トリコの世界をダイスで生き抜く   作:からさ

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第2話 救われた味を追って

数年後。

 

IGO管理区域から少し離れた、地方のグルメ市場。

 

朝の市場は騒がしい。肉を吊るす音、魚を並べる音、香辛料を量る音、値切る声、怒鳴る声、笑う声。食材の匂いと人の熱気が混ざり、通りそのものが一つの巨大な鍋のように煮えている。

 

その片隅を、一人の人物が歩いていた。灰色の外套、腰に下げた古い保存カプセル、顔を隠すように被ったフード。市場の者たちは、その人物を本名では呼ばない。そもそも本名を知る者がいない。

 

呼び名は一つ。

 

コード:毒香。

 

「おい、毒香。今日は何を探してる」

 

肉屋の店主が声をかける。毒香は足を止めた。

 

「美味いもの」

 

「相変わらず雑だな」

 

「あと、高く売れるもの」

 

「そっちは正直だ」

 

店主が笑う。毒香は笑わない。不機嫌というわけではない。そういう顔なのだ。

 

物静かで、温厚で、声は小さい。けれど市場の者たちは知っている。この人物は、毒食材の匂いを嗅ぎ分ける。危険な香辛料を見つける。普通なら捨てるしかない肉を、保存だけは上手くやる。

 

料理はさせるな。絶対にさせるな。それもまた、市場の者たちの共通認識だった。

 

毒香は屋台に並んだ肉を眺めた。焼き色、脂、香辛料。どれも悪くない。だが、違う。あの時の干し肉とは違う。命を繋いだ、あの味とは違う。

 

「……ない」

 

「何が」

 

「探してる味」

 

「またそれか。何年探してるんだよ」

 

「忘れてないから」

 

毒香は短く答える。

 

救ってくれた美食屋の名前は知らない。顔も曖昧だ。だが、味だけは覚えている。あの干し肉が何の肉だったのか。どんな香辛料を使っていたのか。どこで手に入る食材なのか。それを知るために、毒香は今も歩いている。

 

表向きの理由は、美味いものを食うため。もう一つの理由は、高く売れる食材を見つけるため。だが、その奥にはずっと、一つの味が残っていた。

 

【現在装備】

≪System≫

現在の装備と所持品を確認します。

 

結果:保存カプセル/干し肉系

 

【装備】

保存カプセル

 

【所持食材】

干し肉系

 

毒香の荷物は少ない。保存カプセル、小さなナイフ、毒抜き用の薬包、それから布に包んだ干し肉。

 

干し肉は自作ではない。毒香が作った肉は、食べ物ではなく危険物になる。焼けば焦げる。煮れば溶ける。毒抜きをすれば、なぜか毒が濃くなる。

 

だからこの干し肉は、知り合いの店から買ったものだ。味は普通。安全。腹は膨れる。けれど、毒香の求める味ではない。

 

「毒香」

 

市場の奥から声がした。子供の声だった。

 

毒香が振り返ると、小さな少年が木箱の影から手を振っている。腹を空かせた顔をしていた。服は汚れ、膝には擦り傷がある。

 

毒香はしばらく無言で見た。それから、布包みを開く。干し肉を一枚取り出し、少年へ差し出した。

 

「食べる?」

 

「いいの?」

 

「いい。今は売り物じゃない」

 

少年は両手で干し肉を受け取り、嬉しそうに噛みついた。毒香はその様子を黙って見ている。

 

採算は合わない。食材は資源だ。金になる。無駄に配るものではない。そう思っている。思っているのに、子供が腹を空かせていると、どうにも上手く動けない。

 

弱点。そう言われれば否定はできない。

 

【弱点】

≪System≫

弱点を確認します。

 

出目:70

結果:子供に甘い*1

 

「また配ってるの?」

 

背後から、明るい声がした。

 

毒香は振り返らない。声だけで分かった。最近この市場に現れるようになった、美食屋の少女だ。

 

いや、少女と呼ぶべきかどうかも怪しい。年齢は若い。しかし食材との巡り合わせだけは異常だった。

 

彼女が歩けば、珍しい果実が落ちてくる。彼女が迷えば、隠し市場に辿り着く。彼女が腹を鳴らせば、近くで高級食材が暴れる。

 

毒香とは違う。毒香は匂いを追う。危険を避ける。必死で走る。ようやく食材に辿り着く。

 

だが、その少女は違う。食材の方から寄ってくる。まるで世界が、彼女に食べられたがっているようだった。

 

【人間関係】

≪System≫

毒香の人間関係を確認します。

 

出目:40

結果:ライバル美食屋がいる*2

 

【ライバル種別】

≪System≫

ライバルのタイプを確認します。

 

出目:7

結果:食運の怪物*3

 

「……うるさい」

 

毒香は小さく言った。

 

「まだ何も言ってないよ?」

 

「言いそうだった」

 

「ひどいなぁ。私はただ、また優しいことしてるなって思っただけなのに」

 

少女は笑う。彼女の手には、見たことのない果実があった。表面は金色。中身はたぶん赤い。匂いは甘く、ほんの少しだけ危険な酸味を含んでいる。

 

