ようこそ実力至上主義の教室へ ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ 作:山上真
第42話
六月を迎えてから――つまりは中間テストの結果発表や、全校生徒に対しての『ストーカー問題』が公表されてから半月が経ったある日のこと。
「邪魔するぜ」
端的にそれだけを言って、星之宮クラスを訪れる男子生徒がいた。
輝く黄金の髪。眉目秀麗な顔立ち。立ち姿も自信にあふれている。まさに『王子様』と呼んでも過言ではない男だった。
「二年Aクラス、生徒会副会長の南雲雅だ。俺の停学と入れ替わる形で生徒会に入会した奴がこのクラスにいるって聞いたもんでな、挨拶に来た。――と言いたいところだが、そっちはまあオマケだな。俺が今日ここに来た本命はお前だ、アズ・セインクラウス」
南雲は綾小路と桔梗に軽く視線を向けたあと、真っ直ぐにアズを見据えた。
「……私ですか?」
「ああ、そうだ。お前だ、アズ。……掲示板に上がってた動画を見たが、お前、生徒会長と遊んだんだろう? それを見た時から、俺とも遊んでもらおうって思ってたんだよ」
自分の端末で件の動画を開いてアズに見せながら、南雲はそう言った。
「動画自体にはもっと早くに気付いていたし、本当ならもっと早くに訪れたかったんだがな。流石に時期が時期だ。中間テスト前の新入生相手に強請るのもアレだと思ってな、中間が終わるまでは待ってたんだよ。
そしたらアレだろ? 今度は俺が停学する羽目になっちまった。
言っとくが、その件では一切お前たちのことを恨んじゃいない。俺自身、対応が中途半端になっちまったことは認めているし、罰則としては妥当だと思ってるからな。佐倉自身に確認しなかった点を突かれれば、申し開きのしようもない。たとえ、
だからまあ、逆にお前たちのことは気に入ったよ。ストーカー被害を受けながらも表面上はそれを隠し、準備万端に整えた上で大々的に反撃に打って出た。そして櫛田と綾小路に至っては、それすら自分を生徒会に売り込むための要因にした。
いずれにしろ、中々出来ることじゃない。こんな真似をしでかす実力者のことを歓迎しない道理はない」
クツクツと軽く笑いながら言ってるその様は、心底愉快に思っているように感じられた。
「敢えて自分語りのようなことをさせてもらえば、俺はこの学校に来るまで、常に勝ち組のような人生を送ってきた。幼少の頃から勉強やスポーツなどあらゆる項目で一番を取り続けていたし、学習能力も非常に高く、同年代の中では頭一つ抜けているスペックを持ち続け、幼い頃から人気者だった。
ま、それだけに俺を嫌う奴も多かったがな。やることと言えば精々が陰口を叩く程度。表立って不満をぶつけてくる程度の度胸もねえ奴らばかりだ。
だからこそ退屈だった。鬱屈していた。俺は、
この学校に来たのは、『この学校ならば』という一つの期待を抱いたからだ。
期待はある意味で叶い、ある意味で叶わなかった。
この学校に来て、
俺は嬉々として、両者に幾度となく勝負を吹っ掛けた。そのために生徒会にも入った。――だってのに、二人が二人とも、俺とまともに遊んでくれやしない。
かくなる上は、と俺が学校の改革を図るのはおかしいことじゃないだろう? ついでに言えば、溜まったストレスを何らかの形で発散するのもだ」
星之宮クラスの生徒を見渡しながら、南雲は言った。
それは確かに道理だった。
そして、着飾ることでストレスの発散を目論む人は一定数いる。もっとも『着飾る』が指す範囲は存外に広い。『単純な衣服』を指す場合もあれば、『侍らせる人材』を指す場合もある。
早い話、愛里を手に入れようとしたことを、南雲自身が暗に認めた瞬間でもあった。
「あ~、つまり、自分と遊べるだけの実力を持っているのに、その相手は揃いも揃って自分と遊んでくれないから、学校を改革することで新しく自分と遊んでくれる相手――ライバルを育て上げようとしている。
その一方、そう簡単には叶いっこないのは分かってるし、現在進行形で遊び相手は少ないし、その少ない相手も自分と遊んでくれないから、日々ストレスが爆上がりしている。自然、ストレスの解消手段は傍迷惑なものになる。
