し、その意外さに娘の暴走が止まる。
「旦那様、相手の方がお見えになられましたが……」
「ああ、すまぬ」
一人の若いきゅんかわなメイドが、お父さんに来客の紹介をすると、俺たちの目先に、眩しすぎる見合い相手が現れる。
そして、羽根のついた派手な帽子を脱ぎ、律儀に頭を下げてきたのだ……。