市場のどこにも売っていなかったはずの果実だ。

 

「それ、どこで」

 

「ん? さっき転んだら木箱の下から出てきた」

 

「……ありえない」

 

「でも出てきたよ」

 

毒香は黙った。

 

腹立たしい。本当に腹立たしい。自分なら半日かけて匂いを辿り、危険を避け、ようやく見つけるような食材を、この少女は転んだだけで拾う。

 

食運の怪物。そう呼ぶしかない存在だった。

 

「一口いる?」

 

少女が果実を差し出す。

 

毒香は無言で見つめる。欲しい。かなり欲しい。だが、簡単にもらうのは癪だった。

 

「いらない」

 

「目がいるって言ってる」

 

「いらない」

 

「じゃあ半分ね」

 

「聞いてない」

 

「はい」

 

押し付けられた果実を、毒香は結局受け取った。少女は満足そうに笑う。

 

毒香は小さく息を吐き、果実の匂いを嗅いだ。毒ではない。ただし、芯に近い部分に刺激成分がある。香辛料としても使えるかもしれない。食べられる。高く売れる。そして、たぶん美味い。

 

負けた気がした。

 

その時、風が変わった。

 

市場の喧騒の奥。干し肉、煙、古い香辛料。そして、あの日と同じ匂い。

 

毒香の身体が止まる。少女が首を傾げた。

 

「どうしたの?」

 

毒香は答えない。鼻の奥が熱い。胃が鳴る。体内の眠った細胞が、ほんのわずかに震えた。

 

あの味だ。

 

完全に同じではない。だが近い。あの時、命を救った干し肉の匂いに似ている。

 

毒香は走り出した。速い。市場の人波をすり抜け、荷車を避け、積まれた木箱を踏み台にする。背後から少女の声が追いかけてきた。

 

「ちょっと、毒香!? どこ行くの!」

 

「匂い」

 

「またそれ!?」

 

「美味そう」

 

「なら私も行く!」

 

【判定】

≪System≫

未知の匂いを追跡します。

 

難度:40

判定項目:感覚

基礎値:88

補正:救われた味の記憶+10

補正:市場の雑多な匂い−10

最終値:88

 

判定方式:

1D88を振り、出目が難度40以上なら成功。

難度の2倍、80以上なら大成功。

難度の5分の1、8以下なら大失敗。

 

出目:38

結果:失敗

 

毒香は市場の裏路地へ入った。表の喧騒が遠ざかり、湿った土と古い木箱と、冷えた肉の匂いが強くなる。

 

近い。

 

そう思った。

 

確かに、あの日の干し肉に似た匂いがこの先にある。煙、肉、古い香辛料、わずかな解毒成分。記憶の奥に焼きついている味と、よく似ている。

 

だが、似ているだけだった。

 

市場の匂いは濃すぎる。焼き魚の脂、果物の甘み、発酵樽の酸、薬草の苦み、猛獣肉の血臭。いくつもの匂いが折り重なり、毒香の鼻を邪魔した。

 

「こっち?」

 

背後から追いついた少女が首を傾げる。

 

毒香は答えない。

 

路地は三つに分かれていた。右からは焼けた肉の匂い。左からは香辛料の匂い。正面からは、古い煙の匂い。

 

どれも近い。

 

どれも違う。

 

毒香は眉をわずかに寄せた。

 

「……混ざってる」

 

「匂いが?」

 

「うん。似てる匂いが多い」

 

「じゃあ全部見ればいいんじゃない?」

 

「効率が悪い」

 

「でも楽しそう」

 

食運の怪物は気楽に言った。

 

毒香は返事をしない。右の路地に一歩進みかけて、止まる。そこから漂う肉の匂いは強い。強いが、熱が新しすぎる。あの日の干し肉にあった、長く煙に燻された深さがない。

 

左を見る。香辛料は近い。だが、甘すぎる。救われた味にあった苦みと痺れがない。

 

正面。煙は似ている。だが肉の気配が薄い。

 

判断がつかない。

 

毒香の感覚は優秀だ。だが、万能ではない。市場の匂いの洪水の中で、記憶の味だけを正確に拾い上げるには、少しだけ足りなかった。

 

その時、少女が「あ」と声を上げた。

 

「ねえ、あれ見て」

 

「何」

 

「猫」

 

毒香は見る。

 

路地の奥、木箱の上に一匹の小さな獣がいた。猫ではない。猫に似ているが、尾が二本あり、耳の先が焦げたように黒い。口には、薄く切られた肉片を咥えている。

 

肉の匂い。

 

煙の匂い。

 

香辛料の匂い。

 

毒香の目が細くなる。

 

「それ」

 

「追う?」

 

「追う」

 

言った直後、二尾の獣は木箱を蹴って逃げ出した。

 

毒香も走り出す。完全に匂いを辿れたわけではない。だが、手がかりは見つけた。

 

失敗ではある。

 

けれど、道はまだ途切れていなかった。

 

【判定】

≪System≫

肉片を咥えた二尾の獣を追跡します。

 

難度:35

判定項目:速度

基礎値:90

補正:市場の裏路地+5

補正:人混み−5

補正:肉片の匂い+10

最終値:100

 