そういう認識でオーケーですか?」
「そういうことだ。ついでに言うと、現在の学校のシステムは連帯責任制に重きが置かれていることで、能力的に見所があっても、精神的に甘える奴や腐る奴がいるのは否めないしな」
こめかみを人差し指でグリグリとやりながら訊ねた桔梗に、南雲は誤魔化すことなく答えた。
瞬間、桔梗がこれまで南雲に抱いていた敵意が著しく低下したのは否めない。『自分と対等な相手』を求めるのは、人として当然の衝動だ。
「何よそれえええぇぇ……っ!? じゃあ何!? つまり会長が適度に遊んでガス抜きに付き合ってれば、それで済んだ問題じゃないの! 鞭ばっか与えて飴を与えなければ、そりゃ極端だったり傍迷惑だったりな行動だって取るっての!」
両手で頭を抱えて桔梗は絶叫した。
愛里に対する行為には思うところがないではないが、結局はそういうことになる。南雲の遊び相手を
それを怠った結果、『周囲に皺寄せがきている』と見ることは決して不可能ではなかった。
「まあ、会長は真面目だからな。俺が
肩をすくめて、南雲は会長をフォローするようなことを言う。
南雲自身、
だがまあ、そういうことであれば理解を示せる。ストレスが溜まっているところを身の程を弁えない馬鹿に絡まれたのなら、そりゃあ対応が辛辣になってもおかしくはない。
その一方で、自分に自信のある者ほど、自身を安売りしないのはよくあることだ。それでもなお勝負を受けて立った以上、相手に『相応の代価』を求めるのは筋が通っている。である以上、その代価が『相手の退学』であったとしても、理屈の上では筋が通るのだ。
高度育成高等学校が『実力者の輩出』を謳う以上、それについてこれない人材を排出するのは理に適っている。同時、余りにも退学者が多過ぎるようだと、それはそれで『教育機関』としては問題があるのも事実。
早い話、南雲は前者を重視し、堀北は後者を重視している。そのスタンスの違いが、両者の対立を深めている要因になっており、結果として堀北を及び腰にさせている。
「だがまあ、ここにきて俺にも運が向いてきた。ある意味で先輩と同級生には恵まれなかったが、後輩はまだ分からないからな。――で、どうだアズ。俺と遊んでくれないか?」
「それ、実質選択肢がないやつじゃないですか。ここで私が断れば、余計に学校改革に邁進するんでしょう?」
「当然だな。俺が一番に考えるのは俺の欲求だ。その上で環境に合わせる程度の柔軟さは有しているつもりだが、それで欲求が満たされないのなら、無理に環境に合わせるつもりもない。逆に俺の方へと環境を合わせるさ。それが俺のスタンスで、それが南雲雅という人間だ。
一年で目を向けてる奴はお前の他にいないわけじゃないが、高円寺の奴は鬼龍院と同タイプの自由人みたいだから望み薄だ。理事長の娘は頭は良さそうだが身体を動かすのはな……。そうなると、必然的にお前に対する期待は高まるさ」
「はぁ……。分かりました。時折でよければ遊ぶのに付き合いますよ。私としても、極端に現行のシステムを変えられるのは堪ったものじゃないので……」
「決まりだな。んじゃ、綾小路と櫛田も、これからはお仲間としてよろしくな」
有言実行。南雲は綾小路と桔梗にも軽く挨拶をして星之宮クラスを去っていった。
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
そんな一幕があってから、瞬く間に日は流れていった。
その間、アズは連日のように南雲の遊び相手を務めさせられた。『生徒会業務はどうした!?』とツッコミを入れたこともあったが、『済ませた』の一言で終わりである。桔梗や綾小路に確認を取れば、実際に任された分は終わらせているようなので、優秀なのは間違いないらしい。
なお、綾小路の方も自分の仕事はサッサと終わらせて、日々『綾小路塾』を開催している。曰く『小遣い稼ぎには最適』とのことであり、今では二年生の客もいるそうだ。
アズの方も、過程と結果次第では南雲からポイントが払われるので、付き合うのは吝かでなかったりもする。そのため、いつの間にか生徒会に入会させられ、『南雲係』なる役職を押し付けられてしまった。文字通り南雲の遊び相手を務めるのが仕事である。
