この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
外は何の曇りのない青空が広がっている。
ダスティネス家の屋敷の中庭も、屋敷内部と同じく、とてつもない広さを誇っていた。
その中の一つの噴水広場にて、アクアが宴会芸のサーカス気分で、池の
泳げよ、鯉焼きくんとは、まさにこのことだ。
一方でそこから少し離れた場所で、ダクネスたちは庭を散策しながら、当たり障りのない会話をしていた。
……とは言ってもダクネスは、バルターの言葉に相槌を打つのが、ほとんどだったが……。
「それでララティーナ様は、何かしらのご趣味はありますか?」
「ええ、ゴブリン狩りを少し……ぐはっ!!」
俺はダクネスの横にしゃがみこみ、彼女の脇に必殺技のひじ鉄を当てる。
普通の女性にはやってはいけない行為だが、体が頑丈なクルセイダーの女だからこそできる(試せる?)技だ。
『ゲホッ……貴様、何のつもりだ?』
『バカ、もっとまともなことを言え』
俺たちの小言の馬鹿話に、バルターが微笑む。
「本当に仲がよろしいのですね」
バルターの穏やかな返しに、ふとひらめいたダクネス。
この時、ダクネスのIQは二百をとうに越えていただろう。
「そうですの。この執事のカズマとはいつも一緒ですの」
しまった。
ナポリタンをフォークで食べるのではなく、箸で使いこなすときたもんだ。
ズル賢いダクネスめ、その流れに持っていく気か‼
「食事もお風呂も夜寝る時も、夜中のトイレに行く時も常に一緒でして……モゴモゴ……」
「へえー、そうなんですね」
俺はダクネスがこれ以上変なことを口走らないように、彼女の唇を手のひらで押さえこむ。
俺は端っから、金を積まれても、介護サービス業なんてやる気はないぞ。
「いえいえ、ララティーナお嬢様は、虚言癖がありまして、さあ、妄想も、その辺にしましょうか。ララティーナ様」
「むぐむぐ……」
「あれあれ、ララティーナ様、少々、お顔が赤いですよ。メイクも崩れ気味ですし、化粧室でお色直しでもしますか? ララティーナ様」
「……き、貴様、女に対して無礼だぞ。迷惑行為も大概にしろよ……」
ダクネスと餌をめぐった猿のような奇声を上げながら、品無く争う俺たち。
「本当に二人は仲良しなのですね。何だか嫉妬してしまいそうですよ」
バルターの正直な発言に、ダクネスが奥歯をグッと噛みしめた。
「もううんざりだ! このままじゃ動きづらいし、こんなおままごと遊びなんて、やってられるか!」
ダクネスがドレスで覆われた、邪魔くさい足の部分を手で引きちぎり、即席のスカートで、ひざから下の素足を露にする。
「ララティーナ様、何をなさるのですか……!?」
「おおっ、ムチムチの太ももがエロいな(ガン見)」
恥ずかしげに目を背けるバルターと、色気のある足の露出に歓喜する俺。
同じ男と言えど、こうまで反応が違うのか。
「おい。バルター。私と剣で一対一の勝負だ。貴様がどんな素質のあるヤツか、私が今ここで見定めてやる!!」
「えっ、いきなり何ですか?」
突然のダクネスの言い分で、多少困惑しているバルター。
「ララティーナ、おっ、お前開き直ったな!」
「見ろ、このカズマの欲望に埋もれた男を。仮にも貴様も貴族と名乗るくらいなら、この男が今していたエロい目つきで、私を汚してみよ!!」
「そんな目、し、してねーし……」
多少動揺しながら、冷静さを取り繕ったとしても、ダクネスの目は誤魔化せなかったか……。
****
──地下に根を宿した、石造りの闘技場。
ダクネスとバルターは、お互いに木刀を手にして、決闘をつけようとしていた。
勝負はどちらかが降参するまで。
ダクネスに『お願いします、これ以上は堪えられないから許して……てへぺろ♪』と言わせても、バルターの勝ちになる。
「ララティーナ様、僕は騎士でありますし、訓練で女性に剣を振るうことはできません」
「貴様、それでも男か! そこのカズマは女に対しても、グレートジャイアント十文字キックを食らわせられると威張り散らし、男女平等主義者(自称)を貫いているヤツだぞ。ちょっとは見習わんか!!」
「何だと、それは聞き捨てならんな‼」
俺はダクネスの暴言の嵐にぶちギレた。
「テメー、さっきから言いたい放題言いやがって。それにお父さんの顔にも白玉粉(泥では?)を塗りやがってどうすんだ。もう後には引けねーぞ!」
「構わん、あんな腑抜けと一緒にいるくらいなら、家を追い出された方が良いに決まってる!」
もはや、犬と猿の喧嘩だ。
隣にいたアクアも、俺たちの言い合いは止められない。
いや、あの白けた顔つきは、面倒くさいから関わりたくない雰囲気だ。
「……分かりました」
「本当は僕は父から強引に押しつけられた、この見合いを断るために来たのでしたが……あなたは他の令嬢にはない、強き想いがあるみたいですね」
バルターが木刀を握り直し、ダクネスに棒切れの先を向ける。
「僕はこの王国を勤める、一人娘のあなた(勝手に勘違い)の真髄が知りたくなった」
「……覚悟はいいですね、ララティーナ様!」
バルターの素早い剣技が、ダクネスの木刀を打ち払う。
勝負は瞬時に決まった……。