判定方式:

1D90を振り、出目が難度35以上なら成功。

難度の2倍、70以上なら大成功。

難度の5分の1、7以下なら大失敗。

 

出目:33

結果:失敗

 

二尾の獣は速かった。

 

小さい。軽い。何より、市場の裏路地を知り尽くしている。木箱の上を跳ね、吊るされた干物の隙間を抜け、壊れかけた雨樋を足場にして屋根の低い小屋へ飛び移る。

 

毒香も遅くはない。

 

むしろ速い。

 

人混みの中を走るだけなら、追いつけない相手ではなかった。だが、ここは直線の道ではない。荷車がある。積み上げられた木箱がある。水を撒いた後のぬかるみがある。市場の者たちが急に顔を出し、路地を塞ぐ。

 

そして何より、毒香はまだ匂いに気を取られていた。

 

肉片から漂う香りが、近い。

 

あの日の干し肉に、近い。

 

だから一瞬、足ではなく鼻が先に動いた。

 

「そっちじゃない!」

 

背後の少女が叫んだ。

 

毒香は反応する。だが、半歩遅い。

 

二尾の獣は目の前の木箱を蹴り、左の壁を駆け上がった。毒香も追おうとしたが、足元の籠に爪先が引っかかる。

 

転びはしなかった。

 

けれど、速度は死んだ。

 

二尾の獣は屋根の上で一度だけ振り返る。口に咥えた肉片を見せびらかすように揺らし、それから隣の建物へ飛び移った。

 

「……逃げた」

 

「うん、逃げたね」

 

少女が追いつき、息一つ乱さず隣に並ぶ。

 

毒香は何も言わず、屋根の方を見上げた。完全に見失ったわけではない。煙と肉と香辛料の匂いはまだ残っている。だが、生き物の足跡を追うには少し薄い。

 

その時、足元に何かが落ちた。

 

薄い肉片だった。

 

二尾の獣が逃げる途中で噛み損ねたのか、ほんの指先ほどの大きさの欠片が、木箱の角に引っかかっている。

 

毒香はそれを拾い上げた。

 

「落とした?」

 

少女が覗き込む。

 

「違う」

 

「違うの?」

 

「噛み切った跡がない。切れ端」

 

毒香は肉片を鼻先へ近づける。焼けた肉、煙、強い香辛料、ほんの少しの毒。そして、肉そのものに染み込んだ解毒成分。

 

あの時の味に、やはり近い。

 

「追わないの?」

 

「獣はもう無理」

 

「じゃあ終わり?」

 

毒香は首を横に振る。

 

「肉は逃げない」

 

二尾の獣は逃した。だが、肉片は残った。これがどこで焼かれたものか、どんな香辛料を使ったものか、どの店から盗まれたものか。それなら、まだ辿れる。

 

毒香は肉片を保存カプセルの小瓶に入れた。

 

「これを追う」

 

少女はぱちぱちと目を瞬かせ、それから楽しそうに笑った。

 

「うん。やっぱり毒香って面白いね」

 

「面白くない」

 

「面白いよ。普通、逃げた獣じゃなくて肉を追う?」

 

「食材だから」

 

毒香は短く答え、路地の奥へ視線を向ける。

 

風が動いた。

 

肉片と同じ香りが、ほんのかすかに漂ってくる。屋台ではない。もっと奥だ。市場の表には出ていない、裏の調理場か、隠し倉庫か。

 

今度は走らない。

 

匂いをこぼさないように、ゆっくり進む。

 

【手がかり】

≪System≫

追跡判定には失敗しましたが、肉片の一部を入手しました。

 

結果:謎の燻製肉片を入手

 

効果:

救われた味に似た香りを持つ。

毒抜き処理と香辛料処理が施されている。

次の「出所特定判定」に補正+10。

 

【判定】

≪System≫

謎の燻製肉片の出所を特定します。

 

難度:40

判定項目:感覚

基礎値:88

補正:肉片の現物+10

補正:市場の裏路地−5

最終値:93

 

判定方式:

1D93を振り、出目が難度40以上なら成功。

難度の2倍、80以上なら大成功。

難度の5分の1、8以下なら大失敗。

 

出目:93

結果:大成功

 

毒香は足を止めた。

 

肉片を鼻先に近づける。焼けた脂、煙、香辛料、わずかな毒、そして毒を丸め込むための解毒成分。匂いは薄い。だが、薄いだけで消えてはいない。

 

拾った肉片そのものの匂い。

 

二尾の獣の口に残った唾液の匂い。

 

木箱に擦れた木屑の匂い。

 

そして、その木箱が置かれていた場所に染みついた、古い煙の匂い。

 

それらが、毒香の中で一本の線になった。

 

「……こっちじゃない」

 

「え?」

 

食運の怪物が首を傾げる。

 

毒香は、先ほどまで向かおうとしていた路地から視線を外した。肉片と同じ匂いは確かに奥から漂っていた。だが、それは表面の匂いだ。焼き直された肉、売り物として並べられた肉、今ここにある匂い。

 

違う。

 

本当に辿るべきなのは、そこではない。

 