ある日はサッカー、ある日はボードゲームといった具合に、勝負の種類は日に日に異なる。つまりは生徒会役員が不定期に各所を訪れることと同義だ。それが結果として風紀の向上に繋がっている面もあるらしい。
同時、面白がった部員に動画が撮影され、それが学校の掲示板に上げられるため、今では人気動画となっている。
秀逸なのは、ある日の部員によるインタビューだろう。アズは南雲との付き合いを『大型犬にじゃれつかれてる気分』と評し、一方の南雲は『子猫と遊んでる気分』と評した。互いが互いを身近な動物に例えたのである。
そして七月を迎え。
「……は?」
自分の端末を確認したアズは首を傾げた。
ポイントが振り込まれていないのである。履歴を確認しても、振り込まれたという実績自体がないのだ。
「何か問題が起こったってこと……?」
考えられる可能性としては、それが一番濃厚だった。――もっとも、それがシステム的な問題なのか、クラス間での問題なのかは分からないが……。
アズが首を傾げていると、端末が音を鳴らしてメールの着信を告げた。
確認すれば、生徒会役員に対する招集命令だった。『南雲係』というわけの分からない役職ではあっても、アズもまた対外的には立派な生徒会役員だ。そのため、アズにも通達が来たのだろう。
些か面倒に思わなくもないが、確認してしまった以上は行かないわけにもいかない。アズはちゃっちゃと身支度を整えて登校するのであった。
都合上、今日の朝食はコンビニで買うしかない。
そんなわけでアズがコンビニで朝食を物色していると、他の生徒会役員の面々もコンビニに姿を見せた。実際には、既にいたり後から来た。やはり、こういう時にはコンビニを利用するのだろう。
「はよーっす。後輩諸君は何にするよ? 先輩が奢ってやる」
アズ、桔梗、綾小路の一年生組に向けて南雲が口を開いた。
「待て、南雲。そういうことなら、ここはより先輩である三年の顔を立てろ」
「そうですよ、南雲くん! ここで二年生の君に一年生へと奢られてしまったら、三年生である私たちの立つ瀬がありません!」
そこに、堀北と茜が立ち塞がった。
「そっすか? んじゃ、ありがたくゴチになります! まさか一年だけに奢って二年に奢らないわけがないっすよね?」
瞬間、南雲はコロッと態度を変えた。
「もちろんです!」
鼻息荒く茜が答える。
顔を見合わせた一年生組は、ありがたく商品を先輩のカゴに入れた。
一方の二年生組は、南雲は嬉々として、桐山は困惑しながら。
少々行儀が悪いが、食べ歩きをしながら学校へ向かう。
「先輩たちは招集内容を知ってるんすか? こっちは何も心当たりがないんすけど……」
南雲のその言葉で、一年生組は確信した。二年生にはポイントが支給されていることを。
「私も分かりません。堀北くんはどうです?」
続く茜の言葉で、ポイントが支給されていないのは一年だけであるのを確信した。
「たぶん、一年の間で何かしら問題が起こったんだと思います。私たち、揃ってポイントが振り込まれてませんから。履歴に計上すらされてません」
「ほう? ってことは、誰かしらが動いたってことか。よもやこのタイミングで偶然ってことはないだろうが、お前たちに心当たりはあるのか?」
「何人かは、ですね。詳しい情報が分かりませんので、あくまでも『行動してもおかしくはない』って相手になりますけど……。
一人は真嶋クラスの坂柳有栖ですね。優れた頭脳を持つ反面、先天的な心疾患により杖を使わなければ歩けないほどの脆弱な身体能力に対するコンプレックス故か、非常に攻撃的な性格をしています。態度は分かりやすいほどに『慇懃無礼』で、同じクラスの葛城康平という男子と派閥争いをしています。
一人は坂上クラスの龍園翔ですね。分かりやすく言えば『メガネをかけてないインテリヤクザ』です」
「茶柱クラスの松下千秋の可能性もあるな。入学当初こそ俺と同じで『実力を隠す』というスタンスだったが、それによって後手を踏んだのも事実だ。そして、その事実を一部のクラスメイトと共有した。クラス全体でのまとまりには未だ欠けるが、だからこそグループ内での結束は強まっている」
