この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》 作:ぴこたんすたー
第9話 この爆裂魔法をぶつける場所に安らぎを‼
「カズマ、モンスターを根絶やしにいきましょう」
太陽の気持ちいい昼下がりに、めぐみんが、やたらとイキイキとした顔を見せている。
「嫌だぜ。何で金にもならないのに、モンスターを討伐しないといけないんだ。そんなもん怪物保護団体に任せておけばいいんだよ。ああ、違うな。保護団体は生き物を守る側だったな」
めぐみんと違い、気合ゲージが溜まっていない俺は、ただ無気力に飯を食い、クエストがない休日は堕落して、楽した生活をおくりたい気分だった。
幸い、金なら、この前のキャベツ討伐で百万エリスはある。
人はそんな俺を、どん底から這い上がった『リッチマンカズマ(自画自賛)』と呼ぶ。
それに、この前のキャベツ以降に、この街周辺にモンスターが現れる気配は一向にない。
だから、
「何を抜かしているのです。カズマはそうでも、私は爆裂魔法を上手く使いこなすために、一日一発は放たないと腕が鈍るのです。新しく手に入れたマナタイト製の杖で放つ、魔法の威力も気になりますし」
「そりゃ、
俺は下らない親父ギャグを呟きながら、めぐみんの『初めてのお使い出張バージョン』に同行することになった──。
****
「──なあ、この辺にしようぜ。ここなら雑草も伸びまくっているし、草刈りの手間が省けていいだろ?」
「いえ、街の近くですし、違う場所にしましょう。魔法威力上昇、高速詠唱など、爆裂魔法にポイントを注ぎまくったスキルですから」
「……お前、他の攻撃魔法は覚えないのか?」
「ミジンコ以下並みにありません」
「そんなミジンコが哀れだな」
俺たちが雑談をしながら、林を抜けると、怪しい風格をした西洋の城が、目に飛び込んできた。
「どうやら廃墟のようですね」
「こんな所に、薄気味悪い城があったのか」
壁はボロボロで塗装ははげて、周りにはカラスが飛び回っている。
お化け屋敷のアトラクションとしても楽しめそうな……いや、本物が化けて出るかもな。
「カズマ、あの城に爆裂魔法を撃つことにしましょう。大きくて狙いやすいですし、廃墟ですから、粉々に破壊しても、何も影響はないでしょう」
「えっ、リアタイでやるの?」
「さあ、我が渾身の一撃を食らえ!」
めぐみんが片目の眼帯をはがし、呪文を詠唱する。
マナタイトの杖に付いた宝玉が、真っ赤に光輝いていく。
『エクスプロージョンー!』
『ドカーンー‼』
瞬く間に、炎に包まれる洋館。
何か、水羊羹が食いたくなってきたな。
「どうでしょうか、カズマ……」
魔力を使い果たし、地面にぶっ倒れて、ピクリともしないめぐみん。
「うーん、メラメラと燃える演出と破壊力だけなら、ほぼ満点だな」
「明日も……お願いしてもいいですか……?」
「おう。俺の送迎タクシー(帰りのおんぶ)は高くつくぜ」
それから俺は、めぐみんと毎日廃墟の城へと向かい、爆裂魔法を放ち続けた。
俺もめぐみんと同じく、段々と日々の爆裂魔法のコンディションが分かるという、スポーツ選手のコーチのような気持ちになっていった……。
****
「うむ。昨日の爆裂魔法は最高だったぞ。実にリアルな焼き加減で、お店で出せるロースト(ゴースト?)ビーフのようだった」
「カズマも爆裂魔法の良さが分かってきましたね。今度、カズマも習得してみたらどうですか?」
「そうだな。楽しそうだし、考えとくな」
俺たちの周りを泣きべそのアクアが、メイド服で注文の品を持って、せっせと働いている。
この前のキャベツ収穫の金が底をつきて、ツケの金が払えなくなり、このギルドでバイトを始めたらしい。
あのキャベツに混じって、報酬の安いレタスもいたらしいからな。
ちなみにダクネスは、実家で修行中の身だ。
何やら、波動剣の極意を掴むための特訓らしい。
まともな攻撃は、一つも当たらないけどな。
「でも何で、私の最強の魔法を毎日ぶつけているのに、あの城は何ともないのでしょう。不思議でなりません。逆に私のメンタルの方がどうかなりそうですよ」
メンタル不調気味のめぐみんが、膨れた顔をして、不満げにため息を漏らす。
『──緊急、緊急です!』
そののほほんとした状況下で流れてきた、お姉さんのアナウンス。
『冒険者全員は装備を整えて、正門前に集まって下さい!』
「ん、何か事件でもあったのか?」
俺たちの近くを慌ただしく通っていく、大勢の冒険者。
みんな、やたらと焦り、難しい顔をしている。
「おいおい、魔王の幹部が、この街に来たんだとよ」
「そうなのか。こんな街で、まともに相手できるヤツなんていないだろ」
冒険者たちの話を聞く限りじゃ、何か、色々とヤベえヤツが、この街にやって来たらしい。
俺たちもそのまま、正門前へと足を運んだ。