毒香は木箱の角を指で撫でた。そこには、肉片が落ちる前から染み込んでいた煙の匂いがある。古い。少なくとも昨日今日のものではない。何度も同じ肉が運ばれ、同じ香辛料が擦れ、同じ煙が染みついた匂いだ。

 

「店じゃない」

 

「じゃあどこ?」

 

「運ばれてきた場所」

 

毒香は肉片を保存カプセルの小瓶に戻し、裏路地のさらに奥を見た。

 

市場には表と裏がある。表では肉が売られる。裏では肉が運ばれる。もっと奥では、値札のつかない肉が捌かれ、焼かれ、隠される。

 

風は奥から来ていた。

 

湿った石畳。

 

古い煙。

 

毒のある肉を焼いた後の、鈍い痺れ。

 

それから、あの日の干し肉に混ざっていたものと同じ香辛料。

 

毒香の足が自然に動いた。

 

「分かったの?」

 

「分かった」

 

「すごいね。肉片だけで?」

 

「肉は喋る」

 

「えっ、怖いこと言うね」

 

「喋らない肉はない」

 

食運の怪物は、少しだけ困ったように笑った。

 

毒香は裏路地を曲がる。右ではない。左でもない。表の屋台でも、盗み食いした獣の逃げ道でもない。もっと低い場所。水路に近い、湿った空気が溜まる場所。

 

そこに、古い倉庫があった。

 

外壁は黒ずみ、扉には鍵がかかっている。看板はない。窓もない。だが、換気口から煙が漏れていた。

 

煙の色は薄い。

 

匂いは濃い。

 

毒香は扉の前で止まった。

 

「ここ」

 

「ここって、ただの倉庫じゃないの?」

 

「違う」

 

「何が?」

 

「肉を焼いてる」

 

「倉庫で?」

 

「売れない肉」

 

毒香は小さく言った。

 

「毒を抜いて、香辛料で誤魔化して、裏に流してる」

 

食運の怪物の表情が少し変わった。

 

軽い笑みが消える。

 

「それって危ないやつ?」

 

「食べ方を間違えたら死ぬ」

 

「うわ」

 

毒香は換気口に顔を近づけた。

 

そして、そこで止まる。

 

あった。

 

あの日の匂い。

 

完全に同じではない。だが、今までで一番近い。救命美食屋が口に押し込んだ干し肉。その奥にあった、苦くて温かい味。その香辛料が、ここにある。

 

さらに、もう一つ。

 

扉の取っ手に、古い傷があった。

 

刃物の跡ではない。爪でもない。何か重いものを叩きつけたような、歪んだ傷。

 

毒香はその傷を見つめた。

 

数年前、隔壁を外から歪ませた美食屋の腕。

 

金属を殴り曲げた、あの音。

 

それと似ている。

 

毒香の喉が小さく鳴った。

 

「知ってる」

 

「何を?」

 

「この壊し方」

 

毒香は扉に触れる。

 

冷たい金属の奥に、古い記憶が残っている気がした。

 

あの美食屋がここに来た。

 

そう断言はできない。

 

だが、匂いと傷が繋がっていた。

 

肉。煙。香辛料。解毒成分。そして、力任せにこじ開けられたような扉の傷。

 

偶然にしては、重なりすぎている。

 

【大成功効果】

≪System≫

謎の燻製肉片の出所特定に大成功しました。

 

発見:

裏市場の隠し燻製倉庫

 

追加発見:

救命美食屋と似た破壊痕

 

入手情報:

この倉庫では毒抜き不完全な危険肉が香辛料処理され、裏市場に流されている可能性があります。

使用されている香辛料は、毒香が過去に食べた救命干し肉に近いものです。

 

【行動選択】

≪System≫

次の行動を選択します。

 

出目:4

結果:しばらく見張る*4

 

毒香は扉から手を離した。

 

「入らないの?」

 

食運の怪物が小声で聞く。

 

「入らない」

 

「どうして?」

 

「中が分からない。匂いは濃い。人の気配もある。正面から行くには危ない」

 

「じゃあどうするの?」

 

「見る」

 

毒香はそう言って、倉庫の正面から少し離れた。隠れる場所を探す。路地の向かいには積まれた木箱があり、その奥には使われていない荷車がある。視界は狭いが、倉庫の扉と換気口は見える。匂いも拾える。見張るには悪くない。

 

食運の怪物は不思議そうに瞬きをした。

 

「見るだけ?」

 

「見るだけ」

 

「退屈じゃない?」

 

「退屈な方がいい」

 

毒香は木箱の影にしゃがみ込んだ。食運の怪物も真似して隣に座る。動きが軽い。足音がほとんどない。才能なのか、単に運がいいだけなのか、毒香には判断がつかなかった。

 

倉庫の中では、肉が焼けている。煙は細く、換気口から漏れている。強い香辛料の匂いがそれを覆い隠しているが、毒香の鼻には分かった。毒を抜き切れていない肉だ。完全な失敗品ではない。食べられないほどではない。だが、普通の客に出せば倒れる者が出る。

 

毒香は眉をわずかに寄せた。

 

「危ない肉?」

 

食運の怪物が聞いた。

 

「危ない」

 

「売ってるの?」

 