桔梗が候補を挙げれば、綾小路がそれに続いた。
「今月には期末テストがある。それを踏まえれば一番怪しいのは理事長の娘になるが……」
そう言ったのは桐山だった。
普通に考えればそうなる。訴えてすんなりと受理されても、決着がつくまでは相応の時間がかかるものだ。赤点で退学という前提条件がある中で、敢えてCクラスやDクラスの生徒が動くとは思えない。
「この学校に入学を認められるほどの奴だからな。そんな常道な奴ばかりでもないだろう。――うちの学年は外れ年だが」
「クッ……!」
チラリと桐山を見ながら南雲が言えば、視線を向けられた桐山は悔し気に表情を歪めた。
「よせ、南雲」
「つっても、桐山のクラスが俺たちのクラスに逆転されたのは事実ですよ。んで、どいつもこいつもその責任を鬼龍院の奴に求めてる。そりゃあ鬼龍院の奴に一切の責任がないとは言いませんけど、個人ではシッカリと好成績を叩き出してるんです。
この場合、むしろ問題なのはアイツに甘えてる他の奴らでしょう。桐山も然りです。『保守的』って言えば聞こえは良いんでしょうけどね……。
それがこの学校のシステムの問題点で、だからこそ俺は改革を目指してるってわけです。――まあ、アズという遊び相手が出来たから、以前ほど極端なものを求める気もないっすけどね」
頭の後ろで手を組みながら、南雲は言う。
それは紛うことなく一面の事実を突いており、だからこそ否定の声は上がらなかった。
また、実際にアズと遊び始めてから南雲が落ち着きを見せたのは事実だし、だからこそ堀北もアズを生徒会に入会させて『南雲係』へと就任させた経緯がある。なお、その際の契約に基づき、毎月堀北からアズへと一定ポイントが振り込まれることになっている。
「それです! 会長も南雲先輩と遊んであげてくださいよ! 南雲先輩にとって、会長や鬼龍院先輩は初めてのライバル候補なんですよ? だってのに、袖にされてばかりで、それをどうにかするべく生徒会に入会したにも拘らず、鞭ばっかで飴を与えられずオアズケばっかり食らってれば、そりゃあ面倒な行動だって起こしますよ!
正味な話、南雲先輩の問題行動は会長にも原因があります! 南雲先輩の性格もあるでしょうが、会長は『勝負』って言葉を重く捉え過ぎたんですよ! 動画に上げられてたみたいに、アズとやったみたいに、普通にバスケでもサッカーでもすれば良かったんですよ!
欲求不満が溜まれば、それをどうにかしようと行動するのは当然でしょうに……。その欲求が強ければ強いほど、解消するための行動は厄介で傍迷惑なものになるのが道理です。ええ、その点については私が太鼓判を捺しますよ!
つまり何が言いたいかと言えば、私がアズと遊ぶための時間を増やせ! でないと、今度は私が傍迷惑な行動を起こしますよ!」
好機と見て、桔梗が南雲に続いた。一気呵成に堀北を責め立てる。
自身が強い欲求を抱えているからこそ、事実を知ってしまえば桔梗は南雲に共感できたし、現状は堀北の尻拭いをしているに等しいのだ。である以上、元々抱いていた
桔梗自身、生徒会に属するメリットはあるが、それはそれだ。
そもそもにおいて、桔梗と南雲は根底が似ている。『自身の欲求を一番に考え、その上で社会基盤に合わせる』という点で。
だからこそ、社会基盤に合わせても欲求が満たされないのであれば、社会基盤を壊すことに躊躇いもないのだ。
「へえ? てことは、櫛田。お前も何かしらの強い欲求を抱えてるのか?」
「はい。私はこれでもかってくらいに承認欲求を抱えてます。『承認欲求の怪物』を自称してるくらいです」
「なるほどな。だったら、当初俺に敵対したのも無理はないな。ルールに沿って行動し、その上で実績を出した方が他人から称賛されやすいのは事実だ。ルールの穴を突くのも一手ではあるが、程度によっては称賛ではなく非難を浴びる。
まあ、その点において、『好敵手を求めるが余りに改革を謳う』俺と馬が合う筈はないな」
「そういうことですね。他の先輩から仕入れた情報を鑑みると、どうしたって南雲先輩を危険視せざるを得ませんでした。
