この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
「本日はお招き頂きまして、ありがとうございます。僕の名前はアレクセイ……」
「こざかしい、貴様が見合い相手か。落ちぶれた
ダクネスが見合いの相手に指を指し示し、高飛車な態度をとる。
「お嬢様、人の名前は最後まで聞くものですよ」
「そうだな、らっきょ星(もはや芸名)。精々、死ぬ間際まで仕えて、私の腰かける椅子にでもなるが……」
「おおっと、お嬢様の後頭部に大きなやぶ蚊がー!」
俺はこの期に及んで、聞く耳を持たないダクネスの頭を、思いっきり小突くのだった……。
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「先ほどはララティーナ様が失礼いたしました。バルター様」
「いえ、構いません。元気があってよろしいものかと」
「お嬢様も今回の面談を心待ちにしておりましたが、いささか緊張しておりまして」
「奇遇ですね。僕もここに来る前から、緊張しぱなっしなのですよ」
俺の巧みなるフォローを、何の疑いもなく受け止め、爽やかな笑みで語りかける、アレクセイ・バーネス・バルター。
その余裕の奥底に、緊張の二文字も無いと思うのだが……。
『ねえ、カズマ、この見合い、真っ向から、ぶち壊すんじゃなかったの?』
何かしらの異変を感じ取ったアクアが、俺のすぐ隣で小声にて話しかけてくる。
『いいんだよ。お前もアイツのヤバいMっ気な性癖は十分承知だろ?』
『……この際だし、俺らの冒険者を引退して身を固めた方が、平和的解決にもなるだろ。だからお前も協力しろよ』
『えー、そんな一方通行的でいいの? 確かにダクネスは、このまま未婚というのもマズい気はするけどさあ……』
「あっ‼」
俺の突飛だった攻撃から、今まで無言だったダクネスがバランスを崩して、絨毯の床に座り込む。
「ララティーナ様、どうされましたか」
「失礼、ヒールのかかとが折れてしまって。バルター殿、お手を借してもらえないでしょうか?」
悪意を潜めた笑顔の仮面で、バルターに起こしてもらおうとするダクネス。
「お嬢様、バルター様がお気に召されたからと、婚約前から甘えては駄目ですよ」
俺はその悪の根元を摘み取るため、ダクネスの手を引こうと彼女の手を握った。
「バルター様、今日のお嬢様は少し浮かれ気分でして……」
ダクネスが俺を無言で睨み、俺の握った手に渾身の力をこめる。
「あいででで、指が折れる、折れますから、お止め下さいませって言うか、止めろって言ってんだろ、人間の言葉が通じんのか、この機械人形お嬢様はあああぁー!!」
俺はダクネスから手を離し、もう少しで折れそうだった痛む手に、フーフーと息を吹きかけ、この身を案じた。
女なのに、何て力だ。
握力だけで、生搾りリンゴジュースが作れそうだな。
『貴様、裏切りおって。どうして私の邪魔をする?』
ダクネスがヒソヒソ声で、俺のしてきた行動に悪態をつく。
『いくらなんでも暴走しすぎだ。お前の家の名に傷がついたらどうする。とんでもない悪評を受けるはめになるぞ』
『私は別に構わないのに。覚えておけよ』
ダクネスが不機嫌に俺から、そっぽ向くからに、どうやら怒りの感情が爆発寸前のようだ。
「あの、お二人とも、どうかなされましたか?」
「いえ、参りましょうか。バルター殿」
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何部屋かあるうちの応接間にて、テーブルに置かれたティーカップから湯気の立つ紅茶。
それを品よく口に湿らせた、バルターから話題を切り出す。
「では、改めまして、自己紹介を。僕の名はアレクセイ・バーネス・バルターです。アレクセイ家の長男で、父の領地の経営を手伝っております」
「わたくしはダスティネス・フォード・ララティーナ。当家の紹介はしなくても十分でしょう。あの腐れ領主の息子なら、それくらい知っていても……」
「はうあっ!?」
俺は無心になり、ダクネスの足を靴の上から踏んづける。
「どうされました?」
「あっ、いえ。バルター様の顔がカエルのように気持ち悪く……んんっ‼」
「本当に大丈夫ですか?」
そうだ、つまらん情けは捨てろ、サトウカズマ。
異世界防衛軍として、コイツの悪巧みは全て阻止してやる。
「ダクネスお嬢様は、賞味期限切れのプリンを誤って食べて、今日はお腹の調子が悪いんですよ。ダクネス、卵系は当たったら怖いから、あまり食い意地をはったら駄目よ」
「えっ!? 違う‼」
アクアの的はずれの問いかけに、気が気でないダクネス。
食い気があるのは、アクアじゃね?
「お嬢様はバルター様と会えることを心底、楽しみにしていて、いつも枕元に見合い写真を置いていましたので……グリグリ」
「くっ、んんっ!?」
一方で日頃の迷惑の仕返しとばかりに、足先に力をこめる俺。
「ねっ、ダクネスも真っ赤になって照れちゃって」
「そうですか。そう言われると僕も照れますね」
バルターは照れ隠しに紅茶を口に含みながら、ニコニコ顔で笑っていた。
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「バルター君、君の住んでいた屋敷は崩壊したと聞いたが、何なら君だけでも、ここに住むかね?」
「いえいえ、あんなにもお美しいララティーナお嬢様と住むことになったら、我慢も限界がきそうなので……」
「ははっ。それはまだ気が早いんじゃないかね」
ダクネスのお父さんとの会話に、バルターはすっかり溶け込み、柔らかな返答をする。
あのイケメン、人当たりもいいし、性格も良いじゃないか。
こんな完璧すぎる男を前にして、ダクネスはどうして、こうまで嫌がっているんだ?
「さて、私との話もこれまでにしようか。あとは若い者同士で仲良く楽しみたまえ」
ダクネスのお父さんが僕に向けて、親指を立てる仕草をする。
『頼んだよ、カズマ君』
そう、心の声が聞こえた気がした。
はい、お父さん。
ボクに任せて下さい!!
(輝く白い歯)