「たぶん」

 

「悪い人たち?」

 

「まだ分からない」

 

毒香は即断しなかった。毒を持つ食材が悪いわけではない。危険な肉を扱うこと自体も悪ではない。正しく処理すれば、毒は旨味になる。痺れは香りになる。苦みは深みになる。問題は、それを分かって出しているかどうかだ。

 

知らずに売っているなら、ただの無能。

 

知っていて売っているなら、危険。

 

そして救命美食屋の匂いに近い香辛料を使っているなら、見逃す理由はない。

 

【判定】

≪System≫

隠し燻製倉庫を見張ります。

 

難度:35

判定項目:感覚

基礎値:88

補正:大成功で発見した倉庫+10

補正:隠れて観察+5

補正:市場裏路地の雑音−5

最終値:98

 

判定方式:

1D98を振り、出目が難度35以上なら成功。

難度の2倍、70以上なら大成功。

難度の5分の1、7以下なら大失敗。

 

出目:85

結果:大成功

 

見張りは退屈な作業だ。

 

だが、退屈な方がいい。退屈であるということは、こちらがまだ見つかっていないということだからだ。

 

毒香は木箱の影にしゃがみ、呼吸を浅くした。隣では食運の怪物が同じように身を屈めている。落ち着きがないかと思えば、こういう時は妙に静かだった。本人に自覚があるのかは分からないが、人が通る直前だけ自然に息を潜め、視線が向きそうな瞬間には木箱の影へ身体を引っ込める。

 

運がいい、というのはこういうことも含むのかもしれない。

 

倉庫の扉は、しばらく動かなかった。

 

ただ、煙だけが細く流れる。焼けた肉、香辛料、毒、解毒成分、裏市場の湿った空気。その全部が混ざって、毒香の鼻を刺激していた。

 

食べたい。

 

そう思う。

 

だが、今は食べる場面ではない。毒香は保存カプセルを指で押さえ、意識を匂いではなく流れに向けた。煙が強くなる時、弱くなる時。中の足音。鉄板に肉を置く音。水を撒く音。小さな咳。人数は多くない。

 

三人。

 

いや、奥にもう一人いる。

 

「四人」

 

毒香が小さく言う。

 

「何が?」

 

食運の怪物が囁き返す。

 

「中の人数」

 

「見えないのに?」

 

「匂いが違う。汗。煙。薬草。酒」

 

「すご」

 

毒香は返事をしない。

 

しばらくして、倉庫の裏手から男が一人出てきた。白い前掛けに油染み。腕には古い火傷。荷車に空の木箱を積み込み、周囲を軽く見回す。

 

その視線は木箱の影までは届かない。

 

男は短く口笛を吹いた。

 

すると、表通りの方から別の男が現れた。こちらは商人風の服装をしている。腰には小さな帳面。指先には香辛料の匂い。表の店に立つ人間だ。

 

二人は倉庫の扉の前で立ち止まる。

 

「今日の分は」

 

「半分は北へ。残りは夜に流す」

 

「毒は?」

 

「抜けてる」

 

「本当にか?」

 

「客が死ななきゃ抜けてるって言うんだよ」

 

商人風の男が笑った。

 

食運の怪物の表情が険しくなる。毒香は動かない。

 

やはり、知っていて流している。

 

毒を抜き切れていない肉を、香辛料で誤魔化して売っている。食べ方を間違えれば倒れる。量を誤れば死ぬ。そういう肉だ。

 

毒香はそれ自体に怒りを覚えたわけではない。危険な食材は危険なまま扱えばいい。食べる側に危険を伝え、正しい処理をして、覚悟のある者だけに出すなら、それは食文化だ。

 

だが、誤魔化して売るのは違う。

 

それは食材にも、食べる者にも失礼だ。

 

「……嫌な匂い」

 

毒香は呟く。

 

「毒の匂い?」

 

「違う。嘘の匂い」

 

商人風の男が帳面を開いた。

 

「それで、例の香辛料はまだあるのか」

 

「残り少ない。あの古い美食屋が置いてった分だけだ」

 

毒香の指が止まる。

 

古い美食屋。

 

「名前は?」

 

「知らねえよ。片腕みたいな腕した大男だ。扉を壊して入ってきて、勝手に肉を焼いて、勝手に香辛料を置いていった。変な奴だった」

 

「そいつの香辛料、よく効くんだろ」

 

「効く。毒が丸くなる。苦味が旨味に変わる。だが真似できねえ。配合が分からん」

 

毒香の喉が小さく鳴った。

 

片腕みたいな腕。

 

扉を壊して入る。

 

勝手に肉を焼く。

 

勝手に香辛料を置いていく。

 

あの美食屋だ。

 

確定ではない。だが、ほとんど答えのようなものだった。

 

食運の怪物が毒香を見る。

 

「もしかして」

 

毒香は頷かない。頷けば、何かが決まってしまう気がした。

 

ただ、目は倉庫の扉に固定されていた。

 

中にある。

 

あの香辛料が。

 

あの味に繋がるものが。

 

そして、危険な肉を嘘で包んで流す者たちも。

 

商人風の男が帳面を閉じる。

 

