この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第46話 この妄想癖な娘を幸せにさせる権利を‼

 ──雲が優雅に流れる、午後のひととき。

 

 屋根に国旗が(なび)き、これでもかと巨大な洋風の城並みの建造物がことを構えた、ダスティネス家のララティーナが住む、大きすぎる屋敷がある。

 

 その屋敷のガラス越しの応接間に、俺たちはいた。

 

「ララティーナ、本当か? 見合いを考えてくれるとは」

 

「はい、お父様。ララティーナは今度の見合いを受けて見ようと思いますわ」

 

 鼻の下にちょび髭を伸ばし、オールバックで髪を持ち上げた、ダスティネス・フォード・イグニスこと、ララティーナの父。

 父はこれまで反論していた、ララティーナの言葉とは正反対だったせいか、予想外に驚いている様子だった。

 

『ねえ、カズマさん。あの堅物なダクネスが、お父様って呼んだわよw』

 

『いや、ララティーナと、自分のことを言ったのもおかしいだろww』

 

 面と向かって、父と娘の対談はキツいだろうが、頑張れよ、ダクネス。

 もうお前もいい大人なんだから、逃げる必要はない。

 

 親御さんも、ダクネスのちゃんとした気持ちを知りたいんだ。

 俺たちは赤い高級ソファー(アウトレットでお持ち帰りOK?)の後ろから、応援してるからな。

 

「ララティーナ、後ろの二人は?」

 

「はい、この二人はわたくしの冒険仲間です。今回の見合いに付き添いをと思いまして、同伴させようかと」

 

「むう……だが、我が家では臨時でも、執事とメイドは募集してないのだが……」

 

 ララティーナの父イグニスがアゴに手を当てて、困ったような感情を表に出す。

 

 なるへそ、そうきたか。

 なら今しか、俺に与えられたチャンスはないだろう。

 

 俺はソファーの影から立ち上がり、イグニスの前に腰を下ろす。

 

「初めまして。日頃からララティーナお嬢様のお世話になっております、冒険者の『サトウカズマ』という者です。この度のお見合いが上手くいけば、身分の違いにより、お嬢様に逢えなくなるかもと思い、ならば最期まで大切なお嬢様を守れる相手なのかを、私としても見定める必要性があると感じまして……」

 

 俺を取り囲む三人が、ポカンと口を開けている。

 三人とも覚悟しろよ、こうなった俺様の演説は、学校の校長の朝礼くらい長いぜ。

 

****

 

「うーん、スーツのサイズはピッタリだな。アクアもメイド服、似合ってるじゃないか」

 

「カズマこそ、そこそこの執事って感じね。いつも仕事が上手くいかず、屋根裏部屋でカレーまんをかじりながら、あまりの辛さに泣いているような(苦笑)」

 

「食うか、泣くか、カレー味なのにカラシはつけるべきなのか、どれか一つにして欲しいけどな」

 

 でもまさか、この世界でカレーまんというワードを聞くとはな。 

 世界は広いようで狭く、カレーまんは世界を救う。 

 

「でも、まさかカズマが、ダクネスのお父さんに尊敬語の挨拶で返すなんて」

 

「当たり前だろ。俺だってやる時はやるんだよ」

 

 そりゃ、ララティーナを嫁に送らせるための計画だからな。

 

 先行きが危うい、ダクネスの今後のためだ。

 何があっても、この見合いは成功させてみせるさ。

 

 勘の良さそうなめぐみんも、今日は用事で留守だし、ダクネスのお父さんとも男の約束をしたからな。

 

 そう、ダクネスのお父さんの話によると、

 俺には他の男にはない、特別な素質(超能力か?)があるらしい。

 だから娘が見合いの席で、とんでもないことをしでかさないように、常に見張っていてくれと……。

 

 勿論(もちろん)、この交渉が成功すれば、追加の報酬もたんまりと貰える。

 忍ニン、拙者、任されましただぜ。

(あくまでも盗賊だよね?)

 

****

 

「二人とも頼むぞ。この見合いのぶち壊し計画を……」

 

 長い廊下を歩く音だけが静かに響く中、ダクネスが俺とアクアに小声で目配せする。

 

「分かってる。おもちゃの機関車◯ーマスなら、たっぷりと持参(意味が違う)してきたぜ」

 

 勇ましい正装にモデルチェンジした俺とアクアは、広い廊下に敷かれたレッドカーペットを歩き、杖をついて歩くダクネスのお父さん組と一緒に、無数のメイドが立ち並ぶロビーの方へ案内された。

 

「もうすぐすれば殿方がやって来る。皆のもの、粗相(そそう)の無いように」  

 

 ダクネスのお父さんが、大勢のメイドたちに礼をし、隣にいるダクネスの肩を軽く叩く。

 

「しかし、お前がようやく、お見合いを受けてくれるなんて、嬉しいことこの上ないよ。最初は何かトラブルかと焦ったけど、アルダープには感謝しかないな」

 

 ダクネスのお父さんが、熱くなった目頭を押さえる。

 

「何を言ってるんですか、お父様。私は前向きに検討すると言っただけですよ」

 

「……それはどういう意味だ?」

 

 ダクネスが怪しく目を光らせ、メス猫のようにお父さんの意見に食らいついた。

 

「フフフ。私は嫁入りには、まだ早いと言う決断ですよ」

 

「……見合いは受けても、結婚するとは私は言っていない! こんな下らぬ見合いなんて、ぶち壊してやるわー‼」

 

「ララティーナ?」

 

 熱き拳を握りしめて反論する娘に、ダクネスのお父さんは青ざめた顔で、あたふたとしている。

 

「……と言うわけでお父様、今回の見合いの席も諦めて下さい」

 

「まっ、まさか、三人とも最初から、このワシを騙して……」

 

 ダクネスめ、俺たちもいる間に、何、ぶっ飛び発言しているんだよ。

 ここで金、いや、お父さんの信頼を裏切るわけにはいかん。

 

「お嬢様、ダスティネス家のご令嬢として、ふさわしくないお言葉使い。次からはその様な()()()()()言葉使いは慎んで下さい」

 

「なっ、カズマ、貴様、寝返るのか!?」

 

「ねっ、寝違えるじゃない……いや、寝返るという問題ではありませんよ、お嬢様。

自分はダスティネス家の執事であり、お嬢様の幸せを望んでおりますゆえ」

 

 俺はキャンキャンわめく狂犬相手を、丁重に手懐ける。

 

 後でビーフジャーキーやるから、お願いだから、みんなに噛みつくのは()してくれ。

 

「カ、カズマ君。君はワシの味方なんだね」

 

「はい。このカズマが全力で、お嬢様の幸せをサポートします」

 

 お父さんが一安心し、その意外さに娘の暴走が止まる。

 

「旦那様、相手の方がお見えになられましたが……」

 

「ああ、すまぬ」

 

 一人の若いきゅんかわなメイドが、お父さんに来客の紹介をすると、俺たちの目先に、眩しすぎる見合い相手が現れる。

 そして、羽根のついた派手な帽子を脱ぎ、律儀に頭を下げてきたのだ……。

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