この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

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第5話 このスキルを手に入れて、モンスターに一撃必殺を‼

「それじゃあ、あたしのおすすめのスキル、窃盗(スティール)をやって見せようか?」

 

「能書きはいいから、さっさと来い」

 

 俺は中腰になり、クリスのスキルを待ち構える。

 まるで、サッカーのゴールキーパーになった感覚だ。

 今なら、どんな攻撃でも受け止められる気がしてならない。

 

「じゃあ、いくよ? スティール‼」

 

「のわっ!?」

 

 クリスが目にも止まらぬ速さで、俺の持ち物を奪い取る。

 

「おっ、これは美味しそうだね♪」

 

「あー、それは俺がおやつで楽しみにしていた、縦須賀(たてすか)海軍名物の高級カレーパン!!」

 

「このスキルは相手の物をランダムで奪い取るんだ。幸運のステータスで盗む品が変わるんだよ」

 

「ほら、キミの冒険者カードに記入されてるはずだよ。モグモグ」

 

 確かにカードには、窃盗(スティール)というスキルが増えている。

 あれ、隣にある花鳥風月(かちょうふうげつ)ってスキルは何だ?

 

 あの駄女神の仕業か。

 知らぬ間に宴会芸を覚えさせやがって。

 

「ねえ、窃盗(スティール)を覚えたなら、あたしに試してみてよ。どんな物でも、このカレーパンと交換してあげる……」

 

「そうだねえ、この美味しいカレーパンより、使えない物だったら、そこで負けでどうかな?」

 

 まあ、少々複雑だが、美少女の食いかけのパンも悪くはないな。

 

「おっしっ、何を盗られても、ピーピー泣くんじゃないぞ!」

 

 俺は指の関節を鳴らし、クリスの顔を睨みつける。

 

「いいよ。その代わり残念賞は、そこら辺に生えているタンポポの茎だよ」

 

「花びらじゃないのかよ‼」

 

 よくよく考えたら、こんな男勝りな女が、メルヘンな感情とか持ち合わせてないか。

 

「まあ、いいか。いくぜ!」

 

『スティール!』

 

 俺は突風の速さで、クリスの持ち物を奪い取る。

 その手には白い物が握られていた。

 

「何だ、これ?」

 

 ほんのりと肌に伝わってきた、大きな眼鏡(ゴーグル)の形をした温もり。

 それは世界中の男たちが求めていたもので、願望のアイテムの一つでもあった。

 

「おっしゃー、大当たり貰ったぜー‼」

 

 一等賞の女子(おなご)とセットのバワイ旅行(心の中で)を当てた俺は、その下着を手で振り回しながら、街中を駆け抜ける。

 

「だっ、駄目ー、あたしのブラジャー返してよー‼」

 

 真っ赤な顔をしたクリスは、胸元を必死に押さえながら、心底泣きながら俺を追いかけていた……。

 

****

 

「やっと帰ってきましたか」

 

「えらい遅かったわね。まあ、花鳥風月を色々と、お客に披露できたから、暇潰しにはなったけど」

 

 おい、てんでニートのようなアクアよ。

 宴会芸をする暇があったら、ちょっとは働けよ。

 

「まあ、キミたちのリーダーから下着を奪い取られて、その場で野郎どものお色気撮影会になりかけたけど」

 

「うむ。それに関しては、間違っていないな」

 

 ダクネスがウンウンと頷きながら、クリスのフォローをする。

 

『クズマね……』

 

「いやいや、半分は誤解だぞ‼」

 

 何だ、俺のもう半分は悪党扱いか?

 

「あははっ、さっきのお返しだよ。じゃあね、ダクネス」

 

 クリスはイタズラな笑みを向けて、ダクネスにも別れの挨拶をして帰っていった。

 

「それでカズマはスキルを覚えましたか?」

 

「ああ、めぐみん。刮目(かつもく)して見ろよ!」

 

『スティール!!』

 

 俺の手にぶら下がる、ピンクの布切れ。

 

「あれ? このスキルの効果はランダムのはずなのに?」

 

「……あの、胸がスカスカして、気持ちが悪いです。早く返して下さい」

 

「カズマ、めぐみん相手に何てことをするのよ。変質者に職業が変わったわね」

 

 アクアが、軽蔑のまなざしを俺に送る。

 お前も似たようなもんだろ?

 

「やっぱりこのパーティーは最高だ。こんな幼い女の子の下着を、人が見ているのにも関わらず、問答無用で奪うだなんて。わっ、私もパーティーに加えてくれ!」

 

「いや、もう変質者のメンバーはいらん」

 

「ああ、ゾクゾクする。何て素敵で侮辱的なお言葉♪」

 

 ダクネスが体をくねらせながら、一人で酔いしれている。

 

「でもカズマ、クルセイダーは前衛職でしょ。前線を守る存在として必要な人材よ?」

 

「そうですよ。断ったらかわいそうですよ」

 

 あの二人はどうして、このおかしなクルセイダーの暴動に気づかないんだ?

 こうなったら、腹をくくって話すか。

 

「いいか、ダクネス、めぐみん。俺とアクアは魔王を倒すために、冒険者になったんだ。これからの今後の旅は、さらに厳しい道のりになるだろう。特にダクネスなんて、色っぽい女騎士だから、魔王に捕らえられたら、とんでもない仕打ちを受けるに違いない!」

 

「その通りだとも。魔王から、やらしい目で見られるのは女騎士の職務でもある。だが、それでも行かなければならない。来るならドーンと来いだ‼」

 

「……ん? どうかしたか?」

 

 俺に負けじと、ダクネスの熱論にとりわけ、周囲が凍りつく。

 

 あの……。

 みんな、ダクネスの変態ぶりに言葉が出ないんだけど……。

 

「ねえ、カズマ。もっと楽をして、魔王を倒す旅をしない? 何か引いちゃうんですけど?」

 

「女神のお前が、一番やる気を出さないと、どーするんだよ‼」

 

 俺はアクアに(かつ)を入れながら、頭を悩ます。

 何で俺の周りには、こんな変なメンバーしか集まらないんだよ?

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