「夜までに十箱用意しろ。北の狩場へ向かう連中が買う」

 

「北の狩場?」

 

食運の怪物が小声で聞く。

 

毒香は少しだけ目を細める。

 

さっき屋台の老人が言っていた場所だ。毒を持つ獣が多い古い狩場。昔、変わり者の美食屋がよく出入りしていた場所。

 

そこへ、この危険肉が流される。

 

偶然ではない。

 

匂いが一本に繋がった。

 

【大成功効果】

≪System≫

見張り判定に大成功しました。

 

判明情報:

倉庫内の人数は4人。

倉庫では毒抜き不完全な危険肉を香辛料で誤魔化して裏流通させています。

流通先の一つは「北の古い狩場」です。

倉庫関係者は、過去に「片腕のような腕をした大男の美食屋」と接触しています。

その美食屋は、毒を旨味に変える特殊な香辛料を置いていったようです。

 

追加手がかり:

救命美食屋の香辛料が倉庫内に残っている可能性があります。

 

現在状況:

毒香たちは未発見。

敵人数:4人

敵対確定度:高

倉庫内に目的物あり。

 

【行動選択】

≪System≫

次の行動を選択します。

 

出目:3

結果:商人風の男を尾行する*5

 

毒香は、倉庫ではなく商人風の男を見た。

 

倉庫の中には香辛料がある。救命美食屋に繋がる手がかりもある。だが、今すぐ忍び込めば危険が大きい。中には四人。毒抜き不完全な肉を扱う者たちなら、ただの商人ではない可能性もある。

 

それより、表に出てきた男を追う方がいい。

 

帳面を持っている。香辛料の匂いが指先についている。表の店にも、裏の倉庫にも出入りしている。つまり、流通の繋ぎ役だ。

 

「追う」

 

毒香が小さく言った。

 

「どっちを?」

 

食運の怪物が聞く。

 

「帳面の男」

 

「あの商人っぽい人?」

 

「うん。たぶん、肉の行き先を知ってる」

 

「倉庫は?」

 

「今は入らない。中に四人いる。こっちが見つかってないうちに、外の線を取る」

 

「線?」

 

「繋がり」

 

毒香は立ち上がらず、木箱の影のまま身体の向きを変えた。商人風の男は帳面を懐にしまい、倉庫から離れていく。歩き方は普通だ。だが、時折後ろを見る。警戒している。

 

裏の肉を扱う者としては当然の動きだった。

 

毒香は深く息を吸う。

 

男そのものの匂いを覚える。香辛料、汗、安物の酒、革の帳面、指先に染み込んだ油。そして、倉庫の煙。

 

見た目だけを追う必要はない。

 

匂いを追えばいい。

 

「離れる」

 

「うん」

 

「近づきすぎるな」

 

「わかった」

 

「あと、転ぶな」

 

「それは約束できないかな」

 

「なんで」

 

「転んだ方がいいもの拾える時あるし」

 

毒香は返事をやめた。考えるだけ無駄だ。

 

商人風の男は表通りへは戻らなかった。市場のさらに奥、荷運び用の細い通路へ入っていく。人は少ない。代わりに、見通しが悪い。ここで距離を詰めすぎれば気づかれる。離れすぎれば見失う。

 

尾行には、速さよりも間合いがいる。

 

毒香は木箱の影から影へ移る。足音を消す技術は一流ではない。だが、相手の注意が向く瞬間は匂いで分かる。男が振り返る前には、呼吸がわずかに変わる。立ち止まる前には、足裏の汗の匂いが濃くなる。

 

その兆しを拾えば、隠れるのは難しくない。

 

【判定】

≪System≫

商人風の男を尾行します。

 

難度:45

判定項目:感覚

基礎値:88

補正:男の匂いを記憶済み+10

補正:裏路地で遮蔽物が多い+5

補正:相手が警戒している−10

最終値:93

 

判定方式:

1D93を振り、出目が難度45以上なら成功。

難度の2倍、90以上なら大成功。

難度の5分の1、9以下なら大失敗。

 

出目:73

結果:成功

 

商人風の男は、表通りへは戻らなかった。肉屋や香辛料店の並ぶ賑やかな通りを避け、荷運び用の細い道を選ぶ。人目を避けている。少なくとも、表の客に見られたくない用件があるのは確かだった。

 

毒香は男を追った。

 

距離は詰めすぎない。匂いを見失わない程度に離れる。男の足取りは遅くないが、逃げるほどでもない。時折、背後を確認するように首を動かすが、そのたび毒香は木箱や布の影に身を隠した。

 

食運の怪物は、その少し後ろをついてくる。足音が妙に少ない。本人は尾行の技術など持っていないのだろうが、男が振り返るたびに、ちょうど荷車が通ったり、店主が暖簾を揺らしたりして姿が隠れる。

 

毒香はそれを横目で見て、少しだけ眉を寄せた。

 

「便利」

 

「何が?」

 

「いや」

 

運がいいというのは、時々理不尽だ。

 

男は市場の外れまで進んだ。そこには食材を運ぶための裏門がある。正規の出荷口ではない。古い倉庫や荷置き場に繋がる、管理の緩い通用口だ。

 

