この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

48 / 51
第47話 この縁談の話をどうにかして成功させる秘策を‼(1)

「本日はお招き頂きまして、ありがとうございます。僕の名前はアレクセイ……」

 

「こざかしい、貴様が見合い相手か。落ちぶれた()()()。私のことはダスティネス様とでも呼ぶんだな」

 

 ダクネスが見合いの相手に指を指し示し、高飛車な態度をとる。 

 

「お嬢様、人の名前は最後まで聞くものですよ」

 

「そうだな、らっきょ星(もはや芸名)。精々、死ぬ間際まで仕えて、私の腰かける椅子にでもなるが……」

 

「おおっと、お嬢様の後頭部に大きなやぶ蚊がー!」

 

 俺はこの期に及んで、聞く耳を持たないダクネスの頭を、思いっきり小突くのだった……。

 

****

 

「先ほどはララティーナ様が失礼いたしました。バルター様」

 

「いえ、構いません。元気があってよろしいものかと」

 

「お嬢様も今回の面談を心待ちにしておりましたが、いささか緊張しておりまして」

 

「奇遇ですね。僕もここに来る前から、緊張しぱなっしなのですよ」

 

 俺の巧みなるフォローを、何の疑いもなく受け止め、爽やかな笑みで語りかける、アレクセイ・バーネス・バルター。

 その余裕の奥底に、緊張の二文字も無いと思うのだが……。

 

『ねえ、カズマ、この見合い、真っ向から、ぶち壊すんじゃなかったの?』

 

 何かしらの異変を感じ取ったアクアが、俺のすぐ隣で小声にて話しかけてくる。

 

『いいんだよ。お前もアイツのヤバいMっ気な性癖は十分承知だろ?』

 

『……この際だし、俺らの冒険者を引退して身を固めた方が、平和的解決にもなるだろ。だからお前も協力しろよ』

 

『えー、そんな一方通行的でいいの? 確かにダクネスは、このまま未婚というのもマズい気はするけどさあ……』

 

「あっ‼」

 

 俺の突飛だった攻撃から、今まで無言だったダクネスがバランスを崩して、絨毯の床に座り込む。

 

「ララティーナ様、どうされましたか」

 

「失礼、ヒールのかかとが折れてしまって。バルター殿、お手を借してもらえないでしょうか?」

 

 悪意を潜めた笑顔の仮面で、バルターに起こしてもらおうとするダクネス。

 

「お嬢様、バルター様がお気に召されたからと、婚約前から甘えては駄目ですよ」

 

 俺はその悪の根元を摘み取るため、ダクネスの手を引こうと彼女の手を握った。

 

「バルター様、今日のお嬢様は少し浮かれ気分でして……」

 

 ダクネスが俺を無言で睨み、俺の握った手に渾身の力をこめる。

 

「あいででで、指が折れる、折れますから、お止め下さいませって言うか、止めろって言ってんだろ、人間の言葉が通じんのか、この機械人形お嬢様はあああぁー!!」

 

 俺はダクネスから手を離し、もう少しで折れそうだった痛む手に、フーフーと息を吹きかけ、この身を案じた。

 

 女なのに、何て力だ。

 握力だけで、生搾りリンゴジュースが作れそうだな。

 

『貴様、裏切りおって。どうして私の邪魔をする?』

 

 ダクネスがヒソヒソ声で、俺のしてきた行動に悪態をつく。

 

『いくらなんでも暴走しすぎだ。お前の家の名に傷がついたらどうする。とんでもない悪評を受けるはめになるぞ』

 

『私は別に構わないのに。覚えておけよ』

 

 ダクネスが不機嫌に俺から、そっぽ向くからに、どうやら怒りの感情が爆発寸前のようだ。

 

「あの、お二人とも、どうかなされましたか?」

 

「いえ、参りましょうか。バルター殿」

 

****

 

 何部屋かあるうちの応接間にて、テーブルに置かれたティーカップから湯気の立つ紅茶。

 それを品よく口に湿らせた、バルターから話題を切り出す。

 

「では、改めまして、自己紹介を。僕の名はアレクセイ・バーネス・バルターです。アレクセイ家の長男で、父の領地の経営を手伝っております」

 

「わたくしはダスティネス・フォード・ララティーナ。当家の紹介はしなくても十分でしょう。あの腐れ領主の息子なら、それくらい知っていても……」

 

「はうあっ!?」

 

 俺は無心になり、ダクネスの足を靴の上から踏んづける。

 

「どうされました?」

 

「あっ、いえ。バルター様の顔がカエルのように気持ち悪く……んんっ‼」

 

「本当に大丈夫ですか?」

 

 そうだ、つまらん情けは捨てろ、サトウカズマ。

 異世界防衛軍として、コイツの悪巧みは全て阻止してやる。

 

「ダクネスお嬢様は、賞味期限切れのプリンを誤って食べて、今日はお腹の調子が悪いんですよ。ダクネス、卵系は当たったら怖いから、あまり食い意地をはったら駄目よ」

 

「えっ!? 違う‼」

 

 アクアの的はずれの問いかけに、気が気でないダクネス。

 食い気があるのは、アクアじゃね?

 

「お嬢様はバルター様と会えることを心底、楽しみにしていて、いつも枕元に見合い写真を置いていましたので……グリグリ」

 

「くっ、んんっ!?」

 

 一方で日頃の迷惑の仕返しとばかりに、足先に力をこめる俺。 

 

「ねっ、ダクネスも真っ赤になって照れちゃって」

 

「そうですか。そう言われると僕も照れますね」

 

 バルターは照れ隠しに紅茶を口に含みながら、ニコニコ顔で笑っていた。

 

****

 

「バルター君、君の住んでいた屋敷は崩壊したと聞いたが、何なら君だけでも、ここに住むかね?」

 

「いえいえ、あんなにもお美しいララティーナお嬢様と住むことになったら、我慢も限界がきそうなので……」

 

「ははっ。それはまだ気が早いんじゃないかね」

 

 ダクネスのお父さんとの会話に、バルターはすっかり溶け込み、柔らかな返答をする。

 

 あのイケメン、人当たりもいいし、性格も良いじゃないか。

 

 こんな完璧すぎる男を前にして、ダクネスはどうして、こうまで嫌がっているんだ?

 

「さて、私との話もこれまでにしようか。あとは若い者同士で仲良く楽しみたまえ」

 

 ダクネスのお父さんが僕に向けて、親指を立てる仕草をする。

 

『頼んだよ、カズマ君』

 

 そう、心の声が聞こえた気がした。  

 

 はい、お父さん。

 ボクに任せて下さい!!

(輝く白い歯)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。