この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》   作:ぴこたんすたー

50 / 51
第49話 この縁談の話をどうにかして成功させる秘策を‼(3)

『カラン!!』

 

 バルターの打ち払ったダクネスの木刀が宙を舞い、床へと回転しながら転がる。

 

「これにて、勝負ありですね」

 

「ほう……」

 

 ダクネスが落ちた木刀を拾い、再び、武器を手に取った。

 

「その太刀筋からして、ただの金持ちの御曹司ではないということか……」

 

「……だが、これで勝った気になるなよ。私が女だろうと構わずかかってこい」

 

「はい、ララティーナ様。行かせてもらいます!」

 

 バルターが斜め下に木刀を下げたまま、ダクネスの体に下から上に斬りかかるのを、同じ木刀で防ぐダクネス。

 

 だが、その防衛も難なく弾かれ、ダクネスの肩にバルターの力強い一撃がヒットする。

 

「ぐうう……」

 

 その場に膝を下ろし、あまりの痛みに声を漏らすダクネス。

 

「いや、これしきのことくらいで!」

 

 木刀を握りしめ、バルターに再度立ち向かう、勇ましいダクネス。

 しかし、ダクネスの攻撃はかすりともせず、相手側に斬られてばかりだ。

 

 すげえな、バルターは剣術も巧みにこなせるのか。

 

「どうした? この私を追いつめるんじゃなかったのか?」

 

 あちこち傷だらけのダクネスが片ひざをつきながらも、バルターを挑発する。

 

「そんなボロボロの状態で何を言っているのですか。もう勝負は見えているのに、なぜあなたは降参しないのですか‼」

 

 ダクネスが木刀を持ったまま、よろめきながら、その場から立ち上がる。

 

「私は弱き者を守り、目の前の驚異にも屈することなく、ただ普通に立ち向かうクルセイダーだ……」

 

「……だから、どんなに攻撃されて、傷を負おうとも、絶対に私は挫けたりしない!! さあ、バルターよ、私を殺す気で斬りかかってこい‼」

 

 おい、ダクネス。

 いつもの妄想癖のスキル発動か?

 幸せそうな顔つきで、うっすらとよだれも見え隠れしてるぞ。

 

 だが、相手側には十分に効果はあったようだ。

 

「……参りました。この勝負は僕の負けです」

 

 バルターが木刀を捨て、両手を顔の前に上げる。 

 

「剣術の腕では僕の方が上でも、あなたの心の強さには勝てなかった。あなたはとても強いお方だ」

 

「何だ、もう終わりか、情けないな。精々、山にこもって、もみの木の木こりの修業でもしてこい」

 

「ふふっ、それもそうですね。僕の完敗です。ララティーナ様」

 

「……あなたのことが、本当に好きになってしまった」

 

 所が、最後のバルターの呟きだけは、誰も気づきもしなかった……。

 

「全く、このままでは示しがつかないな。ならば……」

 

 ダクネスが投げつけてきた木刀をキャッチする俺。

 

「カズマよ。お前の極悪非情な意地悪さをバルターに見せてやれ」

 

「はあ!? 何で俺がこんなチャンバラプレイなんて……」

 

 どこぞの女神と違い、悪い冗談に付き合うほど、俺は暇じゃないぞ。

 

「僕も見たいな。ララティーナ様が信頼を寄せる君が、どんな勝負をするのかを」

 

「何だって?」

 

「面白いからやりなさいよカズマ、世界一のお笑い勇者を目指すんでしょ」

 

「アクアまで……」

 

 まあいいか。

 どうせ見合いは失敗したしな。

 

 それにバルターはララティーナの悪い噂は流さないと思うし、俺が執事じゃないことも見抜いての発言だと思う。

 バルターは瞑想をするかのように、静かに目を伏せていたが……。

 

「さあ、カズマ。かかってこい! お前とは一度でいいから、こうして戦いたかったのだ!」

 

「分かったよ。俺様が直接相手をしてやるぜ!!」

 

『クリエイト・ウォーター!!』

 

『バシャーン!』

 

 俺の水魔法で剣を構えたまま、全身びしょ濡れになるダクネス。

 

「何だ、バルター? 何か言いたそうだな?」

 

「えっ、いや、木刀同士の試合で、普通は魔法は使わないでしょ……」

 

「そうなのか?」

 

 バルターが呆れ返って、無言で頭を縦に振る。

 

「ヒクわー、流石(さすが)、カズマさん、セクハラ魔神のことだけはあるわ」

 

 アクアがゾッと身を震わせ、俺に奇怪な視線を向ける。

 これじゃあ、俺はただの変質者じゃないか。

 

「ハハハッ! 見たかバルター! 剣での勝負と思わせて、このような全身ずぶ濡れという辱しめのプレイ!! このヤツの非道な行いを存分に見ておくがよい!!」

 

「くっ、大人しく黙っていれば、俺の批判ばかりつきやがって。こうなったら全力でいくからな!!」

 

『フリーズ!!』

 

「きゃあああ‼」

 

 俺の追加魔法で、ダクネスの濡れた体が凍りつく。

 

「まさに音の合わせ鏡だ。冷たい水を被らせた後に、さらに氷結魔法だって……」

 

「まあ、カズマは、カスマとかクズマとか言う優れた異名? も持ってますし」

 

 アクアとバルターの実況説明ウザいし、別にいらなくね?

 

「これくらいどうってことはない!」

 

 ダクネスが体についた氷を打ち砕いて、俺に迫り、近距離で木刀を振り回す。

 にわか剣法しかできない俺は、避けるのに精一杯だ。

 

 その刀と刀が合わさり、ギリギリと木材通しのぶつかる音を軋ませる。

 

「カズマ、今日はよくも裏切ったな。この場でみじん切りにして、ジャイアントトードの餌にしてくれるわ」

 

「……なあ、ダクネス。もう一度、あのバルターと結婚を考え直してみないか?」

 

「いや、今さら私は考えを変える気はない!」

 

「でもさ、イケメンで剣の腕も確かで、何でもそつなくこなす、いい相手だと思うんだけど……」

 

「何を言っておる。あの男は私の好みのタイプではない!」

 

「はあ?」

 

 一体、バルターのどこが気に食わないんだろう。

 俺にはダクネスの目が腐っているように見えて、仕方がなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。