門の前には、荷車が一台止まっていた。

 

荷台には木箱が積まれている。蓋は閉じられ、縄で縛られている。表面には乾いた血の匂いが少し残っていた。肉の箱だ。しかも、先ほどの隠し燻製倉庫と同じ煙の匂いがする。

 

毒香は物陰から目を細めた。

 

男が荷車のそばへ近づくと、御者らしい大柄な男が顔を上げた。肩幅が広く、首が太い。商人というより、用心棒か運び屋だ。

 

「遅い」

 

御者が言った。

 

「倉庫の確認だ。十箱、夜までに揃う」

 

商人風の男は小声で返す。

 

「北へは?」

 

「予定通りだ。狩場の連中が待ってる」

 

「味は誤魔化せるな?」

 

「香辛料があるうちはな。ただ、残りが少ねえ。あの美食屋の置き土産もそろそろ尽きる」

 

毒香の指がわずかに動いた。

 

やはり、繋がっている。

 

北の古い狩場。毒抜き不完全な肉。救命美食屋の香辛料。すべてが同じ方向を向いている。

 

商人風の男は懐から帳面を出した。だが、毒香の位置からは中身までは見えない。距離がある。近づけば見えるかもしれないが、その分だけ気づかれる危険も増す。

 

「次の仕入れは」

 

御者が聞く。

 

「狩場で直接だ。毒持ちの獣が増えてる。死肉も出る。あれを拾って燻せば、金になる」

 

「死肉かよ」

 

「香辛料でどうとでもなる」

 

商人風の男はそう言って笑った。

 

毒香の目が冷えた。

 

死肉を拾うこと自体が悪いわけではない。食べられるものは食べればいい。命を無駄にしないことは、食の基本だ。

 

だが、腐敗や毒を誤魔化して売るのは違う。食材を活かすのではなく、食べる者を騙しているだけだ。

 

食運の怪物が隣で小さく息を呑む。

 

「……あれ、止めた方がいいんじゃない?」

 

「今はまだ」

 

「でも」

 

「荷車の行き先が分かった。北の狩場。そこに行く」

 

毒香は静かに言った。

 

商人風の男は御者に何かを渡した。小さな袋。中身は硬い。金ではない。香辛料の匂いがする。おそらく、残り少ないという美食屋の置き土産だ。

 

毒香はその匂いを覚えた。

 

苦く、温かく、毒を丸める香り。

 

あの日の干し肉に、確かにあった匂いだ。

 

【成功効果】

≪System≫

商人風の男の尾行に成功しました。

 

判明情報:

商人風の男は裏門で運び屋と接触しました。

危険肉の流通先は「北の古い狩場」です。

北の狩場では毒持ちの獣が増えており、死肉も利用されているようです。

救命美食屋の香辛料は残り少なく、商人側が小袋で保管しています。

 

未取得情報:

帳面の中身は確認できませんでした。

商人風の男の名前は不明です。

組織全体の規模は不明です。

 

現在状況:

毒香たちは未発見。

荷車は夜までに北の狩場へ向かう予定。

商人風の男は市場へ戻る可能性あり。

運び屋は荷車と共に待機中。

 

【行動選択】

≪System≫

次の行動を選択します。

 

出目:6

結果:食運の怪物と相談する*6

 

毒香はすぐには動かなかった。

 

荷車を追えば、北の狩場へ向かう道が分かる。商人風の男を追えば、帳面に辿り着けるかもしれない。運び屋に接触することも、香辛料の小袋を盗むことも、倉庫へ戻ることもできる。

 

だが、選ぶには情報が多すぎた。

 

毒香は感覚で動く。匂いを拾い、危険を避け、食材の気配を追う。それは得意だ。

 

けれど、こういう時に何を優先するべきかを整理するのは、あまり得意ではない。

 

「相談する」

 

毒香が言った。

 

「えっ、私に?」

 

食運の怪物は、自分を指差して目を丸くした。

 

「他にいない」

 

「それはそうだけど、毒香って相談とかするんだ」

 

「必要なら」

 

「へえ」

 

「変?」

 

「変じゃないよ。ちょっと嬉しい」

 

毒香は答えなかった。嬉しいと言われても、どう返せばいいのか分からない。

 

二人は裏門から少し離れた。荷車も商人風の男も見えるが、声は届かない位置。積まれた空樽の陰に身を寄せ、毒香は状況を短く並べた。

 

「倉庫に四人」

 

「うん」

 

「肉は危ない。毒を抜き切れてない」

 

「うん」

 

「でも香辛料で誤魔化して売ってる」

 

「それは悪いやつだね」

 

「北の狩場に流す。そこに毒持ちの獣がいる。救ってくれた美食屋の香辛料も関係してる」

 

「うん」

 

「できることは、荷車を追う。帳面を見る。香辛料を取る。倉庫に入る」

 

「あと、誰かに知らせる?」

 

「それもある」

 

毒香は頷いた。

 

食運の怪物は腕を組んだ。普段の軽さは少し薄れ、思ったより真面目な顔になる。

 

「毒香は、何が一番欲しいの?」

 

「香辛料」

 

即答だった。

 

