この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
「なら、あのいやらしい領主の息子だから嫌なのか?」
「いや、そうじゃない!!」
ダクネスのデタラメ剣術をかわしながらも、彼女のためを思い、言い聞かせるように説得を続ける俺。
バルターは、あの領主とは似つかずに、人々からも人気があり、貧しい者たちには優しい施しをしているし、人望もある。
じゃあ、それらのどこが不平なんだ?
「いいや、そのような素晴らしい貴族が、私と結婚をするという魂胆が間違っている!」
ダクネスが木刀を放り投げ、同じく刀を捨てた俺の両手を握り、取っ組み合いになる。
「人柄が良く、頭も冴える。評判も良く、常に努力家で、悪い噂も耳にしない完璧な男だと!?」
「人の上に立つ貴族なら、常に人を見下した嘲笑いでもしていろ!」
「それに私のタイプは、あのようなできる男でない!」
ダクネスの下品な笑い声が、俺の耳に嫌でも入り込む。
「外見は地味で貧弱か、小太りの体形で、私が愛を育んでも他の女に平気で手を出し、浮気者でウサギのように年中発情する、スケベな心が必須の条件だ‼」
あのなあ、どんだけ変態な理想郷だよ……。
「多額の借金を抱えても、楽な人生を送りたいと、余生を馬鹿にしている、とんでもないヤツが好きなのだ!」
「そして働きもせず、毎日浴びるほど酒を飲み、私に絡みながら愚痴を飛ばし、私の体を舐めるように見ながら、こう言うのだ」
「おい、ダクネス。お前のそのエロい体を利用して、たんまりと酒代を稼いでこいと……」
『ドレインタッチ……』
「んんあああー!!」
俺はダクネスを、賞味期限切れで捨てられる食材のように見切った。
この女はすでに、まともな人間には更正不可能だと。
「この変態女がー、いい加減にしろよ‼」
「ああああー!?」
ダクネスが俺の吸い取りの魔法により、快楽に酔ったかのように、ビクビクと体を大きく仰け反らす。
「なあ、ダクネス。一つ勝負をしようじゃないか。俺のドレインタッチか、お前の腕力か、勝った方が、何でも好きなことをさせられる権利をな!」
「良かろう。だが私を甘く見すぎだな。お前に体力を奪われる前に、この貧相な腕の骨を折ってやる」
「そうか。じゃあ、俺が勝って、土下座して泣き叫んで、謝っても無駄だからな」
「それで何だ? 針千本でも飲ます気か?」
「違うな、そんな生優しいものじゃない。お前が真っ赤になって、恥ずかしがるようなことをタップリとだよ」
「何だ? 貴様、私に何をさせるつもりだ!?」
何を想像したかは不確定だが、ダクネスの顔に色ツヤが増す。
「そうだな、お前が想像するよりも、さらに破廉恥なことさ。次にお前が目を覚ました時、お前は俺の犬になって涙目で言うんだ。『もういい加減に許して下さい、ご主人様ー!!』ってね!」
「ごっ、ご主人様ー‼」
ドレインタッチにより、全体力を奪われたダクネスが床に崩れ落ちる。
「
「なっ……何て凄まじいセクハラな攻め(責め?)の攻撃。
「おい、その発言はあまりにも失礼だぞ」
バルターの悪気がない本音に対しても、俺の純真な心(嘘つけ)は揺れ動く。
「それに比べて、僕はまだまだだ。ララティーナ様の理想になれる、下品でいやしい男にならないと!」
「やめとけ、あんたは道を踏み外すな」
今、その正規のレールを外れたら、真っ当な人生は歩めないぞ。
「──どうじゃ、勝負はついたかの? この修練場で決闘しておると聞いて、お菓子の差し入れでも持って来たのじゃが?」
そこへ扉を開けて、食卓のテーブル台車を運んできたダクネスのお父さんと、一人の美女なメイド。
「……ララティーナ?」
お父さんがびしょ濡れで、服がボロボロになって倒れている娘を見て、言葉を詰まらす。
「はい。私が止める間もなく、あの二人がララティーナお嬢様を、あんな目に合わせました」
アクアよ、その凌辱的な響きは何だ?