ただ、それも程度によりけりで、実情を知ってしまえば、むしろ堀北会長の方に腹が立ちましたよ、ええ。利己的な理由からとはいえ、私がどんだけ人とのコミュニケーションに注力してると思ってんですか。
ちょっと気を配れば避けられる事態を看過して、メガネを光らせながら『南雲の思想は危険だ、キリッ!』とか言われたって説得力がありませんよ。ぶっちゃけ、会長ってコミュニケーション下手ですか?」
「そう言われたら、否定できないところはあるな。……櫛田、後で相談に乗ってもらって構わないか?」
桔梗の言葉を堀北は認めた。その上で、桔梗に対して相談を持ち掛けた。正直、普段からは想像が付かない態度である。
「はいはい、了解です。会長に恩を売って称賛に繋がるなら、私としても望むところですよ」
桔梗は満面の笑みで言ってのけたのだった。
本作の南雲はこんなキャラです。
分かりやすいイメージだと、少々古い作品ですが『ヒカルの碁』の塔矢アキラです。あとはFateの五次ランサー成分も少々。
会長や鬼龍院はヒカルになり得たポジ。ただ、ライバル視して何度勝負を吹っ掛けても袖にされ続けたため、開き直って『こうなったら自分の手でライバルを用意してやるぜ!』となったのが本作の南雲です。
また、ライバル足り得る相手がいるのに、勝負自体が叶わないためストレスが爆増。そんな状況で身の程知らずの雑魚に勝負を吹っ掛けられては、一蹴して身の程を教え込んでもおかしくはありません。相手はその結果の退学ですね。
同時、そんなストレスの軽減法として自分を着飾らせたりもしています。端的に言えば『イイ女』を侍らせるわけです。自分に自信があり、その自信に相応しいだけの実力を持っているからこそ、侍らせる女にも妥協はしません。
一方、ストレスが溜まっていないのなら、『気のいいアンちゃん』な面が大きいです。
そこら辺の事情を、外から見ただけで正確に把握できるわけもありませんからね。
特に、桔梗が得た情報は本人と接触して得たものではなく、あくまでも周囲から得たものです。
それもあって誤認してしまった部分も大きいです。同時、全くの誤認でもありませんが……。
裏事情として、本当に最初は、南雲もただの善意で寮管から回ってきた報告に対処するつもりでした。
ただ、そこら辺の事情を調べるうちに佐倉愛里=雫と知ってしまいます。それによって食指が動き、『愛里を手に入れる』方向に舵を切ってしまったわけです。相手は新人とはいえ既に五千人以上のフォロワーを得ているグラビアアイドルですから何もおかしくはありません。
その後はそれとなく介入するタイミングを計っていたわけですが、そんな折に掲示板に上げられた『堀北VSアズ』のバスケ動画を目にしてしまいます。
結果、『え!? 何これ羨ましい! 俺も会長と遊びたい! いや、何ならこっちの女子の方でもいい!』となってしまい、愛里については一時的に忘却の彼方へ陥ってしまいました。南雲にとっての優先対象は会長≧鬼龍院>>>>>愛里ですので仕方ありませんね。
まあ、忘却していたのも数日間でしたが、その間に星之宮クラスで歓迎会が行われ、愛里が『ストーカー問題』を告白、発覚に至りました。
それによって学校側も大々的に動き出し、こうなってしまうと南雲としても手の付けようがありません。
自分が利己的な理由で対処に手を抜いた自覚はあるので、おとなしくペナルティも受け入れました。
それもこれも、その時点での南雲にとってはアズの方に大きく食指が動いていたからです。彼女と遊ぶことを考えれば、ポイントの没収も停学も痛くはありません。
どうせ、『中間があるから』と我慢していたわけですからね。二週間程度接触が先延ばしになったところで、美味しさを引き立てるためのスパイスにしかなりません。
そして停学も明けたため、意気揚々と登校しアズへと接触……というのが今話の冒頭になります。
本作においては、堀北会長も南雲も、優れた能力を持ってはいますが『完璧超人』ではありません。本人の自覚の有無はさて置き、時として傍迷惑なこともしでかす『一己の人間』です。
感想・評価お願いします。