「だよね。あの美食屋さんに繋がるかもしれないから」

 

「うん」

 

「でも、今すぐ小袋を盗むのは危ないと思う。あの運び屋、強そうだし」

 

毒香も同意した。見た目だけでも、正面からどうにかできる相手ではない。捕獲力34、耐久12の毒香が殴り合えば終わる。

 

「帳面は?」

 

「欲しい。でも近づく必要がある」

 

「毒香、盗むの得意?」

 

「普通」

 

「普通なんだ」

 

「たぶん」

 

「たぶんなんだ」

 

食運の怪物は少し笑った。

 

それから、荷車を見る。

 

「私は、荷車を追うのがいいと思う」

 

「理由は?」

 

「行き先が分かってるなら、今ここで無理しなくてもいいから。北の狩場に行けば、肉も、香辛料も、たぶんその美食屋さんの手がかりもある。あと、ここで騒ぎを起こすと市場の人たちも巻き込むかもしれない」

 

毒香は黙って聞いた。

 

確かに、ここで倉庫に入れば騒ぎになる。運び屋に接触しても同じだ。香辛料を盗めば、相手はこちらを探す。帳面を狙うにも危険はある。

 

荷車を追うなら、まだ未発見のまま動ける。

 

「それにね」

 

食運の怪物は少しだけ声を潜めた。

 

「たぶん、北に行った方がいいよ」

 

「食運?」

 

「うん。なんとなく。あの荷車を追ったら、面白いものに当たる気がする」

 

「危ないもの?」

 

「それもたぶん」

 

「最悪」

 

「でも、毒香が探してる味にも近い気がする」

 

毒香は荷車を見た。

 

鼻の奥に、香辛料の匂いが残っている。苦く、温かく、毒を丸める香り。あの日の干し肉にあった匂い。

 

北の狩場。毒を持つ獣が増えている場所。救命美食屋が出入りしていたかもしれない場所。危険肉が流される場所。

 

そこに、答えがあるかもしれない。

 

「分かった」

 

毒香は言った。

 

「荷車を追う」

 

「うん。そうしよ」

 

「ただし、近づきすぎない」

 

「うん」

 

「勝手に荷台を開けない」

 

「うん」

 

「変なものを拾って食べない」

 

「それは状況によるかな」

 

「状況によらない」

 

食運の怪物は笑った。

 

毒香は溜息をつき、保存カプセルを確かめる。肉片は入っている。匂いは覚えた。追える。

 

今は無理に奪わない。今は騒ぎを起こさない。今は、流れの先を見る。

 

【相談結果】

≪System≫

食運の怪物と相談しました。

 

選択方針:

荷車を追跡し、北の古い狩場へ向かう。

 

理由:

現在地で騒ぎを起こすと市場を巻き込む可能性がある。

香辛料の小袋や帳面を狙うにはリスクが高い。

北の狩場には、危険肉の流通先、毒持ちの獣、救命美食屋の痕跡が集まっている可能性がある。

食運の怪物が「北へ向かうべき」と直感している。

 

*1

1〜10:空腹に弱い

11〜20:満腹だと鈍る

21〜30:毒に弱い

31〜40:火に弱い

41〜50:水場が苦手

51〜60:食材を粗末にする相手に激怒する

61〜70:子供に甘い

71〜80:金に弱い

81〜90:仲間を見捨てられない

91〜100:グルメ細胞が暴走しやすい

*2

1〜10:師匠に拾われた

11〜20:相棒料理人がいる

21〜30:家族を探している

31〜40:ライバル美食屋がいる

41〜50:IGOに目をつけられている

51〜60:裏社会に借りがある

61〜70:食材・猛獣に懐かれている

71〜80:有名人の弟子

81〜90:敵組織の元関係者

91〜100:完全な孤独

*3

1:正統派美食屋

2:天才料理人

3:IGOエリート

4:密猟者

5:金持ちグルメ

6:同じ毒使い

7:食運の怪物

8:幼馴染

9:元相棒

10:宿敵

*4

1:倉庫に忍び込む

2:食運の怪物に正面から声をかけさせる

3:市場の店主に聞き込みをする

4:しばらく見張る

5:保存カプセルで煙を採取する

*5

1:倉庫へ忍び込んで香辛料を探す

2:荷車を追って流通先を確認する

3:商人風の男を尾行する

4:食運の怪物を囮にして正面交渉する

5:市場の衛兵・IGO関係者に通報する

6:夜まで見張りを継続する

*6

1:荷車を追跡して北の狩場へ向かう

2:商人風の男をさらに尾行して帳面を狙う

3:運び屋に接触する

4:香辛料の小袋を盗む

5:倉庫へ戻って侵入する

6:食運の怪物と相談する




【第2話終了時点】
≪System≫
市場編を終了します。

毒香は救われた味に近い匂いを追い、裏市場の隠し燻製倉庫を発見しました。
倉庫では毒抜き不完全な危険肉が香辛料で誤魔化され、裏流通していました。
救命美食屋に似た人物が、過去に倉庫へ香辛料を残していたことが判明しました。
危険肉の流通先は北の古い狩場です。
毒香は食運の怪物と相談し、荷車を追うことを決めました。

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