俺ら二人は、そんなに極悪人か?
「そうか、二人とも打ち首獄門、ギロチンの刑で島流しじゃな」
『違います、それは誤解です‼』
首だけになって、広すぎる海をさ迷ったら、二度とこの人生をやり過ごせないぞ。
****
「いやいや、失礼したよ。娘は昔から、人見知りが激しくてなあ……」
ダクネスをベッドに寝かせて、メイドに介抱させ、再び、応援間で会話をする俺たち。
「ああやって強気に見えても『こんな私でも、素晴らしい冒険仲間ができますように⋯⋯』と、毎日、女神エリス様に祈りを捧げていたのじゃよ」
ダクネスの親父さんが、自身のちょび髭を摘まみながら、さっきからずっと、この
もういい歳なんだし、そろそろ子離れしろよ。
「それでの、盗賊の女の子が仲間に加わった時は、大層喜んでな……」
「妻を早々に亡くし、ワシが自由に育てたのが悪かったのか、あんな性格に成り果ててしまった……」
おい、親父、ちょい待て。
その話とは、あの狂った性癖のことか?
ならなんで、あんな変態になるまで放置していたんだ‼
「いえ、ララティーナ様は素敵な女性ですよ。カズマ君がいなければ、僕が妻にもらいたい気分ですよ」
「はっ、バルター、何を言ってんだ‼」
「そうか、やっぱりそうだったのか。これからも娘のことを頼んだよ。カズマ君」
「だから違うって!!」
「騒がしいな。これは何事だ。私が寝ている間に、私の体に変なことでもしたのか?」
ダクネスがセクシーなラインが浮き出た、黒いパジャマ姿で姿を現す。
違うわい。
仮面○イダーの改造人間じゃあるまいし。
「おお、目が覚めたのじゃな。ララティーナ」
「それよりもお父様。今回のバルター様との見合いは、白紙に戻してもらえますか」
「実は私のお腹の中には、すでにカズマの子供が……」
頬を赤く染めたダクネスが腹を擦り、満更でもない幸福な笑みで父親に宣言する。
「なっ、お前、童貞の俺に何をほざいているんだ。このアマ!! お前も処女の癖に、とんでもないこと言うな。聖母マリアかー‼」
「そうでしたか。やっぱり二人はそういう関係でしたか。ならば諦めるしかないですね」
「おい、バルター。何だ、その優しい笑みは‼」
バルターが片手を上げて、ダクネスの婚約候補から外れる。
「ええー、カズマとダクネスが知らない間に、そんなことまで進んでいたなんて。街の人々に知らせて、教会で式の準備をしなきゃ!」
「駄女神、勝手なことをするな!!」
アクアが拳を握りしめ、早くもそろばん片手に、ご祝儀の計算を始める。
「おおっ、このワシにも、ついに初孫ができるのか……」
「あんたも泣いてないで、目を覚まさんか!!」
ハンカチを目元に当てて、うれし涙を溢す親父。
「お前ら、妄想もいい加減にしろよー‼」
ダスティネス家の屋敷内に、俺の怒声が響き渡ったのは言うまでもない。
****
──父には僕から、婚約をお断りしたと言っておきますね。
その方が、父も納得することでしょう……。
バルターはそう言い残し、最後まで心優しい気持ちを残したまま、ダスティネス家を後にしたのだった。
「それにしてもバルターは、本当に素敵なヤツだったな。冗談抜きでダクネスをもらってほしかったよ」
「まだそれを言うか、パパ」
「だから俺の子じゃねーし、できてもねーし、お前も未経験だろ!」
「それよりも私が負けたら、とんでもない破廉恥なことをすると言っていたが?」
「ああ、その件はまた今度な……」
共に帰宅し、俺たちの屋敷のドアノブに手をかけながら、思うことが一つだけあった。
俺はこれからも、このイカれたクルセイダーの面倒を見るのかと……。
この50話にて、このすば二次創作の連載を打ち切ることにします。
理由はどうあれ、このサイトでは実験的に投稿していまして、当初から10万字くらいで進めて様子を伺い、更新を止めようと思っていたからです。
続きはカクヨムで読んでくださると幸いです。
ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。
それでは次回作でお会いしましょう。